光の国に飛ばされた筈なんだけど目の前に輪っかがある   作:ウルトラネオン

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スレ82

◇カケル

 

ジェッタ君から伝えられたマガタノオロチ攻略方法。それはスピーカー越しからでも分かるくらい言うのが辛いんだろうと分かった。確かに聞く限りでは無茶な作戦だ。

 

マガタノオロチの体内に入って中心にある器官を結界なり何なりで封印、持ちうる限りの光線で殺し切る。

言うのは簡単、しかし実行は難しいと来た。

 

「ガイさん、ジャグラーさん…」

 

「ああ…かなり難題だな…」

 

「そもそも出来るのかよ?奴の体内に入り込む事自体が」

 

「気合でなんとか」

 

「だな」

 

「………そうか」

 

等、軽く話しているがマガタノオロチの攻撃を捌きながらの会話だ。ぶっちゃけきつい。

それに問題はそれだけではなく、奴を倒すのに必要なエネルギーが明らかに足りてないという事だ。今はジャグラーさんと一緒に戦っているという強力な気合バフでなんとかなっているが、いつまでも持つはずがない。

 

と、悩んでいると説明ニキが1つの提案をしたのだ。

奴に入り込んで器官を塞いでも肝心の光線の威力が足りない…ならば増幅させようとの事。

 

ようは、ダブルオリジウム光線と同じ事をすればいい。

ガイさんの奥の手―――オリジウムギャラクシスとジャグラーさんの必殺斬撃、それに対してフィフティウムミラージュで放てる先輩方の光線と俺の光線をぶつけて増幅させるという事だ。

確かにそれならいけるかも知れない。それなら―――

 

「ガイさん、ジャグラーさん。今の作戦にもう一つ手を加えます」

 

「…何をする気だ?」

 

「マガタノオロチの体内に潜り込んで結界を張った後、互いの全ての光線をぶつけ合うんです」

 

「そうか!ダブルオリジウム光線と同じ要領なら…おっと!」

 

マガタノ迅雷がオーブ先輩に襲いかかるも、身をよじって避ける。からの俺とジャグラーさんのダブルキック、そしてダブルパンチでマガタノオロチを押し返す。

 

この攻防が長引いてるせいかマガタノオロチが怒り狂っているようにも見える。ただ食いたいという欲望が増幅し、一層攻撃が激しくなる。

…これは奴の体内に潜り込むのが更に難しくなったな。

 

「ならっ!隙を見て俺が奴の体内に―――」

 

「駄目ですっ!その役目は…俺がしますっ!」

 

「カケルお前っ!」

 

「ガイさんが言いたい事は分かりますっ…!けど太平風土記にも書いてあったでしょ!?混沌の光を以て討ち滅ぼされんって…それはきっとガイさんとジャグラーさんの事なんですっ!」

 

マガタノオロチの触手を切り裂きながら、ガイさんに大きく伝える。

 

「大丈夫です、俺は今度こそ絶対帰ってきます!だから―――」

 

「…行かせてやれよ」

 

「ジャグラー…」

 

迫りくるマガ火球を悉く撃ち落とし、今もその勢いを止めないジャグラーさんだったが少し手を止め、ガイさんの方へと向き直る。

 

「コイツは、自信があるって言ってんだ。ならやるだろ。―――ただしカケル、分かってるよな」

 

「勿論ですっ!」

 

「よし…突破口は俺が作ってやる。存分にやって来い!!」

 

そう言うと、ジャグラーさんはマガタノオロチに勢いよく飛び込むと蛇心剣を振るって次々と斬り裂いていく。が…マガタノオロチから生えてきた触手がジャグラーさんを絡め取る。

 

急いで触手を切ろうとしたが、俺が近づくよりも先に弾丸のような物が俺を通り越して触手に当たる。

 

触手は千切り飛ばされ、ジャグラーさんは拘束から逃れていた。一瞬、ガイさんの攻撃かと思って振り返るもガイさんも同時に驚いていた。一体誰が……と思ったがその疑問はすぐ解消される。

 

『全機、マガタノオロチに向けて攻撃を開始。ウルトラマン達の邪魔をさせるなっ!』

 

『『『了解ッ!』』』

 

おん?

