光の国に飛ばされた筈なんだけど目の前に輪っかがある 作:ウルトラネオン
どうやら何か進展があるようです
◇ガイ
俺はオーブリングを取り出し、ウルトラマンへと変身する。
「ゾフィーさん!」
『シェアッ!』
「ベリアルさん!」
『ヘィアッ!』
「光と闇の力…お借りしますっ!」
フュージョンアップの声と共にゾフィーさんとベリアルさんの力が俺の体に溶け合い、融合する。
光と闇の力をもって形成される体は漆黒だった。
目はいつもとは違い、ベリアルさんを彷彿させるような釣り上がった目となり体中から光と闇の力が溢れ出るかのような感覚が出てくる。
そうして現れる姿は――
『ウルトラマンオーブ!サンダーブレスター!』
人としての姿から巨人の姿に変え、光と闇両方を備えた「サンダーブレスター」で暴走したジャグラーを迎え撃つ。
「闇を抱いて、光となるっ!!」
目の前に立つ魔王獣…もといジャグラーはかつての魔王獣を思わせるかのように暴れ出していた。
その特徴的な姿、鳴き声からマガツグミとでも呼ぶべきか、強烈な風や灼熱の炎が辺り一帯を破壊しつくしていく。
「オゥラッ!!」
対する俺はあのマガツグミに拳を叩き込む。
他の姿と違い、特に腕力が秀でているこの形態から繰り出されるパンチは並大抵の怪獣ならば一撃で倒れる程の威力だが、この怪獣に対してはただ怯ますのみで終わってしまう。
何度か力一杯殴っても対した効果は得られなかった。
「ゴカギガニザリャナゴ!!」
「グッ!」
マガツグミが頭部のマガゼットンのクリスタルから火球を吐き出すもそれを腕の腕力のみで俺は叩き潰した。マガツグミは何度も火球を放ってくるが叩き潰し、急いで接近し今度は赤白い光輪―――ゼットシウム光輪を形成し、奴に攻撃していく。
ガリガリと着実に削っていくがそれをマガツグミは許す筈もなく、マガジャッパの腕で俺を殴りつけた。
「グワッ!?」
「ゴガアダカァ!!」
続いてマガパンドンの腕、そして2本生えているマガタノゾーアの顔が俺の肉体に攻撃を加えるも俺は怯まずに光輪で魔王獣モドキを削っていく。
足掻くかのようにマガツグミはマガタノゾーアの頭で闇の瘴気を放ってくるが生憎だな、この姿じゃちょっとやそっとの闇の力は通用しない。
ある程度削り切ると俺はその胴体に回し蹴りを放ちマガツグミを後退させる。
「ゼットシウム……光線!!」
両腕に光と闇の力を混ぜ合わせて放つサンダーブレスターの必殺技、ゼットシウム光線を放ちマガツグミに命中させる。
奴はゼットシウム光線を受けて大きな悲鳴を上げるがまだは死んでなどいない。このまま光線を当て続けて奴を倒す―――と思っていた矢先。
「ガザガダナリァナァァァ!!!」
「何っ!?」
マガツグミはゼットシウム光線をその両腕で縦に切り裂いた。光線は中断され少しの驚きと共に、その隙を見逃さなかった奴はマガタノゾーアの頭とマガゼットンの頭3つを使ってビームを放ってきた。
気づくのが遅れた俺はそのビームをもろに喰らってしまい倒れてしまう。
「グッ…」
「ガザカナガダザタァ!!」
統一されない鳴き声を響かせながら俺に馬乗りし両腕で俺の顔を何度も殴りつけてくる。
数回殴られるがただ黙ってやられる訳にもいかず俺はフュージョンアップを行う。
ジャックさんとゼロさんの力を合わせた形態、ハリケーンスラッシュへとフュージョンアップを果たし頭部に装着されたオーブスラッガーを発射し馬乗りしていた魔王獣モドキを切り離す。
「光を越えて、闇を切る!!」
手を水平にしてハリケーンスマッシュ特有のスピードを活かし、マガツグミに素早い手刀とさっき放ったオーブスラッガーを使って連撃を繰り出す。
とても早いスピードで魔王獣モドキを翻弄するが、煩わしく思ったのか全身から赤い稲妻を放つ。それに気づいた俺は高速移動を止めて距離を取る。
オーブスラッガーを手元に引き寄せ回転させる事で出現するオーブスラッガーランスを手に取り、ランスに付いているレバーを1回引く。
