光の国に飛ばされた筈なんだけど目の前に輪っかがある 作:ウルトラネオン
感想にてもう終わるのかと言ってる方もいましたがご安心下さい。まだ終わりません。
少なくともニュージェネレーションクライマックス時空まではしっかりやるつもりなのですが、今の所6割くらい投稿できたかなという感じです。
遠い宇宙の彼方。
誰もいない、まだ生命も生まれるどころか〈星〉とも呼べない岩石だらけの小惑星で2つの巨影があった。
「シェアッ!!」
「ゴガァ―――」
その巨影達は戦っていた。
片方は、宇宙戦闘獣と呼ばれ全身が黄金の鎌のような手を持った怪獣。
宇宙戦闘獣コッヴは目の前の巨人に殴られていた。
だが殴られたとは言うものの―――。
「フンッ!!」
コッヴは悲鳴も上げないまま、腹部から頭部にかけて抉られていた。
「よし、コッヴの討伐完了!」
「(お疲れ様、カケル)」
青い巨人―――ウルトラマンフィフティは今日も今日とて怪獣をレッドファイトしていた。
具体的には………コッヴの原形が無くなる程に。
「ようやくトーアの
「(力作)」
フィフティ……カケルの言う
トーアと宇宙の旅を出てからはや数百年。パワーアップフォームが欲しいと密かに思い続けていたカケルに出された案。
トーアの闇の魔王獣の力を身に宿して行使するその姿は、顔と胴体だけがウルトラマンの形を守っているが、両腕両足はどう考えても怪獣地味た皮膚に変質している。
そのせいでとある惑星では怪人だの怪獣だのあらぬ疑いを掛けられたがそこは置いておいて。
数百年かけてようやくモノにした今となっては、カケルにとっても無くてはならない力に変わっていったのだった。
「最初は力加減が難しかったけど、今はもう大丈夫そうだなこれ」
「(チェレーザ君にはかなり怖がられてた)」
「まあ……うん」
チェレーザとはとある惑星でオーブと一緒にクソ輪っか(カケル断)任務を遂行していた時に出会ったガス状の寄生型知的生命体のことである。
ウルトラマンになりたいと高らかに叫んでいたチェレーザだったが、カケルの姿を見ると途端にガイの後ろに回って怯えていたのだ。
「(大丈夫、きっといつかカケルのこの姿をチェレーザ君も分かってくれる)」
「だよね。チェレーザならきっと見直してくれる筈!」
―――余談だが、片や見るもの全てがゲロ吐くくらいにはグロテスクな倒し方をするウルトラマンと、分裂体とはいえ闇の魔王獣がニコニコしながら来られたら誰だって怖い。
幼いチェレーザは、この2人には逆らってはいけないと強く感じていたのは内緒だ。
「さて、任務も終わったしギレルモに戻ろうか」
「(うん、ブラックキングも待ってるよ)」
辺りに被害が出てないか確認だけを取って、俺はは小惑星から飛び立っていった。
こうして長い事、宇宙を飛んでるが全く飽きない。
時々、通り過ぎる惑星を見ては興味が湧けば降り立ってみたりして冒険するのがマイブームだ。
惑星全体がエメラルドに覆われている星や、大陸部分が僅か2%しかない海の惑星、果ては惑星と呼ぶには余りにも形が不可思議光な惑星もあった。
エメラルドの惑星は、実は火山から噴火した鉱石が宇宙で留まった後、凝結して出来たのがエメラルドの膜だったり。
立った2%くらいしかない大陸が、逆に神聖なる地として崇められていたり。
マジでどうなりたってんだって思うくらいには変な形した惑星もあった。何だよ、螺旋階段みたいな形で分厚い大気で包まれた惑星って。それ本当に惑星?と言いたくなる惑星もあった。
ガイさんと定期的に任務に出ていたり、ジャグラーさんは相変わらずだったり(ビランキちゃん付き)した。
別宇宙の地球で、伏井出先生やジャグラーさん、そしてトレギアさん(ここ1番重要)でカフェに集まったりした事もあった。
次出会った時は変身アイテムをブラックホールに投げて変身出来なくさせた後で光の国に移送しようと決意したのはつい最近の事である。
ただ―――。
「(最近、皆と交信出来てないなぁ)」
俺の脳内で交信出来るスレの皆。
今となっては無くてはならない皆なのだが、その交信は不定期なせいでいつ出来るのか分かったもんじゃない。
何せ、こっちでは数百年経ってもあっちは全く経ってないから時間のズレというのは不思議なものである。
とそんな思いにふけってた時。
「ん?」
「(カケル、これ…)」
何だか、それなりに大きい波動が2つととんでもなく大きい波動が1つ。争っているような雰囲気を遠くに感じた。
どうやらトーアも気付いたらしく、俺達2人は話し合いの結果その波動を感じる場所に急行する事に決めた。
片方の巨大な波動は分からんが、もう片方の2つの波動には見覚えがあった。
「この感じ…ウルトラマン……だよな?」
「(だと思う。カケルにそっくり)」
トーアの言葉の通り、波動の本質が俺とかなり近い。
もしかするとo-50のウルトラマンかも知れない。
惑星間を通り抜け、やがて目標地点が遠目ながら見えてきた。
「2人もいるんだから俺の助けなんて要らないかもしれないけど―――って!?」
なんて言ってる状況では無かった。
赤と青、それぞれ2人のウルトラマンがデカい煙のような奴相手に光線を撃ってるが既にほとんど押し負けていた。
目標地点からそれなりに離れている、とは言うものそれはあくまでウルトラマンとしての感覚だ。人間換算で言うなら
改行ナシ
ここからでは絶対に間に合わない。
そう理解したと同時に策を考えた結果、こうする事に決めた。
「フィフティウムミラージュ!からの―――」
過剰なまでにフィフティウムミラージュを展開。そして莫大な光のエネルギーを両腕に溜めて発射。