なんか戦闘機がマガタノオロチに向けて攻撃を仕掛けていた。そこでスレ民の皆から補足が入り、あの戦闘機はこの地球の防衛隊……渋川のおやっさんが所属しているチームの戦闘機らしい。

 

この地球には防衛隊がいるのか、と関心したものの手伝ってくれるのなら今この瞬間はとても有り難がった。

防衛隊の攻撃はマガタノオロチに傷すら付けられないだろう、だがその波状攻撃は鬱陶しく感じているらしい。現にマガタノオロチは防衛隊に向けてマガタノ迅雷やマガ火球を撒き散らしている。

 

かくいう防衛隊も、それらの攻撃を難なく避けているのでこっちがカバーする程でもなかった。

その隙に俺達は準備を始める。

 

「俺の体を限りなく光に近づけて、ガイさんの光線と一緒に奴の体内に潜り込みますっ!なのでジャグラーさんっ!」

 

「俺に指図するなんざ100年早いんだよっ!」

 

言いつつも、ジャグラーさんはマガタノオロチの顎下から上にかけて蛇心剣で斬り上げ、仰け反ったマガタノオロチの口を大きく開けさせた。

 

「行けぇぇぇぇぇっ!」

 

「ガイさんっ!」

 

「―――シェアァァァッ!!」

 

ガイさんがオリジウム光線を放った瞬間、その光線に流れるように紛れる。その最中、スレ民の皆に1つだけ頼み事をする。

 

向かう先はマガタノオロチの体内、奴を倒す為に最後の戦いに挑んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――重い。

 

恐らくマガタノオロチの体内に入り込めたのだろう。だがこの魔王獣の体内は重力があるのか…はたまた何かの力が働いているのかは分からない。

 

だが体が動かない。そうピクリとも動かせないのだ。

 

足を着く為の足場も無ければ、上下左右がどっちかなんて分かったもんじゃない。けれど、そんな状況の中でも1つだけ感じ取れる物があった。

 

「(何かに…引っ張られてる)」

 

体は何処も動かせないのに、何故か引っ張られている感覚。もしかすると、シン君が言っていたマガタノオロチの中心核に引き寄せられているのかもしれなかった。

 

もしそれに飲み込まれれば最後、マガタノオロチの栄養となって俺は完全に消滅する。その前に何としても中心核を封印しなきゃならないのにどう足掻いたって体が動かない。

 

「(不味い…意識が…)」

 

そして何より、引っ張られると同時に段々と意識が遠くなりそうになる。

 

事前には知っていた。スレ民の皆から言われていたが、もしかするとマガタノオロチの体内に入り込むと意識も段々と薄れていくという事に。

 

それはあくまでステージショーでの話だから一応は気をつける程度には、と教えられたが皆の予想は当たっていた。

何も見えないこの空間の中、意識も薄れて体も動かない。

 

何より…スレが認識出来なくなっていた。

 

頭の中に流れるように表示されていたコメントもボヤけたかのように文字が認識出来ない。何か書かれているのは分かるが読めないしスレを打ち込む事も出来ない。

 

…ここに来る前、スレ民の皆に頼み事をしていた。

 

それは…「コメントを絶やさないで欲しい」

 

何も、俺だって怖い訳じゃなかった。

 

不安もあった。

 

でも、マガタノオロチを倒すにはこれくらいの事をする他ない。だから、皆が見てくれるならまだ行ける気がしていたんだ。

 

だけど…意識が薄れるにつれ、少しずつ恐怖も感じる。このままマガタノオロチに取り込まれて消滅するんじゃないかと不安も感じる。

 

 

 

 

 

 

 

このまま…俺は………。

 

 

 

 

 

 

 

『―――』

 

 

何だ…?何か聞こえる…。

 

『――ル―』

 

……ああ、この声。

 

『カ――君』

 

忘れない、忘れない。もう懐かしさすら感じる声。

 

『カケル君』

 

佐奈の声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

力が、湧いてくる。

 

 

幻聴なのかも知れない。けれどあの懐かしい声を聞くと不思議と力が湧いてくる。

まだやれる。

まだ俺はやれるんだと自覚できる。

 

だから意識も覚醒する。

 

「スゥー……フゥー……」

 

大きく息をする。意識を覚醒させた事で再びスレ民のコメントを認識する事が出来た。背後を振り返ると、そこにはぽっかりと穴が開いていた。小さくとも大きくともないが、見ているだけで吸い込まれそうだった。

 

もう少し遅ければあそこに飲み込まれていただろう。

光の力を使い、穴に結界を張った俺は穴と反対方向へと向き直す。

 

皆、心配してくれていた。

応援してくれているコメントもあった。

だから……俺はっ!!

