IS インフィニット・ストラトス ~よくある転生のお話~ 作:ホワイト・フェザー
~スイス連邦、チューリッヒ郊外、ロンバート家~
Side ウィリアム
ぐーてんたーく! ウィリアムだ。生まれてから3年が経ったので、親父におねだりして毎日テレビのニュース番組や新聞、PCで情報をせっせと集めている。え、早いって? 気にしない気にしない。ああ、最初にドイツ語で挨拶したけど、俺はスイス人ではないぞ?
「そうか、スイスで生まれたアメリカ人夫婦の子供だからアメリカ国籍か!」
と思ったそこのあなた、残念ハズレです。じゃあお前どこの国籍を持ってんだよ、と聞かれたら、
「持ってませんよ~」
と答えるしかない。どういうことかって? まあその辺の含めてきちんと話すよ。
まず俺の親父、ジェイソン・ウォーカー・ロンバートについて説明しよう。35歳のアメリカ生まれのこの親父は、とある企業の社長をしている。面白いことに何でも飛びつく人間で、社員からも慕われている良い人である。ちなみに俺を産んでくれた母、バーバラ・ロンバートは出産時に死んでしまったそうだ。実に残念。アーメン。
でだ、俺は3歳になったけど国籍がない。俺だけではなくて、親父も、そして親父の会社の社員全員にも国籍がない。どういうことかというと、親父の会社はとある企業連合体に加盟していて、その連合に加盟すると国籍が自動的に変更されてしまう。日本国籍だろうが、アメリカ国籍だろうが、例え火星人だろうが、その連合に所属していると問答無用で変更される―――「企業連」と。
親父の会社の名前は「トーラス」。よりによってあのトーラスである。あの空飛ぶソルディオス砲、『ソルディオス・オービット』を開発したり、『アサルトアーマー』の発展型である『アサルトキャノン』を生み出したあのトーラスである。そして加盟している企業連合体の正式名称は、
「総合軍事企業連合』、通称『企業連』
である。これを聞いた時俺は、
「あれ、ここAC4かACfAの世界じゃね?」
と思ってしまった。が、よく調べてみたところゲームとは違う部分が幾つもあった。
まず「総合軍事企業連合」という名前。ゲームでは「統治企業連合」という名前だったが、この世界では国家解体戦争は起こっていないので統治もへったくれもないからこういう名前なのだろうと納得した。
次にトーラスだが、元々は「グローバル・アーマメンツ・ヨーロッパ」、つまりGAアメリカの欧州法人であった。ゲームではアナトリアの傭兵に壊滅されたけど、この世界では穏便にことが進んできちんと独立できた。独立後もGAグループとの仲は非常に良好である。どうしてこうなった。しかも子会社をいくつか持っており、中でも有名なのはスウェーデンに本社を置くエレクトロニクス軍事企業「アクアビット社」である。そしてカナダに本社を置く「レイレナード社」、元ロシアの国有企業で現在はウクライナに本社を置く「テクノクラート社」とグループを組んでおり、”トーラスグループ”として企業連の一角を担っている。
…なんでビットマンが子会社でアリーヤとロケットと仲良しなんだよ…
ちなみに他の企業はというとこんな感じ。
GAグループ
・GA(Global Armaments)
・BFF(Bernard and Felix Foundation)
・有澤重工
・MSACインターナショナル
・クーガー
まあGAグループはゲームと同じだね。特にうちは有澤重工と仲がいいそうだ。類は友を呼ぶってやつか…(変態的な意味で)。
インテリオルグループ
・インテリオル・ユニオン
・アルドラ
インテリオルグループはトーラスがいないだけで後は同じ。
オーメルグループ
・オーメル・サイエンス・テクノロジー
・ローゼンタール
・アルゼブラ
テクノクラートは旧名イクバール、現アルゼブラが親会社だったけど、この世界ではきちんと独立してトーラスグループに加わっている。
独立グループ
・ラインアーク
ラインアークはゲームでは反クレイドルの集団だったけど、この世界では地球温暖化の影響で海面が上昇して海に沈んでしまいそうな南太平洋諸国と連携して、
「海に沈む前に海上都市作って引っ越そうぜ!」
をテーマに活動をしているオーストラリアの企業である。ゆくゆくはゲームのような建物を作るのだろう。夢があっていいんじゃないの。トーラスとも仲良しだし、何故か。
ちなみにアスピナ機関はまだ設立されていないそうだ。そりゃこの世界にはまだアーマードコア・ネクストはないからAMSの研究も行われていない。でも既にノーマルの開発が始まっているそうなのでいずれは…ぐへへ。
あと企業連に関してゲームと決定的に違う点が1つ。それはゲームに存在した企業間の争いがまったくないことである。何故か企業連の設立目的が、
『世界中の人々に我々の商品を平等に使ってもらおう! 企業間で争っている暇なんかねえ! みんな仲良く商売しようぜ!』
だそうな。いいこと…なんだよな?
