光の国に飛ばされた筈なんだけど目の前に輪っかがある   作:ウルトラネオン

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いつも感想、評価してくださり誠にありがとうございますm(_ _)m
最近、かなり忙しい状況が続いているお陰で皆様の感想の返信が遅れていますがしっかりと見させて頂いています。こちらとしても励みになっているので嬉しいばかりですm(_ _)m

さて今回は、カケル似の少年視点です。カケル視点と交互にやっていくのでお楽しみ下さいm(_ _)m


たった3日だけのウルトラマン:1日目

星はどうして光っているのだろう?

あの空の向こうには何があるのだろう?

叶うなら見てみたい。

叶うなら行ってみたい。

 

けれど、そんな夢はきっと…僕が生きてる間には叶わない。

だって僕の足はどうやったって動かないから。

 

 

「綺麗だなぁ…」

 

風が吹き、木々や草葉を優しくなびかせる静かな丘で、僕は空を見上げる。

真っ暗な空に幾つもの浮かぶ星の輝き。手を伸ばしても届かないと知りながら、けれども何度も伸ばす。

やっぱり、掴めないなぁ。

 

「まーたこんな所で空を見てるの?」

 

声が聞こえた。振り向くと、そこには幼馴染であり友達でもある女の子がスタスタと僕の方に歩いてきていた。

 

「ナーサ…」

 

「あんまり遠くに行かれると、私が怒られるんだからね?ただでさえアンタって歩けないんだから」

 

「うん…ごめん。でも、もう少し見ててもいいかな?」

 

「ハァ…飽きないわねーアユム。いつも空なんか見て楽しいの?」

 

「うん、空は僕にとって憧れだから」

 

「ふーん……あっそ。どーせなら私のほうを見なさいよね…

 

「え?何かいった?」

 

「何にも!取り敢えず、もう少ししたらご飯出来るから来なさいよね?()()、自分でも動かせるでしょ?」

 

「…うん、多少は」

 

ナーサが言った()()とは僕が今乗っている車輪椅子の事だ。

 

僕は生まれた時から体が弱かった。父さんから聞いた話では生まれてきた事、それ事態が奇跡だったとの事。

両親共に健在なのに、僕だけは皆と違った。

 

そうして僕は生まれた訳だが、やはりというか僕の体は生まれつき弱く、手を動かすのはなんとかなるが足に関しては自分で動かすのもままならず、歩けない程に弱かった。

そんな僕に村の人達がこの車輪椅子を考えて作ってくれたのだ。

 

最初こそ誰かが動かしてくれないと動けなかったが、今は色々改造してくれてある程度なら僕1人でも操縦出来るようになっていた。

 

ちなみに初めて出来た車輪椅子を押してくれてたのは両親だったが、歳が重なるにつれていつの間にかナーサが押してくれるようになっていた。

 

ナーサは小さい頃から顔馴染みであり、お喋り相手でもあったが何故か僕に甲斐甲斐しく世話をしてくる。

僕としては有り難いし感謝もしているのだが、ナーサ僕よりももっと他を見た方がいいと思う。

 

僕と同い年なんて他にもいるし、村で1番顔がいい子だっている。

ナーサも美人だし僕なんか構わなくていいのに。

 

「ま、まあどうしてもというなら―――」

 

「いつもありがとうね、ナーサ。僕に構わず先に帰ってていいよ」

 

「…っ。あーもう!早く帰って来なさいよね!」

 

プンスカ怒りながらナーサは村のある森の方へと帰っていった。

……怒らせちゃったかな?帰ったらもう一度謝ろう。

 

 

 

そうして、僕は空を再び見上げる。

本当に星は綺麗だなぁ。どんなに見ても飽きる事はなく、胸の高鳴りは上がるばかりだ。

 

 

 

 

瞬間、僕は揺れた。

 

違う、僕が揺れたんじゃない。この地が、大地が揺れているんだ。

こんな大きな揺れは経験したことがなく、僕は大きく揺れて車輪椅子から転げ落ちてしまった。

 

「痛っ…」

 

突然の出来事だったので身構える事も出来ずそのまま横転。

車輪椅子から離れてしまい、僕はゴロンゴロンと転がった。

体中のあちこちに痛みが走る。

 

大地の揺れはもっと大きくなり、遂には岩や砂が大地から吹き荒れた。

その岩と砂の嵐の中から、場違いな淡く黄色がかった白色が現れる。僕とは比べるもなく巨大な何かがこの大地から現れた。

 

村の伝承にある、この地には3つの神様が住まわれるとされる伝説。

 

空に1つ、黒き神。

 

海に1つ、龍の神。

 

地に1つ、白き神。

 

3つの神様がこの地を満たし、均衡を保っているとされる。

そして、今僕の目の前にいるあの姿は。

 

「あれは、地の……神様…?」

 

ゴガァァァァ!!!

 

髑髏のような顔、どんな重たい物も持てそうな腕、ガッチリとした足。どこを見ても、伝承に伝わる神様にそっくりだった。

 

でもどうしてこんな場所に?

