IS インフィニット・ストラトス ~よくある転生のお話~ 作:ホワイト・フェザー
作者「早くね?」
ISウィ「気にしたら負けだ。ではどうぞ!」
Side ウィリアム
~1週間後、トーラス本社、隔離研究室~
「なんてこったい…」
俺はパソコンの画面から顔を上げて、横に機械につないであるISコアを見た。親父がもらってきた3つのコアの解析が今終わったところだ。それにしてもこんな秘密が隠されていたとは…あのクソ兎め。
(研究室を隔離しておいてよかった…)
本当なら急いでこのことを報告しなければいけないのだが、眠い。とにかく眠い。おや、なんか視界がぶれてきたぞ? と、とにかく仮眠室に行こう…
「あ、お兄ちゃん、飲み物だよ~…ってお兄ちゃん!?」
研究室にしっかりと鍵をかけてから廊下を歩いていると、シャルが飲み物を持ってきてくれた。そういえばさっき頼んだんだっけ。でも俺の様子を見てすっ飛んできた。あら~? おかしいな。俺のかわいい妹が4人に見えるんだがこれはいったい…?
「どうしたの、そんなにふらふらして! 眠いなら無理しないでよ!」
「そうだな……そうしよ……う………」
俺の意識はそこで途切れた。
Side out
Side シャルロット
「もう、お兄ちゃんったら…主任さん、ありがとうございます」
「いやいや、気にすんなって。俺も暇だったからさぁ」
僕は近くを通りかかった主任さんと一緒にお兄ちゃんを仮眠室まで運んだ。お兄ちゃんはとてもかっこいいし、頭もいいし、僕のことを可愛がってくれるから大好きだけど、もっと遊んでほしいなぁ…僕寂しいよ…
「よーし! おじさんがなんとかしてあげよう!」
「えっ!?」
「シャルちゃん、ウィルが働き者だからあまり遊ぶ時間がなくて寂しいんだろぅ?」
「考えていること読まれた!?」
「ちょっと待ってね~」
主任さんは笑顔で携帯を取り出すとどこかにかけ始めた。
「…あ、ボスですか? 俺っす。実はウィルが睡眠不足でぶっ倒れちゃいまして。ええ、ですから3日ぐらい休ませてあげましょうぜ。いえいえ、それじゃよろしく。よし、これでオッケーだ。俺の部下にシャルちゃんとウィルを家まで送らせるよ。家に帰ってウィルが起きたら、思いっきり遊んでもらえ!」
主任さんが”ボス”って呼ぶのは僕のお父さんだけだ。ということは、主任さんがお父さんを説得してくれたんだ!
「やったぁ! 主任さん、ありがとうございます!」
「な~に、いいってことよ! あははははは!!」
早く家に帰ってお兄ちゃんと一緒に遊ぼうっと!!
Side out
~3日後、トーラス本社、社長室~
Side ウィリアム
あの日眠くてぶっ倒れた俺は気付いたら自宅のベッドにいた。主任が手を回してくれたそうで3日も休みがもらえた。なのでシャルと一緒に遊園地に行ったり、映画を見に行ったりした。いやぁ、シャルも寂しかったんだな。それに気づいてやれなかった俺は兄として失格だ。これからはしっかりと妹の面倒も見てあげないと! てか親父は俺に仕事押し付けてお母さんとデートだと。ふざけんなし。
「ということがあったからここにシャルがいるのさ。めでたしめでたし」
「~♪」
俺の膝の上にはシャルがちょこんと座っている状態である。
『『『『何がめでたしめでたしだよ!』』』』
そう吠えたのはいつもの4人。今日はテレビ会議を行っている。
『まあシャルちゃんがかわいいからいいとしよう』
『だな。それでウィリアム君、ISコアの報告をしてくれないか?』
『私も早く聞きたいね。重大なことがわかったのだろう?』
「ええ。解析の結果、篠ノ之束が公表したデータは正しいことが判明しました。PICや絶対防御、量子変換などの事です。しかし、あのクソ兎はとんでもない仕掛けをISコアに施したんです。それは…」
『『『『それは…?』』』』
俺はちょっと一呼吸置いてから言った。
「コア・ネットワークです」
『コア・ネットワーク…確かIS同士のデータ通信ネットワークの事だったな?』
ISのコアはそれぞれが相互情報交換のためのデータ通信ネットワークを持っている。これは元々広大な宇宙空間における相互位置情報交換のために設けられたものである。
「その通りです、レヴィンソンさん。公表された情報だけを読む限り、何の欠点もない素晴らしいシステムですが、大きな落とし穴があります。このネットワークは絶えず他のコアと様々な情報のやり取りをしています。つまり超巨大な並列データ通信ネットワークでもあるのです。ですが完全な並列ネットワークではありません。467個あるコアをまとめるネットワークの中心点には、他のコアへの優位性があります。で、この中心点に君臨するのはISの生みの親である篠ノ之束。彼女は他のコアに対する完全な上位存在となります。なのでISを遠隔操作、例えばISの活動を停止させるといったことが篠ノ之束には自由にできるということです。まあ、自分の飼い犬に首輪を付けた、と言ったところでしょうか」
『ISの遠隔操作ができるのか!?』
『ネクストにもないシステムだな』
テミルジさんとブラックさんは驚愕しているがそれも当然だろう。ネクストの次に強力な兵器であるISのリモートコントロールができるのだから。
「なるほど、わかんない」
