光の国に飛ばされた筈なんだけど目の前に輪っかがある   作:ウルトラネオン

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今回はアユム視点と、スレでは描かれていない少し先の視点を描いています。
黒き神ことヘイレンと決着なるか!?


たった3日だけウルトラマン:3日目

僕は巨人様の姿になって、この空を飛んでから数分。

もう既に半分以上は進み、僕の村にはもう少しで辿り着く頃だった。

早い……これなら早く辿り着ける…!

 

 

僕達が信仰していた物は、誤ったものだったかもしれない。けれど、その間違ったものを正す事なんて僕達には出来なかった。

儀式という名の生贄は神様達……いや巨人様の言葉を借りて、怪獣達を抑え込む役割があった。

 

犠牲を出した上で僕達の生活は成り立っていた。そう認識した所で変えようは無かったと思う。

 

僕達は非力だ。あの巨大な怪獣相手に僕達に出来る事なんてたかが知れてる。

だけど、今は違う。

 

「(この巨人様の力なら…きっと!)」

 

僕が授かったこの力。もしかすると、こんな事態を解決する為に巨人様が貸して下さったのかも知れない。そう思うと、僕は巨人様に感謝しなければならない。

 

きっと、今までの僕じゃどうしようも無かったと思う。僕は元々体が弱くて、1人じゃ動けなくて。

 

「(僕が守るんだ…!皆を、ナーサを!)」

 

そして遂に僕の住んでいる村へと到着し、手の中にいる人を大地に降ろす。……巨人様が示したのはやはり僕の村だった。見た所、怪獣は来てないけど………。

 

「な、なんだ!?」

 

「きょ、巨人!?」

 

「何なんだあれは!?」

 

どうやら、着地した音で村の人達を起こしてしまったみたい。その中には僕の両親は勿論の事、ナーサやナーサのお母さんまでも来ていた。

 

この巨人様の姿だと、目がよく見える。だからこそ、ナーサの()()()()()()()()()()もしっかりと確認出来た。

僕達の信仰は、古くから行われていた事だ。真実を知った今、僕にはやらなきゃならない事がある。それは―――――。

 

ゴギャァァァァ!!!

 

大地を蛇行しながら、木々をなぎ倒しながら現れた龍の怪獣。

 

全身が尖った衣で覆われ、顔が上下に顔が2つあり触覚が2本生えている怪獣。上の顔には口は無く、ただ発光する目が存在していてどちらかと言えば下にある顔の方が本物のようだ。

 

その下の方で人間を食ったのか、口の周りは僅かに血が付いていた。

 

「シェアァッ!!」

 

やはりこいつも神様なんかじゃない。ただ人間に害を成す醜悪な生き物だ。僕は目の前の怪獣に走って近寄ると、すぐさま足で胴体を蹴った。

 

怪獣は吹き飛ばされ、突然の出来事だったのか驚いているようにも思えた。けれど怪獣は、すぐに起き上がって僕へ向かってくる。

両腕で、しなりながら攻撃してくる2本の触覚を受け止める。こいつは思ったよりも力がないのか、触覚の攻撃は簡単に受け止める事が出来た。だが…。

 

「ゴギャァ!」

 

「グッ!?」

 

下の口で僕の足を噛んできた。その顎の力はかなりの物で、僕の足を引き千切ろうと力一杯噛んでくる。かなりの激痛だが、掴んだ触覚を離さずにそのまま大きく捻る。

 

怪獣も流石に捻られた力には敵わなかったようで、足を噛んでいた口は簡単に剥がれた。足の激痛に耐えながらも、僕はこの場で戦うと村に被害がでる可能性があると考えて怪獣に拳を殴りつける。

 

右、左と交互に殴って、僅かながらに怪獣を村から後退させる事に成功すると、大きく振りかぶっておもいっきりに拳を叩き込む。怪獣は大きく吹っ飛んで大地に平伏すと、僕は怪獣に馬乗りになる。

 

さっきの怪物と同様に、その体に何回も拳で殴る。

 

このっ、このっ、このっ、このっ!!

