IS インフィニット・ストラトス ~よくある転生のお話~ 作:ホワイト・フェザー
アメリカ合衆国。世界の警察官なんて呼ばれることもあるこの国は、企業連に
次いで世界第2位の軍事力を持っている。ISと旧式アーマードコアの保有数も世界一
であり、例えロシアと全面戦争を行ったとしても勝てるほどである。
そんなアメリカ合衆国でさえ、GAを主力とする企業連軍に負け続けていた。
見たこともない超大型兵器アームズフォート、そしてネクストの前には旧式の
アーマードコアも、そしてISも役に立たなかった。しかし、それでもアメリカ軍は
戦い続けた。ある兵士は愛する人を守るために、またある兵士は祖国を守るために。
そんなアメリカ軍を前に企業連軍は進撃を止めたのであった。一体何故攻撃が止んだ
のか、と兵士達が考えていると、
『ハロー、アメリカ人さ~ん。こちらは企業連広報部でーす。申し訳ないんですけど、
降伏してくれませんかね? 返答期限は3日以内で。もし返事がなかったり、降伏
しなかったら…主要都市に対して大規模攻撃を実行しますよ?』
という放送が世界中のテレビ、ラジオ、無線に流れたのであった。
これを聞いた大統領は激怒。残存している陸、海、空、海兵隊、そして沿岸警備隊の
全軍を総動員して強固な防衛ラインを築き上げた。特に力を入れたのは、首都である
ワシントンDC全域、ニューヨーク全域、ノーフォーク海軍基地、ノーフォーク海軍造船所、
国防総省やCIA本部等があるバージニア州、ニューロンドン海軍基地があるコネチカット州、
メイポート海軍補給基地があるフロリダ州、サンフランシスコ、ロサンゼルス、サンディエゴ
海軍基地があるカルフォルニア州、太平洋岸北西部地域の最大の都市であるシアトル、
ピュージェット・サウンド海軍造船所があるワシントン州、そしてパールハーバー海軍
基地のあるハワイ州オアフ島であった。
上記の場所以外も、復活させた徴兵制度で集められた歩兵部隊、まだ残っている戦車や
装甲車、戦闘機に爆撃機、そしてIS等で防衛ラインを強化していた。たった3日の猶予しか
ない中でこれだけのことを行えるのはアメリカだからこそであろう。
そして運命の日が来た。
~デラウェア湾口より150海里東の海中にて~
『射撃指揮、全VLSチューブに注水。弾頭出力は最大に』
『了解しました、艦長』
『新型巡航ミサイル、準備完了しました』
『よし、発射は他の艦と同時に行う。システム同期を急げ』
『既に終わっています。カウントダウン始まります…5、4、3、2、1、発射!!』
トーラス社が開発、製造した新型のモービー・ディック級潜水艦から24基の新型
巡航ミサイルが発射された。この潜水艦にはスクリューがない。コジマ発電システムに
よる電磁推進方式であるからだ。全長は150m程で、水中排水量は11,520tであり、
魚雷発射管は全部で12門ある。この新型潜水艦3隻がアメリカ各地に対する同時攻撃を
開始したのであった。
そして発射された新型の巡航ミサイルは”グングニル”と呼ばれている。決して的を
射損なうことなく、敵を貫くミサイル、というわけである。弾頭には300ktクラスの
コジマ弾頭が搭載されている。これらのミサイルがマッハ7という超高速でアメリカに
襲いかかった。
無論、アメリカはそれを黙って見ているわけがない。展開していたアメリカ艦隊で
迎撃を開始した。ちなみにこの艦隊は以前吸収・解散された第2艦隊であり、新型
空母が完成した数年前に再創設された。この新型空母―アメリカ級航空母艦だが、
簡単に説明すると『ジェラルド・R・フォード級航空母艦2隻をくっつけた』ような
ものである。つまり双胴原子力空母というわけだ。横幅が111mもあるのでパナマ
運河は通過できない。アメリカは洋上攻撃基地としてこの空母を開発したのだ。
ともかく、空母『アメリカ』から艦載機が次々と飛び立ち、護衛のイージス駆逐艦や
イージス巡洋艦は対ミサイル用ミサイルを撃ち始めた。アメリカにとって幸運だった
のは、グングニル巡航ミサイルにステルス機能が全く付いていないということだった。
従ってレーダーに映るので迎撃ミサイルを撃てる、というわけだ。
だが、トーラスが誇る最新鋭の巡航ミサイルがそう簡単に迎撃されるわけがなかった。
「げ、迎撃ミサイル、全て回避されました!!」
「馬鹿なっ!? そんなことあってたまるか! 1発ぐらい当たるだろ!?」
「迎撃ミサイル第2波接触まで10秒!」
「今度こそは!!」
アメリカ軍の兵士達は固唾を飲んで見守った。
「…迎撃失敗です。それと艦載機から連絡。敵巡航ミサイルはクイックブーストを
