光の国に飛ばされた筈なんだけど目の前に輪っかがある   作:ウルトラネオン

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スレ86

◇カケル

 

この宇宙船は、一言で言えば要塞のようにも思えた。

宇宙船と言えば、大体は円盤の形だったり文字通り船のような見た目が多数存在する。本当に変な形をした宇宙船も見たこともあるがそんなのは稀だ。

 

そんな先入観を持った俺だが、目の前の宇宙船はその変な形をしたタイプの宇宙船だ。

 

上部と下部に分かれていて、上部は竈を少しだけ平たくしたような見た目で、下部は三角錐を逆さまにしたような物だ。

それがアンバランスに繫がっているのだから歪なのだ。

 

それていてこのデカさ。

近づけば近づく程、自分がアリになったのかと錯覚するくらい大きかった。

 

超スピードで近づいていっている最中、宇宙船から数えるのが馬鹿らしくなるくらいの光が点滅しだした。

 

「あれ?なんか嫌な予感…」

 

次の瞬間、大量の光線がこちら側に飛んできた。

 

「嘘ぉぉぉぉ!?」

 

「(この光線の量は…!避けれるかフィフティ!?)」

 

「ヤケクソです!いちかばちか避けて近づいてやる!!」

 

波のように光線が押し寄せてくるこの光景は、ともかくやばかった。けれどこちとらウルトラマン、少しの隙間でもすり抜けてやらぁ!!

 

超スピードで敢えて宇宙船に接近し、恐ろしい数の光線をギリギリで避けていく。弾幕は濃いが、かといって抜けられないかと言われればそうでもない。

 

あの宇宙船の砲台は照射型ではないのだ。という事は光線という都合上、どうしても次弾を発射するまでのタイムラグがある。マシンガンみたいに連射型ならともかく、撃ってきている砲台はそこまで連射が速くはない。

 

ようするに、光線と次に発射された光線の間を素早く移動して被弾を無くす。一見不可能に見えるが、俺の超スピードと長年培われた攻撃を見切る技術のお陰でそれを可能としていたのだ。

 

「けどどうしても道が逸れるなぁこれ!!」

 

「(要塞に貼り付けさえすればこちらの物だ。フィフティ、地球の言葉で急がば回れという言葉が―――)」

 

「知ってます!!欲張らないで要塞に近づきます!」

 

「(がんばれー)」

 

トーアが気の抜けた声で応援してくれているが、何故こうも緊張感がないのか。聞いてみたら、「カケルなら出来るって信じてるから」だと。

 

信頼されてるのは素直に嬉しいけどきっついんだよなぁこれ!

 

「エックス先輩!大地さんの反応って本当にあの要塞からなんですよね!?これでもし居なかったらって危なっ!?」

 

「(そこは安心してほしい!伊達に私も、大地とユナイトしてきたわけではないんだ。これくらい訳ないっ!)」

 

「分っかりました!もっとスピード上げるんで振り落とされないようにっ!!」

 

「(振り落とされるもなにも君の中にいるのだから振り落とされないのだが…)」

 

エックス先輩がツッこむが今は無視した。

この光線の弾幕、要塞に近づけば近づく程より濃くなっていっている。けれどこの近づき方ならば…!!

 

どこを見ても光線だらけ。少しでも気を抜けば一発当たると見て間違いない。少しでも当たってしまえばこちらの姿勢が傾く。

姿勢が傾くという事は、隙が大きくなり被弾も増える。そうなれば嬲り殺しも同然だ。

 

だからこそ気を抜けない。光線と光線の隙間を縫って、時には大きく道を逸らしながらでも要塞に近づく。

 

そして、遂に時が来た。

 

「…ここだっ!突っ込みます!!」

 

要塞の壁面に今の俺の姿でも入れるくらい大きな入口を見つけた。ここからはもう無理矢理にでも入り込む必要がある為、多少被弾しようがお構いなしに突っ込む。

 

「オオオオオオオオオッ!!!」

 

超スピードで避けながら徐々に詰めていく。

もう少し……もう少し……………よしっ!!

 

「入ったあぁぁぁぁぁ!」

 

入口に滑り込むように入った俺は、そのまままともな着地も出来ないままゴロゴロと転がっていく。遠心力を力技で強引に止め、何とか壁にぶつかる前に停止する事が出来た。

 

「あ〜…きっつい…」

 

「(お疲れ様、フィフティ)」

 

「(お疲れ様)」

 

ふぃ〜…とため息をしつつも、体を起こす。辺りを見回すと、どうやらここは大きな広場だった。

ウルトラマンの状態で腕や足を大きく振り回しても問題ないどころか、余裕すらある大きな広場にはそこかしこに小さな入口や機械類、それに基づいた通路なんかがあったがそれ以外は何もなかった。

 

恐らくここはウルトラマンみたいな巨人タイプが通れる場所ではなく、等身大くらいの宇宙人が使っていそうな場所だった。

 

「しっかしなんだここ……こんなだだっ広い場所、何に使うんだ…?」

 

「(推測だが、恐らくここは宇宙船を止める場所……言わば港と言ったところだろう。ほら、あそこに固定する用のアームがある。恐らくあれで宇宙船をここに固定するのだろう)」

