IS インフィニット・ストラトス ~よくある転生のお話~ 作:ホワイト・フェザー
~IS学園、保健室~
アリーナでちょっとしたコジマ爆発が発生してから数時間後、ラウラは目を覚ました。
「ここは……?」
天井を見つめながらそう言うと、隣にいた人物―千冬が答える。
「保健室だ」
「教官! うっ、いたた…」
「無理をするな。極めて至近距離からコジマ爆発を食らったんだからな」
「教官…何が起きたのですか……?」
千冬はため息をつきながら話し始めた。
「重要案件である上に機密事項なので話せない…のだが、本人は知っておくべきだろう。
ヴァルキリー・トレース・システム、通称VTシステムの事は知っているな? あれが
お前のISに組み込まれていた」
「何ですって!?」
「機体の蓄積ダメージ、操縦者の精神状態、そして操縦者の願望。それらが揃った時に
発動するようにプログラムされていたそうだ。近くドイツにIS委員会の強制査察が
入るだろう」
「あ…」
その時になってラウラは試合中に自分が何をしたのか、何を望んだのかを思い出した。
「私が……望んだからですね。教官になることを……」
「ラウラ・ボーデヴィッヒ!」
「は、はいっ!」
「お前は誰なんだ?」
「わ、私は……私……は……」
返事に詰まると千冬は微笑を浮かべた。
「誰でもないならちょうど良い。お前はこれから、ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
そう言って部屋を後にしようとしたが、扉のところで足を止めた。
「もう1つ。お前は私になれないぞ。あいつの姉になると何かと心労が絶えないんでな」
保健室を後にした千冬は人気のない場所に行ってから携帯電話を取り出し、とある
人物に電話をかけた。
『もすもすひねもs』
「おい束」
『挨拶もなしにいきなりだねぇ、ちーちゃん! それで何の用かな?』
その人物―篠ノ之束は元気に答えるが千冬は冷たい口調のままだった。
「今日ここであった事は既に知っているな? お前が絡んでいるのか?」
『ああ、あの出来損ないのシステムの事でしょ? 知ってるよ。言っておくけど
私は何もしていないからね! あんな不完全な物を私が作るわけ無いでしょ?』
「…それもそうだな」
内心、実は親友が絡んでいるのではないかと密かに考えていた千冬であった。
『でもね、ドイツでちょっとした出来事があったんだよ!』
「ドイツで、だと?」
『暴走事故のすぐ後にドイツ軍のとある研究所がネクストらしき兵器に襲撃されて文字通り
木っ端微塵。生存者もゼロだって。私が潰そうとしていたのに先を越されちゃった!
おまけに研究データとかも全部盗んだ後に消去されてたよ。今ドイツ軍は大騒ぎだよ』
(ネクストらしき兵器、という事は企業連が動いたということか…)
「ネクストか…どんな機体かわかるか?」
『いくらこの天才束さんでもそれはわかんないよ~。それでね―』
束は他にも話していたが千冬の耳に入っていなかった。
(企業連が動いた…ボーデヴィッヒの暴走のすぐ後に、か。つまりロンバート達3人が
上層部に報告してネクストを動かしたという訳か…だが何の目的で? わからん…)
まさか企業連が、いやウィリアム達がドイツ軍研究所を襲撃させた理由が、
『自分らの試合を邪魔されたから』
などという極めて個人的な理由だということに千冬が気付く訳がなかった。
『おーい、ちーちゃん! 無視しないでよぉ~! 束さん悲しいぞ~』
翌日。
「お、お前は私の嫁にする!!これは決定事項だ。異論は認めん!!」
『えええええええええええええ!!!!!?????』
授業前にいきなり立ち上がったラウラはそのまま一夏にキスをした上、この発言。
クラス中が驚くのも無理はない。もちろん例外はいるが。
「ほほぉ…やるじゃないか」
「奇襲攻撃成功ってところだね」
「あとは彼がどのような返事をするか、ですね」
言うまでもなくウィリアム達3人である。そして今度はウィリアムの方にラウラが
歩いてきた。
「何の用だ?」
「ウィリアム・ロンバート! 是非私の
『…はああああああああ!!!???』
またしてもクラスの声がハモった瞬間であった。一夏は呆然としているし、箒、セシリア、
いつの間にか2組からやってきた鈴、そしてリリウムはあきれて物が言えない、といった
様子だった。しかし、ウィリアムとシャルの反応は異なった。
「お願いします、お兄ちゃん!!」
「ラ、ラウラ、それ以上言うな…それ以上その言葉を言うと………」
なんとあのウィリアムが怯えているのだ―それこそ演技などではなく本気で。何故彼が