使用してこちらの迎撃ミサイルを回避しているとのことです」
「ミサイルにクイックブースト…だと?」
グングニル巡航ミサイルにはクイックブーストシステムが搭載されており、敵ミサイルが
飛んできてもクイックブーストを連続使用して回避することが可能なのだ。
「…ISだ。ISで撃ち落とす!」
「はっ!」
通常戦力では歯が立たないことを悟った指揮官は空母で待機していたISに出撃を命令した。
出撃したIS5機はミサイルの進路上に飛んでいくとミサイルやレーザー兵器で攻撃を開始した。
しかし。
「嘘!? 何で当たらないの!?」
「ミサイルじゃダメよ! レーザーでやれば…えっ?」
「どうしたの!?」
「いや…レーザーを当てたのに弾かれた…」
「は?」
「こうなったらスナイパーライフルで…ってまた弾かれた! なんつー硬さなのよ!」
グングニル巡航ミサイルには、出力は低いがプライマルアーマー発生装置が搭載されている。
従って多少の攻撃には耐えることが可能である。
「ホントだ、弾かれた…って危ない!!」
「えっ?」
気づくと1人のISの目の前に針路を変更した巡航ミサイルが飛んできた。マッハ7で飛んでくる
ミサイルを回避できるわけもなく、彼女はミサイルにISごと木っ端微塵にされた。空中に血と
肉片が飛び散ったが巡航ミサイルはそのまま目標に向かって飛び続けた。
一方その頃第2艦隊旗艦『アメリカ』では新たな問題に直面していた。
「レーダーに感あり! 方位090よりさらに巡航ミサイル! 数は6! 目標は…我が艦隊です!」
「畜生め! 迎撃を開始しろ!」
艦隊は、中心に『アメリカ』がいて護衛艦がそれを囲む形をとっていたが、指揮官の命令で
各艦の間隔を広げ始めた。もしあのミサイルにコジマ弾頭が搭載されていたら…と考えての
ことだった。
グングニル巡航ミサイルを撃ち落とすべく、すべての護衛艦が5インチ速射砲を撃ち始め、
希望を捨てずに鋼鉄の壁を作っていた。艦と艦の間でMk.36 SRBOCから発射されたチャフと
マグネシウムフレアが宙を舞った。護衛艦から発射された迎撃ミサイルは、破壊すべき
目標を探しながら飛んでいく。いまや至る所でミサイルの航跡が絡んだ糸のようにもつれ、
からみあっていた。
だが巡航ミサイルの最優先目標―『アメリカ』は隠れることができなかった。双胴空母の
巨体と輪郭は、いくら電波妨害やレーダー妨害をしたとしても、ミサイルの目標検知装置を
貪欲に引き寄せるにちがいない。それを指揮官は知っていた。
「…諸君。今まで戦ってくれてありがとう。こんな指揮官ですまなかったな」
「とんでもありません。中将と戦えて皆光栄でした。きっと本土の連中ならあのミサイルを
撃ち落とすことができるでしょう」
「そうであればよいがな…」
指揮官は椅子から立ち上がり、艦橋にいた部下達全員に直立不動で敬礼をした。部下達も
また、同じように敬礼をした。次の瞬間、『アメリカ』にミサイルが命中し、艦橋構造物
そのものが蒸発した。『アメリカ』は艦首から艦尾まで一瞬で火の海となった。周囲に
展開していた護衛艦群は真横からコジマ爆発を受けて沈没したり、空中に投げ出されて
バラバラになったり、そっくりそのまま蒸発したりした。空中にいた艦載機も爆風で
破壊された。
こうして第2艦隊は壊滅したのであった。それを聞いた大統領は持っていたマグカップを
握りつぶしてしまった。そしてその知らせを持ってきた将軍に叱責(という名の八つ当たり)
をしようとした時、窓ガラスが粉々に砕け散った。慌てて伏せた大統領が窓の外を見ると、
チェサピーク湾の方に巨大なコジマ色のきのこ雲が上がっていくのが見えた。呆然として
いると別の将軍が飛び込んできた―しかも顔面蒼白で。
「だ、だ、大統領…雀の涙ほどの良いニュースが1つと、アルマゲドンとディープインパクトが
一緒に落ちてくるよりも悪いニュースが山ほどありますが、どちらから聞きたいですか?」
「…良い方から頼む」
「はい、あれです」
将軍は割れた窓の外に見えるきのこ雲を指差した。
「…あれのどこが良いんだ?」
「はい、あれはこのホワイトハウスを狙って飛んできた巡航ミサイルです。幸い、我が軍が
迎撃に成功しまして、チェサピークビーチ沖に水没、爆発したのです」
アメリカ海軍沿海域戦闘艦『インディペンデンス』が放った1発の57mm近接信管弾の破片が、
グングニル巡航ミサイルの水平尾翼と垂直尾翼を破壊したのだった。これによりミサイルは
制御不能となり水没し、機密保護のために自爆したのだ。ちなみに『インディペンデンス』は
爆発時の大波に揉まれて座礁した。
「ほう…で、山ほどある悪いニュースとは?」