 

だけど怪獣は、空いていた2本の触覚を使って僕の首を絞めると続けさまに下の口で僕の体噛み付いてきた。

 

「グッ…グァァッ…!」

 

苦しい。

息ができなくなって藻掻くような苦しみと、噛まれている所から雷撃のように走る痛み。ビリビリと痛みが全身に駆け巡って、思わずうめき声を上げてしまう。

なんとか離そうにも、首を絞めている触覚の力が強すぎて体に力が入らない。

 

なんとか、拳を振り上げようとすると怪獣は片方の触覚を使って振り上げた拳が拘束された。拳を拘束している触覚も力が強く、これではより痛みが増すだけだった。

 

何もできないまま終わるのか―――。

そう思った時、もう片方の空いている腕が勝手に動き出し少し黒く染まったかと思えば怪獣の胴体に勝手に殴った。

 

苦しんでいる状態なので当然力も入っていないのに、怪獣は今までにないくらい苦しんで僕から離れた。

 

もしかすると、これも巨人様の力…!

 

降ってきたチャンスを見逃さず、僕は怪獣の触覚を掴み取って引きずる。遠心力に物を言わせて、僕は怪獣を物ように大きく振り回した。

 

「ハァァァァァ!!」

 

何度も振り回し、足に力を込める。踏ん張りが効いた足の地面は少しながらも割れていて、僕は大きく飛び上がる。

遠心力が掛かった事で大きく飛び上がる事に成功し、落下と共に怪獣を大地に大きく叩き付けた。

 

「ゴギャ―――」

 

力一杯に大地に振り下ろした怪獣は、その大きな衝撃に耐えることは出来ず 文字通りぐちゃぐちゃのミンチのような姿へと変わっていた。

 

血は飛び散り、中の内臓は地面に当たった衝撃で原形は残っていない上にそこら中にぶち撒けていた。

ピク、ピク、と微かに動いているのが分かったのでまだ息の根があると感じた。最後に僕は、怪獣の下の顔に寄っておもいっきり拳をその顔に振り下ろした。

 

ぐちゃっと顔が凹み、拳がめり込む。拳を引き抜くとそこから血が止めどなく溢れ出し、怪獣は完全に生命を終えていたのだった。

 

 

 

ピコン、ピコン、ピコン、ピコン

 

 

気がつくと、いつの間にか胸から音が鳴っていた。僕は肩で息をしながらも怪獣を殺した事で村の皆を守れたと安堵した途端、力が抜けて体がフラつく。

 

足に力を入れようとしても上手く出来ず、そのまま倒れ込んでしまうという所で僕の体は輝き出した。恐らく、元の僕の体に戻ろうとしているのだろう。

 

 

 

気がつけば、いつの間にか村のど真ん中に僕は寝転んだ形で降り立っていた。少し体を起こして顔を上げると―――。

 

「あ、アユム……?」

 

「アユム……なのか?」

 

そこには、困惑の顔を浮かべた父さんと母さん、それに村の皆が、僕の方へと視線を集めていた。

見回すと、どうして、とか何故、といった顔が多く見えた。

 

当然だろう、突如現れた巨人が怪獣と戦って、小さくなったかと思えば出てきたのは僕だ。

皆に説明しないと―――そう思って立ち上がろうとしたが、体に力が入らず転んでしまった。

 

ズリッと足を滑らせてしまったようで大きく転び、そんな姿を見た村の皆は僕の方へと駆け寄ってきた。

 

「アユム!これは一体どういう事なの!?」

 

「アユムお前…一体何があったんだ!?」

 

「ごめ……ん、母さん、父さ……」

 

僕はそのまま、深い眠りについた。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「うーん……。あ、れ?」

 

気がつくと、僕はベッドの上に寝転がっていた。

そうか、僕は気絶して……。

 

「アユム」

 

声がしたので、そちらに向くとお母さんが心配そうに僕を見つめていた。

 

「お母さん……っ」

 

起き上がろうとするも、まだ疲れが取れてないのか少し手間取るも「まだ起きては駄目」と強引に寝かせられた。

 

