メガテン世界だけど仲魔がデビチルデザインな件について   作:あきゅおす

3 / 10
穴があったら落ちたい/アーマーン

「…ねぇ、質問なんだけどさ」

「なんだ?」

 

 葛葉からの依頼で訪れた異界化した廃ビル。マグネタイトの節約のため、ピクシーだけをコールし最上階を目指している道すがら、半目になりながらピクシーが質問してくる。

 

「なんで落とし穴に落ちていくの?」

「…落とし穴巧妙に隠してあるし」

「落とし穴を知らせるアプリを入れているのに?」

「…本当に落とし穴か気になるじゃん?」

「本音は?」

「マッパー故致し方なし」

 

 オートマッピング機能があったら埋めたくなるのはマッパーの性だからしょうがないね、と言いながら青年は落とし穴の反応を示したところに喜々として飛び込んでいく。そのせいで普通に最上階に行く時間の倍はかかってそうである。下の階層に着地した(ピクシーはふわーっと降りてきた)あとも会話は続く。

 

「はぁ…。毎回仕事が終わるたびに生き残ったぁ!だの死ぬかと思った!だの大騒ぎしているのに、なんで自分からリスクを」

「一応リターンも兼ねてるんだなこれが」

 

 この世界の異界化に関しては分かっていないことも多く、そのため少しでもデータが欲しいというのが葛葉の実情でもある。何が落ちている、主は誰だ、罠はどんなものがあるか、異界化した際のマップ構造の共通点はあるか、などなど。

 

「だから急がないといけない依頼以外はこうやってデータ収集で追加報酬をもらってるんだ」

「だけど追加報酬なくてもマッピングするんでしょ?」

「これも全部ATLUSってやつのせいなんだ」

 

 再び呆れるピクシーから目を逸らす青年。前世ではボウケンジャーでもあった。

 

 そんなこんなで見え見えの罠に突っ込んでいき、時間を使ったりもしたが、青年とピクシーはどうにか異界の主がいると思われる屋上の扉の前まで辿り着いた。

 

「この廃ビルのデータも取り終えたし、あとは主を倒すか交渉するか…と思ったけど」

「明らかに殺意が漏れてきてるね…」

 

 交渉の余地はほぼなさそうだなと思いつつ、戦闘の準備をするためにデビライザーに繋げてあるスマホを操作する。

 

「…よし。コール、ジャックフロスト!」

「ヒーホー!」

 

 呼び出しに応じて出てきたのは数少ない、デビチルでもデザインの変わらないジャックフロストだった。そのためか強さもこの世界のジャックフロストと変わらないため、青年は重宝している。

 

「今日も頼んだぜ、ジャックフロスト」

「もちろんだホー!」

 

 準備を整え、扉を開くとそこには…

 

「ヒィィぃぃ!」

「逃げろ逃げろクソ悪魔ぁ!」

 

異界化されたせいか屋上とは思えない広い空間と主と思われる強力そうな魔獣アーマーン、その主に対してマグナムをぶっ放す見知った顔を見つけた。

 

「…一度戻ってくれ」

「うん。…頑張ってね」

「ヒーホー…」

 

 見間違いであってほしいと思い、一度扉を閉じ開くと変わらないどころか今度はグレネードランチャーをぶっ放していた。

 

「ア!ソコノニンゲン!」

 

 青年が顔をしかめながら扉のところで突っ立っているとアーマーンが気付きすごい速さで近付いてくる。グレポンの着弾も主を追ってる。

 

「タノム!タスケテクレ!」

「ごめんなさい、ボクはあなたを退かしに来た人間なんでちょっと近づかないでもらえませんか!?…って扉消えてる!って爆発がぁ!つーかそのなりで二足ダッシュは超キメェ!」

 

 扉に逃げ遅れ、爆発が近くなるため青年もアーマーンから逃げるようにダッシュする。アーマーンはワニの頭、ライオンの前足、カバの後ろ足を持っているのだが、実物は二足で動いていた。