 

「フィフティウムミラージュッ!!!」

 

今まで出会ってきた先輩達を映した鏡を全て展開し、俺自身も腕にエネルギーを溜める。ガイさんとジャグラーさんの必殺を受け止めるにはこれくらいしないといけない。

 

 

そして、スレ民の皆が俺の体の異変を伝えてくれた。

 

全身から銀色のオーラのような物が溢れ出ていると。

不思議と違和感は無かった。寧ろ、何処か懐かしいような……。不思議な力、それを自覚すると何故か頭にガイさんとジャグラーさんが浮かび上がった。

 

意識して浮かんだ訳じゃない。

だけど…何故か俺は思った。今ならガイさん達に伝えられると。

 

「(ガイさん、ジャグラーさんッ!今ですっ!)」

 

俺は持ちうる全ての光線、自身が放てる光線を惜しみ無く放った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

同時刻―――

 

 

「聞こえたかジャグラー!?」

 

「ああ…」

 

ジェットビートル隊とオーブとジャグラー、その三者がマガタノオロチに戦闘を続けている時だった。

 

オーブとジャグラーには確かに聞こえたのだ。マガタノオロチに入り込んだ後輩の声が。

 

「やるぞジャグラー…これで決着だ」

 

「フン…」

 

ジャグラーは蛇心剣にエネルギーを伝達させると予備動作を行い、オーブはインナースペース内にて所持していた全てのウルトラフュージョンカードの力を開放する。

 

「諸先輩方、光の力…お借りしますっ!」

 

計8枚のカードは中を舞い、エネルギー体となってオーブの側に現れる。

 

左側にウルトラマン、タロウ、ジャック、ゾフィー。

 

右側にティガ、メビウス、ゼロ、ベリアル。

 

オーブカリバーを天に掲げ、虹の円を描く。

それぞれのウルトラマン達は、予備動作を行っていつでも光線を発射出来る状態となった。

 

互いの剣は、同時に振り下ろされた。

 

オーブスプリーム…カリバァァァァァ!!

 

新月斬波ァ!!

 

三日月の斬撃が、光も闇も混じった光線が、マガタノオロチに放たれる。

 

余程のエネルギー量だったのか、マガタノオロチは大きく口を開けると光線と斬撃を飲み込む。

グア、グアと美味しそうに飲み干していき自身の糧へと変換されるかに思えた。

 

マガタノオロチの様子がおかしくなる。

これ程の光線は、惑星という規模に比べたらまだまだ矮小に過ぎない。だと言うのにそのエネルギーを飲み干すばかりか、次第に体内で増大していく。

 

どういう事だと思った時には既に遅かった。

 

体内に入り込んだフィフティの光線と、オーブとジャグラーが放った光線や斬撃がマガタノオロチの中で互いに干渉しあって大きく膨れ上がっていく。何より自身の器官が封印され、溢れるエネルギーを変換出来ずにいた。

 

変換されないという事は、逃がす場所がないという事。

エネルギーはどんどん膨れ上がっていく。飲み干す事を中断しようとも、その光線と斬撃の勢いが強いせいで口を閉じる事が出来なかった。

 

マガタノオロチは吠える。

 

食いきれない光線を食い続け、膨れ上がっていく自分に恐怖し……やがて大きな爆発となってその身を肉片の一片も残さず灰燼と成り果てたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思ったよりも光線の勢いが強すぎたのか、爆発の影響は大きかった。幸いにも周辺に人はいなかった為人的被害はなかったが、街の中心に大きなクレーターが出来上がったのだ。

 

爆発の影響で煙が濃い。オーブとジャグラーは辺を見回すと、クレーターの中心に1つの光が現れた。

 

 

煙が晴れ、現れたのは青い巨人。

その姿は、もう立てないと疲れ果てたかのように座り込んでいた。

 

「つ、疲れた………」

 

オーブとジャグラーはその姿を見て安堵し、フィフティに労いの言葉を掛けに行ったのだった。

 

 




遂に、マガタノオロチと決着がつきました。

なんか終わりそうな雰囲気出してますがまだまだ続きます。
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