IS インフィニット・ストラトス ~よくある転生のお話~   作:ホワイト・フェザー

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第48話:極寒の地、南極にて

「まさか、この南極大陸まで戦場になるとはな…クソッタレのパルヴァライザーめ」

 

BFF第2艦隊指揮官、ポール・ニヴェット・フィッシャーは、常人なら胃がおかしくなる

ほど大量に紅茶を飲んでいた。が、彼は変態なので胃がおかしくなることもなく、ずっと

紅茶を飲み続けていた。艦隊指揮官室に引きこもり、モニターとにらめっこをしていた。

 

「しかしなぜパルヴァライザーは南極に? 全く日本人の考えることは理解できん」

 

「そういうあなたは日本のアニメが大好きでは?」

 

「…いつからそこにいた、ジャック」

 

部屋に中にいつの間にかいたのは、ジャック・ネルソン。元イギリス海軍大佐であり、

今はポールの主席補佐官を務めている。

 

「あなたがクソッタレのパルヴァライザーめ、と言っていた時から」

 

「ノックぐらいしろ! 心臓が止まるかと思ったぞ! で、どうした?」

 

戦闘指揮所(CIC)においでください。戦術士官(PWO)が妙なことが起きていると言っています」

 

「妙なこと?」

 

 

 

ポールとジャックがCICに行くと、戦術士官ともう1人―システム士官がコンソールを

弄っていた。

 

「ピーウォー、何が起きた?」

 

”ピーウォー”とは、戦術士官―プライマリー・ウォー・オフィサー―を意味する海軍の

スラングだった。

 

「先程から艦隊全ての艦から連絡がありまして、武器制御システムの調子が悪いとの

 ことです。今システム士官に調べてもらった所、システムの動作速度が若干遅くなって

 いるらしいのです」

 

「つまりパソコンやってて重いなこれ、ってやつと同じやつか?」

 

「簡単に言えばそういうことです」

 

「じゃあ主砲とか撃てないのか?」

 

するとシステム士官が顔を上げた。

 

「いえ、それは問題ありません。コジマショックカノンや速射砲は普通に撃てます。ただ…」

 

「ただ、なんだ?」

 

「グングニル巡航ミサイルを撃つ際には問題が発生します。ご存知でしょうが、あの

 ミサイルは撃つ前に認証コードを入力し、次に弾頭活性化を行い、発射には専用キーを

 使って発射します。その際システムの動作が遅いと、コード認証に時間がかかる上、

 弾頭活性化にも時間がかかります。最悪の場合、手動で弾頭を活性化させる必要が

 あるかも知れません」

 

グングニル巡航ミサイルには300ktクラスのコジマ弾頭が搭載されている。そんな核兵器

並みの威力を誇るミサイルは簡単に撃てないようになっているのだ。

 

「なるほどわかった…だがこの作戦でグングニルを撃つことはないだろう。この作戦が

 終わり次第、大規模なシステムチェックを行うことにしよう。それまでは放置して

 おいて構わん」

 

「了解しました」

 

ポールは放置プレイが好きな変態なので、今回も放置することにした。

 

 

 

ポールは知らなかった。システムの動作が遅いのはハッキングを受けているからだと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「作戦を説明します。今回の目標は、パルヴァライザーの撃破及び篠ノ之箒の救助です」

 

西サハラから人参型潜水艦に乗って移動中の束、マドカ、クラリッサ、スコールは、

くーちゃんからブリーフィングを受けていた。

 

「パルヴァライザーは現在南極大陸中心部にいるとされていますが、詳細はわかりません。

 しかも現在南極大陸はBFF第2艦隊とGA第4艦隊及びギガベース3隻に包囲されています。

 簡単には近づけません。おまけに旧アルゼンチンの南極に近い空軍基地には、大量の

 可変戦闘機が配備されています。正直言って南極に行きたくありません」

 

「くーちゃん!」

 

「すみませんでした束様、冗談です。で、作戦ですが、まずは超無音潜航で南極大陸の

 下に潜り込みます。そしてある程度奥まで行ったら真上に穴を開けて地上に出ます。

 そこから南極点までISを展開せずに行きます」

 

マドカが手を上げて質問した。

 

「なぜISを使わない? 戦力温存のためか?」

 

「それもありますが、企業連にはISを探知する装置があるためです。箒さんを見つける

 までこちらの存在がバレては意味がありませんから」

 

「なるほど」

 

「で、パルヴァライザーを見つけたら、魔改造した皆さんのISでフルボッコにして、中に

 乗っている箒さんを引きずり出して逃げます。これで作戦終了となりますが何か質問は?」

 

今度はスコールが手を挙げる。

 

「あのロンバートとか主任とかも来るのかしら? そうしたら一気に作戦の難易度が

 上がるんじゃない?」

 

「その通りです。が、皆さんのISは魔改造されていますので、主任の攻撃にも1時間は

 耐えることができます。束様が開発した『アンチコジマフィールド』、略してAKFを

 フルに使用すれば…」

 

束が躍起になって開発した『アンチコジマフィールド』は、文字通りコジマ粒子を含んだ

兵器の攻撃を無効化するものである。ただし、使用時間には限度がある上、コジマ系兵器

以外の攻撃は防げないのが欠点である。

 

「箒ちゃんを救出した後は洗脳を解除して元に戻す。そうしたら私はどこかに隠れて

 こっそりと暮らすよ…もう戦いは嫌だ。みんなはどうするの?」

 

束はぼんやりとした口調で皆に意見を求めた。最初に口を開いたのはクラリッサだった。

 

「私は…隊長の元へ行きます。隊長はまだ若いですし、私が色々と面倒を見てあげようと

 思っています。生きていればの話ですけど」

 

「帰るべき組織もない、愛する人も居ない。私は死んでも構わないわ。ただオータムの

 仇を取ることが出来れば…」

 

スコールは迷うことなくそう言った。一方マドカは戸惑っていた。

 

「私は…わからない。今までずっと殺しと戦いしかしたことがない。その時になったら

 決めることにする」

 

「じゃあ行こう! 南極へ!」

 

「もう行く途中ですけど」

 

「くーちゃん!」

 

「すみません束様」

 

 

 

 

 

その頃南極点では。

 

「『コスモス』よりアライアンスへ。現地に到着した。只今より作戦を開始する」

 

『了解した。幸運を祈る』

 

ビッグトーラスマンを操るウィリアム。その隣にはエクスシア・ブラックバードに乗って

いる主任がいて、さらに上空には光学迷彩で姿を隠しているアンサラー6機がいる。

 

「よし、あとは待つとするか」

 

ウィリアムと主任は機体から出てものすごく寒い大地に降りた。

 

「うひょー、なんて寒さだ! スイスなんか目じゃないな!」

 

「全くだな!」

 

2人はトーラスの本拠地であるスイスでずっと暮らしていたので、寒さなんか余裕だと

思っていたのだが、南極の寒さは尋常ではなかった。

 

「すげぇ! 鼻の中がもう凍ったぞ!」

 

「…てか冗談言ってる場合じゃねえな。あまりにも寒いから油圧系が心配だ」

 

「じゃあ機体を常に動かしておけば…」

 

「…ジョギングでもするか?」

 

10分後、2つの巨大な機体が大地を揺らしながら仲良く揃ってジョギングをしていたとか。

 

 

 

 

 

続く…

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