IS インフィニット・ストラトス ~よくある転生のお話~ 作:ホワイト・フェザー
南極点で始まったIS側と企業連の戦いは熾烈を極め、周囲には大きなクレーターが
数多く作られた。洗脳された篠ノ之箒が遠隔操作で操るパルヴァライザー、主任が
乗るエクスシア・ブラックバード、そして我らが主人公のウィリアムが乗るビッグ
トーラスマン。その3体の敵の攻撃で束率いる5人のISチームは劣勢になっていた。
『博士! アンチコジマフィールド発生装置がオーバーヒートしそうだ!!』
『こっちもよ! このままだとマズイわ!』
「しょ、しょんな~!」
クラリッサとスコールからの報告を受けて、束は大型レーザー砲をウィリアムに
放った。レーザーはウィリアムに直撃する寸前でプライマルアーマーに阻まれた。
『そんなへなちょこレーザー撃つんじゃねぇ! 俺を殺したきゃもっと強いの撃て!』
「うひゃ~!!」
おかえしと言わんばかりにビッグトーラスマンからコジマキャノンとコジマミサイルが
発射された。コジマキャノンは束のすぐ隣にあった雪溜まりに直撃したが、ミサイルは
束を追いかける。
「こいつ、追尾性能高すぎ!!」
『束様! 援護します!』
くーちゃんがLMGを持ち上げ、束に向かって飛んでいたミサイル10発に銃弾を叩き込んだ。
その射撃は実に正確で、全ミサイルが迎撃された。
「くーちゃん、ありがとう!」
一方ウィリアムはキャロラインから気になる報告を受けていた。
『パルヴァライザーの動きが若干不自然です』
「不自然?」
見ると、パルヴァライザーは普通に戦っている。しかし、ほんの一瞬動きが止まったり、
たまにホーミングレーザーが明後日の方向に飛んで行ったりしていた。
「どういうことだ?」
『遠隔操作なのが原因なのかもしれませんが調査中です。あと篠ノ之箒の脳波に若干の
乱れが発生しています。誤差範囲内ですので特に問題はないかと』
「そうか…」
そこまで深く考えなかったウィリアム。あとでちょっと後悔することも知らずに…
その頃、パルヴァライザーを操る篠ノ之箒は、何処かわからないが狭い場所に横になって
いた。両手両足は頑丈な皮のベルトで拘束され、しかも素っ裸の状態であった。ちょっと前に
ナーデルホルン要塞で負った痛々しい傷が残っている。周囲には様々な機械が置いてあり、
中でも1番大きな機械には太いケーブルがつながっていた。そしてそのケーブルは篠ノ之箒の
首につながっていた。リンクスと同じAMSである。
そんな場所で洗脳された箒は戦闘の事と姉の事だけを考えていた。
ネエサン…排除…
敵ISの攻撃…プライマルアーマーで無効化、損傷なし…反撃…コジマキャノン発射…命中…
ネエサン…排除…
ミサイル接近中…ホーミングレーザーで迎撃…成功…パルスキャノンで反撃…失敗…
ネエサン…排除…
ネエサン…排除…
ネエサン…排除…
ところが、箒の脳内に別の言葉が出てきた。
『ナンデネエサンヲハイジョスルノ?』
思考にノイズ?…原因不明…修正可能…戦闘続行…レーザーを全方位に発射…複数に命中…
『ヤメロ! コンナコトシタクナイ!』
ノイズがひどい…原因不明…思考パターンを変更…敵IS急速接近…チェインガンで迎撃…
『ワタシハタタカイタクナイ!!』
修正不可能…だが無視すればいい…ミサイル接近…プライマルアーマーで防御…成功…
箒の洗脳が少しずつではあるが、解け始めていたのだった…
その頃BFF第2艦隊旗艦『インコンパラブル』は、救難信号を出しているGAの巡洋艦
部隊がいる、ロス海へと向かっていた。途中で無人ISが襲ってきたが、難なく迎撃した。
「データでは巡洋艦4、駆逐艦6だったはずだが…どれだけ生き残っていることやら」
ポールはデータパッドとレーダー画面を交互に見て巡洋艦部隊の無事を祈っていた。
「司令、GAの空母オーガスタより入電。艦載機が巡洋艦部隊を発見し、残存艦艇との
交信に成功しました。それによりますと敵ISは全機撃墜したものの、巡洋艦が1隻、
駆逐艦が2隻沈没し、今も1隻の駆逐艦が炎上しているとのことです。早急なる救助を
求めています」
「そうか…もっと速度を上げられんのか?」
「機関室につなぎます」
副官からもらった内線電話に向かってポールは怒鳴った。
「機関長! もっと速度を上げろ! GAの仲間が死にかかっているんだ!」
