光の国に飛ばされた筈なんだけど目の前に輪っかがある   作:ウルトラネオン

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最後の戦い

◇カケル

 

作戦会議的な話をしている時から遠くに気配を感じていた。それはガイさんも同様で、その気配が近づくにつれて正体は分かっていた。

 

ガイさんに促され、ジャグラーさんは物陰から姿を現した。

 

「ジャグラーさん…」

 

「ジャグラー様…?」

 

ビランキちゃんの顔が真顔となり、脇目も振らずにジャグラーさんの元へ走り出しジャグラーさんに飛び掛かる。何処からそんな力が出てくるんだと思う程飛び上がり、獲物を見つけた獣の如く襲いかかるもののジャグラーさんは少し身をよじって避ける。

 

そして俺達の背後に…言うなればナオミさん達を人質にするかのように瞬時に移動した。その手には蛇心剣が握られており、切っ先をナオミさん達4人へ向けていた。

 

「ジャグラーさん…それはどういう―――」

 

「動くな。動けばコイツらを切る」

 

ピタッと俺の動きを止める。そこにあったのは何処か掴みどころのないもののとても頼りになるジャグラーさんの姿は見る影もなく、ただ弱りきっているものの焦燥していた。

俺ははっきりと言葉をジャグラーさんに向けて発した。

 

「ジャグラーさん、俺帰ってきましたよ」

 

「…………」

 

「だからもう思い詰めなくていいんです。俺はこの通り生きてます」

 

「…………」

 

「だからもう一度一緒に…」

 

「―――何故、何故なんだ。お前はいつもいつも…」

 

「ジャグラーさん…?」

 

蛇心剣を握っている手が震えていた。

 

「なんでお前はそういつもいつもいつもいつも!!俺を繋ぎ止めようとするんだよっ!!!」

 

「俺はお前の守るべき物を殺そうとしたんだぞ!?マガタノゾーアを復活させようとして………そして、お前を殺した!!」

 

その言葉に驚いたのは俺達の事情を知らないSSPの皆と渋川のおやっさんだった。信じられないような目、困惑している顔など表情が沢山あったが…ここまで言ったなら話した所で問題ないだろう。

 

「そうですね、俺は確かにジャグラーさんに殺されました。この事実は変えられません」

 

「そうだ!この事実は変えられない、だからこそお前は俺を恨むべきだ!敵だと思わなきゃなんねぇんだよ!!なのに……なのにっ!」

 

「どうして俺を突き放さない!?そうするだけの事を俺はしてきた筈だ!ガイ、お前もそうだ!お前だって俺を恨んでいただろう!?」

 

「言った筈だ、俺はお前を救うと。その決心は変わらない」

 

「それがおかしいって言ってんだよ!どいつもこいつも俺を繋ぎ止めようとしやがって!!」

 

「ジャグラーさん、もし貴方が何も顧みない…破壊を望むだけの人なら俺はとうの昔に突き放してます。でも、ジャグラーさんはそうじゃない人です」

 

「勝手に…お前の理想像を俺に押し付けるな!」

 

「ならどうして何度も助けてくれたんです」

 

そう言うと、ジャグラーさんは言葉を詰まらせた。命の木の時もそう、イシュタールの時だって助言やサポートをしてくれていた。

……トーアの時は正直な話、どっちが正しいかなんて誰にも決められない。俺はトーアの命を、ジャグラーさんは俺達含めた未来の事を考えていた。もしトーアが殺されてたらどうなっていたかなんて…考えたくもなかった。

 

「ジャグラーさん、俺は変わりません。もしジャグラーさんが間違った道に行こうとするなら全力で止めるし突き放したりなんかしません」

 

「なんで……なんでお前は変わらねえんだ…!」

 

「それが俺の良い所だって、先輩が言ってくれましたから」

 

そう言って俺はガイさんの方へと顔を向ける。目が合ったガイさんは微笑んでくれた。

 

「ジャグラー、もうよそう。お前にだって、まだ光は残ってる筈だ」

 

「俺は…俺は……!」

 

ドオンッ!!

