メガテン世界だけど仲魔がデビチルデザインな件について 作:あきゅおす
「ふふふ…。この召喚が実行されれば…」
とある建物の一室。床には魔法陣が書かれており、その中央で魔導書と呼ばれるものを手に持つ怪しく笑う女が一人立っていた。
女が日本語ではないものを発音すると、足元の魔法陣が怪しく光りだした。それが大きく光り、爆ぜようとした瞬間、ドアが蹴破られ、何かの音がしたと思うと光が萎んでいった。女がドアの方を見ると、銃を構え、額に汗を流している男が立っていた。女が足元を見ると銃弾で魔法陣の一部が削れていた。
「そこまでだ」
「また…」
女はキッっと忌々しいものを見るように男を睨みつける。
「また邪魔をするのですね…!」
「ああ、何度だって止めるぜ…!」
それはなんて事のない、
「コンビニに買い物に行ってほしいだけなのに!」
「ちょっとしたことでバカでかい召喚をするアホはな!」
魔力の規模はデカいのに目的がショボい一事件であった。
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「あー、はい。いつものバカが外に出るのをダルがって…。ええ、召喚も止めました。自分がこってり絞った後、出頭させますんで…」
激しくバトりそうな流れから脳天チョップ一閃で決着がついた後。緊急の依頼をしてきた葛葉に電話する青年の言葉を女が正座で泣きながら聞いていた。報告が終わり、青年は改めて女と向き合う。
「頼むから外出るのめんどくさいからっていちいち召喚で済ますのやめてくれ」
「だっでぇ…」
「だってもクソもない」
部屋に入った直後は暗くて分からなかったが、青年が電気をつけると女の服装はジャージだった。しかも胸元に○○高校、その下に田中と書いてある。ちなみに女…田中は高校卒業済みである。
「はぁ…。バカでかい魔力を感知したから急いできたけど、今度は何を召喚しようとしたんだ?」
「ヤマタノオロチ」
「バカじゃねぇの!?なんでコンビニにお使い行かせるのにヤベーやつなんだよ!というかせめて人型を…いや違う。なんでそいつを…」
「媒介になるのがお酒しかなくて…、それでお酒っていったらヤマタノオロチしか思い浮かばなくて…」
「お酒でももっと他にいるだろぉ!?」
「そんなに怒らなくてもぉ…」
そう口ごもってまたスンスン泣き始める田中。青年はため息をついて面倒くさそうに頭を掻く。
「何買ってくりゃいいんだよ?」
「バスクケーキ」
「地味に旬過ぎてるな…。ったく、最初っから俺に連絡しときゃいいのによ…」
「悪魔の方が信頼できるし…」
「契約って意味ではそうだけど、そのあとどうなるか分かんねーのに…。顔合わせがてらランダとハーピーおいていくからな」
「ピクシーきゅんは!?」
「お前には会わせん」
「そんなー」
以前監視がてらピクシーを置いたらトラウマになったらしく、今後引き合わせないことを頼まれたのを思い出したので、大丈夫そうなランダとハーピーを召喚することにした。
「ちなみに肉体に精神が引っ張られたせいかパリピだから頑張れ」
「えっ」
「あ、おはつ?よろよろ~」
「はじめまして~!成人が高校時代の芋ジャーって漫画あるあるでリアルじゃ初めて見るけど…一周回ってありじゃね?」
「それな!」
「ぐ、グワァァァァ」
青年もあのテンションについていけないのだが、それ以上の耐性無しにヤバい召喚をしようとした罰としてわざと2人をあてがう。きゃぴきゃぴしている2人とは対照的にまぶしさのあまりに腕で目元を隠す田中。青年はそれを確認した後、コンビニへと向かうのだった。
「…で、帰ってきたのはいいけど」
「「「うぇ~い!」」」
「ウェ~イ!」
「なんで頭だけ召喚されてるんですかね…」
バスクケーキを購入して帰ってきた青年が見たものは、酔っぱらってる3人と頭だけ魔法陣から出ているヤマタノオロチの姿だった。
「完全に止めなかったから中途半端になったらしく…」
「…あっぶねぇ」
また変態に借りを作るところだった、と安心する青年。
「…で仲良くベロンベロンになってるけどこれは契約済みだよな?」
「あっ」
「アッ」
「えっ」
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「ええ、今度こそ大丈夫です。件のヤマタノオロチは契約してキングライザーに入れましたから…。ええ、まさか儀式が再起動するとは…」
契約されていないことに気付いたヤマタノオロチがさらに大量の酒を求めて暴れる前に青年が
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「いや、今度のは自分も油断していたのが悪かった」
「ですよね!」
「秒で開き直んな!お前のやらかしたことが原因だぞオラァン!」
田中がちょっとフォローしたらすぐに付けあがる性質ではあるのは知っているが、気を抜いて魔法陣をそのままにしていた自分にも非があるので謝る青年だったが、案の定付けあがったのですぐさま牙をむく。
「とりあえず買ってきたバスクケーキを喰ったら葛葉に連れて行くからな。たっぷり絞ってもらえ」
「やだなぁ…。お部屋に籠りたい」
「ならすぐさま召喚に頼る癖を直せ」
「だって悪魔の方が信頼できるし…」
「さっき聞いたっちゅーねん。ほれ、ブラック」
「ありがとうございます…。はぁ…」
田中はもろもろあって人間より悪魔を信頼している。そのせいで以前、大きな事件を引き起こしたのだが、まぁ変態がどうにかしたので割愛する。
「うっし、じゃあ行くぞ」
「ううう…、さらば我が部屋…」
「離れたくないなら自重しろよ…」
芋ジャーから黒のセーターにジーンズに着替えた田中にツッコミを入れつつ、青年は一緒に葛葉へ向かうのだった。
お久しぶりでございます。くだくだしてたら夏も終わってました…。
ヤマタノオロチはデビチルでは珍しく、ドット上では本家デザインに近いものとなってるなーと思い書きました。図鑑にもなってた白の書の攻略本が手元にあればまたどんなデザインかちゃんと確認できたのですが…。致し方なし。
純血合体元のオロチは可愛らしい(?)ヘビというかツチノコみたいだったので、急に本格的デザインになるとはたまげたなぁ…。
次回はちょっと試したい書き方(掲示板方式)があるので遅くなるかもしれませんが、なる早で書きたいと思います。