IS インフィニット・ストラトス ~よくある転生のお話~   作:ホワイト・フェザー

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エピローグ ~企業連サイド~

国家解体戦争が終結してから10年後のこと。

 

 

 

 

 

「わぁ~、すごい!!」

 

銀髪の女の子はそう言うと、窓の外に見える巨大な惑星をまじまじと見つめた。

 

「待ってよ、お姉ちゃん。私にも見せてー!」

 

その後ろから金髪の女の子がとことこやってきて、姉の隣に並んだ。

 

「こらこら2人とも、窓とちゅーする気か?」

 

「ちゅーするなら僕やパパにしてほしいな、なんてね」

 

「その通りです。その窓だって汚いかもしれないじゃないですか」

 

近づいてきたのは男性と女性2人。男性は女の子を両肩に乗せて、元の席に戻った。

 

「「パパー、もっと見たいー!!」」

 

「もうすぐ着陸するから落ち着けって。嫌というほど見せてやるよ」

 

そう言いながら男性―ウィリアム・ロンバートは、窓の外の巨大惑星、グリーゼ581cを

見つめた。ウィリアムの両側にシャルロットとリリウムが寄り添い、娘たちは膝の上で

遊んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 企業連が極秘裏に進めていた火星開発計画は見事成功した。先遣隊は火星の地表と

地下に広大な拠点の建設、そしてトーラス製広域テラフォーミング装置の設置・起動に

成功した。これにより火星の環境はゆっくりではあるが変化し始め、1年後には地球と

同じ大気になり、地面を掘ったら水が出てくる、そんな惑星になった。

 

 

 

企業連は他の惑星に手を出そうとしたが、企業連にしては珍しくうまくいかなかった。

 

 まず火星と木星の間に位置する小惑星帯の突破に手を焼いた。アンサラーがコジマ

兵器を乱射しながら突破を図ったが、その攻撃で無数の小惑星の破片が火星や地球の

方に飛んでいってしまったのだ。なので、いつの日か主任が酔ってうっかり作った

コジマプラズマ爆弾(第47話参照)を大量生産&強化し、小惑星帯に向かって撃った。

結果、小惑星帯に位置する最大の天体、ケレスはもちろん全てがプラズマ化し、

地図から小惑星帯は消えた。

 

 障害物を突破してどんどん先に進んだ企業連だったが、木星では大気が厚すぎて

アウト、土星と天王星では岩石のデブリや宇宙塵がそこら中に散らばっていたため

近づけずペケ、海王星の場合は、時速2,000kmという尋常じゃない風速のせいで

アンサラーがひっくり返りそうになった為中止。結局冥王星をテラフォーミングし、

ここからさらに宇宙の奥へと行くための中継点となった。ちなみにこの時点で火星の

テラフォーミングが完了してから既に3年が経過していた。

 

 

 

 この頃になってウィリアムと主任は、アンサラーに変わる新たな戦闘宇宙艦を開発

した。アンサラーは使い勝手が良かったのだが、一度に運べる物資や人員の数があまり

多くないのが欠点だった。なので企業連は、

 

『一気に大量の物資と人員を運べて超長く飛べて超でかくて超強い宇宙船作って♪』

 

と、ウィリアムと主任に依頼した。その結果完成したのが『エクスプローラー』で

ある。この艦は月面軌道上の造船所で製造された超大型戦艦であり、全長がなんと

驚きの19km。装甲は火星で発見されたアラニウムという物質を加工したアラスチールを

チタニウムで強化したものを使用している。どれほど堅いかというと、BFF製の変態

超大型巡洋戦艦『インコンパラブル』が、フラジールの全速力と同じスピードで

突っ込んできても、かすり傷一つ付かないレベルである。

 

 武装に至ってはもはやアームズフォートを超えるレベルであった。ロングレンジ

ハイレーザーにコジマと最新技術をつぎ込んで作ったコジマターボレーザー砲塔

2,000基、ヘヴィ・レーザー砲塔(ハイレーザーの強化版)2,000基、EMPキャノン

(敵艦の電子機器を破壊する指向性EMP兵器)250基、コジマミサイル発射装置

250基、コジマプラズマ爆弾発射装置50基、近接防御用のガトリングパルス

キャノン500基を搭載している。

 

 艦載機はというと、第1ドッキングベイに最新型の可変戦闘機3個大隊、すなわち

18個中隊、計216機が搭載されている。第2ドッキングベイには200機以上におよぶ

その他の戦闘および支援船が搭載されている。移住可能惑星や探査可能惑星を

発見した場合に、物資や人員を惑星に降下させる船などである。その他にも補助

ドッキングベイも多数存在し、破損した船の修理など行える。

 