神様は僕達の住む村から遠い場所で見守っていると聞いた筈なのに。

地の神様はすぐ近くに居た僕を見つけると口から涎を垂らしていた。もしかして、地の神様には()()()()()()()()()?だとすれば…。

 

そんな僕の疑問は余所に、地の神様は僕を目掛けて歩いてくる。

途中で生えている木々には目もくれず、ズシンズシンと重い音を立てながら森林を破壊して僕を目指して歩いてくる。

 

そんな時だ。

光が降りてきたのは。

 

「うわっ……!?」

 

空から突然星が降ってきた。いや降ってきただけならまだしも、地の神様に当たった。

地の神様は大きく倒れ、光は僕の目の前に降り立つ。

余りにも輝かし過ぎて、目も開けられない位眩しかった。

 

だからだろうか。

 

「きゅ〜…」

 

僕は、全く慣れていない光を見て気絶してしまった。

 

 

そして、気がついた時には既に消えていた。

周りには地の神様がいなければ、あの輝かしい光も無くなっていた。辺りを見回しても何もなく、ただ少し破壊された後があったがそれ以外は何もない。

 

「あれ……確か地の神様が現れて…………その後……うーん……?」

 

自分の記憶を疑ってみたが、あの光景は確かに本物だった。じゃないと僕がここで倒れている理由が分からない。

左腕を頬に当てながら考えていると、何か左腕に全く見覚えがない物が付いていた。

 

「うーん……って、あれ?この腕輪なんだろ…?僕いつの間に左腕にこんな物つけてたっけ…?」

 

不思議だった。見たことも、付けたことない腕輪が付いていた。銀色に輝いた綺麗なもので、青いリング状の大きな宝石が嵌め込まれていた。腕輪、というよりはこの宝石を主役に置いた装飾品なのかも知れない。

 

と、変な分析をするのではなくどうして僕にこんな物が付いているのかと言う話だ。

まず間違いなくあの輝いた光が現れた時に付いた物だろう。だとするとあの輝いた光が…?

 

と、そこで再び声が聞こえた。

 

「アユム!?アユムーーーー!」

 

どうやらナーサが心配して来てくれたようだった。

何せ地の神様が現れたんだ。すぐ近くにいた事はナーサに分かっていただろうし慌てて引き返してくれたのがよく分かった。

 

()()()()()ナーサに手を振った。

 

「おーい、ナーサこっちだよ〜」

 

「アユム!?アンタだいじょ―――アユム!?」

 

「え?どうしたの?」

 

「あ、あな、あな、アナタ立って……!?」

 

「へ?………………え?」

 

()()()()()

そう、僕としては自然に出た行動だった。今まで一度も自力で立てたことなんてないのに。

 

えええええ!?立てちゃったよ僕ぅ!?

 

「あぁ………あぁ………ようやく、立てたんだ…!」

 

「うん!立った!僕、立った!!」

 

何故かは分からないけれど、僕は立った。

地に立つのがこんなにも嬉しく感動するものなんだと初めて実感した。

足の裏から伝わる土の感触、自由に動ける体。

皆にとって当たり前の出来事が、僕には何もかも新鮮であり感動する物だったんだ。

嬉し過ぎて、僕もナーサも涙が溢れていた。

 

互いに喜びあって抱きついてしまった。

全く意識していなかったのだが、少し経つと意識し始めてしまい恥ずかしくなって僕はナーサからゆっくりと離れた。

 

僕の体が動いた理由………もしかすると、地の神様が何かしてくれたのかもしれない。

あの光がどうこうした訳では無さそうだし、また今度地の神様が現れたなら、お礼を言わないと。

 

ともかく、一度村に戻ろう。歩いていると、ナーサは僕の事をジッと見つめていた。僕が視線を合わせると、ナーサはすぐ目を逸らしていたのだ。

やっぱり動いてる僕に違和感とかあるのかな?

そして僕達は村へと戻ると、村の方から沢山の村人達が僕達の所に駆けつけてくれた。

 

「アユム、ナーサ!?大丈夫か!?怪我は…怪我………」

 

「アユム帰ってきたの!?ナーサちゃんも無事―――」

 

その中でも一番に心配して駆けつけてくれたお父さんとお母さんは、僕を見てピシッと止まった。何せ、ずーっと歩けなかった僕が歩いてるんだ、誰でも驚く。

 

「アユ、アユム!?おま、お前歩いて―――」

 

「アユム―――!」

 

母さんが勢い良く走り出して僕とナーサを抱きしめた。余程心配していたのだろう、抱きつかれて顔が見えないというのに泣いている顔が浮かぶ。お父さんも続いて走り出し、僕達を抱きしめる。

 

よかった。お母さんとお父さんはいつも通りだ。

そしてお母さんが涙を浮かべながら僕を見つめた。

 

「アユム…貴方どうして歩く事が出来たの?」

 