 

ふいに背後から爆発音が鳴った。トーアとマガタノオロチの戦闘音だろうか、すぐ振り向くとマガタノオロチが放ったマガ火球がジャグラーさん達のいる場所に落下しようとしていた。

 

「ジャグラーさん!!」

 

「ジャグラー!!」

 

 

 

 

マガ火球はジャグラーさん達を飲み込み、爆炎を撒き散らす。

襲いかかる熱波にただ手で防ぐ他なかった。

熱波はすぐ収まり、俺とガイさんが駆け寄る。あの爆炎を喰らったら一溜まりもない、早く安否を確かめなきゃ…と思ったが止んだ爆炎の中から人影が現れる。

 

「……っ」

 

「あ、アンタ…私達を…」

 

「へ……?俺生きてる…?」

 

「僕達死んだのかと…」

 

「し…死ぬかと思った〜……」

 

守っていた。

火球からも、爆炎からもSSPの3人や渋川のおやっさんを守り抜いたのはジャグラーさんだった。無理をしたのか膝から崩れ落ちたジャグラーを見て、俺とガイさんでしっかりと体を支えた。

 

そして、ナオミさんだけは特に驚いた顔をしていた。

 

「夢で出てきた……ガイさんじゃなくて貴方なの…?」

 

「…………」

 

「……やっぱりな。―――お前なんだろ?ナターシャを救ったのは」

 

「ナターシャ…?それって私のひいひいおばあちゃん…?」

 

スレの皆からのネタバレのせいで知っていたがやはりここでも話が繋がるんだな。そして、ジャグラーさんがナオミさんのひいひいおばあちゃんを助けたという点だけはどうやら変わらないらしい。ジャグラーさんとガイさんの顔を交互に見つめるナオミさんに、ガイさんは優しく頷いた。

 

そして、疲れ切った顔でジャグラーさんが静かに呟いた。

 

「無意識だった。俺にとってはどうでもいい存在だったんだ……なのに、何故……」

 

「それがジャグラーさんだからですよ」

 

俺の顔を、恐る恐る見上げるジャグラーさん。そして俺は、はっきりと伝える。

 

「どんなに道を違えたってジャグラーさんはジャグラーさんです。だから俺は、何度だって手を伸ばすんです」

 

「………俺、は」

 

と、そこでマガタノオロチの叫び声が聞こえる。振り向くと、まだトーアと戦っていたが流石は大元。あれだけ攻撃を受けてもピンピンしていた。トーアの方もやられてはないものの、手詰まりといった状況だ。

 

俺はガイさんに視線を合わせ、頷きあう。行くしかないと。

 

「ナオミ、ジェッタ、シン、渋川のおやっさん。今まで黙っていて済まなかった。そして迷惑もかけた」

 

「え…?」

 

「えちょ、ガイさんいきなり何言うのさ!?」

 

「そして、お前達にはマガタノオロチを倒す方法を探して欲しい。俺達2人だけじゃ厳しい、お前達の力が必要だ」

 

「それはどういう―――」

 

言いかけた所でマガタノオロチがまた雄叫びを上げた。被害は酷くなる一方、奴を倒す方法だって完全には分かってない。でも…それでも。

 

「それとナオミ、気は進まないだろうがジャグラーの事を頼む。不器用な奴なんだ。少しは許してやってくれ。―――行くぞ、カケル」

 

「はいっ!」

 

「えっ…えっ!?」

 

ガイさんはオーブリングを取り出し、腰のホルダーからカードを1枚取り出す。そのカードはオーブオリジンの姿が描かれていて、そのカードをリングの内側に通す。

 

『覚醒せよ!オーブオリジン!』

 

「オーブカリバーッ!」

 

出現したオーブカリバーを掴み取り、リングを回して光の力を一気に開放しする。

同じタイミングで変身アイテムを大きく空に掲げ、高らかに叫んだ。

 

オォォォォォブッ!!!