あとは特に言うことはないかな。企業連(子会社も含めて)が全世界の企業の約9割を占めているから、もし企業連全体がストライキ起こすと、各国の人々の日常生活に大きな悪影響が出るし、最悪国家が崩壊する状況だけど、まあそれはどうでもいいよね。独禁法とかの法律は多分月の裏側あたりまでふっ飛ばされたのだろう。だって現時点でこの世界の経済を動かしているのは企業連だし、各国の政府もそれを黙認している状態だし。きっと裏では
企業連『言うこと聞いてくれないと、おたくの国の経済が文字通り吹き飛ぶよ?』
各国政府『ど、どうかお許しを~! 何でも言うこと聞きます!』
企業連『いやぁ~、話がわかる国で良かったよ! これからも仲良くやっていこうじゃないか!』
みたいなことが行われているのだろう、うん。
それで、なんで企業連に所属すると国籍が無くなるかってことなのだが、俺が生まれる随分前、企業連が設立された1950年に国際連合でとある国際条約が全会一致で可決されたことが原因である。その国際条約の名前は「総合軍事企業連合条約」。うん、そのままだね。で肝心の内容だけど、信じられないくらい企業連に有利なことばかりが記述されている。
ちょっと抜粋してみよう。
第2条 国籍について
企業連に所属する人間は、あらゆる国家を自由に行き来することができる。なお、混乱を避けるためにパスポートに記される国籍は「企業連」で統一するものとする。
第3条 交戦権
企業連に所属する人間、及び関係施設への意図的な攻撃がなされた場合、その攻撃に対して企業連関係者は自由に応戦することをここに許可する。
……うん、とっても都合がよすぎるよね。何故こうなったのか親父に聞いてみたところ、にやにや笑いながら「ま、色々とあったんだよ。色々と、な」という返事。まあなんとなく想像はつくけどね。条約には他にも様々な特権があるけどそれは又の機会に。
※ ※ ※ ※ ※ ※
それからある日の午後3時過ぎ。俺はいつも通りパソコンで作業をしていた。具体的に言うと、アーマードコア・ネクストやらアームズフォートの設計をしている。セキュリティーは万全なので問題なし。
「ただいまー」
おや、親父が帰ってきたか。そういえば今日は帰りが早いって言ってたっけ。お勤めご苦労様です!
『その挨拶はどこか駄目な気がするのは私だけでしょうか?』
いきなりパソコンのスピーカーから女性の英語音声が聞こえてきた。彼女はアテネに魔改造してもらった例の経営サポート用AIである。この前アテネから管理を受け継いだ時に新しく名前を付けた。その名も「キャロライン」。前世の大学時代に付き合っていたアメリカ人の彼女の名前から取った。
そこ、リア充爆発しろとか言わないの。
「気にしたら負けだ、キャロライン。で、何かあったのか?」
『問題発生です。企業連の各企業に対してサイバー攻撃をしてくる奴が います。こちらのデータが見られる前に撃退致しましたし、もう2度と ハッキングできないようにプロテクトを掛けておきました』
「そうか、ご苦労さん」
ほう、どんなアホだろう。そいつの顔を見てみたいもんだ。企業連のサイバー対策はキャロラインが常時警戒しているから絶対に破られることはない。それに企業連に喧嘩売るほど愚かなことはないし。
『あと犯人の特定は済んでいます。日本人の女性で、篠ノ之束という人物です』
「な、なんだってー!?」
俺はその名前を知っていた。なにせ死ぬ前にアニメで見ていたからだ。その女こそ、インフィニット・ストラトスを開発した天才である。
「原作キャラ登場、ってか」
『アテネからの情報では近い未来に彼女がISを開発するとか。それでいかが致し ますか? ご命令があればあらゆる手段で反撃が可能です』
「ん~…」
さてどうしたものか。ここで即座に何らかのアクションを篠ノ之束にしたとする。その場合、あいつは企業連を警戒してさらに探りを入れてくるかもしれない。かといって何もしない、っていうのは我慢ならん。
「おーいウィルー、何してんだ?」
悩んでいると親父がやってきた。そうだ、1人で悩むよりも誰かに相談した方がいいじゃないか。
「おかえり親父。あのさ、ちょっと相談があるんだけど」
「ん?」
※ ※ ※ ※ ※ ※
「なるほどそれは問題だな…」
俺の話を聞いた親父は唸り始めた。あ、ちなみに俺が転生者ってことは既に親父に話してある。ていうかバレた。何でも、
『俺は今まで多くの赤ん坊を見てきたが、お前はあの子達とは違う感じがした』