 

「…エックス先輩って機械の類とか分かるんっすね」

 

「(私が居た地球にも、こういった物を扱う組織がある。大地も所属しているXioというんだ)」

 

「成る程」

 

スレの皆からも補足が入り、そのXioとやらは防衛隊の事だそうな。確かに防衛隊なら戦闘機とか色々収容するときにそんな機械の類を使わないとままならない。エックス先輩が機械の事を知っているのも納得だ。

 

更にスレの皆から補足が入り、どうやら数いる防衛隊の中でもXioと言う組織は技術レベルがかなり凄いとの事。

なんでも、最強と名高いゼロ先輩の究極の姿の1つ…ウルティメイトゼロが纏うウルティメイトイージスを科学的に解析して作り上げたのだとか。しかもそれをエックス先輩に装着させる事も可能とかどうなんってんだ技術力。

 

話が逸れた。

ともかく、目下の目的は大地さんの救出。

このままの姿では通れないので、変身を解除して元の姿に戻る。

 

「それで大地さんは何処に?」

 

『ここからだと大地はかなり遠くにいる。それに……大地の反応がほんの少しずつ小さくなっている』

 

「それってまさか…!」

 

『ああ、大地の身に何か起きているようだ。急がねばっ!』

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

その頃地球では〜

 

 

 

 

「ともかく、街に異常がないかパトロールだな!」

 

ハキハキと喋っているのはウルトラマンギンガこと礼堂ヒカルだった。オレンジ色を基調とした服に、「UPG」とエンブレムが腕に備えられた隊員服を身に纏っている。隣にいるショウも同様だ。

 

「そうよね、街の人達に変わりがないか調べない事には始まらないもんね!」

 

「こんなとこで意気投合するんだねキャップ」

 

「最初は不審な目で見ていたあの頃は何処に行ったのやら」

 

「はいそこ、余計な事言わない!」

 

相変わらず元気なSSPの面々もやる気に満ちている。また、地球の危機が迫っていると言うのだからこうもなろう。

 

「なら俺は別々で行動する」

 

「あっ、まさかサボろうとしてるんじゃないわよねジャグラー?」

 

「んなわけねえだろ。お嬢さんには分からないだろうがな」

 

「そうよ~!ナオミになんか分からないわよ。その点、私はジャグラー様の事を隅々まで―――」

 

「頼むから誤解を生むような事を言うな」

 

漫才でもしてるかのような光景にヒカルは―――

 

「仲が良いんだな」

 

「これの何処が仲良いんだよ」

 

「もしかして照れてる?」

 

「…あのな光の戦士様、頼むから弄るのはカケルにしてくれ。こっちは苦労してんだよ」

 

呆れた顔でジャグラーが言い放つと、ヒカルは「ごめんごめん」と気の抜けた謝罪をした。そして本題に入る、何故ジャグラーは別々の行動を取るのかを…その真意を聞く。

 

「この地球に降りてきてから…ここ日本の各地から鬱陶しい感覚を感じる。そこに不貞腐れてるムルナウが原因と思ったが違った。恐らくヒッポリト星人と何か関係がある…だからこそ闇の力を扱える俺の出番って訳だ」

 

「あれ、この街を狙ってるんじゃないの?」

 

「甘いな。ヒッポリト星人は狡猾だ、何をしでかすのか分かったかもんじゃねえ。打てる手は打っておきたい、理解できたかお嬢さん?」

 

「……うん…まあ…」

 

「分かった、アンタの好きに行動してくれ。こっちは俺とショウで警戒しておく」

 

「頼む。それとこいつ等がやらかさないか見ていてくれ」

 

「心得た」

 

「ちょっと!?私達がやらかすってどういう事!?」

 

「行くぞ、ビランキ」

 

「はーい♡」

 

プリプリ怒り出したナオミをよそに、ジャグラーはビランキを抱えてSSPの拠点から飛び出した。この怒りを何処に向けたらいいのか、不完全燃焼のナオミは開きっぱなしの扉を八つ当たりするかのように勢いよく閉めた。

 

「そんなに気にするな、アイツなりに心配なんだ」

 

「おっ、ショウがまともな事言ってる」

 

「お前…!」

 

この2人も仲が良いな、とナオミは感じた。

 

「あの〜…これから俺達どうすれば…」

 

「そんなの決まってるでしょジェッタ君。いつも通りよ!」

 

「いつも通り」

 

「そうですよジェッタ君。僕達のすべき事は、聞いて、解析して、解明する事です。いつもの事ですよ!」

 

「そうだね……そうだよね!俺達のやる事なんて変わらない!いつも通りにするだけなんだ!」

 

やる事は変わらない。各々自分が出来る事を精一杯するだけだ。それがやがて迫っている脅威に対抗出来る唯一の方法なのだから。

 

「よーし、気合い入れて行くわよ!サムシングサーチピープルッ!出動ッ!!」

 

「「ラジャーッ!!」」

 

ナオミ、シン、ジェッタのその心を垣間見たヒカルとショウは、何処の地球の人も変わらないんだなと心の底からの安心と微笑みを浮かべていたのだった。

 

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