光の国に飛ばされた筈なんだけど目の前に輪っかがある 作:ウルトラネオン
◇カケル
「ごめん、待たせた」
「大丈夫かトーア?」
マガタノゾーアに変身したトーアの前に俺達は降り立った。
マガタノオロチにダブルキックをぶちかましたのにもう起き上がってやがる。
うるさい雄叫びを上げているマガタノオロチは喜んでいるようにも見えた。まるで、ご馳走が来たとでも言わんばかりに。
「カケル…ガイさん…」
「トーア、ここからは選手交代。すぐ近くにいるジャグラーさん達を守ってあげて」
「大丈夫なの…?」
心配そうに俺達を見てくるがオーブ先輩がそれを制した。
「心配するな…って言うのは難しいな。けどな、俺達はウルトラマンだ。任せておけ」
「……はい。2人とも気を付けて」
そう言ってトーアは紫色のオーラを放つと霧のように霧散していった。
と、会話をしていた俺達に問答無用でマガタノ迅雷を放ってくるマガタノオロチ。しかも、マガ火球やマガ穿孔も付属だ。
「シェアッ!!」
「ハァッ!!」
互いに逆方向の側転で攻撃をよけ、さっきの跳ね返しを警戒しているのか俺には一切マガ穿孔を撃ってこなかったばかりかオーブ先輩にマガ穿孔を連発してきていた。対する俺の方にはマガ火球の雨、さっきの二の舞いはしないと学習したのか。
だが甘い。
鏡を作れるのは俺だけだと思ったら大間違いだ。
「闇を照らして!悪を討つ!」
「ガァッ!?」
マン先輩とティガ先輩の力を纏った形態、スペシウムゼペリオンとなって円形のバリアーを貼った。そのバリアーは普通のとは違い鏡の反射能力を備えた代物。
見破れなかったマガタノオロチにマガ穿孔の反射が当たり、再び痛がる姿を見せるがそんな事はお構い無しだ。
「チェーンソー光輪!」
超スピードで近づき、両腕に生成したチェーンソー光輪でマガタノオロチの顔を集中的に切り裂く。無論、いつもみたいにバッサバッサ切れる訳ではなくよくやって小さな傷が無数につくくらいか。
だが決して安くはないダメージで、マガタノオロチも後退しつつ触手で捉えようとしてくるが超スピードで避けながらもマガタノオロチに喰らいつく。
学習してるのはそっちだけじゃねえんだよ!
「オオオオオオォォォォォ!!!」
「ガァァァァァァ!!!」
痺れを切らしたのかマガ穿孔まで放ってくるが、スレスレで避けつつまだ喰らいつく。触手だろうがなんだろうが、全部避けてひたすら切り裂く。が、マガタノオロチも馬鹿じゃなかった。
「ゲェェェップ!」
「臭ッ…………!?」
攻撃ではなく臭い。最悪攻撃を喰らおうがダメージも無視で切り裂くつもりだったが臭いは流石に防げない。ほんの一瞬とも言える隙が、マガタノオロチを勢いづかせる結果となってしまい……。
「ガァァァァァァ!!」
「ぐあっ!?」
俺の左腕をその強靭な顎で噛みついてきた。ガジガジと噛まれ続けるも、抵抗の1つとして腕に光輪を生成する。光輪ラリアットと同様の物を作り出して奴の口の中で切り裂こうとするが、俺に異変が起こる。
「コイツ…俺の光のエネルギーを…!?」
「ガガ、ガガ」
マジかこいつ…!?食い散らかすのは光線だけじゃないのか!?全身に痛みと脱力感が襲いかかってくる。
「ガイ…さんッ!」
「任せとけっ!!」
腕に噛みつかれたのは囮、本命は事前に上空で待機してたオーブ先輩がクソデカ光輪を作り出す時間稼ぎをしていた。スペシウムゼペリオンならば自分の体格よりも大きな光輪を作り出す事が可能で、それはマガタノオロチにとっても巨大な物となる。
マガタノオロチはまだ俺の腕に夢中のようでオーブ先輩に気づいてない。だからこそ明確な隙となる。
「スペリオン光輪ッ!!」
空いている腕にエネルギーを溜めてフィフティウムパンチをマガタノオロチの顔に数回叩き込む事でようやく離した。自由に動けるようになった俺はすぐ様離脱し、マガタノオロチも気づいた時には既に遅かった。
「ガァァァァァァ!?」
流石に自分より巨大な物を食べようとしても口が開く大きさには限界がある。超巨大光輪はマガタノオロチに迫っていき、マガタノオロチはマガタノ迅雷で迎撃を始めた。
だが、ただの光輪だけじゃない。
今もなお、マガタノ迅雷で超スペリオン光輪を防いでいる所に急接近した俺は光輪の中心に腕を通す。光輪ラリアットと同様の事をして勢いを思いっきりつかせた。
「吹っ………飛べっ!!」
「ガァァァァァ!!」
マガタノ迅雷も徐々に押し返され、最後にはその大きな口を光輪がガリガリと削っていた。
このままこれで―――と思った矢先、光輪の回転が止まった。
「……マジかっ」
「ガァッ!!!」
マガタノオロチの口に挟まれた光輪は急速に回転の勢いを無くしていき、挙げ句の果てにボリボリと光輪を食い出した。一瞬、悪寒を感じた俺はすぐに光輪から離れるとあれだけ大きかった光輪を一瞬で平らげたマガタノオロチは満足そうにゲップする。
あのままいたら恐らく俺もまた食われていただろう。そう思わせるくらい、アイツの食欲は凄かった。
「紅に!燃えるぜっ!オォウラァッ!!」
オーブ先輩は姿を変え、タロウ先輩とメビウス先輩の力を纏ったバーンマイトとなる。自らエネルギーをその身に溜め込み、炎となって溢れたそれでマガタノオロチに突撃していった。
「ストビューームッ!!ダイナマイトォォォ!!!」
「ガァァァァァァ!!」
マガタノオロチにぶつかった直後、オーブ先輩が爆発し、マガタノオロチを炎で焼き尽くした。
え!?あれもしかして自爆技!?
