IS インフィニット・ストラトス ~よくある転生のお話~   作:ホワイト・フェザー

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第40話:IS学園の終焉 その4

ラウラとクラリッサはIS学園の上空500mのところから、真上のアームズフォートを見ていた。

 

「一体どんな攻撃をしてくるのでしょう?」

 

「爆弾でも投下するのか? それとも…ってちょっと待てあれは!?」

 

ラウラが素っ頓狂な声を上げたのでクラリッサも目を凝らしてよく見る。

 

「え゛っ」

 

クラリッサは普段出さないような声を上げた。何故なら敵アームズフォートが機首を真下(・・)に、

つまりIS学園に向けて落ちてきたからだ。

 

 

 

 ここでこのアームズフォートの詳細を明らかにしよう。このイクリプスを大きくしたような

アームズフォートは、元々今の量産型イクリプスを造るにあたって造られた試作機である。

『プロトタイプ・イクリプス』という名のこの機体は、様々な実験を行った後、格納庫で放置

されていた。そこにウィリアムと主任がやってきて、ある特殊兵器と必要最低限の防御兵器を

搭載して出撃した、というわけである。

 

「攻撃コースを維持。コジマジェネレーター最大出力」

 

そして今、このプロトタイプ・イクリプスの広々とした艦橋で操縦をしているのは、黒髪

ショートの黄色い目の女の子、キャロラインだった。遠隔操作も可能なのだが、今回は

自分で操縦したかったそうな。

 

 学園上空に到達したプロトタイプ・イクリプスは、プッシュオーバーを行った。戦闘機に

おけるマニューバーの一種であり、水平飛行状態から操縦桿を押し倒し、急激なマイナスGを

かけた機首下げを行い、動力降下(パワーダイブ)―スロットルを上げた状態のまま機首を下げて降下する事―

をする。通常は主に回避機動に用いられるのだが、搭載している特殊兵器で攻撃するには、

学園に機首を向ける必要があった。

 

キャロラインは同時に複数の空間モニターを操作しながらウィリアム達に報告する。

 

「外部装甲板パージ。特殊兵装起動します」

 

 

 

 その瞬間、プロトタイプ・イクリプスの円盤部分の装甲板がどんどん剥がれていった。その

中から出てきたもの、それは特殊兵装『アサルトキャノン』であった。既に商品化しており、

ORCA旅団のネオニダス愛用の兵器である。ウィリアムと主任はそれを改良して大きくして載せた

だけである。ちなみにこの兵器が完成し、ランカーリンクス達にお披露目したところ、主にGA

グループのリンクス達は顔面蒼白になっていたのは、また別の話である。

 

 それはともかく、世界最大のアサルトキャノンがチャージを開始した。大きいだけあって

すぐに撃つことが出来ないのが欠点である。

 

 

 

 IS学園の地下司令部にいた人々は、暫くの間口をあんぐりと開けてプロトタイプ・イクリプスを

見ていたが、山田真耶の声によって再起動した。

 

「織斑先生と専用機持ち以外の動けるISはあのアームズフォートを攻撃して!」

 

「りょ、了解!!」

 

「全ての対空兵器、撃ち方始め!」

 

03式中距離地対空誘導弾が発射筒を兼ねたコンテナから飛び出し、アームズフォートに

向かっていった。少し離れた場所にあるNASAMSのSL-AMRAAMも発射された。エリコン

KD 35mm機関砲GDF-007は真上に砲身を上げて発射準備に入った。アベンジャー防空

システムを載せたハンヴィーが学園各所に散らばって待機している。

 

 発射された2種類の地対空ミサイルはプロトタイプ・イクリプスに向かっていき、見事命中

した。しかしプライマルアーマーによって被害はなかった。

 

「ダサいアームズフォートなんていい加減に墜ちちゃえ!」

 

束がそう叫び、人参から再びピンク色のレーザーが発射された。プライマルアーマーは高威力の

レーザーに耐え切れずに消滅した。そこにまたミサイルが飛んできた。

 

 

 

キャロラインは機体が大きく揺れるのを感じた。そして被害状況がモニターに表示される。

 

「第2区画に火災発生…消火剤放出…右舷スタビライザー消滅…特に問題はありませんね」

 

『キャロライン、今からそっちを援護する! 持ちこたえろ!』

 

「心配ありません、これくらいの被害など…」

 

その時艦橋の防弾ガラスを35mm機関砲弾が貫通し、キャロラインの顔面に直撃した。普通の

人間であれば、体が木っ端微塵になっていただろうが、キャロラインの皮膚は改良型ナノ

マシンでできているため、35mm砲弾くらいではかすり傷1つ付かないのだ。事実、砲弾が

顔面にぶつかった時に『カキーンッ!!』という金属的な音がした。

 

