IS インフィニット・ストラトス ~よくある転生のお話~ 作:ホワイト・フェザー
~某所~
その薄暗い部屋の中で1人の女性が猛烈な速度でコンソールを操作していた。
目の前のスクリーンに映しだされているのは、とあるデータ―数日前に某国の
研究所にハッキングを仕掛けて盗み出したネクストACのパーツのデータであった。
「なるほどねぇ~、こういう仕組みなんだ。確かにアルドラの技術力は高いね!
でもまだまだ改良できると思うなぁ~」
そんなことを言うのは天才科学者、篠ノ之束。インフィニット・ストラトスの
生みの親である。
「よし、これでいっか! それじゃあ起動!」
束がキーを操作すると、2機の深い灰色をしたISが立ち上がった。手が異常に長く、
つま先よりも下まで伸びている。首というものがなく肩と頭が一体化しているような
形をしている
「いっくんとあの2人目の男の戦闘データを取ってきてね! いってらっしゃい!」
束の命令を聞いた2機のISは空に向かって飛んでいった。
Side リリウム・ウォルコット
~IS学園、第2アリーナ、ピット内~
どうも、リリウムです。今日はクラス対抗戦の日です。リリウムの所属する1組の代表で
ある織斑一夏と、2組の代表である凰鈴音(ファンリンイン)が最初に戦うそうです。織斑一夏は置いといて、
凰鈴音がどこまで強いのか興味がありますね…
「一夏、準備はOKか?」
「おう! ばっちりだぜ!」
ウィリアムお兄様がそう聞いていました。確か数日前に織斑一夏が凰鈴音と喧嘩したとか。
まあどうでもいいことですね。それよりも数日前の夜に食べたモンブランがとても美味し
かったです…はっ! いけないいけない、集中しないと。
で、試合が始まりました。予想通り織斑一夏は押されていますね。青龍刀もどきを
2本つないで振り回している凰鈴音…何故かスター・◯ォーズのダース・◯ールを
思い出してしまいました。あと非固定浮遊部位から放たれる衝撃砲。あれもかなり
対応が面倒くさい兵装ですね。死角がない上にエネルギー効率が非常に優れています
から。実はあの兵装、テクノクラート社の衝撃ロケット『FSS-53』を参考にして造ら
れたそうです。統一中華連邦政府と多額の契約を結んだのでボリスビッチ社長はバク転
うって喜んでいましたね。
しばらく試合を見ていたのですが、突然ウィリアムお兄様が顔を上に向けて天井を
じっと見つめ始めました。リリウムとシャルもつられて見ましたが特に何もいませんね…
「リリウム、シャル。コード14、ケース2。直ちに行動開始」
「…わかったよ、お兄ちゃん」
「…わかりました、お兄様」
リリウムはシャルとすぐにピットを出て行動を開始しました。実はここIS学園に来る
前に、企業連であることを決めたんです。つまり、
『もしIS学園で不測の事態が起きたらどうするか』
ということです。その行動計画の”コード14、ケース2”というのは、
『接近中の未確認ISの無力化、もしくは拿捕』
という意味です。なのでリリウムは高い場所から、シャルは広い場所から攻撃をします。
学園内でのISの無断展開は禁止されていますが、今頃ウィリアムお兄様がブリュンヒルデに
説明しているので大丈夫でしょう。
さて、ここからちょっと本気を出しましょうか。今までに王大人やメアリー・シェリー様、
元SAS所属で今はBFFの狙撃戦専門ハイエンドノーマル部隊『サイレント・アバランチ』の
隊長、”無敵砲台”と恐れられているリチャード・マクミラン様、それに…えっと…アン…
アン…アンパン! じゃないですえっと………アンなんとか様から教わった狙撃術を披露
しましょう!
