光の国に飛ばされた筈なんだけど目の前に輪っかがある   作:ウルトラネオン

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今回なんと……小説パートしかないです!!

ブラックキングの内情描こうとしたらこうなりました申し訳ないm(_ _)m


ブラックキングは何を思う

◇ブラックキング

 

 

 

どこの惑星に降り立とうとも、いつもの様に惑星に住む住人や生命を容赦なく奪っていく。

自らの爪や足、口から吐く火炎弾、自分の持つ大きな尾。

それらを用いてその住人達の住処を何の感慨もなく潰していく。住人達は自分の姿に恐れおののいたのか逃げ回るばかりだ。

 

そして自分の―――これまで生きてきた中で1番の衝撃的な出会いがあった。

 

宇宙から見れば風が吹き荒れ、けれどもその惑星に降り立つと生命溢れる豊かな星だった。ラモン兄弟に命じられるがままに眼下に映る小さな生命を奪っていく。

その星の住人の住処にたいして攻撃を開始する。喉に自身のエネルギーを溜め、口からそのエネルギーを吐き出そうとしたその瞬間―――突如顔に途轍もなく強い衝撃が走った。

 

『お前さぁ!?こぉんな綺麗な惑星に何してんの?馬鹿なのアホなの死ぬの?』

 

視界が揺らぐ。

顔に走った衝撃の正体はこの目の前に突然現れた青い人物による攻撃の物だった。

 

 

―――今まで受けたどんな攻撃よりも痛い

 

 

それを感じた途端物凄く恐怖と絶望を感じた。

あのラモン兄弟よりも大きくて激しい痛みをこの目の前の人物は

出すことができるというのか。揺らいだ視界を強引に直し、目の前の相手に目を向ける。

 

こうしなければ自分は苦しみから開放されない。邪魔をするな!

 

しかし、そんな事をつゆ知らず青い巨人は瞬く間に自分に近づき左腕を掴むと幾つもの小さな刃が青い巨人の手から伸びていきそれが高速に回転するや否やすぐに自分の左腕を切り裂いた。

 

 

ああああああああああああああ!!!

 

 

初めて、初めて左腕を失った。

あまりの激痛に情けなくも泣き叫び、その場でジタバタと暴れてしまっていた。

目の前の青い巨人は自分を殺すというのか。

ただ、自分は苦しみから逃れたいだけなのに。

この巨人はラモン兄弟ですら放てないであろう強大な殺気を自分に向けてくる。

 

自分はここで死ぬのか。

何もかもを失い、生きる為に生命を奪いそして……今度はそれが自分に回ってきただけなのだ。

そう考えてると涙が出てくる。

 

何故こんな目に遭わなきゃならないのか。何故自分だけがこんなにも残酷な運命なのか。

両親と一族共々は皆殺しにされ今自分は目の前の巨人に命を奪われようとしている。

奪われる……………?

 

「お?許して欲しいんか?無理やで?」

 

巨人はもう片方の腕を掴む。

恐らくはもう片方の腕も切ってその果に自分を殺すのだろう。

だが―――それは自分もしてきた事だったのだ。

 

 

 

今、命の危機に瀕してようやく分かった事がある。

これは自分もしてきたのだ。ただ自分の事だけの為に……自分と同じ境遇の者達を自分自身で増やしてしまったのだ。

 

最早これではあのラモン兄弟と同じではないか。

 

他人を侵略し、滅ぼす。

理由や目的は違えどやっている事はラモン兄弟と変わりはない。

だからこれは報いなのだ。

そうやって奪ってきた命達の……自分で積み上げた事へのしっぺ返しみたいな物だ。

それならば……仕方ない。

仕方ないけど……それでも……まだ生きていたかったな………

 

けれども、今にも振り下ろされそうな巨人の右腕はそのまま自分に触れないように緩やかに下ろした。

 

「はぁ………………お前もう暴れないんだな?」

 

そう言われた瞬間、全力で首を縦に動かした。もしかしたらまだ生きれるかもしれない。生きれるのなら何でもする。だから……殺さないで……。

 

「しゃーねえ。許してやるけど次暴れたら分かってるよな?」

 

青い巨人あの刃を見せつけるように腕を出す。もう2度とこんな事をするな、さもなければという意味の物だ。

自分は勢いよく返事をすると、巨人は拘束していた自分から少し離れると眩い光が溢れ出しては小さくなっていく。

 

小さくなった光が収まるとそこには今まで命を奪ってきた者達と何ら変わりない姿が現れ、周辺の木々や岩陰からこの惑星の住人達が青い巨人だった者に感謝の言葉を述べていたのだ。

 

ど、どうなってるの……?

 

 

あの青い巨人――ウルトラマンフィフティことカケルにこれからはこの街の復興を手伝えと言われ、現在は元々あった住人の住処を一緒に直していた。

 

最初の頃は住人達には疑いの目をかけられていた……らしい。

というのもそもそも相手の生命を奪う事以外の事は殆ど分からないことばかりだったからだ。後々にカケルに教えられて理解したのだが…。

 

ここの住人達とも既に仲良くなっていた。きっかけは……確か子供が高いところから落ちそうになった時、自分が助けた事だった。住人の親からは感謝され、カケルにも「偉いぞブラックキング!その調子で頑張れよ!」とにこやかに話していた。

 

褒められたのはいつぶりだろうか。両親に褒められてそれからは……なかったな。

両親じゃない、でも誰かに褒められるっていうのは…心地良かった。

 