「アユム、話はあなたが助けた人……サリーさんが教えてくれたわ」

 

「サリーさん……あの人、サリーって言うんだ……」

 

今更であるが、あの助けた人の名前を僕はまだ聞いてすらいなかった。事態が事態だったので聞く暇も無かったというか……そういえばあの赤ちゃんの名前もまだ聞いてなかった。

 

安全な場所に降ろしたので無事なのだろうとは思っていたが、まさかお母さんと話をつけてるとは思っていなかったので少し以外というか。

 

「お母さん、僕は」

 

「いいのよ、言わなくて」

 

「え…?」

 

まるで見透かされているかのように、僕にそう言ったお母さんはどこか遠い目をしながらも僕に語りかける。

 

「地の神様の事や、村で伝わる伝説。そして………あなたが巨人になって戦ってるのも、全部聞いたわ」

 

「……う、うん」

 

「あなたは優しいから。普段なら……動けなかった体のあなたならあんな無茶はしなかったはず。だけど今は違うのよね?」

 

「そう…なんだ。僕は………、僕はいつも皆に助けられてばっかりだった。だから、今度は僕が助けなきゃって、それで」

 

「うん」

 

「地の神……いやあの怪獣はただ人を食べるだけの生き物だったんだ。いきなりこんな事言うのは、バチ当たりなんだってそれは分かってる!けど!」

 

「分かってるわ」

 

そっと、お母さんは抱きしめてくれた。

そこには怒っているとか、悲しんでるとかじゃなくて、ただ暖かい心で包まれているようにも思える。

 

「あなたの思うようにしなさい。親が子を信じるのは、当たり前の事なのよ?」

 

「………うん」

 

「1つ、聞いてもいいかしら?」

 

「…うん」

 

「あなたの体が治ったのは…あの巨人のお陰?」

 

「多分…そうなんだと思う。それに巨人様は、僕に力を貸してくれる」

 

あの時、空を見上げてると降りてきた光。あれはきっと巨人様で

、光と共に僕の中に入ってきた。何故入ってきたのは理由は分からない。けど……もしかすると、僕に力を貸してくれる為に来てくれたんじゃないかと思えてくる。

 

巨人様はきっと、僕に何かをさせようとしているんだ。

 

「なら、巨人様には感謝しないとね」

 

「うん、そうだね。……あの怪獣のお陰で治ったって勘違いした僕は恥ずかしいや」

 

「うふふ。そういえばアユム、怪獣っていうのは…」

 

「巨人様が、中から教えてくれるんだ。僕達が神様と思っていたのは怪獣っていう名前なんだって」

 

「話せるの?」

 

「………話せない。というか、正確には話した事すらないんだ。ただ、僕の頭に言葉が浮かぶだけ」

 

そう、巨人様の意思はあるんだと思う。だけど何故か僕はその意思を言葉しか認識出来ない。何か原因があるのなら、分ればいいんだけど…。

 

すると、ドタドタとこちらに走ってくる足音がしたので見てみるとナーサだった。だいぶん走ったのか、かなり息切れてしまっている。

 

「ハァ…ハァ…アユム……大丈夫…?」

 

「うん、大丈夫だよ。ごめんね、心配かけさせて」

 

「もう!いっつもだよアユム!ホントのホントに心配したんだから!」

 

「うん、ごめんね」

 

「心配…したんだからぁ……」

 

ヘナヘナと、ナーサは僕のベッドにゆっくり倒れてきた。まだ疲れているのか肩で息をしているのが分かる。そんな様子を見た母さんは「ごゆっくり〜」とだけ言って部屋を出ていった。

ナーサは、ゆっくり顔を上げて何処か不安そうな顔を浮かべていた。

 

「アユム、私……死んじゃうのかな?」

 

「ナーサ…」

 

「私……サリーさんの言う通りなら、空の神様の……」

 

「そんな事させない」

 

ナーサの手を取って、僕は彼女の目を見て話す。

 

「ナーサは僕が守る。怪獣の生贄なんてさせない。絶対、絶対守るから」

 

「アユム…」

 