「オーブランサーシュート!!」
オーブスラッガーランスを構え、先端から光線を放つ。
マガツグミに命中し赤い稲妻を放っていたそれは勢いが止まる。そして高速のスピードでオーブスラッガーランスを魔王獣モドキに突き刺す。
「このっ!!」
「カアタザカッアガ!!」
オーブスラッガーランスを振り回しマガツグミに傷を付けていく。縦に、横に、斜めに切り裂いて行くが突然切っ先がマガジャッパの左腕に吸われていく。
「なっ!?」
マガジャッパの腕は吸引力のある腕でもありその力は戦った俺も良く分かっていたつもりだ。だが奴の腕はその吸引力でオーブスラッガーランスを吸引し掴み取った。
勢いを殺された俺はまた隙をさらけ出してしまい、マガパンドンの右腕で胸を切り裂かれた。
「うわぁっ!?」
大きく吹き飛び地面に突っ伏す。
新たな攻撃が来ると直感で感じ取りすぐさま飛び立つと今居た位置にマガゼットンの火球が飛んできたのだ。
間一髪で避けた俺は再び形態を変える。
俺本来の姿であるオーブオリジンとなって握りしめたオーブカリバーをもって上空から大きく振りかぶってマガツグミを切り裂いた。
俺自身もこの攻撃はいい具合に入ったと感じそのまま攻撃を続けようとするが、その剣は振り下ろす事は出来なかった。
その切った傷跡から魔人態となったジャグラーが見えたからだ。
「ジャグラー!?」
「ウウッ……アアアアアッ!!」
マガツグミの中にいたジャグラーは…とても苦しんでるように見えた。何かを後悔しているかのような…そんな感情をさらけ出しながら。
「ジャグラー…!」
「カザタナハダハザァ……!!!」
マガツグミの傷が塞がっていき再びジャグラーは見えなくなった。少し戸惑ったがそれでも俺はオーブカリバーを振るった。
マガツグミに攻撃を加えていき、その攻撃を加えた分だけ奴も俺に攻撃を加えていった。
何度もそんな事を繰り返して、俺はマガツグミのその腹にオーブカリバーの切っ先を突き刺した。
「グゥゥゥゥゥッ!!!……ッ!?」
突き刺した先からエネルギーが溢れ出した。
そのエネルギーはマガツグミの物ではなく中にいるジャグラーの物だった。それに腕が触れて肩に、そして胸へと伝わっていく。
そして俺はジャグラーの想いを知るのだった。
ファーストミッションの最後、アスカさんとムサシさんからの謝罪を受けて再び迷った事。
刑務所惑星でカケルの戦う理由を聞いた事。
そして……イシュタールでカケルを斬った事。
ジャグラーはずっと後悔していた。いや、ジャグラー自身にとってそれは過ちにも思えていたのかもしれない。
俺達光の戦士を越える…それがこうも違った形で実現してしまった。
ジャグラーは認めたくなかったのだ。守れば守ろうとする程…どうしても届かない物があるという事を。
だからこそ非情になり強大な力を以て大を生かし小を捨てる、そんな戦いをジャグラーはしてきたのだ。
カケルを殺したのも…本当はその剣はトーアに向けられる物だった。
予想外の連続…そしてカケルの死。ジャグラーはあの日から止まる事など出来なかったのだ。
ジャグラーのしてきた生き方は他者を犠牲にし平和を掴む事。
その過程で死んでしまった者達の事を思うとジャグラーに止まる事なんて出来なかった。
そしてその道を突き進んでいった結果、今はその強大な力に飲み込まれてしまっていたのだ。
俺がカケルに託された想いを言ったのが最後のトリガーとなったのだろう。
ジャグラーは毎晩、寝るたびに幻覚や幻聴を起こしていた。その幻覚はカケルの姿を形取りジャグラーに呪いの言葉を浴びせていたのだ。
だから止まる事なんてしなかった。死んでしまった者達の怨念を背負いながら…本当は怨念なんてないのにも関わらず、許されることはない果てのない道をジャグラーは彷徨っていた。
「ジャグラー……ッ!!」
そんなに…そんなに後悔しているならば…。
ふと、カードホルダーの中から光が漏れていた。