Side out
Side 三人称
「ロンバート兄、あの2人は何処に行った? それにさっきの言葉はどういう意味だ?」
リリウムとシャルが素早く出ていった後、ブリュンヒルデが聞いてきたのでウィリアムは
仕方なく答えてあげる事にした。
「現在未確認のISが2機こちらに向かって急速に接近中です。シャルとリリウムが迎撃を
すべく行動を開始しています」
「何だと!? 山田君、すぐに確認を!」
「は、はい!」
山田先生がコンソールを操作してしばらくすると、唖然とした表情でこっちを見た。
「せ、先輩…本当に接近中です! このままだとアリーナに!」
「ということなので、我々は攻撃を開始します。シャル、リリウム、交戦を許可する」
ブリュンヒルデが何か言う前にウィリアムは攻撃命令を出した。後で何か言われたと
しても、企業連の名前出せば大抵の事は黙ることがわかっているからである。
校舎屋上で待機していたシャルは、すぐに空に飛び立ち敵ISの進路上に陣取った。
そして両手に展開した2基のレイレナード製アサルトライフル―04-MARVEを構えて
引き金を引いた。その圧倒的火力を前に敵は散開し、1機はそのままアリーナに、もう
1機はシャルの攻撃を受けつつも、腕に内蔵されているレーザーで反撃し、その場から
離れようとした。
だが時既に遅し。リリウムの放ったレーザーが敵ISの頭部を、そして胸部のISコアを
貫いた。敵ISは機能を停止し、地面に落ちていった。
「グーッナイ…っとこんなところですか、オーバードウェポンを使うまでもありませんね」
リリウムはちょっとがっかりした口調でスナイパー仕様の067ANLRをしまった。元々
軽負荷でありながら高い威力を持ち、更に距離による減衰が少ないこのレーザー、それを
スナイパーライフル化したものを彼女は使用していた。その威力がどれだけのものかは
今のでお分かりであろう。
「アリーナの方は…間に合いませんね。次はもっと硬い敵と戦いたいです」
『ナイスショット、リリウム。お兄ちゃんが戻って来いって』
「分かりました。アンビエント、帰還します」
不思議な事に、シャルとリリウム、この2人が映っていた監視カメラの映像が砂嵐状態に
なっていたそうだ。決してリリウムの専用機”アンビエント”の肩に付いているECM発生器
『063ANEM』がフル稼働していたわけではない。
場所は戻ってピット。ウィリアムは2人から通信を受けて、それを千冬達に教えた。
「リリウムが敵IS1機を撃墜。もう1機はアリーナに突入する模様です」
「山田君! 直ちに試合中止! 警報を鳴らして生徒達を…」
だがその時アリーナのシールドを突き破って黒いISが一夏と鈴に向かっていった。
「くそっ、遅かったか!」
千冬は悪態をつきながらも他の教師達に指示を出していった。
「織斑君! すぐそこから退避してください! すぐに教師班が向かいます!」
『すぐってどれくらいで来るんですか?』
「えーと…それがですね…システムがハッキングを受けているのでしばらくは…」
敵ISがアリーナに突入したのと同時に、緊急時用の防火扉や隔壁が全て作動して
ロックが解除できなくなっていたのだ。
『じゃあそれまでの間、時間稼ぎが必要ってことですよね?』
「そんな! 危険ですよ織斑君!」
『でも俺と鈴が避難したら他の生徒に被害が出るかもしれないですよ? あのIS、
アリーナのシールド吹っ飛ばすレーザー持っているんですから』
何気に考えている一夏であった。すると千冬は一夏と鈴に時間稼ぎを命令した。
その間に3年の整備班がシステムのクラッキングを行うことにした。しかし、その
作業は困難を極め、整備班にもお手上げ状態になってしまった。
「どどど、どうしましょう~!?」
「山田先生、お手伝いします。ちょっと失礼」
「えっ、ロンバート君!?」
困り果てていた山田先生の隣にウィリアムが座り、キーボードを素早く操作し始めた。
しかも片手で1個のキーボードを操作するという神業テクニックを披露した。さらに
その作業速度は尋常ではなく、真耶はもちろんのこと、セシリア、箒、そして千冬で
すら驚くほどであった。
「なるほど、これはひどいな」
30秒ほどするとウィリアムはポツリと呟いた。
「何が酷いんですの、ウィリアムさん?」
「確かにこれならあっという間にハッキングが可能だ、しかしやり方が力押しすぎる。
こんなハッキングの仕方をする奴は俺の記憶には1人しかいない」
セシリアの質問にそう答えると、千冬が身を乗り出してきた。
「それは誰だ?」
「とりあえずそれは後回しにしましょう。あと少しで隔壁を開放できます。観客席の生徒の
避難誘導をお願いします。それとセシリア、ちょっと手伝ってくれ。あの糞野郎を叩き
潰さないとな」
「分かりましたわ!」
ウィリアムは隔壁を開放してからセシリアと共に部屋を飛びだした。出る前にキャロラインに
ハッキングを仕掛けてきたどこかの誰かさんをとっちめろと命じておいた。アリーナに向かう
途中でシャルから通信が入った。
〈お兄ちゃん、今ピットに戻ったんだけど掃除道具がいないよ?〉
〈何だと? あのクソッタレが…リリウム、探してきて殴ってこい。多分放送室だ〉
〈わかりました、お兄様〉
『一夏ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
一夏と鈴はアリーナにて所属不明のISを戦っていたが、突然箒の怒鳴り声が聞こえた。
