IS インフィニット・ストラトス ~よくある転生のお話~ 作:ホワイト・フェザー
~201X年2月1日、午前9時~
ユーラシアの東端にある海洋国家、日本。その首都である東京都の東端に位置する墨田区。第二次世界大戦末期にはアメリカ軍のB-29による大空襲の被害にあい、区のほぼ下半分が丸焼けとなった。戦争が終わってから60年近くが経つが、今でも昔ながらの建物が多く存在し、いわゆる”下町”と呼ばれている。
その一方、自立式鉄塔として、そして現存する電波塔として世界第1位の高さを誇る『東京スカイツリー』が数年前業平橋に完成した。それ以外にも錦糸町や両国には現代的なビル群が軒を連ねている。それはともかく、どでかいツリーの近く、押上にその企業は存在していた。とあるビルにオフィスを構えるその企業に、今1人の男が出社した。物語はここから始まる。
Side ???
「社長、おはようございます!」
「おう、おはよう! 今日も張り切っていこうか!」
やあ、俺の名前は…なんだっけ? いや~最近ちょっと物忘れが激しくてね…ま、あとで思い出すだろう、うん。今俺は自分の会社に出社したところだ。ここで俺の説明を少しばかりしようと思う。
数年前俺は大学生だった。経営学を専攻していた俺は、大学生なら誰もが通る道である就職活動をしていた。だが結果はことごとく『残念でした』だった。ちょうど俺が大学4年になる直前、2011年に起きた東日本大震災の影響が就職活動にも響いたのだった。全て震災のせい、という言い訳をする気は全くないが、少なからず影響を受けたのは事実だった。
とにかく俺は就職が決まらず、年が開けた2012年になっても決まらなかった。そしてとうとう両親に家から追い出されてしまった。運良く近くに住んでいた友人の家に転がり込んで、今後のことについて3日間(呑みながら)真剣に考えた結果、
『そうだ、会社作ろう』
ということになった。そして大学の友人達を引き込み、周囲の反対を押し切り立ち上げたのが、この「NBコーポレーション」である。「NB」は「No Border」の略であり、
『国境なんて必要ねー(※必要です)。へへへへ国境にはもう用はねー(※必要d)! へへへへビザも必要ねーや(※必y)。へへへへ誰が国境なんか。国境なんか恐かねぇ!! 野郎、ぶっ取引してやらぁ!! 』(訳:国境とか関係なしに、世界中の人々と取引をしようじゃないか!)
という意味から名付けた。決して会社名を決めた時ベロベロに酔っていたわけではないし、とある州知事主演の映画「コ◯ンドー」を見ていたわけではないぞ。で、事業内容だけど主にIT関連。詳しく言うと企業の経営をサポートするソフトウェアの開発などを行っている。もちろん最初は見向きもされなかったけど、うちのソフトを採用したある大企業の業績が一気にうなぎ登りになったので一躍有名になった。そのおかげで海外企業との取引も一気に進み、今では東証1部に上場している立派な企業になった。
とまあ俺はこんな感じに今まで生きてきたわけだ。で、今日はこれからお得意先の1つである「◯×重工」に行く予定だ。信頼できる部下と共に資料を持って車に乗り込む。で、エンジンをかけようとしたんだけど…
「あ、すいません社長、資料の1つを上に忘れてきてしまったようで…」
という部下の言葉に動きを止めた。全く、今日は急いでいるのに!
「そか、急いで取ってこいよ」
「はい」
部下がビルのエントランスに消えていったので、今度こそ俺はエンジンをかけた。
だが突然真っ白な閃光に包まれて俺は何も見えなくなってしまった。最後に俺が感じたことは、胸に”何か”が突き刺さるような感覚と、同時に全身が熱い”何か”に包まれるような感覚だった。
Side out
「…それでは次のニュースです。本日午前9時過ぎ、墨田区押上の路上で乗用車が 突然爆発・炎上する事故が発生しました。すぐに消防が駆けつけ消火されました が、乗用車の中から『NBコーポレーション』社長の◯◯◯◯さんの遺体が発見されました。事故当時、現場から立ち去る不審な乗用車が目撃されており、警察は事件の可能性も含めた捜査をしています」
「…先日墨田区押上で発生した乗用車爆発事故の続報です。警察の発表によりますと、死亡した◯◯さんの乗っていた乗用車から高性能爆薬の成分が検出されたとのことです。また、◯◯さんの乗用車を調べたところ、エンジンをかけると爆発する仕組みになっていたことも判明しました。これを受けて警察は、◯◯さんは何者かに爆殺されたと見て調べを進めています」
「…本日、××組の構成員である□□□□容疑者が殺人の容疑で逮捕されました。警察によりますと、□□容疑者は先月発生した◯◯さん爆殺事件の実行犯であるとのことです。警察の調べに対し□□容疑者は『隣のビルの△△組の組長を殺すつもりだったが、住所を間違えて誤った車に爆弾を仕掛けてしまった。堅気の人を殺してしまい、大変申し訳ないことをした』と、容疑を大筋で認めているそうです。警察は□□容疑者から爆薬の入手経路なども聞き出す方針です」
こうして若くして大企業を築き上げた1人の青年はこの世を去ったのであった。
完
~まっしろーい、そしてひろーい空間~
Side ???