 エクスプローラーは大規模な軍隊も収容していた。3基の即席駐屯基地(誰でも

作れる安心仕様。30分以内に作れるインスタント基地)、150,000名の企業連宇宙軍

歩兵部隊(歩兵と言っても強化装甲服を身にまとい、宇宙空間でも戦闘可能な万能

エリート集団)、惑星上での戦闘の為に無人化アレサ300機、量産型イクリプス2機、

有澤重工製重戦車『摩周』75両、有澤重工製多用途戦闘機『角神』96機、有澤重工製

超大型戦略爆撃機『城山』24機を収容している。ちなみに有澤重工製の兵器が多いのは、

 

『どんな過酷な状況でも壊れる気がしないから』

 

である。

 

 洞窟のような貨物保管区画にはエクスプローラーが抱える大規模な軍隊に加え、

さらに650,000トンの貨物を積むことができる。操縦及び艦内システムはキャロラインの

子供達(キャロラインが作った人工知能。性能は言うまでもなく超高性能)が担当する

ので、操縦要員は500名、兵器要員は1,000名である。それ以外に500,000名の人員を

乗せることが可能である。

 

 新型の超大型コジマ反応炉に超大型コジマエンジン13基を搭載している。これにより、

プライマルアーマーは3重になり、最大速度は光の2倍まで出せる。さらに新開発された

ワープ装置が備わっている。これを使えば、一度に最大で1,000光年先までワープする

ことができる。

 

 

 

 これを作るのに天文学的な費用と2年の歳月がかかったが、その分見返りも大き

かった。太陽系から約20.40光年離れたM3V型の赤色矮星であるグリーゼ581付近に

ワープし、6つある惑星のうち、グリーゼ581cとgに調査隊を降下させた。その結果、

cは太陽系外惑星のうち、地球の数倍程度の質量を持ち、かつ主成分が岩石や金属

などの固体成分と推定された惑星、いわゆるスーパー・アース(巨大地球型惑星)

で、gは地球型惑星であることが判明し、液体状態の水もあり、しかも生命体の

姿も確認できた。この世紀の大発見に、企業連はもちろん全ての人々が歓声を

あげた。企業連は直ちにこの2つの惑星を開拓し、cは第二の地球に、恒星に

対して常に同じ面を向けているgはレジャー惑星になった。

 

 次に企業連が目をつけたのは、太陽系から約620光年離れたG型主系列星ケプラー

22だった。ケプラー22にも地球のように液体の水が存在し生命が存在する可能性が

あるハビタブルゾーン内の惑星、ケプラー22bがあり、それを調査するためだった。

結果、この惑星もまた巨大地球型惑星であり、地球のように大気による温室効果が

存在しているため平均気温は約22℃で、地球よりも深い海(平均で15km)が存在

することが判明した。ここは第三の地球として開拓中である。

 

 そして企業連はさらに10隻のエクスプローラー級戦艦を作り、宇宙のさらに奥

へと探査チームを送っていった。開拓された惑星には次々と移住が進んでいった。

また、昔ウィリアムが開発したナノマシン(理論上太陽系内ならばタイムラグ

なしで通話ができ、かつデータのやり取りも可能な体内通信システムを搭載。

第9話参照)を、主任がさらに改良した。範囲を「太陽系内」から大きく広げて

「銀河系内」になった。これでケプラー22bから地球までタイムラグ無しで通話が

できるようになった。

 

 

 

 

 

 そしてウィリアムとシャルロット、リリウムと2人の娘、クリスティーンと

マリエルは、久々の休暇を利用してグリーゼ581cにやってきた。ウィリアムの

両親がここに移住しているからだ。両親も孫を見たくて楽しみにしているに

違いない、とウィリアムは考えていた。

 

 火星のテラフォーミングが完了した9年前、ウィリアムはリリウムと結婚した。

南極で氷漬けになって入院したあの日、彼はシャルロットとリリウムが自分の

事をいかに大切に思っているか、そして自分もまた彼女達を大切に思っている

という事を実感した。ウィリアムはリリウムにプロポーズし、彼女は受け入れた。

 

 そこで面白く無いのがシャルロットである。自分もウィリアムの事を心底

愛している。でも戸籍上自分の兄なので、結婚できない。ならどうするか。

彼女が取った行動は、『ロンバート家から出る』というものだった。兄と妹

という関係さえなければ結婚できる、と考えたのだ。そしてシャルロットは

ウィリアムと結婚した。この頃には企業連が一夫多妻制を採用していたので

法律的には全く問題なかった。2人の妻は共に子供を出産し、今に至る。

 

 

 

「ほーら、着いたぞ! お、親父が出迎えに来てる」

 

グリーゼ第1宇宙港に無事に着陸した宇宙船。入星手続きを終えゲートから出てきた

ウィリアム達一行を、父親のジェイソン・ウォーカー・ロンバートが出迎えた。

 

「久しぶりだな、ウィル! 元気そうで何よりだ!」

 

「親父も相変わらず元気だな。こっちの暮らしは快適かい?」

 

