IS インフィニット・ストラトス ~よくある転生のお話~   作:ホワイト・フェザー

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トーラス社訓

1、アイデアが浮かんだら新鮮なうちに(すぐに)物にする(造る)こと。
2、コジマを使わない物を造ろうとしたらアスピナでナニカサレルぞ。
3、全ては企業連、愛する家族、そしてコジマのために。
4、何でこんなの造ったんだって? そこにコジマがあるからだよ!


第52話:極寒の地、南極にて 5

 

「や、やめて…ほうき…ちゃ…ん………」

 

「くそ! 博士を離せ!!」

 

パルヴァライザーはついに篠ノ之束を捕まえた。右手の中にいる束をゆっくりと握りつぶそうと

していた。マドカ達はパルヴァライザーから束を奪還しようとしたが、ウィリアムと主任が

それを邪魔する。

 

 

 

『やめろやめろやめろ!! 姉さんを殺したくない!!!』

 

 篠ノ之箒は何時間もパルヴァライザーを制御しようと虚しい努力を続けていた。あの

企業連―正確にはアスピナ―が彼女の脳に植え込んだ洗脳プログラムはとても優れていた。

そして箒の個性を出来る限り包括していた。だが、それを完全に消し去ってはいなかった。

とはいえ、自分の体―とパルヴァライザー―の制御を取り戻そうとする箒の試みは全て失敗した。

 

そこで箒は別の方法を試すことにした。記憶だ。

 

 洗脳プログラムは、プログラムされている”事実”しか知らない。だが箒はそのプログラム

以前の出来事を知っていた。彼女は自分の頭にあるイメージをプログラムに送ろうとした。

 

 

 

まだ幼かった頃、幼稚園で一夏と一緒によく遊んだことを。

 

姉さんが織斑千冬と一緒に隅の方でパソコンを弄っているのを見ていたことを。

 

姉さんがISを開発し、その後白騎士と黒騎士事件が起きたことを。

 

姉さんISを開発したせいで家族がバラバラになってしまったことを。

 

小学4年生の時から政府の重要人物保護プログラムにより日本各地を転々とさせられていたことを。

 

姉さんが失踪してから、政府から執拗な監視と聴取を繰り返されたことを。

 

中学3年生の時の剣道の全国大会で優勝したが、それは単なる憂さ晴らしでしかなかったことを。

 

姉さんの妹ということで、政府から半ば強制的にIS学園に入学させられたことを。

 

IS学園で6年ぶりに一夏と再開したことを。

 

クラス対抗戦で謎のISが襲撃してきた時、リリウムにアッパーを決められて気絶したことを。

 

一夏がセシリアのサンドイッチ(と言う名の劇物)を食べて真っ青になっていたことを。

 

その後セシリアがウィリアムに自分が作ったサンドイッチを食べさせられてぶっ倒れたことを。

 

トーナメント後、教室でシャルロットが軍人のラウラをナイフと言葉だけで脅していたことを。

 

臨海学校で姉さんが私に紅椿をポンとくれたことを。

 

その後アメリカの福音に一夏と一緒に撃墜されたことを。

 

福音の事件が終わったと思ったら今度はフランス軍に拘束されたことを。

 

すぐにウィリアム達企業連の軍隊がやってきてフランス軍を殲滅したことを。

 

テレビで企業連が既存の国家とその政府全てに宣戦布告をして、国家解体戦争が始まったことを。

 

次々と国家が消えていき、アメリカ、日本までもが企業連に降伏した時のことを。

 

IS学園にウィリアム達が攻めてきて、姉さんと亡国機業の連中と一緒に迎撃したことを。

 

アームズフォートが学園に特攻して爆発し、一夏と一緒に自分も吹き飛ばされたことを。

 

 

 

 そして気付いたらパルヴァライザーに乗っていた。しかも姉さんを握りつぶそうとしている。

なんだかんだ言っても箒は姉さんが大好きだった。素直にそう言えないのは性格のせいだった。

 

 

 

『姉さん!!』

 

ようやく箒の作戦が功を奏した。洗脳プログラムが弱くなり…消えた。

 

 

 

 

 