という理由だった。シックスセンスですね、わかります。ていうか親父の奴、随分前から孤児院を運営しているそうな。知らなかったよ。で、俺は自分の事を洗いざらい話した後、もしかしたら追い出されるかな~なんて考えていた。
だが。
『転生とか超面白いじゃねえか!! 我が子がこんなに面白いとは!! 全くこれだから人生は楽しくてしょうがない!!』
親父は俺が考えていたよりもおかしい人だったらしい。すんなり俺を受け入れてくれた。まあよしとしよう。
「これは我が社だけの問題ではない。企業連全体の問題だ。我々の独断で行動するのはよろしくない。既に対策済みとはいえ、この件は明日の企業連の会議で報告するとしよう」
「りょーかい」
ちなみに企業連には俺が転生者とは知らせていない。超天才児として親父が言いふらしている。現に様々な兵器の設計図(チート仕様)を提供している。
「そうそう、ウィルが言っていた日本人の科学者だが、無事に勧誘成功したぞ。もう採掘を開始している」
「いえーい!! これで企業連は大きく前進できる!!」
数カ月前に、日本でぼっちになっていたある研究者を探して雇うように親父に頼んでおいた。この研究者は近い未来世界を変えるある発見をする人物でもある。
※ ※ ※ ※ ※ ※
次の日。俺は親父と共に企業連本部、通称「アライアンス」にやってきた。そして親父が出席する会議に俺も参加することに。ちなみに参加者は以下の通り。
まずインテリオルグループの代表、フィルマン・ブラック。ベルg…通り道国家出身の54歳男性。レーザー大好き人間である。以上。
「それだけ!? てか誰が通り道国家出身だコラ」
次にGAグループ代表、アーノルド・レヴィンソン。アメリカ合衆国出身の49歳男性。とにかく大砲が好きな人。噂では有澤重工と一緒に世界最大の重迫撃砲であるリトル・デーヴィッドのリメイク版を作っているとか。何やってんだおい。
「大艦巨砲主義こそ漢のロマンだ! 異論は認めない!!」
次はオーメルグループ代表、アミル・テミルジ。旧オスマン帝国、現トルコ共和国出身の62歳男性。その昔はトルコ海軍で腕を鳴らしていたそうな。
「どうでもいいことだが、私の先祖はその昔オスマン帝国海軍の士官でな、1538年のプレヴェザの海戦にも参加したそうだ。それに祖父も第一次バルカン戦争、第一次世界大戦を戦い抜いた歴戦の海軍士官でな。よく 武勇伝を聞かされたものだ」
本当にどうでもいいので次にいこう。ラインアーク代表、ブロック・セラノ。オーストラr…イギリスの流刑地出身の55歳男性。いつも腰が低いことで有名。でも実はかなりの切れ者なんだと。
「流刑地言うな。でもこの訛りを何とかしたい…みんな汚い発音だって言うからさ…」
で、最後はトーラスグループ代表こと俺の親父&俺。今日は親父が会議の司会進行を担当することになっている。
「では会議を始めよう」
「その前に」
ブラックが立ち上がって俺を指さす。
「ジェイソン、なんでお前の息子がここにいるんだ?」
「「「確かに」」」
他の3人も同意見。まあそう思うのは全く自然なことだね。けどこれからもっと驚くことになるだろうよ。
「まあ待てみんな。実は昨日、企業連全体に対するサイバー攻撃が行われた。それを察知した我が息子が攻撃を阻止したんだ」
「なんだと!?」
「サイバー攻撃…ハッキングか」
「一体どこの馬鹿がそんな愚かなことを?」
「実行犯の特定も既に済んでいる。ウィル、説明しなさい」
「はい」
さて、ここからは俺が説明しないとね。
「どうもみなさん、ウィリアム・ロンバートです。昨日午後3時42分、私が自宅でパソコンを弄っていたところ、突然防壁が作動しました。それで…」
「ちょ、ちょっと待ったウィリアム君、その、防壁とはなんだね?」
レヴィンソンが待ったをかける。実は彼、あまりインターネットに詳しくない。
「ああ、防壁とは私が考案した新型のファイヤーウォールの事です。従来のものより高速・高性能化しており、今は”彼女”の管理下にあります」
「”彼女”…確か少し前にジェイソンが言っていた対サイバー攻撃用AIの事だったな?」
「その通りです、ブラックさん」
”彼女”とは「キャロライン」のことだ。
「それで”彼女”は直ちにプロテクト作業を開始。その結果、企業連へのハッキングを阻止することに成功しました。こちらの情報は一切漏れていません。そして犯人の特定も済んでおります」