ナーサの手をしっかり握る。彼女の手は震えていて、怯えているようにも思える。もしかしたら自分が死ぬかもしれないんだ、怯えて当たり前だと思うしナーサの気持ちも分かる。

 

僕には巨人様の力がある。それに怪獣を倒したのはこれで2度目だ。だからこそ、次も勝つ。

 

そんな、僕の誓いを聞いていたのかと言わんばかりに大地は再び揺れた。震えているナーサをしっかりと抱きとめ、揺れが収まるまで待つ。

 

やがて大地の揺れは収まり、その変わりに突風でも吹いたかのような轟音が村中に響いた。

 

「……行かなきゃ」

 

「アユム……!」

 

「待っててナーサ。必ず帰って来るから」

 

覚悟を決め、足がおぼつかないながらも僕は家の外にでる。家から出るだけなのにかなり息苦しいが、それでも足を止められずにはいられなかった。

 

家の外に出ると村の人達が中央の焚き火に集まっていて、どうやらさっきの音を聞いて集まったのだろう。

 

再び、轟音が鳴り響く。鳴っているのは上……空だ。

 

「ギギャァァァァォァァ」

 

見上げると、この暗い空に星とは違って黒点のような物が自由自在に飛び回っている。星のようにとどまる事はなく、その軌道は鳥とも思える。

 

そして、今度はまた轟音と共に僕達の村にそれは降り立った。

黒い体、羽にしては随分と分厚い物を持す怪獣。

 

ギギャァァァ!!

 

「来たな…最後の怪獣」

 

なんとも禍々しい姿。その巨体が降りてきた影響で突風が起こり、村の人達は吹き飛ばされないように何かにしがみついていた。

けど、そんな突風には負けず踏ん張って僕は腕輪のついた腕を空高く掲げた。

 

光が溢れ、体に纏わって巨大になる。

 

巨人様の体を借りた僕は、目の前の怪獣に構えを取る。

 

「……シェアァ!!」

 

「ギギァァァ」

 

少しだが、若干だがフラついた。さっきの戦闘が完全に回復した訳ではないのだが、そんな事言ってられる状況じゃない。

怪獣は、僕の姿を見るやいきなり羽根を伸ばし空に飛び立つ。轟音と共に飛び立った怪獣は空の上で滞空し、嘲笑うかのように鳴き叫んでいた。

 

空を飛べるのはお前だけじゃないんだよ…!

 

「シェアッ!」

 

「ガァ!?」

 

いきなり空を飛んできて驚いているのか、僕が放った拳が怪獣の顔に綺麗に入った。

まずは一撃、と思ったのも束の間。怪獣はいつの間にか僕の背後に回って突進してきていた。

 

回避する間がない短絡的な攻撃は、僕の背中に直撃した。

 

「グゥッ!!?」

 

「ギギァァァ!!」

 

攻撃が当たった事で少し高度が下がったが、お返しにもう一度殴りにかかる。

 

「ギギァァァ」

 

が、その攻撃は空振りに終わった。

僕の出すスピードよりも相手の出すスピードの方が上回っているらしく、何度も攻撃しては空振りの繰り返しだった。

 

そして今度は、空振るばかりか怪獣の攻撃が僕に当たるようになっていた。

 

「グァァ!?」

 

背後に回られ、時には正面や真下から等幾つもの方向から怪獣の突進攻撃が僕に直撃する。避けようにも目でも反射でも追えず、ただ攻撃されるばかりだった。

 

「(攻撃してくるなら、カウンターで…!)」

 

当てられないと言うなら、わざと攻撃を受ける事で相手を止める。それしか方法が無かった。

だからこそその瞬間だけを見極め、怪獣を掴み取るのに全神経を集中させる。

 

「(グッ…ここじゃない……。ここでも………、今っ!)」

 

先を読んで、怪獣が来る方向に体を向けてる事に成功する。

 

「(後は捕まえるだけで!)」

 

怪獣が突進する。その予備動作を視認できた僕は怪獣の攻撃を予測してなるべくダメージを負わないように姿勢を正す。

 

