IS インフィニット・ストラトス ~よくある転生のお話~ 作:ホワイト・フェザー
~深夜、某国中部、とある研究所にて~
そこは人っ子ひとりいない場所にある研究施設だった。その国は他国に知られない
ために、情報管理を徹底しながら研究をしていたのだ。具体的には、とある作戦行動
中に破壊されたネクストACのパーツの一部を極秘裏に回収し、内部構造の解析をする
こと、である。解析に成功すれば、自国でもネクストACを製造し、他国より優位に
立てるかもしれない、とその国の上層部は考えたわけだ。
しかし、それを企業連が黙っているわけがなかった。
ズズンッ!!
ヴーッ! ヴーッ! ヴーッ!
突如研究所が大きく揺れたかと思うと爆発音と警報が鳴り響いた。研究員達は悲鳴をあげ
ながら逃げようとするが、崩れてきた瓦礫などに押しつぶされる。研究所の警備部隊は
即座に敵を見つけ反撃することになっていたのだが、敵が誰なのかわかった瞬間には死んで
いた。
「一体誰が襲ってきているんだ!? 状況を報告しろ!」
研究所の所長が部下に向かって吠えるが、その間にも施設はどんどん破壊されていった。
所長にとって幸いなことに、研究所は地上2階、地下5階という構造になっている。そして
解析中のネクストACパーツと所長が今いる司令室は最下層に位置するため、しばらくは
安全ということになる。
『所長! 聞こえますか!?』
部下の1人―警備部隊副隊長―が無線で司令室を呼んでいた。
「おい、副長! 敵は誰だ? わかったのか!?」
『て、敵は…ネクスト2機です! おそらく企業連と思われます!!』
その瞬間、司令室にいた全員が凍りついた。皆1つの事を考えていた。
(企業連にバレた…!)
と。
「…総員退避だ! 地下道から脱出するぞ! パーツなんか無視して…いや待て。パーツの
保管庫にありったけの爆薬をセットしろ。急げ!」
「は、はい!」
研究員達は大慌てで地下道に逃げ込み待機していた車に乗って逃走した。
その3分後、タンク型のネクストが司令室の壁を破壊しながらやってきた。
「おっかしいなぁ~、いねぇぞ?」
その男、ORCA旅団所属リンクス”ヴァオー”は首を傾げながら相方に連絡する。
「おぉぉぉぉい!! みんないねぇぞぉぉぉぉぉ!! そっちは頼んだぜぇぇぇぇぇぇ!!」
研究所から離れつつある所長以下数十名は、後方で大爆発が怒るのを見た。パーツの
保管庫に無理やり入ると起爆するようにセットしておいたのだ。
「はっはっは!! 賊め、ざまあみやがれ!!」
「所長、首相と連絡が取れません」
「仕方あるまい。こんな山奥だ、電波も届かんだろう。しばらくはこのまま…」
だがその時先頭車両にグレネード弾が命中したため車列は壊滅した。所長が乗っていた
車は最後尾にいたためか、車は大破したものの所長は無事であった。
「く…くそっ! まだ敵がいたのか…」
よろよろと振り返ると、燃え盛る車列の向こう側に1機のネクストがいた。それが外部
スピーカーを使って話し始めた。
『研究所に罠を仕掛けておいてあっさり全滅とは…使えない連中だな、貴様も、その部下も』
「お前は…お前は一体何者だ!?」
『貴様ごときに俺の名を教える理由などない。死ね!』
そう言ってネクストはグレネードランチャー付きのマシンガンを所長に向ける。
「ま、待ってくれ!! いい情報を教えてやる! 他にも研究施設があるんだ! その
場所を全部教える! だから殺さないでくれ!」
『そんなことは知っている。今頃全部壊滅しているだろう。企業連を甘く見るな。それに…
俺は面倒が嫌いなんだ!』
バラララララッ!!!