驚いた直後、スレの皆からあの技はどちらかといえば全身にエネルギー纏ったタックルのような物なので自爆に見えるが自爆技ではないとの事。
なんだ、と安心したがオーブ先輩が使っている力の先輩達はマジの自爆技使えるらしい。流石にちょっと引く。
だがそんな技でも…マガタノオロチには通用していなかった。
「ガァァァァァァ!!」
「これも駄目か…!」
「アイツ本当に不死身か…!?」
この戦闘だけじゃない、トーアとの戦いも…そして一回目の戦闘の時だってコイツは戦っていた。それ相応にダメージも与えた筈だがそれでも倒れない。ここまでタフネスなのは軽く絶望くらいする。
けど、今はSSPの皆がマガタノオロチを倒す方法を懸命に探してくれている。それだけじゃない、スレの皆や配信視聴者の人達にも考察を立てて貰っている。
まだまだ倒れる訳にはいかないと、思った時だった。
「マガタノオロチの目が光っ―――ぐあっ!?」
「カケルッ!?うわっ!?」
なんだ!?なんで背後から……!?
振り向くとそこには黒い靄が……闇の瘴気が少しばかり溢れていた。
……成程、全部の魔王獣の力を使えるって言ってたな。当然これも使えるか。
甘く見ていた。戦闘に入る前、あの攻撃を使えるという予想はスレの皆も俺も立てていた。けどここに来るまでただの一度も撃ってこなかった。だからこそ完全に頭からその思考を剥がされていた。
そして最も効果的な場面で闇の瘴気の光線を使い、まさしく効果覿面だった。この倒れた隙をマガタノオロチが逃す訳ない。
「ガァァァァァァ!!」
「グァァァァァッ!?」
奴はマガタノ迅雷でもなければマガ穿孔でもなく、空が覆い尽くされる程のマガ火球を放ってきた。まだマガタノ迅雷ならオーブ先輩と俺ならば死ぬ気で避けてたしマガ穿孔ならばミラージュで跳ね返していただろう。
けどマガ火球は一発の攻撃力はそこまで高くはないが連射力は他よりも随一だ。馬鹿げた数を放ってジワジワとダメージと体力を削っていき、完全に止めを刺すつもりのようだ。
俺達はマガ火球の雨に晒されながらも、急いでこの場から離れようとする一心で立ち上がる。が……。
「ガアッ!!」
「触手…!?」
「コイツ何処まで狡猾なんだよ…!」
絶対に逃さないという意志すら感じる。触手はマガタノオロチからではなく地中から伸ばし俺達の四肢を捉えた。
逃げられない、そしてマガ火球が降り注ぐ。
そして遂に、俺達のカラータイマーが激しく点滅し始めた。
マガタノオロチが勝ち誇ったように吠える。
鬱陶しいその声を響かせながらも、マガタノオロチはその巨大な口に全身からエネルギーを収束させていた。
やっべぇ…!?
あれまともに喰らったら勝ち目がほぼなくなるぞ…!?
必死に藻掻き、動かそうとするも触手のせいで全く動かせない。フィフティウムミラージュを起動させようにも上手く力が入らないのかうんともすんとも言わないばかりだ。
「ガァァァァァァ!!!」
マガタノオロチの口が大きく開く。
今まさにそのエネルギー波が俺達に向けて放たれようとしたとき―――
キイン。
マガタノオロチが大きく吹き飛ばされた。