光の国に飛ばされた筈なんだけど目の前に輪っかがある 作:ウルトラネオン
時系列はイッチとメビウスの共闘が終わってから少し経った後です
◇光の国
「戻りました」
「ご苦労だったなメビウス」
M78星雲、光の国宇宙警備隊本部。
科学技術局にて観測されたアブソリューティアンに酷似したエネルギー波、その調査及び宇宙の平和の害になるのであれば討伐という任務から帰還したメビウス。
出迎えに来たのはメビウスと同じくウルトラ兄弟の1人であるウルトラセブン。セブンがメビウスの肩に優しく手を置き、メビウスの任務終了を労った。
「それで結果はどうだった?」
「はい、観測されたエネルギー波は主に出現していたスペースビーストから発せられていました。余りにも危険な為、討伐しました」
「そうか…」
「それと現地でフィフティに会いました」
「何?フィフティに?」
セブンが驚きの顔を見せる。セブンは少し腕を組んで考える素振りをし、意を決したかのような顔をすると手の平からとあるビジョンを映し出した。
映っているのは科学技術局によって観測されたアブソリューティアンに酷似したエネルギー波の詳細なデータともう一つ。
「これは……」
「ああ、これはフィフティの体内に眠るエネルギーのデータだ」
ビジョンにはウルトラマンフィフティの体内組織のデータ、及びエネルギー波や細胞に至るまでの詳細なデータだった。
セブンがビジョンを映し出している手の平に出現させたコマンドウィンドウを操作するとまた新たなデータが映し出された。
「まさか!?」
「ああ…結果としてはこうなってしまった」
メビウスが驚愕した事実、それはそれはフィフティの体内に宿るエネルギーと今回の異常なエネルギー波のあらゆる数値が合致したこと。
即ち、あのエネルギー波とフィフティが直接的な関係があるということだ。
「兄弟達の会議の終わりの時にヒカリが気になるからと科学技術局で調べてみたところ、別宇宙で観測されたこのエネルギー波はフィフティにも関係性はあったようだ」
「もしかして兄さん達は今回の事件にフィフティの事を疑って―――」
「いや、それは有り得んさ」
メビウスが言い終わる前にセブンがその言葉を否定した。
映し出していたビジョンを閉じ、どこか遠くを見つめるようにセブンは言葉を紡ぎ出した。
「オレは直接、彼に会ったことはない。だがエースやレオ……それにメビウスお前達の反応から察するに心配はなさそうだ。それは他の兄弟達全員が思っていることだ」
「セブン兄さん…」
「確かに今回の事件で一応の関係性があるのだろう。だが彼自身が……地球で生まれ育って、我々と同じウルトラマンとなった彼がそのような邪な力の使い方などするわけがないさ」
「―――そうですね」
セブンの言葉に頷いたメビウス。地球という星で生まれた人間…自分達が信じて守ってきた人間がウルトラマンとして活動している。
例え別宇宙の地球の人間だとしてもその本質は変わらない。
いつだって自分達は人間達と共に戦い絆を深めてきたのだ。
それはどの宇宙でも変わらない―――だからこそウルトラ兄弟達はフィフティを疑うことなどしなかったのだ。
「メビウス、セブン兄さん!」
「ん?おおタロウか」
奥から歩いて声を掛けてきたタロウ。タロウもちょうどメビウスが帰還したという報告を聞いて宇宙警備隊本部へと足を運び任務報告やその後の事後処理について聞きにきていたのだ。
「タロウ教官!」
「メビウス、任務ご苦労だったな」
「いいえ。あ、そうだ!タロウ教官、実は伝えたい事が…」
「ん?伝えたい事?」
メビウスは先の任務で起きたこと……主にフィフティとタロウの親友でもあるトレギアの事についての事を話すメビウス。
フィフティの真実とちょっぴりの嘘を混ぜ合わせた言葉をそっくりそのまま伝えると、タロウは驚きと少し照れたような仕草をすると真剣にメビウスに向き直った
「わかった。トレギアの今の現状やフィフティの事について、私の方でも手を打っておく事にする」
「はい、分かりました。それじゃ僕はコロッセオに戻って後輩達の指導をしてきます」
「うむ、頼んだぞメビウス」
言い終わったメビウスはその場から飛び立ちコロッセオがある方向へと向かっていった。
その様子を見届けたタロウは少し息をつき近くにあった椅子にゆっくりと座った。
「タロウ?」
「あ、いや…長年行方不明だった私の親友がまさかフィフティによって発見されるとは…縁とは不思議なものだなと」
「…そうだな」
音沙汰もなかった親友がある意味では問題児でもあるフィフティによって発見され、そのトレギアも昔と見た目や考え方が大きく変わっているとのこと。
だがトレギアはともかくフィフティ自身はトレギアの事を良く思っているそうだ。トレギアにも新たな友と呼べる物が現れたのだと少しモヤモヤする気分もあるが何より―――
(まだ私の事を…友と呼んでくれるのだな、トレギア)
今はここに居ない友の友情を確かに感じていたのだ。
トレギアさんはホント泣いていい