所長はマシンガンの掃射を受けて細かい肉片と化した。それを見届けた”彼”は、ヴァオーに
連絡を入れた。
「ヴァオー、そっちはどうだ?」
『ハッハー! 保管庫は吹っ飛んじまったけどデータは全部回収しといたぜぇ!!』
「そうか。では撤退するぞ」
『わかったぜ、メルツェェェェェェェェェェル!!』
「俺はスティンガーだ! 間違えるんじゃない!」
面倒が嫌いなスティンガーは、ネクスト”ヴィクセン”と共に夜空に消えていった。
~ORCA旅団秘密基地~
ORCA旅団の秘密基地の1つに帰還したスティンガーは、機体から降りてヴァオーと
共に報告をしに行った。
「報告なんて面倒な事は嫌いなんだが…」
「そんな事言うなよスティンガー!」
が、途中の廊下で突然スティンガーはうめき声をあげながら側頭部を押さえた。
「くっ………」
「大丈夫かスティンガー!?」
しばらくするとスティンガーは顔をあげた。しかし先程とは表情や雰囲気が異なり、
まるで別人のようであった。
「すまんなヴァオー。もう大丈夫だ」
「おっ、元に戻ったのかメルツェェェェェェェェェェル!!」
「ああ、そうだ」
「じゃあ面倒な事は?」
「もちろん大好きだ」
「いつものメルツェルだな!」
ORCA旅団副団長メルツェル。実は彼は二重人格者なのだ。普段は面倒事も進んで処理する
メルツェルだが、面倒な事が嫌になるとスティンガーという人格になってしまうのだ。
医者曰く、互いの人格が共存しているので特に問題はないそうだ。
「さて、テルミドールに報告をしに行くぞ」
「わかったぜ!!」
~同時刻、日本、IS学園~
〈ふ~ん、じゃあ回収は無事に済んだわけか…〉
〈その通りだ。全く愚かな連中だ。我々に気付かれずにネクストパーツの解析ができる
わけがあるまいに〉
ウィリアムは教室の自分の席でナノマシン通信を使用してテルミドールと話していた。
〈そうだ、あと悪いニュースがある。ヴァオーとメルツェルが行った研究所のメイン
ザーバーを調べた結果、例の兎がハッキングを仕掛けていたことが判明した。恐らく
ネクストパーツの部分データを盗んだのだろう〉
〈くそっ、あの兎め。わかった、じゃあそろそろ授業だから切るぞ〉
〈頑張れ、学生社長殿〉
「ねえねえ織斑君にロンバート君、聞いた? 2組の転校生の噂」
通信を終えると女子の1人がウィリアムと一夏に聞いてきた。
「転校生? いや、聞いていないな」
「俺もだな」
普通の学校の場合、入学式から1週間後に転校してくることはほとんどあり得ない。
だがここは普通の学校ではないからあり得ることだ、とウィリアムは考えていた。
「なんでも統一中華連邦の代表候補生らしいよ」
ウィリアムとリリウムはその国名を聞いて第二次中国内戦を思い出した。毛沢東の
肖像画を吹き飛ばしたり、旧中国政府軍のISにレーザーやマシンガンやグレネードを
撃ち込んだり…実に楽しかったと2人は感じていた(シャルは第二次中国内戦時、まだ
リンクスではなかった)。
「そいつと一夏は再来週のクラス代表対抗戦で戦うってことになるわけか…」
「織斑君! 絶対に勝ってね!」
「ど、努力するよ…」
女子達が一夏に執拗に迫るのにも理由がある。優勝したクラスには食堂のデザートの半年
フリーパスがもらえるからだ。スイーツ好きな女子にとっては喉から手が出るほど欲しい
ものなのである。
「今のところ専用機持ちは1組と4組にしかいないから大丈夫だよ!」
「………その情報古いよ」
1組の教室にそんな声が響いた。全員で声のした方―教室の入口を見ると、そこには
小柄のツルペッタンなツインテールの可愛らしい女の子がいた。彼女のことを知らない
クラスの女子達は不思議そうな表情を浮かべていたが、一夏とウィリアム、シャル、
リリウムは違っていた。一夏は困惑から驚きの表情を、3人は無表情を維持していた。
〈お兄ちゃん、あの子は…〉
〈ああ、そうだ。さっき話していた転校生だ〉
〈しかも織斑一夏の幼馴染…だから転校してきたのですかね?〉
「………お前、鈴か?」
「そうよ。統一中華連邦の代表候補生、そして2組のクラス代表、凰鈴音(ファンリンイン)よ! 今日は宣戦
布告に来たわ!」
鈴は一夏を指さして堂々と宣言した。それに対して一夏はというと。
「何やってんだ? 全然似合わないことして」
「なっ!? 何言ってんのよあんたは!?」
ムキーッ! という擬音が聞こえたような気がしたウィリアムであった。
「おい鈴」
「何よ」
「後ろに注意」
「はぁ?」
鈴が後ろを向こうとした瞬間、彼女の脳天に出席簿の一撃が振り下ろされた。もちろん
それをやったのは織斑千冬であった。
「ち、千冬さん…」
「織斑先生と呼べ。して、いつまでそこにいる気だ?」
「あ、すみません…一夏! また後で来るから待ってなさいよ!!」
「いいから早くどけ」
「は、はいいい!!」
脱兎のごとく逃げていった鈴であった。
「一夏! あいつとは一体どういう関係なんだ!?」
「一夏さん、説明を要求しますわ!!」
箒とセシリア、そしてその他女子数名が一夏に詰め寄るが、
「席 に つ け」
鬼教師の言葉と出席簿の洗礼を受ける羽目になったのであった。そして授業が始まった
後も、数名の生徒は授業に集中できずにいて、その度に出席簿アタックを食らっていた。
主に箒とセシリアだったのだが。それを見ていたウィリアム達3人は、みんな馬鹿だな、
とナノマシン通信で話していた。
続く…
~ウィリアムの部屋~
なのウィ「スティンガーがメルツェルで…あれ?」
ゼロウィ「つまり2人は一心同体ってことだよ!」
ISウィ「主人格がメルツェルで、たまにスティンガーってことか」
作者「そゆこと。わかりやすいでしょ」
なのウィ「まあな。で次回は?」
作者「ちょろっと書いてその次にクラス対抗戦を書こうなぁと」
ゼロウィ「仕事頑張れよ」
作者「今すぐ過労で入院したいです、マジで」
なのウィ「どんだけなんだよ」
ISウィ「まだ学生気分が抜けていないんじゃないか?」
作者「2日か3日に1度しか家に帰れないっておかしいだろ!?」
「「「うん、それはおかしい」」」
作者「また明日から2日連続泊り…ちょっと転職先探すわ」
ISウィ「作者がこんな状態なので更新遅れはご了承ください。ではまた!」