声のする方を見ると、いつの間にか放送室にいた箒がマイクを握って叫んでいた。
「えっ、箒?」
「何してんの、あの女!?」
『男なら……男ならそのくらいの敵にグヘッ!』
「「あれ?」」
箒のシャウトは途中で止まった。リリウムが見事なアッパーを決めて気絶させたから
である。そしてリリウムは気絶した箒と教師(箒が気絶させた)を担いで急いで放送室
から脱出した。その数秒後、敵ISのレーザー攻撃を受けて放送室は吹き飛んだ。
「てめぇ、この野郎!」
一夏は腹を立てて敵ISの右腕を斬り落とした。敵ISは一夏から離れ、残っている腕で
攻撃しようとしたが…
『セシリア、撃て!』
『了解ですわ!』
突然ウィリアムとセシリアが反対側のピットから姿を表し、それぞれスナイパーライフル―
セシリアはスターライトmkⅢを、ウィリアムはBFF製のスナイパーライフル『061ABSR』を
放った。大口径の実弾は敵ISのシールドを、青いレーザーは敵ISの頭部を木っ端微塵に吹き
飛ばした。その結果敵ISは地面に落下し機能を停止した。
『さすがにいい腕だな、セシリア』
『ウィリアムさんも凄いですわ』
「ウィル! セシリア! 助かったよ」
一夏がそう言うと鈴は鼻を鳴らした。
「もうちょっと時間があればあたしが倒していたわよ!」
「強がるなよ、鈴」
「何よー!」
その時頭部を失った敵ISが再起動し、左腕のレーザーを鈴に放とうとした。
「りいいいいいいいいん!!!」
一夏は敵ISに向かって突撃したが、
「危ないぞ、一夏。死ぬつもりか?」
ウィリアムが背中に展開した有澤重工製グレネードキャノン『OGOTO』を放った。
高威力のグレネード弾が敵ISを文字通りバラバラに吹き飛ばした。
こうして謎のISの乱入騒ぎは終結したのであった。
「うわーん!! またウイルスなの~!? もう嫌だー! あの男なんか大嫌いだー!」
その頃某所ではキャロラインのウイルスで暴走したお掃除マシン(自立歩行型)に追い
回されている某兎博士がいたとかいなかったとか。
ピットに戻った一夏は、リリウムが箒を殴ったことに腹を立てていた。
「何で箒を殴ったりしたんだ?」
「そりゃ、俺がそう指示したからだ。それ以上でも以下でもない」
ウィリアムがそう答えると一夏は更に腹を立ててウィリアムに掴みかかった。
「何でそんなことを指示したんだよ!?」
「おいおいなんでそう怒るんだ? 折角お前の幼馴染の命を救ってやったというのに」
「何だと!? 私を殴っておいて命を救ってやっただと!? ふざけるな!」
まだよくわかっていない一夏と箒にシャルが説明する。
「いい、篠ノ之さん? もしリリウムがあなたとあなたが気絶させた先生を担いで逃げな
かったら、今頃あの放送室と一緒に木っ端微塵になっていたんだよ?」
「そ、それは………」
跡形も無い放送室を指差しながら更に続ける。
「しかもIS相手に何の武器も持っていない無防備の人間があんな目立つ場所で大声で叫ぶ。
篠ノ之さんは死にたいの? 別に死にたいなら1人で死んでくれて構わないんけどさ、
他人を巻き込まないでくれないかな? 本当に迷惑だから」
「自分が叫びたいから放送室に行って先生気絶させるとかどんだけ自己中なんだ? 正直
言ってあり得ないよ、マジで。ふざけるなだって? ふざけているのはお前だ、篠ノ之」
シャルとウィリアムの厳しい言葉に箒はうつむいてしまう。
「ウィル、それは言いすぎじゃ…」
「いや、ロンバート兄妹の言う通りだ」
「千冬姉!?」
「織斑先生だ」
千冬は一夏に出席簿を振り下ろしてから箒を見据える。
「篠ノ之、明日までに反省文を30枚提出しろ。それと今後このような事があったら…
まあ覚悟しておけ。以上だ」
「………はい」
その日の夜。IS学園の地下50mの場所にとある区画がある。ここは限られた教師しか
入ることができない機密エリアとなっている。今ここでは今日襲撃してきた2機の無人ISの
調査が行われている。モニターから顔をあげた山田先生は千冬に結果を知らせる。
「解析終了しました。やはり、登録されていないコアですね…」
「そうか…」
2機の無人ISのうち、片方はリリウムのレーザー攻撃でISコアが蒸発していた。もう1機の
方はグレネード弾でバラバラになっていたが、奇跡的にISコアは無事であった。
「ウォルコットさんが撃墜したISも恐らく…」
「形状から見て間違いなく同型の無人ISだろう」
「無人機だなんて…信じられません。一体何処の誰が…」
千冬にはある人物の存在が浮かんだが、そんなことはおくびにも出さずにただモニターを
見つめていた。
2人は知らなかったが、今の会話を聞いている人がいた。いや、人ではなく生命体と
言うべきだろうか。2人がいる部屋の換気口に1匹の生命体がいた。その生命体は視覚
情報と音声データを暗号化し送信していた。しばらくして生命体は素早く換気口の奥
へと姿を消したのであった…
続く…
~ウィリアムの部屋~
なのウィ「ウィリアム達のワンオフ・アビリチィーが見たーい!」
ゼロウィ「見たーい!」
作者「だまらっしゃい!」
ISウィ「ペア戦の時には3人のうちの1人のをあきらかにするんだって!」
「「おーっ!!」」
作者「え、あ、うんわかりました」
ゼロウィ「まさか…考えていないとか無いよな?」
作者「当たり前だろ! 最初に決めたわ!」
なのウィ「ならいいんだ。で次回は?」
ISウィ「転校生カモーン!」
作者「その通りです、はい。いつになるかは…謎です」
なのウィ「ではさようなら!」