 

「あぁん!?お前もこいつの仲間かぁ!?」

 

 ぶっ放してる少女はハッピー状態になっているのか、すごい凶悪な笑みを浮かべながら青年にもサブマシンガンを向けて何発か撃つ。

 

「あっぶねぇ!待った、俺だ俺!」

 

 慌ててなぜかそこらへんに転がってる大きなコンクリート片の影に隠れながら赤ずきんに声をかける。と同時にアーマーンも転がり込んできた。

 

「ちょっ、なんで入ってくるんだよ!」

「イイジャネェカ!シナバモロトモダ!」

「良くねぇ!」

 

 慌ててアーマーンを影から蹴り出し、爆発もそちらへ向かうように誘導する。アーマーンはまた影に隠れようとしたがグレポンの偏差撃ちに気づきコンクリート片と反対方向に逃げた。

 

「…あん?見た顔だな。っつーかお前か」

 

 少女がグレポンでアーマーンを牽制しながらコンクリート片の影からひょいと顔を覗かせるとそう青年に声をかけた。もちろんサブマシンガンの銃口もむけながらだったが、顔を見知ったやつだと認識すると銃はしまった。

 

「…顔を確認してから撃てと前も!」

「へーへー、うっせーな。当たらなかったからいいじゃねーかよ」

「隠れる場所なかったら当たってんだよ!」

 

 指で耳をふさぐ真似をする少女だが、その間もグレポンで主を追うように撃っている。

 

「グレポンの爆発音より小言のほうがうるさいのか…」

「お前が来たということは葛葉ん連中か。ちっ、お前葛葉にチクるんじゃねーぞ」

「分かってる分かってるから殺意込みの眼差し向けんな」

 

 合法非合法問わず金さえもらえれば依頼を受ける悪魔殺し専門の少女とはこれまで何度もバッティングしており、そのたびに銃で皮一枚撃たれたり、火炎放射器で尻を焼かれたり、直撃は避けたグレポンの爆風で吹き飛ばされたりといろいろ被害に遭っている。青年は赤ずきんを着せたらさぞ似合うんだろうなと思いつつも言ったら吹っ飛ばされると思い黙っている。

 

「ちっ、遊ぶヒマもなくなっちまったか。それじゃあサクッと」

「待て待て。ちょっと交渉させろ」

 

 葛葉が絡んでいることを知り、いたぶるのを切り上げてサクッと始末しようとする少女に対してアーマーンに交渉を仕掛けようとする青年。

 

「…7:3」

「9:1」

「お前ホント手厳しいなぁ!しかもそっちが別口で受けた依頼からまるっともらうんだろ!?」

「楽しみの邪魔をした迷惑料だ」

「いやお前ほんっと…。あーもう。分かった!8:2だ!」

「毎度ありぃ」

 

 葛葉からの報酬の分け前を決めてニッコリと悪い笑みを浮かべる少女をしり目にアーマーンに向き直る青年。

 

「おい」

「ナ、ナンダ?」

「仲魔になるか殺されるか。5秒以内に決めろ」

「エッ」

「5…」

「ナカマ!ナカマニナル!」

 

 グレポンやマグナムに吹き飛ばされるよりはましだと思い、仲魔になるのを選ぶアーマーン。

 

「交渉成立だ。ちなみにこの中に入ると見た目変わるからな」

「エッ」

 

 さらになんか言おうとしたアーマーンだったが、言う前にデビライザーの中に吸い込まれていった。

 

「…よし。さて帰るか。お前はどうする?」

「こっちの依頼人に報告してからてめぇんとこに金取りに行く」

「分かった。…あー、多分あいつもいるからそのつもりでな」

「…ちっ」

 

 帰っていく少女にそう声をかけると舌打ちをして去っていった。

 