「もちろんさ! 老後の生活にはもってこいの場所だな。おお!!」

 

ジェイソンはウィリアムの足元にいる2人の孫を見つけた。

 

「「おじいちゃん!!」」

 

「おー、クリスにマリー! 元気にしてたかい?」

 

「うん! おばあちゃんは?」

 

「ソフィーなら家でご飯を作ってるよ。さ、みんな車に乗ってくれ。俺が運転する」

 

ワンボックスカーに乗り込んだ6人は宇宙港を後にした。

 

 

 

 グリーゼ581cの首都ラルティアから車で30分。数多くの豪邸が立ち並ぶ高級住宅街の

一角にジェイソンは家を立てた。大きな庭とプールが付いている豪邸だった。車庫に

車を入れると、2人の娘が飛び出していった。

 

「わぁ~おっきい!!」

 

「プールもある! あ、猫さん? なんかちょっと変なのー」

 

「ソフィーが猫好きでな、ここに住んでいた新種の猫を飼うことにしたんだ」

 

ウィリアムが見ると、見た目は猫なのだが某ゲームの紫色のモンスターよろしく透明に

なったり元に戻ったりと変化していた。

 

「なんで透明になったりするんだ?」

 

「研究者曰く理由は2つあるそうだ。1つは敵対する動物に襲われないようにするためだと」

 

「なるほど。で、もう1つは?」

 

「襲ってきた動物を透明になりフルボッコにするから、だって」

 

「……………」

 

 

 

家に入るとソフィーはリビングで料理を並べているところだった。

 

「あらウィル。おかえりなさい。それにシャルにリリウムも。みんな元気そうね」

 

「母さん、久しぶり。調子良さそうだね」

 

「ここは平和でいいところだからねぇ。さ、ご飯できてるからみんなで食べましょう」

 

「「はーい!!」」

 

 

 

食事中…

 

 

 

「ごちそうさまでした!」

 

「美味しかった~!」

 

孫2人は爪楊枝で歯に挟まったカスを取り始めた。

 

「ウィル…お前どういう教育してんだ?」

 

「あれれ~、おかしいな~」

 

「でもお兄ちゃんは家でこんなことしないよね」

 

「じゃあ一体誰が? 聞くか、おいクリス。それ誰に習った?」

 

するとクリスは笑顔で言った。

 

「主任さんだよ! この前主任さん家でご飯食べた時に教えてもらったの!」

 

「主任ェ…ボーナスカットだな」

 

 

 

 

 

「へっくしょい!! 誰かが俺のこと噂してんのかな? まどうでもいいか!」

 

「主任、ちゃんと仕事してください。溜まっているんですから」

 

「溜まっているのは俺の性yブベラッ!!」

 

「仕事しないと殴りますよ、あなた」

 

「もう殴ってんじゃん…」

 

 

 

 

 

 夕方、テラスにはウィリアムとジェイソンが長椅子に座って沈みゆくグリーゼ581を

のんびりと見つめていた。下を見ると、庭で孫と妻が遊んでいるのが見えた。

 

「なあウィル…」

 

「なんだ?」

 

ジェイソンはワインを飲みながらこっちを向いた。

 

「ここまで来るのに時間がかかったな。それに多大なる犠牲もあった。だが…それを

 乗り越えて我々はここにいる。素晴らしいことだと思わんか?」

 

「…確かに我々企業連はこの目的のために行動してきた。今思えばちょっとやり過ぎた

 感もあるようなないような…でも後悔はしていない。人類の宇宙進出は絶対にやる

 必要があった」

 

「コジマ粒子のお陰でエネルギー問題が解決したとはいえ、それ以外の資源には限りが

 ある。いつか地球から資源と呼べるものはなくなってしまう。それを遅らせるため、

 宇宙開発をして人類を分散させる」

 

「言うのは簡単だけど実際にやるのは難しかったよなぁ…」

 

ウィリアムはグリーゼ産のチーズを口に運んだ。実に美味しかった。

 

「親父、もう戦争なんか起こさせんよ。宇宙人でも攻めてこない限り、な」

 

「そうだな。国家解体戦争で人類は大きく数を減らした。あの凄惨な戦いを忘れないで

 この先も生きていこう。それが我々の贖罪なのだから」

 

「死んだ連中からしてみれば何言ってんだ、ってなるだろうがね」

 

「そうだな…ウィル、俺は今とても幸せだ。お前はどうだ?」

 

「俺は…」

 

シャルとリリウムがこちらに気付いて手を振る。孫娘2人も同じようにした。それを見て

いると自然に笑みが浮かぶ。

 

「そりゃ…とても幸せだよ。これ以上ないくらいに、な」

 

 

 

 

 

続く…




技術的な事や惑星の話にツッコミ入れんでください。この小説内では
こうなっている、という設定ですので悪しからず。でもスター・ウォーズ
ネタを出しすぎたかも…テヘペロ♪
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