そして―――。

 

「シェアァ!!」

 

「ガァ!?」

 

捕まえる事に成功した。突進してくる方向から微妙に体をずらして、相手の背を掴まえる形で取り押さえた。

 

「(よし、これで僕の攻撃も当た―――)」

 

怪獣の首が恐ろしい速度で回転し、口を開くとそこから火炎を放ってきた。攻撃を予見出来なかった僕は火炎に当たってしまい…。

 

「グァァ!?」

 

地上に落下していった。

幸いな事に村に落下した訳ではないので被害は木々が台無しになったくらいだが、完全に意表を突かれた攻撃のお陰でかなりダメージが入ってしまった。

 

ピコン、ピコン、ピコン、ピコン

 

胸の音が鳴り、顔が焼けて全身に痛みが走る。落下のダメージも相まってまともに立とうとすれば、滑らせて再び転げてしまった。

 

怪獣は僕の目の前に降り立ち、ジッと僕を観察していた。

止めを刺す気か…?

 

そう思ったが、怪獣はくるっと僕の反対側を向いた。

何故、僕に止めを刺さず背を向けたのか、それは。

 

「(村の……皆………!?)」

 

そう、怪獣の目的は村の皆だ。

どの怪獣とも同じだったように、この怪獣も人間を餌として見ている。より多くの人間が集まった方へと足を運ぶのは当然の事だった。

 

ゆっくりと、怪獣は村の方に向かっていく。そんな姿を見た僕は、力を振り絞って怪獣の足を掴む。

怪獣はそれをうっとおしく思ったのか、ブンっと振って僕の手を振りほどく。

 

それでも僕は、怪獣の足を必死に掴んだ。

 

「(行かせ……ない…!!)」

 

「ギギァァァァァァ!!」

 

怪獣の逆鱗に触れたのか、掴んでいた手を離され僕は怪獣に首元を締め上げられていた。

かなりの怪力で、力なくブランとしていても怪獣は僕の体を片手で持ち上げ喉を締めてくる。

 

息苦しくとも、それでも僕は怪獣から手を離さなかった。

そして、遂に僕は村の方に投げ飛ばされた。

 

「グァァ……」

 

もう立てる力も残っておらず、ただ倒れるだけしか無かった。

ズシン、ズシンと怪獣が迫ってくる。

 

皆を守らなきゃならないのに、怪獣を止める事が僕には出来ない。

 

怪獣が再び鳴く。まるで僕を嗤うかのように。

その嗤い声は、酷く耳に残った。

 

お前じゃ皆を守れない。

お前は所詮その程度なんだと。

 

あの怪獣が言っているように思えた。

 

その時だった。

 

「やめろーーーっ!アユム君に手を出すなーーーっ!」

 

「空の神めぇ!!アユム君に指1本触れさせないぞぉーーー!!」

 

「出ていけぇーー!!この村に近寄るなぁーーーー!」

 

村の皆が、僕を囲っていた。

それだけじゃない。石をもって怪獣に投げつけていた。

 

や…やめて……やめて皆!!

 

怪獣からすれば痛くも痒くもない。巨人様の力とは違い皆の力なんて怪獣からすれば吹き飛ぶような…それこそ餌と思われるくらいには貧弱だ。そんなのは子供の僕だって分かる。なのに…なのに……!

 

「アユムーー!大丈夫アユムーー!?」

 

「アユム!!生きてるなら逃げろぉ!!ここは父さん達に任せるんだぁーー!!」

 

母さんと父さんが大きな声で僕にそう言ってくる。

違う………違う………!僕は皆を………!

 

「シェ、シェアァ……!!」

 

立て…立つんだ僕!皆が、皆が僕を守ろうとしてくれてる!!

巨人様の力もない皆が!!

 

震えながら、足ががくがくとなっていても僕は立ち上がる。

もう既に体力の限界で、脱力感や疲労、痛みが僕の体を襲ってる。

 

だけど立たなきゃ。立たないと……僕が皆を…………!

 

 

 

目の前には、視界に広がる炎が僕に飛んで来ていた。

 

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