「…ノーフォークの海軍基地に造船所、ニューロンドン海軍基地、メイポート海軍補給基地、
サンディエゴ海軍基地、ピュージェット・サウンド海軍造船所、エルメンドルフ空軍基地、
ケネディ宇宙センター、国防総省にCIA本部等の国家的重要地点がコジマ弾頭ミサイルに
よって消失…オアフ島に至ってはパールハーバー海軍基地やヒッカム空軍基地など一切
合切
「はい…」
大統領は顎が外れるほど口を大きく開けてその報告を聞いていた。
「さらにピーターソン空軍基地から、GAのアームズフォートに攻撃されているという通信が
ありました。その後通信は途絶えたままです…」
「なんという事だ…シャイアン・マウンテン空軍基地はどうなった?」
「わかりません。ですが恐らく既に…」
「………………」
大統領は黙って立ち上がり窓の外を眺めた。その時将軍の携帯電話が鳴った。電話に出た
将軍は、内容を聞いて電話を落とした。
「将軍?」
「……………大統領、ディエゴガルシアがやられました。壊滅です」
「何だとっ!?」
インド洋にあるアメリカ軍最大の拠点であり、湾岸戦争やアフガニスタン攻撃、イラク戦争の
際に、B-52爆撃機、B-2ステルス爆撃機などがここより出撃した。アメリカの軍事戦略上の要衝
でもあるディエゴガルシアがグングニル巡航ミサイルによって壊滅したのであった。
「さらにニューヨークとロサンゼルス、サンフランシスコが攻撃を受け壊滅しました…
幸いにも市民の避難は済んでおり…」
「何が幸いにもだ! いいことなんか1つもないじゃないか!」
「その通りだな、大統領?」
入口から声が聞こえたので全員が振り返ると、GAグループ代表、アーノルド・レヴィンソンが
腕を組み、ニヤニヤしながら立っていた。その両脇には重武装の兵士が立っている。
「貴様、何故ここに!? 警備は何をしていた!?」
「シークレットサービスにDC警察のSWATの連中の事か? あいつら弱すぎだろ? 全員今頃
あの世でキリストと酒盛りしてるだろうよ」
レヴィンソンは、将軍を押しのけて大統領の前の椅子にどっかりと座った。
「さて大統領。とっとと降伏してくれないか? 企業連としても、あまり高価なミサイルを
これ以上撃ちたくないんでね。だがもし降伏してくれない場合はキャンプ・デービッドを
あんたの家族ごとふっ飛ばすだけだが。いや待てよ…沖縄も島ごと吹き飛ばすか。あと
国際宇宙ステーションにハッキング仕掛けてフーバーダムに直撃させるのも面白そうだな!」
「…わかった。アメリカ合衆国は降伏しよう…」
「大統領!!」
将軍は反対するが大統領はぐったりしたまま続けた。
「これ以上我が国の優秀な人材が犠牲になるのは見ていられない…責任は全て私が取る」
「良い判断をありがとう、大統領」
『アメリカ合衆国が企業連に降伏した』
このニュースはあっという間に世界が知ることになった。そして世界中の人々が衝撃を受けた。
あのアメリカが、存在する国家の中で世界最強の軍事力を持っているあのアメリカが降伏した
のだから。これにより現存する国家は戦闘意欲が激減した。あのアメリカを倒した企業連と
戦いたくなくなってしまったのだ。
企業連は満足すること無く次を目指した。『日本』と『IS学園』を…
続く…
おまけ
~IS学園にて~
「んっふふ~♪」
鈴は鼻歌を歌いながら廊下をスキップで移動していた。世界中が滅茶苦茶なのに何が嬉しい
のか。それとも酢豚の食べ過ぎで脳みそがおかしくなってしまったのか。
「い~ち~か~!!」
「どわっ!?」
一夏の部屋に入るといきなり抱きついた鈴。
「どうした、急に?」
「これ見てよ!」
鈴が持っているものに目を向けると手紙があった。
「手紙? 誰から?」
「お父さんからよ!」
「へぇ~、鈴のお父さんか…ってええええ!!??」
一夏が驚くのも無理は無い。鈴の父親、
からだ。
「お父さんね、内戦の時怪我したんだけど、助けてくれた人がいて、その人に付いて行って
今はインドにいるんだって! 近いうちに会いに行きたいって!」
「そうか、よかったじゃんか!」
「うん!!」
手紙に書いてあった通り、近い将来鈴は父親と再会する。ただし、彼女の考えている
”再会”にはならないことをまだ誰も知らなかった…
~ウィリアムの部屋~
なのウィ「アメリカが…」
ゼロウィ「300ktってどんだけー」
ISウィ「まあ適当だよねー」
作者「細かいところはさておき次回は日本だよ!」
ISウィ「そんなことより仕事やめたい」
なのウィ「休みがなくて泣ける」
ゼロウィ「2ヶ月連続で残業100時間超えってなんなのよ」
作者「休みの日とか普通に夕方まで寝てるしね。でも生活のために頑張ります!
ではまた次回!」