「まあシャルにはまだ早いかもね。で、更に悪い話は続きます。上位存在である篠ノ之束には、全てのISのデータを見ることができます。つまり各国が開発し、量子変換した武器等のデータも盗み放題。おまけに近くのコンピュータからデータを吸い出すことも可能です。つまり世界中の国家にばら撒かれたISコアは世界中の国家の情報を収集し、それを篠ノ之束に見放題、ということです」
よく考えたものだよな。国家の連中もまさかISコア自体が情報収集マシンだとは考えていないだろう。そのコアをベースにISを作り、そこには各国の技術の粋が詰め込まれるわけだ。で、それが全部クソ兎にダダ漏れとはねぇ。
『ま、まさか我々企業連の情報も盗まれているのかい!?』
「ご安心を、セラノさん。解析は隔離した研究室で行ったので、情報漏れは絶対にありません」
チート能力を使って結界を張った研究室なので、いかなる通信手段も無力化できる。
『なるほど、ISコアにはそんな秘密が隠されていたのか…』
『そんなものを我々は使う訳にはいかないな。もしソルディオス等の最新兵器の情報が漏れたりでもしたら大打撃だ』
「その通りです。このままコアを使用することはできません」
『…ん? このまま?』
「はい。もし許可がいただければコアを改造して企業連には不要なものを排除し、かつ男でも使えるように改造いたしますが、いかがでしょう?」
俺は解析と並行して、コアを改造してしまおうとしていた。でも勝手にやったら怒られるからね。きちんと許可を取らないと。技術チートもあるし、なんとかなるだろう。
『…君にはいつも驚かされるよ。いくら金をかけても構わんからやってくれ!』
「了解しました」
その後は例によって様々な報告を。初期のレイヴン達に施した強化手術。それが今になって問題になってきた。強化手術の内容だが、主な神経の光ファイバー化、機体センサーと知覚神経の直結、人工臓器・骨格・筋肉への置き換えである。ところが出撃を重ねるうちに手術した個所、主に人工臓器・筋肉の疲労が目立つようになってきたのだ。そこでトーラスはオーメルサイエンス、アスピナ機関と共同で新たな手術方式を完成させた。手術する個所は全く同じだが、レイヴン達の負担を限りなく抑え、かつより強化することに成功した。この新方式の手術を受けたレイヴン達は”第2世代型レイヴン”と呼ばれるようになった。初期のレイヴンである第1世代型レイヴンも、この手術を受けてより強化することができる。彼らには末永く戦ってほしいからね。
『これで私もドミナントになれる! 感謝するぞ、ウィル君!!』←某戦術部隊司令官
ご利用者の方からも感謝の声が届いている。いいことをしたなぁ。
会議が終わってから俺はシャルを連れて隔離研究室に再び入り、早速コアの改造にとりかかった。今回はシャルにも少しお手伝いをしてもらうことに。
「よーし、始めるか! シャル、まずはそのハンマーを取ってくれ」
「え、これ? これでどうするの?」
「ハンマーですることなんて1つしかないだろ? ぶっ叩く」
「ちょ! そんなことしたらコアが壊れちゃうんじゃ!」
「そんなにもろくできてるわけ無いだろ! おりゃあっ!!」
ガンッ!!
「………傷1つ付かないね」
「さすがISコアだ、何ともないぜ! てなわけでもう一丁!」
バキンッ!! ←鉄製のハンマーが砕け散った音
「………………」
「………………」
「………………お兄ちゃん」
「………………言うな、シャル」
冗談はこれくらいにしてレッツ改造。まず諸悪の根源であるコア・ネットワークを完全に排除。そして絶対防御もいらない子なので排除。これがあるから人々はISを”兵器”ではなく”スポーツ”や”ファッション”だと思ってしまうのだ、と俺は思う。従来の兵器―戦車やら戦闘機やら―で戦闘を行う際、兵士達は必ず”死の恐怖”というものを味わうはずだ。なぜなら『自分は絶対に死なない』という確証が持てないから。どこから銃弾や砲弾やミサイルが飛んでくるかわからない戦場で戦うのだから当然の話だ。しかしISの場合だと話は異なる。
『絶対防御があるから死ぬことはない、だから”死の恐怖”なんて感じないわ!』
などと勘違いしてしまう頭がお花畑の残念な女どもが大量発生してしまう。”死の恐怖”がわからないと、いざ実戦という時に使えないだろう、きっと。俺はそういうふうにはなりたくないので、絶対防御は排除したのだ。試しに絶対防御についてカラードのリンクス達に聞いてみたところ、
『絶対防御? そんなもんがあったら全力で戦えんよ』←某不死身のジジイ
『貴様(絶対防御)には水底がお似合いだ』←某水底王子
『消えろ、興味もない』←某少佐
というお返事が。そして企業連の暗部とも言える非公式組織、「ORCA旅団」の人々は、
『ハッハー!! そんなのいらんぜ!! ウィリアァァァァァァム!!』←某単純バカ
『絶対防御か…知らんな』←某ガスター10
っていう反応が返ってきた。あとは自己進化なんかしなくてもいいのでその辺もざっくり排除。進化するのは機械ではなく人間であるべきだ。ついでに男でも乗れるように弄ってハイ出来上がり。わずか30分の作業でした。
「さすがお兄ちゃんだね!」
「シャルが手伝ってくれたから早く終わったんだよ。ありがとな」
「えへへ~」
さて、これで早速俺とシャルのISを作りましょうかね! 企業連の最新技術の全てを詰め込んでやろう。ワンオフ・アビリティーも俺がチートでなんとかしちまおう。完成が楽しみだぜ!
続く…