『なんとかします、司令!』
なんとかすると言った機関長は、受話器を放り投げてから声を張り上げた。
「お前ら、仲間が死にかかってんだ! もっと速度を出すぞ!」
「で、ですがチーフ、主動力も補助動力も、出力は既に100%です!」
機関兵曹の1人が目に恐怖を宿し、振り返って叫んだ。
「どの計器もレッド・ラインまでいってます! これ以上は…」
「今時の海洋機関士はこれだからいけないんだよな」
熟練の機関長はそうぼやきながら、オペレーターの2つの席の間に身を乗り出した。
尻ポケットから銀製のスキットルを取り出し、中に入っている年代物のスコッチを
ぐいっと煽った。
「…あー、うまい! でだ、どこかの馬鹿が計器に引いた赤い線を、お前ら若い
もんはまともに受け取ってるのか? あのな、ちょっとの間赤い線を超える分は
問題ねぇんだよ。最近の若いのは1mmでも超えたら悲鳴をあげるから困る。という
わけでスミス、コジマジェネレーターの出力を125%にしろ。ジョンは艦内の余分な
電力をどこから搾り取れるか調べるんだ。いらない電力は全て電磁推進システムに
まわすんだ!」
「「了解!!」」
同時刻、巡洋艦部隊の上空ではGAの空母『オーガスタ』から発艦した艦載機、YF-37が
旋回しながら敵を探していた。この戦闘機は、元々アメリカ海軍が開発していたF-35Cの
後継機であるF-37を可変戦闘機化したものである。第6世代のコジマ可変ステルス艦上
戦闘機で、愛称はシーファルコンである。詳しいスペックは下記の通り。
全長:17.80m
全幅:14.21m(折りたたみ時は9.30m)
全高:4.60m
エンジン:コジマ反応エンジン2基
エンジン推力:1,760KN×2
最大速度:マッハ6+
実用上昇限度:なし(普通に宇宙まで行ける)
航続距離:なし
(量子コジマ燃料使用の為。地球から木星まで全速力で飛んでも余裕で帰って来れる)
固定兵装
・25mmガトリング砲2基(コジマ徹甲弾仕様)
・12.7mm小型レールガン2基
(元々スナイパーレールガンとして開発されたものを連射可能にして航空機に搭載した)
攻撃兵装
・MSAC製マイクロミサイル多連装ポッド
・トーラス製グングニル巡航ミサイル(空中発射型)
・ローゼンタール製57mmガンポッド(バトロイド時使用)
・レイレナード製レーザーブレード
…その他状況に応じて色々と搭載可能
防御兵装
・プライマルアーマー発生装置
・光学迷彩装置
・チャフ、フレア、スモークディスチャージャーシステム
今はグングニルを取り外し、そのスペースに偵察用ポッドと救難用ポッドを搭載している。
既に投下済みの救難用ポッドには、20人乗りの救命ボート2隻と食料、無線機が入っている。
その時可変戦闘機のパイロットに無線が入った。相手は炎上中の駆逐艦からだった。
『こちらアバランチ! 火災の延焼を止められない! このままだと弾薬庫に引火しちまう!』
「ヴァルチャー1-7、了解した。これより消火活動を支援する」
『助かる! でもどうやって…』
「まあ見てなって」
パイロットはバトロイドモードに変更し、冷たいロス海に飛び込んだ。しばらく潜ると、探して
いた物―沈んだ巡洋艦を見つけた。レーザーブレードを起動して後部の飛行甲板を切り取った。
そして四角く切り取った鉄板を曲げて桶のようにした。
「ま、こんなんでいいだろ」
と納得したパイロットは即座に浮上。即席の桶に海水を大量に入れて駆逐艦の真上に飛んだ。
「アバランチ、これからシャワータイムだ! シャンプーの準備はいいか?」
『何だそれ!? まあいいや、やってくれ!』
「そーれっ!!」
頭上から大量の海水がアバランチに降ってきた。火災はすぐに消せたものの、ISの攻撃で空いた
穴からも海水が入ったので、艦内で溺れかかった乗組員もいたとか。
パイロットはホッとしたが、生き残っているイージス巡洋艦から警報が発せられた。
『レーダーコンタクト! 接近中のIS! 数は4! 動ける艦は迎撃を開始!』
「またか!」
東の方から再び無人ISが飛んでくるのを見たパイロットは、即席桶を放り投げてすぐにファイター
モードへ変更。ミサイルを選択してISをロックした。
「これ以上やらせはせんぞ! ヴァルチャー1-7、交戦開始!」
戦いは未だ終りが見えない状況だった…
続く…