光の国に飛ばされた筈なんだけど目の前に輪っかがある   作:ウルトラネオン

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続きです


魔王獣と王女様とSSPと魔女:後編

よっこいしょっと、ダルそうに椅子から立ち上がったサデスは私達の方へ近寄ってきた。ポリポリと頭を掻きながら歩いてくるその様子は、何か魂が抜けたかのような風にも見えた。

 

ムルナウちゃんの知り合いだから察するに、部下だろうとは思うけど本気にやる気あるのかというぐらいにはだらけきっていた。

あ、近寄った途端に寝そべったし。

 

「ちょ、サデス!?アンタなんでここにいるのよ!?アンタ私の部下でしょ!?」

 

「え〜…色々とあるんだよぉ〜分かってよ〜。……あ、そこの地球人達も、何処ぞの王女様も得体の知れないお嬢ちゃんもこんちわぁ〜ガピヤ星人のサデスだよ………ふわぁぁ」

 

眠たそうに欠伸をしながらサデス君は自己紹介した。それに釣られてナオミちゃん達は自己紹介して、ムルナウお姉ちゃんは訝しんだ顔を浮かべている。

………大丈夫かなこの人。

 

「大体なんでそんなにやる気ないのよ?アンタもっとこう…熱苦しかったでしょう?」

 

「そう!そうなんだよ聞いてくれよ!僕がなんでこーんなにもやる気が無いのか!そもそもボスがここから逃げ去った事から始まりだよ!」

 

―――サデス君が言うには、ダークリングを奪われた後にカード化されていたムルナウちゃんの部下もヒッポリト星人の手に渡っていた。

ヒッポリト星人の戦力を増強する為、様々な惑星や別宇宙に赴いては楽しい楽しい戦闘があったそうな。話を聞く限りじゃ、サデス君は戦闘狂っぽい所もあるのでヒッポリト星人の部下は満更でもなかった様子。

そして何より、ヒッポリト星人とサデス君の目的は同じだった。

 

それは、ウルトラマンへの復讐。

 

最も、サデス君の場合は復讐等という大層な目的ではなくもう一度ウルトラマンオーブ……ガイさんとの対決を望んでいたのだ。

昔、ガイさんに負けたがもう一度熱い戦いがしたい……と思っていたのだが、ヒッポリト星人が先にガイさんを倒してしまった事でメラメラ燃えていた闘争心が一気に消沈。

 

数ある思考の中で、ウルトラマン側に逆転のチャンスがあるとすればそれはリュミエールの存在だった。

ヒッポリト星人には黙っていたらしいけど、勘がいいのかヒッポリト星人はリュミエールの存在を知らずともしてサデス君に宝物庫の見張りを任せていたという事だった。

 

「なら見張りなんてやめてリュミエールを渡してくれればいいんじゃないかな?」

 

「そ、そうだ!俺達はガイさん達を復活させる為に来たんだ、利害なら一致する筈だろ!?」

 

ナオミちゃんとジェッタ君が言った瞬間、サデス君は更に落ち込むかのように首をがっくりと下げた。

 

「そうしたいのは山々なんだけどねぇ…ヒッポリト星人は用心深くてね。僕の体内にあるプログラムを仕込まれたんだ」

 

「プログラム…ですか?」

 

「もし僕がヒッポリト星人に対して不利益な行動を起こそうものなら、強制的に体のコントロールを奪って操り人形にしちゃうのさ。これのせいでまともに動けないんだよ」

 

「……本当だ、サデス君の首元辺りになにか邪な気配がする」

 

ジッと見てみた所、サデス君の首元だけ黒い靄がかかっている。恐らくこれが原因でサデス君は下手に動けなくなったんだろうが、これくらいなら問題ない。

 

「でしょ〜?だから僕を懐柔しようたって無駄だよ〜?僕もコレ、何度か取り除こうとしたけど不可能だったし君達にそんな芸当は不可能だと思うしね。ほらさっさと帰らないとこのプログラムが起動して―――」