 

フィフティィィィ!!!

 

ガイさんの故郷のメロディと共に俺達は巨大化する。

目指すはマガタノオロチの頭上、戦闘が行われているあの場所に俺達は飛び立って行く。

地球を…皆を守る為に。

 

 

 

 

 

 

マガタノオロチは少しばかり怒りを感じていた。

目の前の同類は極上の食い物だ。それがこれ程までに抵抗するのだから、目の前のご馳走にありつけない子供のように暴れていた。

 

早く食いたい。

その硬い殻、鋏、足、心臓。

 

余す事なく食い尽くし、溢れ出る幸福感に酔いしれたい物だ。だがそれも、この同類が倒れればの話だ。すぐに終わる物だと思っていたが中々しぶとい。

 

火球、マガタノ迅雷、異臭、触手、竜巻のどれを取っても確実に対処される。どんなものでも切り裂く風は光線で吹き飛ばされ、触手や火球は触手で対応され、自身の必殺は闇の瘴気で防がれていた。

 

だが、いつまでもそれは持つはずはない。

 

現に、初めと比べれば何処か疲れているようにも見える。つまり相手には必ず限界がある。ならばその限界を迎えるまで遊べばいい。その後でゆっくり頂くとしよう。

 

 

 

確かにマガタノゾーアに変身したトーアには限界がある。本体であるマガタノゾーアならまだしも、制御や鍛錬を行っても誰しも限界がある。まだまだ戦えるがこの状況がこのまま続いても拉致が明かない。それに―――

 

「(街が…ボロボロ…)」

 

何も持久力の話だけではない、戦闘によって出る被害も無視出来ない物だった。幾らマガタノオロチが倒せた所で住んでいる所が駄目になってしまっては元も子もない。

 

つくづくガイさんやカケルの戦いが凄かったのかが分かる。両方とも、極力街の被害を抑えて戦っていたのだから。

相手が相手だとは言え、2人のウルトラマンには尊敬すら抱く。

 

「(それでも…私に出来る事を…!)」

 

足らない部分があるのは認める、だからってやらない理由にはならない。きっと、あの2人もそう言う筈だから…!

 

勢いを込めた攻撃がマガタノオロチに刺さる。光線、闇の瘴気、鋏での打撃がマガタノオロチを襲いかかるがそれでも奴はまだ倒れない。

 

マガタノオロチが大きく口を開け、再びマガタノ迅雷を放とうとする。もう一度、闇の瘴気を操って防御を……としようとしたがマガタノオロチは放ってこなかった。

 

「(どういうこと……攻撃をやめるなん―――違う視線を上に…!?)」

 

マガタノオロチが攻撃を止めたのは他でもない、この同類以上に厄介な存在が上空から接近している。

視線をマガタノゾーアから外し、接近している者達に正確にマガ穿孔を放つ。

 

マガ穿孔は貫通力、威力そのどちらも高い。万が一に撃ち落とせなくても勢いを殺せばどうとでも対処出来る。

 

一言で言えば、マガタノオロチの選択は間違っていた。慢心もしていなければ侮っていた訳でもない。寧ろ、通常ならマガ穿孔を放てば並の生命体ならそれで終わる。

 

だが接近している者達は普通の生命体などではない。

 

「フィフティウムミラージュ!!」

 

もしマガタノオロチがこの鏡を前回の戦いで見ていれば違った対処の仕方をしていただろう。

 

放たれたマガ穿孔が鏡に当たって跳ね返る。

この事実をマガタノオロチは知らないのだから。

 

「ガァァァァァァ!?」

 

跳ね返ったマガ穿孔がマガタノオロチを貫く。流石のマガタノオロチもこの事実に驚いたが、別に致命傷ではない。だが傷は傷だ。痛むし亀裂も入る。そして何より体勢を崩してしまった

 

 

「「シェアッ!!!」」

 

その隙を狙い―――2人のウルトラマンはマガタノオロチにダブルキックをぶちかましたのだった。

 

 

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