気がつくと住人の子供達は無邪気にも自分に近寄り遊び相手になっていた。自分も子供達と遊ぶ事は決して悪いものでもなく、寧ろ楽しい物だった。

住人達の両親からも「子供達を見てくれてありがとう」と感謝もされとてもいい気分だった。

 

そして――――――

 

 

 

「おーいブラックキング!俺の少しの間ここ離れるからここ任せたぞーーー!」

 

僅かな期間ながらも、カケルにここの住処を任されたのだ。

初めは少し困惑してしまった。

なにせ3日前にはこの住処で暴れまわり、そして目の前の彼に腕を切られたからだ。幸い、腕はカケルの力で保存されているので大丈夫なのだが、それでも…やはり嬉しい気持ちになる。

 

カケルは優しくもどこか激しい光を身体中から吹き出すと最初に出会った姿……ウルトラマンとしての姿へと変身し、ここの住人の仲間達の元へと駆けつけていった。

 

任せて!カケルが留守の間、ここを俺が守る!

 

「まさかこんな所に居たとはなブラックキング!」

 

 

カケルが飛び立っていくのを見守っていた時に、すぐ後ろから声をかけられると同時にゾクリと恐怖感が背中を撫でた。

恐る恐る振り返るとそこにはラモン兄弟の内の弟が居たのだ。

 

何故…ここに!?

 

「てめぇ…生きていやがるのに何で俺達の元へ帰らなかった?」

 

あきらかな怒気と共に言葉を発してくるラモン兄弟。

この声……この声を聞くだけでどうしようもなく震え上がってしまう。

今までの仕打ちや過去の出来事も相まって情けない声を上げてしまっていた。眼下に映る住人達……特にカムラと呼ばれる人間も見た目は怯んではいないが体が微かに震えていたのだ。

恐らくだが住人達やその子供達も恐怖を感じているのだろう。

 

「チッ…まあいい、あのウルトラマンが居ない今がチャンスだ。

おいブラックキング!さっさとここの奴らをぶち殺せ!」

 

少し視線を逸して住人達を見る。ラモン兄弟が言っている事を今実行すればこの命は消えてしまう。それはここを任せたカケルに反する事だしそれに何より………もうこれ以上奪いたくなかったのだ。

 

自分が曖昧な事をしていると痺れを切らしたラモン兄弟が盛大な舌打ちをする。

 

「まともに言うこと聞かねえか。なら俺が直接殺ってやらぁ!」

 

ラモン兄弟の拳が住人達に目掛けて打ち込まれてしまう。当たってしまえば住人達の小さな体なんて木っ端微塵になってしまう。

 

怖い……怖いけど……!今やらなきゃ!今!俺が守らなきゃ!

 

自分は勢いよく体を逸し、体中のどこの部位よりも硬い尻尾をその振り下ろした拳にピンポイントで当てる。

流石に予想出来ていなかったのかラモン兄弟も即座に反応する事が出来ずまともに喰らって大きく後ろに下がった。

 

「いっつ……ブラックキング?てめえどういうつもりだ?」

 

どうもこうも関係ない!俺がこいつを止めてやる!

 

片腕の状態でも戦う意志を示す。

それを察したラモン兄弟は少し溜息をつくと標的をカノンたちからブラックキングに変える。

ラモン兄弟はすぐブラックキングに拳を叩き込むがそれをブラックキングは受け止めた。が……

 

ぐっ……やっぱり強い…!

 

その攻撃は完全に勢いを殺す事が出来ず、受け止めたまま後ろへと引き下がってしまった。

すかさずラモン兄弟は次の拳を叩き込む。何度も何度も攻撃するがそれに負けずブラックキングもラモン兄弟の顔に拳を入れ込んだ。

 

「ぐっ…前よりかは強くなってるなぁ!―――だがなっ!」

 

瞬間、途轍もないスピードで飛び蹴りを放ちブラックキングの顎下に命中した。当たり方が悪かったのも相まって顎は砕かれ、地面に倒れてしまう。

 

追撃と言わんばかりにラモン兄弟は馬乗りをしてブラックキングに何度も攻撃を叩き込む。

 

グ……グゥ………

 

抵抗する力も失ったのかグッタリとしたブラックキングを他所にラモン兄弟は住人達の方へと目を向ける。

顔の表情は変わらないのにも関わらず、ドス黒い感情を向けている事がカノン達にも伝わった。

 

「へへ…ここの奴らを殺せばあのウルトラマンも多少は堪える筈―――」

 

立ち上がろうとした瞬間、不意に足を止めた。いや止められた。

何故ならばラモン兄弟が立ち上がり今にもカノン達を鏖殺しようと行動するも、命からがらのブラックキングに足を掴まれたからだ。

 

いかせ………ない…!

 

そんな行動に苛ついたのかラモン兄弟はブラックキングを容赦なく蹴りつける。だが何度蹴りつけられようともブラックキングはその手を離さなかった。

 

意識はほぼないに等しい。けれど、その最後に残った微かな想いだけでブラックキングはラモン兄弟を足止めしていた。

そしてその足止めが幸いしたのかラモン兄弟はブラックキングへの攻撃を次第にやめていった。

 

「何っ!?ウルトラマン共がこっちに向かってるって!?お前何して―――ああそうかよっ!貧乏くじかよっ!」

 

誰かと念話しているのだろうか。いやラモン兄弟の念話する相手なんて自身の兄弟くらいだろう。

 

「ちっ!命拾いしたなてめえら!」

 

そんな捨てセリフを吐きながらラモン兄弟は空へと飛び立つ。直後、別の方向から2つの光がブラックキングの元へ飛来した。ウルトラマンオーブとフィフティだった。

 

カケル……やったよ…俺……

 

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