 

「私が取り除いて上げてもいいよ、それ」

 

「わぁお!?君そんな事出来ちゃうんだ!?」

 

「トーアちゃん、それ可能…なの?」

 

「大丈夫だよナオミちゃん、こんなの朝飯前」

 

自信たっぷりに、フンスと鼻を鳴らす。

光の力とか、機械に頼った方法なら難しいけど見た限りじゃサデス君の首元についてるそれは闇の力由来だ。

闇の力というならば私に出来ない事なんてない。伊達に闇の魔王獣やってる訳じゃないのだ。

 

「ただし条件がある」

 

「なになに!?今の僕なら何でも聞いちゃうよ〜!」

 

「ガイさん達を復活させる迄の間は私達の味方になる事。他の皆はサデス君に何かある?」

 

「なら僕はサデスさんの体の構造を調べたいです!宇宙人なのに機械に包まれたその体はとても気になりますねぇ〜!」

 

「動画編集手伝って!」

 

「え、ちょ2人とも!?……えーと、今後一切暴れない事!」

 

「あ、アンタ達…」

 

ナオミちゃん達が各々条件というか願望に近い物を提示し、ビランキお姉ちゃんとムルナウちゃんは特に何も言わなかった。

 

「ええ〜!?そんな事でいいなら幾らでもやるよぉっ!あ、でもお願いなんだけどぉ…」

 

「分かってるよ、ガイさん……ウルトラマンオーブと戦いたいんでしょ?だから、私の条件はガイさん達を助けるまで、だよ?」

 

「ん〜!なんて話の分かるお嬢さんなんだ!それじゃ取引成立って事で早速―――」

 

すると、急にサデス君が黙り込んだ。体もさっきまでハイテンションだったのにも関わらず、石のようにピタリと止まった。

そして、「あー…ごめん」と呟いた瞬間、何処からともなく右手に短剣を出現させて私の方に振りかぶって来た。

 

「ごめーん!!避けてー!!」

 

「問題ないよ」

 

私が右手を翳すと、サデス君の背後に闇の瘴気を集めて凝縮。黒い触手を作り出して振りかぶられた右手に巻き付いて攻撃を止める。

 

「ちょ、サデス!?アンタ―――」

 

「いやぁ〜…どうやらコレも反逆行為に入るみたい…」

 

「大丈夫だよ、分かってる。―――むっ」

 

私達とサデス君しかいないこの宝石部屋の()()()多数の闇の力を感じた。

この感覚には覚えがある、前にジャグラーさんがダークリングを使った時に感じる感覚だ。だとすると、ヒッポリト星人の部下がこちらに攻めてくる。

 

「皆、私の後ろに来て!新手が来る!」

 

私の声と共に、ナオミちゃん達は私の背後に集まる。後ろは扉のみだからこの部屋以外に反応がない為、守りやすい。

そうすると、次々と宇宙人達が次々と出てくる。

にしても…。

 

「かなり…多い…」

 

「た、沢山いますね…」

 

シン君の言う通り、部屋自体はそこそこ広いのだがそれでも一気に

6人も現れたなら窮屈に思える。虫のような宇宙人が戦闘態勢を整えると、一気に襲いかかってきた。

 

6人ならば、即座に触手を人数分作り出して抑える事にした。ヒッポリト星人の部下とは言うけど、サデス君と同じく無理矢理やらされてる可能性がゼロじゃない為、無闇に傷つかないように捕縛する。

 

っ!まだ来る…!

狭い部屋だと少しやりづらい…!

 

「シンさん何か無いの!?このままじゃ私達、守られてばっかよ!?」

 

「安心して下さいキャップ!こんな事もあろうかと…!」

 

そう言ってシン君がいつの間にか持ってきていた鞄の中をゴソゴソ

漁りだす。何か取り出すのかな…?と思っていたら、シン君が取り出したのは四角い機械のような物だった。

 

確か…カケルが言ってたアーケードコントローラー……だっけ?