「素晴らしいな、ウィリアム君。それで犯人はどこの組織の人間だ?」
「それがどこの組織にも所属していない1人の日本人女性…いや女の子と言ったほうが正しいですね」
そして篠ノ之束の事を話すとみんな呆れた表情を浮かべた。
「まさかそんな子供が企業連にケンカを売るとは…」
そう言いながらテミルジが唸る。するとセラノがオドオドしながら
「そ、それで彼女はどうするのですか?」
と発言。
「その件なんだが…」
ここで親父にバトンタッチ。
「今回の事件がもし他国の情報機関などによる犯行だったのであれば話は簡単だ、その国に責任をとってもらえばいい。だが今回の場合、相手は子供だ。さてどうしたものか…」
「子供だから許す、という訳にもいくまい。それなりのペナルティは必要だ」
「同感だ。アーノルドの言う通り、ここは彼女自身、或いはその家族にそれ相応の罰を受けさせよう」
レヴィンソンとブラックの意見にセラノとテミルジは反対する。
「い、いくら何でもその、子供相手にペナルティはオーバーでは?」
「そうだ。子供に対してムキになりすぎだぞ。大人気ないじゃないか」
………
………
………
結局篠ノ之束の件に関しては有澤重工の諜報部に監視させることになった。今彼女殺したら原作崩壊どころの問題じゃないからね、うん。
「アーマードコアの開発も順調に進んでいる。来年か再来年には販売できるだろう」
「組織作りの方も問題ない。全て予定通りだ」
「なるほど。では今日の会議はこれでお開きにしよう」
こんな感じで会議はおしまい。その後俺はトーラス本社で親父の仕事を見学してから家に帰って飯食って寝た。子供って楽しいな~…ぐーzzz…
Side out
続く…
おまけその1。
「そうだ、新商品の事を言うのを忘れていたよ」
会議の途中でレヴィンソンが立ち上がりモニターのスイッチを押す。
「有澤重工が開発した新型の40mm
「「「「「えっ」」」」」
対戦車グレネード弾だって? どう見ても普通の40mm擲弾にしか見えないんだが…
「有効射程は500mだ! 実際にこいつでアメリカ陸軍のM1A2を撃ってみたんだが…」
次の写真にはアメリカ陸軍の主力戦車のひしゃげた姿しか写っていなかった。まるでゴジラか何かに踏みつけられたみたいだ。
「「「「「うわぁ…」」」」」
「40mmでこの威力! 素晴らしいだろう? 早速アメリカ陸軍が山ほど買ってくれたぞ」
1発で戦車すらぺちゃんこに破壊する有澤重工のグレネード…さすが変態。
おまけその2。
「レヴィンソンさん、リトル・デーヴィッドのリメイク版作っているって本当ですか?」
「はっはっは、まさか」
ですよねー、そんなの作るわけが…
「リメイク版ではなく、よりスケールアップしたものを作っているんだ。元々の口径は914mmだったけど、1524mmに強化した。それに有澤重工製の高性能爆薬砲弾を使用するから威力も半端ない! 射程も20kmに伸びたし、装填方法も変えた。昔はクレーンで砲弾を吊り上げて装填していたが、アーマードコアを使って装填させる方法なら、いちいち砲身を水平にする必要もなくなる、つまり装填時間が短くなる。どうだ、実に最高だろう?」
「凄いなアーノルド! 完成したらそれうちにもくれ!」
親父ェ…テミルジさん、何とか言ってくださいよ。
「………もはや何も言うまい」
えー…
続く…
~ウィリアムの部屋~
なのウィ「企業連がいるISの世界…将来国家解体戦争でもする気か?」
ISウィ「それもいいかもな! いやぁ、楽しそうだ…実に楽しそうだ」
ゼロウィ「随分と調子良さそうだね?」
作者「いつまでもガキ時代の話してても面白く無いと思うから飛ばすか」
ISウィ「えー、もうちょっと子供でいたいんだけど!」
ゼロウィ「子供の頃っていいよな、ほんと…」
なのウィ「あの頃に戻りたいぜ…」
作者「俺もだ…じゃあ次回は7歳ぐらいに成長した頃の話にするか!」
ISウィ「てなわけで次回、『ボーイ・ミーツ・変態!』です。お楽しみに!」
なのウィ「変態て…嫌な予感しかしないな」
ゼロウィ「少なくともショタコンはいないらしい」
なのウィ「え、それ以外はいるかもしれないってことかよ!?」
作者「貴方にはその質問をする権限はありません」
ISウィ「まだ買ってないし!」
なのウィ「てかキャロラインっていうAIだけど元ネタは…」
作者「そこは読者の皆さんに想像してもらうとしようじゃないか」
ゼロウィ「ではアディオス!」