僕は困った顔で、

 

「多分…地の神様のお陰…かな?」

 

「地の神様?現れたのかこの地に?」

 

父さんが驚いた顔で聞いてきた。僕は少しぎこちない笑顔を浮かべながら頷くと、お父さんはすぐに顔をしかめる。

 

「うーん…おかしいな。地の神様は遥か東に住む筈、この地には空の神様がいて互いに不可侵な筈だが…」

 

「何でもいいじゃない!私達の息子が帰ってきて、その上に歩けるようになったのよ?これ程嬉しい事はないわ」

 

「そうだな!今はともかく2人の無事を祝おう!村の皆にも言ってくるよ!」

 

「ナーサちゃんは早くお母さんの所に帰りなさい。心配してたわよ」

 

「は、はい。そうさせて貰います」

 

お母さんの抱擁から離れ、スタスタとナーサは村へと歩いていった。僕も母さんから離れ、手を繋いで一緒に村に戻る。

村は木や藁で建てた物が一般的で、中央には大きな焚き木がある。

 

その焚き木は、大人の頭くらいの大きな石を何個も並べて大きく円を描いている。中央には大人と同じくらいの大きさの木が円柱のように並べらていて、祝い事―――誕生日だとか縁日、結婚など祝い事に使われる物だ。

 

そこには村の人達が沢山集まっていた。

僕とお母さんはそこに向かうと、村の人達もこちらに気づいて歩み寄ってくる。

 

「アユム君大丈夫か!?」

 

「お父さんから聞いたが地の神様が現れたんだってぇ!?」

 

「怪我はないかいアユム君?」

 

「あれ…?アユム君歩いてる…?」

 

皆、親切に心配してくれていた。勿論その中にはナーサのお母さんも居て、ナーサと一緒に来てくれていた。

 

「皆さん、すみません。うちの息子の心配をして下さって…」

 

「いいやアーヤさん、村の将来を背負う子供の心配をするのは当然の事。怪我も無くて無事で良かった」

 

「ご心配かけました…」

 

「いいんだよアユム君、君が無事でいてくれたなら。………ところで、アユム君その足は―――」

 

「ああ、これなんですけど…」

 

僕は記憶の通りそのまま話した。地の神様が現れたことと光輝く何か。まるで夢のような出来事なのだが、恐らく夢ではない現実。

 

「成る程、地の神様が…」

 

「その光はまさか空の神様か…?いやしかし空の神様は輝きはしないのだが…」

 

「地の神様がこの地に現れたのは何故だ…?」

 

村の人達は僕の話を聞いて色んな意見を出し合ったが結論は出なかった。恐らく儀式が地の神様に行われていないのだと思われるのだがそれも僕の推測に過ぎない。

 

この村……ひいては、この大地には大昔に神様が降り立ったのだという。村の皆はこの神様を信仰していて、かくいう僕も一応は信仰している。

 

僕の場合は、会ったこともない者に何かしら思う事なんてあまり無い。けれど、村の風習だから拒む必要もなく。

そして数十年に一度、村の中から神様に選ばれた者が現れる。その者には手に証があるのだが、それは僕の幼馴染であるナーサに宿っているのがここ数年で判明したのだ。

 

幼馴染の僕としても、ナーサの事を誇らしく思うのだが当の本人はあまり深く考えてはいないようだった。

 

と、話は逸れたが。

 

「あの皆様、今日の所はアユムを…」

 

「ああ、そうだねアユム君を休ませないと」

 

「体を大事にねアユム君。明日は祝祭村を開こう。アユム君の無事と、足が治った記念だ」

 

「わぁ…!ありがとうございます!皆さん、おやすみなさい!」

 

「ああ、おやすみ」

 

 

 

 

祝祭村。

村で祝い事や縁日、結婚等のめでたい事があれば定期的に開かれるお祭りのような物だ。

さっき話した焚き木に火を灯し、いつもは星の輝き以外に光を灯さないこの大地に光と一緒に感謝と祝いの想いを祈る村1番の祭り事。

 

 

 

僕達は、「光」という物にはある一種の崇拝や憧れのような物がある。伝説の神様達とは違った信仰……光は僕達の遠い場所に存在し、いつも温かく見守ってくれる。ある意味では神様のような存在。

 

けれども、僕は皆とは違って光は遠い存在ではなく身近な…いつも側にいてくれる存在だと思っている。この村からでも見上げると空にはいつも星が輝いている。

あの輝きは、いつも僕達を見守っていてくれる。手は届かないかもしれないが、僕達が生まれた時からずーっと見守ってくれててた光はいつも空にいるのだから。

 

帰宅した僕は柔らかい藁で作られたベッドに寝転んで目を瞑る。

少し遠い所で取れたこの藁は、ベッドとしてよく使われていて村のご用足しでもある。

 

色んな事があったせいか、疲労が溜まっていた事に今更気づいた僕は、藁のベッドにダイブした途端に深い眠りについた。

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