「…話になりませんね。リミッターを幾つか解除してチャージ時間を短くします」

 

アサルトキャノンはより一層コジマ色に包まれていった。

 

 

 

 学園から発射されるミサイルや砲弾を回避しながら、一夏達とウィリアム達は戦っていた。

が、ウィリアム達には歯が立たなかった。しかも、真上から落ちてくるアームズフォートが

ついにチャージを完了した。

 

「アサルトキャノンチャージ完了。目標、IS学園。攻撃開始」

 

凄まじい音と共に半円状の2つのユニットからアサルトキャノンが発射された。圧縮された

コジマエネルギーが真っ直ぐ学園へ飛んでいった。その前に一夏と箒が飛び出す。

 

「箒! 俺に力を分けてくれ!!」

 

「わかった!!」

 

白式の零落白夜(れいらくびゃくや)が起動する。

 

「うおおおおおおおおおおお!!!!」

 

膨大なコジマエネルギーに向かって一夏は飛んでいく。そして雪片弐型でアサルトキャノンを

切り裂こうとした。エネルギー性質のものであれば、それが何であれ無効化・消滅させる零落

白夜が起動しているので、理論上ではアサルトキャノンをも消し去ることが可能である。しかし

アサルトキャノンのコジマエネルギーはあまりにも膨大であった。あっという間に白式の

シールドエネルギーが減少していく。しかし。

 

「一夏! 私が側にいるぞ!!」

 

後ろから飛んできた箒が紅椿のワンオフ・アビリティー、絢爛舞踏(けんらんぶとう)を起動させた。これにより

白式のシールドエネルギーは回復した。

 

 

 

 だがそれでもコジマエネルギーの方が勝っていた。多少威力は落ちたが、アサルトキャノンは

学園に着弾した。校舎はズタズタになり、島全体が大きく揺れた。地下司令部も大きく揺れたが、

損害はゼロであった。

 

「いたた…みんな大丈夫ですか!?」

 

「大丈夫です!」

 

衝撃で肘をぶつけ、涙目になりつつ真耶は状況を確認しようとした。モニターには赤い表示が

山ほど表示されていたが、地下施設にはほとんどダメージはなかった。

 

「よかった…」

 

だがホット一息、というわけにはいかなかった。

 

「て、敵アームズフォート、突っ込んできます!!」

 

「嘘でしょ!? 引き起こさないの!?」

 

「駄目だ、もう間に合わない!!」

 

モニターには突っ込んでくるアームズフォートの姿が映し出されていた。そしてモニターが

砂嵐になるのと同時に、さっきのとは比べ物にならない程の衝撃が地下司令部を襲った。

隔壁にはめ込まれていたモニターが外れて、床に落ち、大破した。立っていた人は、床に

叩きつけられた。真耶の目に、天井が一気に崩れて、自分達の頭に落ちてくるのが見えた。

そして明かりが完全に消え、真耶も意識を失った。

 

 

 

「な、なんてことを…」

 

「信じられない…」

 

「特攻…だと…?」

 

上から箒、クラリッサ、千冬である。プロトタイプ・イクリプスの捨て身攻撃を受けて、

学園は完全に機能を失った。亡国機業の3人も言葉を失っていたが、ふとスコールが顔を

上げると、パラシュートで空をゆっくりと降りていく1人の少女を見つけた。

 

「まさか…あの子が操縦してたの?」

 

その通りであった。その少女―キャロラインはパラシュート降下をしながら、学園を

眺めていた。なぜパラシュートを使っているのかというと、

 

『私、一度でいいからあれで空を飛んでみたいんです』

 

と、ウィリアムに言って許可が出たからである。

 

「ま、最初からアサルトキャノンだけでは足りないことはわかっていましたし、これで

 良い感じになりましたね。あとは…」

 

キャロラインは墜落してからの時間を数えていた。

 

「あと90秒ですね」

 

スコールが近づいてきて捕まえようとしたが、その前にシャルロットがキャロラインを

キャッチしていった。

 

「何が90秒なのかしら…」

 

スコールは学園を見つめた。アームズフォートは直撃したものの、爆発はしていない…

まさかっ!!