怯えているのかはすぐに分かった。
ポスッ、という軽い音と同時にラウラの右肩に手が置かれた。それと同時に、ラウラの
首に大きなグルカナイフが当てられた。そしてシャルが小さな、だがクラス中に聞こえる
ような声でラウラに話しかけた。
「ボーデヴィッヒさん…別に僕は君がお兄ちゃんの妹になることに反対しているわけじゃ
ないんだ、ほんとだよ? ただね、お兄ちゃんの事を『お兄ちゃん』って呼んでいいのは、
この世界で僕だけの特権なんだ。僕以外の女がお兄ちゃんの事を『お兄ちゃん』って呼ぶ
のはね、とってもイケナイコトなんだ。その辺の事をしっかりと理解して欲しいんだけど、
どうかな? 理解してくれたかな? かな?」
「わわわわわかりました、マム!!!」
顔面蒼白のままラウラは敬礼した。その様子を見ていたクラスの女子&真耶はドン引き。
そしてリリウムは机の下で膝を抱えて震えていた。実は彼女もまた、幼少期に同じような
目にあっていたのであった。
「こわいですこわいですこわいですこわいですこわいですこわいです……………」
「落ち着けリリウム」
そんなリリウムをなだめるウィリアムであった。
続く…
没ネタ:トーナメント時にリリウムが怪我してウィリアムがキレた場合
それはVTシステム起動中のボーデヴィッヒのISが
「きゃあああああ!!!!」
後方で援護射撃をしていたリリウムに急速に接近した敵ISが、リリウムの隙を突いて
高速で連続切りをしたのだ。あっという間にプライマルアーマーは消滅し、強固な装甲も
連続した攻撃で破損してしまった。その破損した装甲の破片で、リリウムは腕に怪我を
負った。
「リリウムッ!! てめぇ、もう許さん。あの世まで飛ばしてやる! キャロライン!」
『了解』
キレたウィリアムは普段絶対に使わない武装をコールした。トーラスマンの背中に
光が集まり、それは1つの武装に変化した。
そう、
『えっ』
会場の観客全員が呆気にとられたがウィリアムはそれを無視していた。
「よし、やるか!!」
背中の柱―正式名称オーバードウェポン、マスブレードを右手に装備すると、AMSを介して
ウィリアムの耳に耳障りな警告音に加えてキャロラインからの警告が入ってきた。
『不明なユニットが接続されました。システムに深刻な障害が発生しています。直ちに
使用を停止してください』
「うるさい、すぐに終わる!!」
チャージを完了したウィリアムはオーバードブーストを起動して敵ISに突撃した。
敵は回避しようとしたが間に合わなかった。
ズッドォォォォォンッ!!!!!
IS学園全体が震度6の地震並に揺れた。アリーナでは煙がもうもうと立ち込めていたが、
管制室にいた教師陣はモニターを見て愕然としていた。何故なら、先程まで4つのISの
反応―ウィリアム、リリウム、箒、ラウラ―があったのに、今は3つしか無いのだ。それが
意味することは1つ。暴走したラウラのISはウィリアムの攻撃で完全に破壊された、という
ことだ。
「…ボーデヴィッヒは何処だ? あいつは無事か!?」
千冬は慌てて真耶に確認をさせたが結果は残酷なものだった。
「生命反応……………あり……ません…………」
「そん…な……」
こうして暴走事件は怪我人1名と死者1名という残念な結末を迎えたのであった。
「俺は悪くない。悪いのはリリウムを怪我させたあいつだ」
「だからって殺すことはないだろ!!」
「いやいや、リリウムを傷つける奴は万死に値する。これは国際常識だ」
「どんな常識ですの!?」
「ていうか俺はいい事をしたんだぜ? あのまま放っておいたらもっと死人が出た
かもしれないんだ、それを未然に防いだんだから…感謝状ものだぜ」
「それはそうかもしれないけどやりすぎよ!」
「過ぎたるは猶及ばざるが如し、ってか? 昔の人はいい事言ったぜ」
という会話があったとかなかったとか。
~ウィリアムの部屋~
なのウィ「ラウラがお兄ちゃんと言う…ゴクリ」
ゼロウィ「そしてシャルに殺されかけると」
ISウィ「リリウムも被害にあっていたとはね」
作者「ていうか今回短めですいません」
なのウィ「没ネタの方にしなくてよかったな」
ISウィ「そうだな。ラウラにはまだ死んでほしくないし」
ゼロウィ「まだ?」
作者「いや、誰も殺すなんて言ってないですよ、ええ」
なのウィ「そうかいそうかい、で次回は?」
作者「海に行く前のお買い物の話しかな。それと企業連側の新たな動きも」
ISウィ「ふふふ、ついにあれが完成するぞ!」
なのウィ「何が?」
作者「その辺もお楽しみに! ではまた!」