「さて、メールを送って…」

 

 主を失い異界化から解き放たれたビルの屋上で報告と後処理を行いつつも、めんどくさそうなため息をつく青年であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで新人紹介だ」

「ナンナノダコノスガタ!?」

「着ぐるみだね」

「着ぐるみですね」

「んー、ケモい姿になるかとおもっとけどこれはこれで…」

 

 家に帰り、青年とその仲魔(とやっぱりいる美女)に紹介するため召喚(コール)されたアーマーンは自分の姿に驚愕した。ファンシーなワニの着ぐるみになっていたのだ。しかも本体は着ぐるみの口の中にある黒い球体になっていた。

 

「オイ!スガタカワリスギダロ!」

「嫌だったらこれからあいつが来るから引き渡すけど…?」

「コノママデイイデス」

 

 爆風との追っかけっこが相当堪えたのか迷いなくこのままを選ぶアーマーンだったが、体の変化に違和感があるため、腕をグルグルしたり、その場で足踏みしたりしている。

 

「おや、あいつというのは?」

「カリンだ。今日バッティングしてアーマーンと交渉のため、報酬の8割持ってかれるけど」

「へぇ、またぼられたねぇ」

 

 ケラケラと笑う美女にため息をつく青年。そのときチャイムがなり、来客を告げた。

 

「はーい…。あ、お姉ちゃん!今開けるねー」

 

 ウィンディーネは玄関ののぞき穴から少女―カリンの姿を確認すると、嬉しそうに戸を開けた。すると、先ほどの殺気塗れの少女とはうって変わり、明るいどこにでもいる普通の女の子だった。

 

「お邪魔しまーす!」

「いらっしゃい、カリンちゃん!」

「ありがと、ウィンディーネちゃん!」

 

 ウィンディーネが家事に戻るのを見ると声をいつものトーンにして(低くして)青年に話しかける。

 

「…おい、キチンと金は取ってきたんだろうなぁ?」

「相変わらずの猫かぶりだねカリンちゃん!」

「ふん」

「こゆびっ」

 

 変わりっぷりをいじってきた青年の小指だけを力いっぱい踏み抜き、カリンは美女に向き直る。

 

「ユイお姉さんもお久しぶりです!」

「いやー、ほんと久しぶりだね。あと私への対応は地でいいんだよぉ?」

「んー?これが私の地ですよ?」

 

 何言ってるのかわからなーいときゃぴきゃぴしているカリンであるが、少し冷や汗かいてるのがわかる。

 

「ホント、自分より上の人の前だと猫被るねぇ。まぁそれこみで好きだけど」

「猫被りは分からないですけど私もお姉さんが好きです!」

 

 よしよしとカリンの頭をなでる美女――ユイとそれで嬉しそうにしているカリン。その足元には小指を踏み抜かれて転げまわっている青年がいた。ちなみに骨折していたので後ほどユキオンナにディアをかけてもらった。

 

「オオ!マエガムキヤスイ!コノカラダモナカナカダナ!」

 

 なお体の違和感を感じていたアーマーンだが、ぬいぐるみ体になって前が向きやすくなり生活しやすくなって喜んでいるのをここに記しておく。




デビチルのアーマーンはデザインはかなり変わっていますが、特徴は残っているので初見でも「あれ?アーマーンじゃね?」って分かるポップなデザインなのがすごいと思います。まぁ他にワニっぽい魔獣っていないってのもあるかもしれませんが…。
あとメガテンのアーマーンってどう行動してんのだろうと思いD2を起動してみたところ、そう動くんかーいとなりました。真正面に攻撃するのダルそう。

そしてカリンのキャラがなんか見たことあるな…と思ったあなたはボクと握手!書いてる途中でネオジオの某ソフトがswitchに移植される記事が出ちゃったししょうがないよね。
ちなみに漢字で書くと狩林と書きます。リスペクト元の超必からもじりました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。