 

「学園司令部! 誰か応答して! 早くそこから脱出するのよ! あと90秒で墜落した

 アームズフォートが爆発するわ!!」

 

 

 

 

 

 誰かの叫びを聞いて、私は意識を取り戻した。痛みを堪えて周りを見渡すと、瓦礫に押し

つぶされた同僚達が大勢いた。見たところ、生存者は自分だけのようだ。

 

『……………………』

 

遠くから誰かの声がする。なんて言っているのかな…英語かな?

 

『Warning: Kojima generator containment destabilized. A reactor breach is imminent.

Evacuation of all crew is required. This is not a drill.』

 

え…コジマジェネレーターの圧力が不安定? 破損の可能性? 速やかに避難しろ?

 

『Engaging auxiliary power systems.』

 

補助電力供給システム?…って真上に光が灯った。ああ、あれってアームズフォートの

艦内通路なんだ。こんな深くまでアームズフォートが突き刺さっているなんて…

 

『Warning: Kojima generator containment failure. A generator breach is now in progress.

Evacuate immediately all crew. This is not a drill.』

 

ジェネレーターの隔壁が破損しちゃった…もう間に合わない…

 

『山田君! 聞こえるか! 聞こえたらすぐに逃げろ!』

 

『山田先生! 逃げてください! すぐに爆発します!!』

 

先輩…ごめんなさい、駄目な後輩で…

 

織斑君…ごめんね、駄目な先生で…

 

私だって死にたくない…でも足が瓦礫に挟まってて動けないの…

 

『諦めるな、山田先生! クラリッサ、助けに行くぞ!』

 

『待ってください隊長! アームズフォートから高濃度のコジマ粒子が!』

 

『何だと!?』

 

ボーデヴィッヒさん…早く逃げて…巻き込まれちゃうよ? って…また瓦礫が落ちてきた…

痛いっ!!…ん?…なんか足が軽くなった気が…ああ! 足の上にあった瓦礫が割れてる!

運がいい! 早く脱出しないと!! 学園の最下層にある非常時の脱出用トンネルを使おう!

トンネルはこの人工島から本土まで伸びている! 1つ下のフロアだし間に合う!

 

「うぅ…」

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

まだ生きている人がいた! ってフランシィ先生!

 

「立てますか? 急いで逃げましょう!」

 

『Warning: Highly-concentrated Kojima particle is leaking from the generator.

Evacuate immediately all crew. This is not a drill.』

 

高濃度コジマ粒子が漏れだした! 早く階段を降りて…着いた! どの車にしよう? なる

べく速そうな…あった! フランシィ先生のランボルギーニ! 地上に置いといたら傷が

付きそうとか言ってここにしまうって言ってた! 

 

「先生、お車お借りしますね!」

 

車に乗せてっと…あとは壁にある操作パネルでゲートを開放…開放10秒後に閉鎖…よし、

これでなんとかなる!

 

『緊急ゲート開放します』

 

「うぅ…あれ、山田先生? ここは…」

 

「フランシィ先生、飛ばしますよ!!」

 

「何が…ってきゃああああああ!!!」

 

このランボルギーニ、速すぎです! でもパドルシフトだからギアチェンジはやりやすい!

 

 

 

 気付いたらトンネルの出口に着いて、私とフランシィ先生は地上に出ることが出来ました。

轟音がして後ろを見ると学園のあった場所に大きなきのこ雲が…何はともあれ脱出成功です!

やった!…でも多くの人が死んでしまった…なのに私は生きている…この先も生きていて

いいのかな?…

 

あれ、急に体の力が抜けて…疲れちゃったな…少し休もう…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 IS学園はプロトタイプ・イクリプスの自爆と共に消滅した。生存者はスコール、オータム、

織斑マドカ、織斑千冬、クラリッサ・ハルフォーフ、ラウラ・ボーデヴィッヒ、篠ノ之束、

山田真耶、エドワース・フランシィのみ※であった。

 

※戦うために残った生徒以外の生徒は、事前に避難していた。

 

尚、織斑一夏、篠ノ之箒両名は生存が確認されていない。戦闘後行方不明となっている。

 

 

 

 

 

続く…

 




~ウィリアムの部屋~
なのウィ「まあ学園が終了したわけだが」
ゼロウィ「この後どうすんだ?」
作者「ギクッ」
ISウィ「もちろん生き残っている兎狩りをするんだろ?」
作者「え?うん、そうだよ」
なのウィ「何だその何も考えていませんでした的な返事は?」
作者「気のせいだ。あと真耶ちゃんを生かしたわけだが、いいよね?」
ゼロウィ「あのおっぱいが死ぬのは想像したくないという作者の思惑が…」
ISウィ「あるにきまってるだろうねー」
作者「はいありましたすいません。ではまた次回!」
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