「…って終わってたまるかい!! …あれ?」
なんかひどい言われ方をされた気がしたので俺は飛び起きた。でもここはどこだ? 周囲を見渡しても真っ白で何も無いし! それに俺はスーツ姿で取引先に行くはずだったのに、今俺が着ているのは白い浴衣みたいなものだ。しかもなんかスースーすると思ったらパンツ履いてねえ!? 極めつけにはおでこに三角布までついていやがる! これじゃまるで仏じゃねえか!
「いったいここはどこだぁぁぁぁぁっ!!!!」
「私の執務室だよ?」
「うひゃあっ!?」
いきなり後ろから声をかけられたので変な声をあげちまった。振り返るとそこには俺より豪華そうな白い服を着たないすばでぃな女がいた。
「…えっと、ここはどこだって? それ以前にあんたは誰だ?」
「私はアテネ。世界の全てを司る神様だよ。でここは私の執務室」
と言いながら胸を張るアテネとやら。
「妄想乙。でここはどこ? 早く社に戻りたいんだが」
「ひどい! 本当なんだから!」
「へいへい。で、俺に一体何が起きたんだ?」
「………えっと、その………ごめんなさい!!」
するとアテネはその場にジャンピング土下座をした。はじめて見たよ、これ。
「え、何が?」
「あなたは死んじゃいました! もとい、私が間違えて殺しちゃいました!」
「えっ」
その後俺はアテネにニュース番組を見せられた。俺がエンジンをかけた瞬間に車がぶっ飛んだそうだ。つまりあの時俺の胸に突き刺さったのは爆弾の破片やら車の破片やらで、それと同時に丸焼けになったということか。いや、爆弾だし木っ端微塵になったのかな? ていうか犯人の奴、隣の△△組の車に仕掛けるつもりだった爆弾を間違えて俺の車に仕掛けやがったとかほんと死ねよ、おい。
「…なるほど、俺が死んだということはよ~く分かった。で、間違えて殺した っていうのはどういうことだ?」
「…あの犯人さんが間違えて爆弾を仕掛けちゃった理由を作ってしまったのが私なんです。うっかりインクを犯人さんの人生書類にこぼしてしまって… その時に…てへぺろ☆」
「……………………」
「あ、あのー、何故にストレッチを…?」
さてと、久々に体を思いっきり動かそうか。良い子の諸君! 運動の前にはストレッチをしっかりするんだぞ! ストレッチをしないで運動すると後で筋肉痛とかになって辛くなるからな!
「俺ってさ、昔剣道と合気道とボクシングやっててさ。ちょっとサンドバッ…練習相手になってくれると、とってもうれしいなって」
ちなみに剣道は都大会準優勝の実力だぜ!
「すみませんごめんなさい痛いの嫌です許してください」
「はぁ…冗談だよ。で、俺はどうなるんだ? 三途の川の渡し舟にどんぶらこって乗って天国行きになるのか?」
天国に行ったら大好きだったおじいちゃんに会えるかな? ガンで死んじゃったんだよなあ…生きている間に立派になった俺の会社を見せてあげたかった…
「とんでもない! あなたは私が間違って殺してしまったんです。なので別世界に転生してもらいます!」
「転生? 元の世界に戻れないのか?」
「…爆弾で木っ端微塵になっちゃった体の残りカスに戻りたいですか?」
「うん、それ無理」
「なので別の世界に行ってもらおうかと」
「…いいだろう」
なんか面白そうだな。第2の人生でも社長になってやるぜ!