 

「え、何それシンさん!?」

 

「実はですね、今キャップが着ている服には僕が発明した特殊モーションキャプチャーを装着させてるんです。それを起動してこうして…こうすれば!」

 

「わっ!?」

 

何やらシン君がアケコンを操作すると、ナオミちゃんの体が勝手に動き出した。アケコンをガチャガチャと操作して、ナオミちゃんを私より前に出すと襲ってきた宇宙人に対して、ナオミちゃんの拳が顔に叩き込まれた。

 

「 ちょっとシンさん!?私の私服になにしてるの!?」

 

「細かいことはいいんですよキャップ!ああでも、僕だとキャップを操作する技術が…」

 

「シンさんそれ俺に任せて!俺、こういうゲーム得意だったからさ!」

 

ジェッタ君がシン君の持っていたアケコンを強引に引き剥がし、操作する。ジェッタ君が操作すると、ナオミちゃんの動きは正しくゲームのキャラクターと何ら変わりない挙動をしだし、次々と襲ってくる宇宙人達をなぎ倒していく。

 

そして手が空いたシン君は再び鞄の中を漁って、今度はランチャーのような物を取り出す。ランチャーを宇宙人に構え、引き金を引くとトリモチのような物が発射され、宇宙人に当たると動きが止まった。

 

何やら、元は水を粘着性の物に変換させる為の物だったらしく、それに改良を重ねてとうとう元の物とは別物へと変わっていったらしい。シン君がランチャーを発射しながら説明してくれてるから分かりやすかった。

 

その結果がいいのか、宇宙人を相手するのにも余裕が出来たのだ。これはチャンス。

 

「サデス君、今から首のソレ取るから早速協力して」

 

「オーケー!やっちゃうよ〜僕は!」

 

作り出した触手を一本だけ闇の瘴気に戻しそのままサデス君の首元に定着させる。

……このプログラム、かなりサデス君の体に馴染んでる。強引にやったら傷つけかねないから慎重にやらないと。

 

そ〜っとサデス君の体内に瘴気を注入、定着してる闇の力を私の瘴気で囲み徐々に圧縮していく。

最後は限界まで小さくした力を私の力で吸収して…はい。

 

「いけるよ、サデス君」

 

「いっやっほう!自由だー!!」

 

 

そうして、サデス君の協力を得た私達は襲いかかってくる宇宙人を全て気絶させた。ついでに、気絶させた宇宙人達の首元にも闇の力が定着していたので、それも完全に除去する。

 

………最初はどうなるかと思ったけどなんとかなってよかった。

 

「も、もう来ない……よね?」

 

「た、助かった〜…」

 

「ご苦労様。さ、リュミエールを持って帰るわよ」

 

「ちょ、ビランキ…ちょっとだけ休憩させて…」

 

ムルナウちゃんとビランキお姉ちゃんは戦闘は不参加なので大して疲れてない。まあビランキお姉ちゃんは戦えないから仕方ないけど。

 

「私とムルナウでリュミエールを探すから休憩は見つかるまでの間だけよ。私達の行動は向こうにもバレてる筈、時間がないのよ」

 

「りょ、了解……」

 

因みに、疲れてるのはナオミちゃん達地球人組だけである。寧ろアレだけ戦って喋れるくらいには元気があるのだから凄いなと思う。

私はまあ…魔王獣だから。

 

そして、お目当てのリュミエールを探しているとサデス君が大きな声で叫びだした。なんだなんだと見に来たらそこには無色で透き通った丸い水晶のような物―――リュミエールがあったのだが……。

 

「5個あった中の3個こわれてるよー!あ〜…確か僕がこっち方面に宇宙人を投げつけたりしたからその拍子で壊しちゃったかも……ごめんね?」

 

あ〜あ…。

 

 

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