「フィフティウム光線!」
かなりの年月が経った今のカケルならば、これほどの距離を開けていてもピンポイントで光線を当てるのは可能だがそれでも速度は間に合わない。
だからこそ、過剰なまでのエネルギーで放つ事で向こうの気を逸らす事に決めた。そうすれば、ちょっとの隙が出来てあの2人のウルトラマンを避けさせる事が出来るかも知れない。
「よし、あのデカいのはこちらに気づいた。2人のウルトラマンは避けて…」
「(っ!駄目カケル!2人の後ろに!)」
「えっ!?」
そう、よく見てみると2人のウルトラマンの後ろには怪獣がいた。そしてその怪獣からも、俺と同じo-50と同様の物を感じた。つまり仲間だと。
気を逸らした所で、彼らは避けない。
禍々しいあの光線に2人は押し負けすぐ近くにあった惑星へと落ちていった。
だが、それと同時に放った俺の光線はすり抜けていった。
恐らくすり抜けた理由は相手がガス状の生物なのだからだろう。チェレーザも寄生しない限り実体を持たない生命体だったから似たような存在と予測する。
「ッ!トーア、マガタノモード!」
「(了解)」
すぐさまトーアの闇の力を体に纏わせて、腕と足を変質させる。
触れられないなら触れられればいいだけなのだ。トーアの闇の力―――マガタノ冥闇ならば恐らくだが干渉は可能だと思う。
チェレーザにも干渉できたんだから多分いける。
超スピードでガス状の生き物に接近、目の前のガス状の生き物はカケルの変質させたその腕に殴られるとおかしい程にはその部分が凹んだ。
「オオオオオォォォォ…」
「シェアッ!!」
その凹んだ部分を強引に捻り投げ飛ばす。
ダメージもそれなりにあったようで、ガス状の生き物は何も為さないまま宇宙の彼方に吹っ飛んでいった。
戻って来る気配もないので、俺はすぐさま2人のウルトラマンが落ちていった惑星に降り立ったのだった。
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降り立ってすぐ見えた光景は巨大な爆心地だった。
辺り一帯が巨大なクレーターになっていて、あちらこちらに火が立っている。
けどその中央には、2人のウルトラマンが守っていた怪獣がいた。
その怪獣は光の粒子となって消え去り、ちょこんと人間大の女の子がそこに現れた。
俺もすぐさま変身解除し、人に戻る。
走って寄った時には、その女の子は崩れ落ちたかのように座っていて、顔の表情は見るに耐えなかった。
喪失感を覚えたあの顔。
それは女の子の絶望を現すのには、これ以上無かった。
「君、大丈夫!?」
慌てて寄るが、その女の子はただ涙を流しているだけだった。
女の子が見つめている先には何も無かった。
無かったのだが―――女の子はその先に震えながら手を伸ばした。
「兄さん………兄さん…………」
「兄さん…?」
まさか、あの2人はこの子の兄…?
ウルトラマンは通常、万一に生命の危険があれば強制的に変身解除する場合がある。
俺もマガタノゾーアの時に経験しているが……2人の姿は見えなかった。つまりあの2人は………。
そして、涙を浮かべながらも俺の方を見つめてくる。
「どうして………どうして………!」
どうして2人を助けてくれなかったのか―――。
そんな訴えを浮かべた目が俺を突き刺してくる。
ただ、俺はどうする事も出来ずに「ごめん」としか女の子に言えなかった。
女の子はただただ泣き叫ぶ事しか出来なかったのだった。
泣いていた女の子を、俺はしばらく背中をさすっていた。
本当にただそれだけしか俺には出来なかった。
どんな言葉を掛けたらいいのか、俺には見当もつかなかった。
大切な人の喪失。
それは俺にも経験があって、だからこそ彼女の痛みや絶望を理解出来る。俺から出る言葉なんて、俺の事を何も知らない彼女からすれば軽いものも同然だろう。
だからこそ、彼女が泣いているのをただ寄り添う事だけが今の俺に出来る事だった。
やがて、女の子の泣き叫ぶ声は次第に収まっていき涙を流しながらも俺の顔を見てくれた。
「……………ありがとう、ございます」
掠れながらも出てきた声はそれだった。
少しは落ち着いたのだろうか、息も安定してきている。
「………ごめんね、俺がもう少し早ければ」
「…………違います、あれはその…私の八つ当たりなんです。本来なら、あなたは関係ないのに」
大切な人を亡くしたばかりだとというのに、彼女の目は立ち直っていた。
………いや、この目は。
「率直に聞くけどごめん。………もしかして、復讐の事とか考えてる?」
「………分かるんですか?」
「うん、分かる。俺も似たような経験があってね」
彼女の目。かつて佐奈が死んで、その原因が分かった時に俺も似たような目をしていた。
復讐、憎悪、無力感。
その全てがごちゃまぜになって、まるで生きる事をやめてしまったような虚無のような目は見覚えがあったからだ。
「……止めようとしないで下さい。これは私の――」
「いや、止めない。やった方がいいと思うし、寧ろ手伝う」
その言葉を聞いて彼女は驚いていた。
「……………」
「ん?どうしたの?」
「いやあの……復讐は駄目とか…」
「言った方が良かった?」
「ち、違います!いやでも………あなたもウルトラマンなんですよね?ならその……」
「ウルトラマンって言ってもそれぞれだよ。言ったでしょ、似たような経験があるって」
大切な人を失って、復讐するかしないかは自分で決める事だ。
それにとやかく言う権利は俺にはないし、するつもり無い。
けど、この子を放っておく訳にはいかなかった。