「あ、特典はどうしますか?」
「特典か…何でもいいの?」
「ええ、何でも。好きなだけ」
じゃあ遠慮無くやりますか。
「行く世界にもよるけど、とりあえず身体能力を超強化。もしかしたら魔法とかがある世界に行くかもしれないから、俺が知っているアニメや漫画の能力や技、魔法を全て使えるようにしてくれ。もち魔力無限で。それと技術チートもな。ACのプラモ作るの好きだったからさあ。あ、AC作る会社でも立ち上げるか。最後に…そうだ、俺の自宅のPCの中に保存してあるプログラムが欲しいんだが?」
「ちょっと待ってくださいね…あ、このプログラム名『MSAI.exe』ってやつですか?」
そう言いながらアテネは虚空からキラキラ光る何かを取り出した。それがプログラムかよ、すげーな。
「そうそう、それ。ほとんど完成してないけどね。別の世界に行ってから 完成させようと思ってるんだ」
MSAI.exe。それは俺が死ぬ1年前から独自に開発していた新商品のプログラムである。『Management Supporting Artificial Intelligence』、すなわち『経営サポート人工知能』は、いつの日か人間が何もしなくても経営してくれる、そんな夢のようなAIを作ってみようと思い始めたのだが、全くはかどらずに放置していた代物である。
「うわ、ほんと全然完成してないですね。でも神様パワーを注入すれば!」
「えっ」
アテネは両手でキラキラ光る何かをこねくり回した。
「あ、そうだもっと高速、高性能化してっと。これで完成! 例え経営者が赤ん坊でも、これさえあれば世界一の会社になれるよ! 処理速度も量子コンピュータとか目じゃないくらい高速にしといたからね。ていうかこれもう経営サポートどころか万能人工知能になってるけどまあいいよね」
「…まあいいか。で、俺はどんな世界に?」
「えっとですね…候補は色々とありますよ」
プラカードをたくさん持ったアテネが説明を始めた。
「まずは魔法があってモンスターも出てくる、しかもうざったい貴族もいるゼロのt」
「却下。使い魔なんぞになりとうないわ」
「じゃ、じゃあ次は…これも魔法があるやつで、魔法少女リリk」
「ダウト。白い悪魔の全力全壊な砲撃は嫌だ」
「ぐぬぬ…ではでは、主人公がいきなり存在感ゼロになってしまうゆるゆr」
「あれのどこに男が入る余地があるよ? 他のにしてちょ」
「ならば…僕と契約しt」
「しない。てか俺女じゃねえし」
なんかいい転生先がないな。どれもこうピンとしない。
「………じゃあどんな世界に行きたいんですか?」
「そだなー、俺が元々いた世界に似ていて、アーマードコアみたいな人型兵器が出てくるような、そんな世界がいいな。でもガンダムは知らないから却下で」
「アーマードコアの世界じゃ駄目なんですか?」
「毎日戦闘とか勘弁してくれ。で、なんかそういうのあるか?」
「そうですね…」
突然現れた段ボール箱をゴソゴソと漁っていたアテネは、1冊の本を取り出した。
「ISはお好きで? 結構。ではこれを読めばますます好きになりますよ! さぁさどうぞ、インフィニット・ストラトスです。精悍でしょう? んああ仰らないで。女にしか乗れない欠陥兵器、でも男なんて見かけだけで頭は悪いし、面倒事はやらないわすぐだらけるわロクなことは無い。量子化した武器もたっぷりありますよ、どんな敵でも大丈夫。どうぞ起動してみて下さい、いい兵器でしょう。余裕の性能だ、格が違いますよ」
「…なんだその説明は」
「だってこういうふうに説明しないといけないんですよ」
「ISか…ていうか俺乗れないじゃん、男だし」
「もしこの世界に行くならISに乗れるようにしますよ?」
「ふむ…」
ISかぁ、アニメしか見とらんから何とも言えんが、女が偉そうにしている世界、だったか? それが俺は気に食わん。よし、ネクストとかアームズフォート作ってISとバトらせてみようかな!
「じゃあISの世界に行こう」
「わかりました。さっき言った特典も全部付け加えて有りますのでご安心を! ついでに原作知識もプレゼントしておきます。あ、年齢は主人公と同じでいいですか?」
「…いや、主人公の生まれる5年前にしてくれ。いくら特典をもらっても時間だけは作れないからな」
「なるほど。某メイド長の能力を使えば時間操作なんてお手の物ですけど、使ってるのがバレたらまずいですもんね、わかりました!」
アテネが腕を軽く振るうと俺の目の前に大きな扉が現れた。ほう、これがISの世界への入り口なのか?
「では、新たな世界へ行ってらっしゃ~い」
扉から光が溢れ出して俺の意識は再び薄れていった…
Side out
Side アテネ
行ってしまいましたか…では早速あの人の魂に特典を付けてっと。おまけで『神のお守り』効果も付けてあげましょう。これがあれば問題なしですね。そういえばあの人死ぬ前は社長だったとか。じゃああの人の運命をちょこっといじくって、必ず社長になれるようにしておきましょう! 経営センスMAXのあの人なら大企業を作れるでしょうね~。なんかものすごくチートスペックになってしまいましたけど、間違えてあの人の人生を台無しにししてしまったんですし、これくらいは当然の事です!
最後にISの世界を作って~、と言ってもここにある原作本の通りに世界を構築すればあっという間にできるのでお茶の子さいさいです! でもそれだけだとなんかつまらないですね…面白みに欠けると言うか…そうだ! 確かアーマードコアが好きとか言ってましたし、そういったものも混ぜてっと。ふふふ、これならきっと満足してくれるはず!
さて、準備は全て整いました。新たな世界で新たな人生を楽しんでくださいね!
Side out
続く…