『パルヴァライザーからの信号が乱れています。まさか…』

 

キャロラインの報告を聞いてウィリアムはパルヴァライザーを見た。束を握ったまま動かない。

 

「クソッタレ!!!」

 

ウィリアムは左腕に内蔵されている連射可能のアサルトキャノンを撃った。しかしそれは

パルヴァライザーのプライマルアーマーに弾かれた。

 

『おいおいウィル! 一体どういうことだ!?』

 

「見ればわかるだろ、主任」

 

ウィリアムはため息をつきながら、しかし笑みを浮かべながらコジマキャノンをチャージした。

 

「洗脳が解けたんだよ!」

 

 

 

 

 

束は握り潰されるのを待った。だがいつまでたっても潰されなかった。しかも拘束を解かれた。

 

『姉さん!』

 

「え…?」

 

パルヴァライザーから通信が入った。そこには生気を取り戻した箒が映っていた。

 

『姉さん! 怪我はない? 大丈夫?』

 

「箒ちゃん、洗脳が解けたの!?」

 

『うん、ごめん…時間がかかって』

 

「いいんだよ箒ちゃん!! よし、反撃開始だ!」

 

『もちろんだ。思いっきり傷めつけてやる!!』

 

パルヴァライザーという心強い味方がIS側に加わったことで形成が逆転した…と、束は思って

いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『コスモスよりアライアンスへ。作戦変更、プランB発動。繰り返す、プランB発動』

 

『アライアンス、了解。アライアンスよりアクチニウムへ、プランB発動。攻撃手順開始』

 

「アクチニウム、了解です。作戦発動します」

 

超大型タンカー「クリストル」から発進していたアクチニウム級弾道ミサイル潜水艦はゆっくりと

浅い深度に浮上を開始した。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)のハッチが全て開き、中には

大型のミサイルが発射を待っていた。

 

「座標設定完了。艦長?」

 

「待ってくれ、今キーを準備する…よし、いいぞ」

 

「では3カウントで。3、2、1、セット」

 

兵装士官と副長、艦長の3人が一斉にキーを回す。

 

「全ミサイル弾頭起動。いつでもいけます」

 

「願わくばこれで戦争が終わりますように…ミサイル発射!!」

 

2ダースの弾道ミサイルは海を割って飛び出し、低い水平弾道で南極へと向かっていった。

 

 

 

 その弾道ミサイルはロス海にいたインコンパラブルのレーダーには引っかからなかった。実は

この弾道ミサイル、史上初のステルス弾道ミサイルだったのだ。もちろん製造元はトーラス。

 

「艦長、なんか一瞬レーダーに反応があったんですが消えました」

 

「故障じゃないのか。結構酷使してきたしな。帰ったら修理しよう」

 

「ですね…って何だ!?」

 

「どうした?」

 

ざわつくCICにポールと副官のジャックが入ってきた。

 

「何事かね?」

 

「司令! それが…グングニル巡航ミサイルの弾頭が活性化を始めました!」

 

「何だと!? どうしてそうなった?」

 

「原因不明です…ってまずい! 止めろ!!」

 

「無理だ、システムが勝手に!」

 

次の瞬間グングニル巡航ミサイル8発全部が一斉に発射された。ミサイルは即座に加速して

南極へと飛んでいった。ポール達はそれを呆然としながら見ていた。

 

「なんてことだ…」

 

そこに更に悪い知らせが飛び込んできた。他にも30発以上のグングニルが突然発射されてしまった

のだ。一体何処に飛んでいくのか。ポールは戦術士官に確かめるよう命令した。

 

「目標となってる座標は…ロス棚氷ですね。ちょうど真ん中辺りのこの辺です」

 

「…ここに何かあるのか?」

 

「…ペンギンとか、ですかね?」

 

「…………………」

 

巡洋戦艦の事しか脳にないポールはもちろん、他の人にもわからなかった。なんでこんな無毛の

大地にグングニルを撃つ必要があるのか、と。

 

 その答えを知っている5人のうちの1人であるウィリアムは、全て順調に(・・・・・)作戦が進んでいるので

ビッグトーラスマンの操縦席で笑っていた。

 

 

 

 

 

続く…

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