光の国に飛ばされた筈なんだけど目の前に輪っかがある 作:ウルトラネオン
「ハァッ!!」
振り下ろしたオーブカリバーの切っ先がムルチの胴体を切り裂く。ムルチは小さなうめき声と共に後ろへと後退するが、入れ代わりと言わんばかりにシルバゴンがオーブに向けて歩を進める。
「やはり怪獣が多いな……タァッ!!」
オーブカリバーの柄でシルバゴンの腹を小突くと同時に下から上へと振り上げる。いくら強靭な肉体を持つシルバゴンとはいえオーブカリバーで斬られてしまってはただでは済まない。
咄嗟の反応でシルバゴンはなんとか上体を反らして避けたがそれでも完全に避けきる事が出来ず傷を負ってしまうがそれを自らの本能で強引に体をオーブの元へ近づけその屈強な腕でオーブの胸を殴りつける。
「グッ…!」
「キィィィィ!!」
殴られた勢いで後ろに下がったオーブが自分の感だけを頼りに背後に向いてオーブカリバーを盾にするように構えた。
瞬間、エレキングの尻尾がオーブに迫ってきていたがオーブカリバーがそれを防ぎダメージを貰わずに済む。
今度は左からグドンが、右からキングザウルス3世が迫ってきていたのでオーブカリバーを大きく振るって怪獣達を寄せ向けないように立ち回る。
このままでは防戦一方だ。
そう考えたオーブはオーブカリバーの円盤部に土のエレメントと浮かび上がらせるとリング部分を手で回転させ剣を地面に突き刺す。
「オーブグランドカリバーァァ!!」
突き刺された所から土のエネルギーが勢いよく広がりグドンとキングザウルス3世に当たった。地面から足へ、足から体へと流れる土のエネルギーが2体の怪獣を爆砕する。
それを見たエレキングはあの剣はまずいと本能で理解し、すぐさま尻尾を向けてオーブカリバーを奪おうとするが逆にその尻尾をオーブカリバーで切り落とされてしまう。
「キィィ!?」
「ハァッ!!」
間髪入れずオーブは上に飛ぶとエレキングの頭上から下までオーブカリバーで切り裂いた。が、エレキングの皮膚が異常に硬いのか完全に切り裂くことはなかったがそれでも致命傷は避けられなかった。
エレキングは大きな傷を負ってしまいそのまま倒れ込み、既に背後に周っていたシルバゴンとムルチの方へと視線を向けるオーブだったが少し遅かった。
「ガァァッ!!」
「ギィィ!!」
「ガフッ!?」
視線を向けた段階で既に攻撃に入っていたシルバゴンとムルチはオーブの肉体にその力強い腕力で殴りつけられた。不意をつかれてしまったせいかまとも受けてしまい続け様に蹴りと尻尾で攻撃を加える。
攻撃を受けたオーブだったが、隙を見てカウンター気味にオーブカリバーで薙ぎ払う様に振るってシルバゴンとムルチを斬りつける。斬られた怪獣達は少し後ろに下がるもののまだまだやれるぞと吠え叫ぶ。
ダメージを負って膝をつくオーブ。
すると、オーブの足元に駆け寄る1人の少年がいた。
「アニキ大丈夫!?」
「危ないから下がってろショーティー!」
惑星コボルでひょんな事からオーブ……ガイと共に旅をしているショーティーが怪獣にやられているオーブに駆け寄っていた。
あらかじめガイは激しい戦いになるから付いてくるなとショーティーに何度も言っていたが、一緒に行くの一点張りだった為仕方なく連れてきていたのだ。
シルバゴンがオーブに再び攻撃したがオーブカリバーで防ぎショーティーを下がらせようとした。
ガイの事が心配だったので思わず駆け寄っていたショーティーだがすぐさま言われたとおりに下がり比較的安全な建物の影でガイの戦いの様子を見ていた。
ショーティーが隠れた事を確認するとシルバゴンを一気に押し出し、体勢を整える。
「こうなったら…アレを使うか」
オーブはオーブカリバーを前に突き出すと剣に内包されている火、水、土、風の全てのエレメントを解放させて刃を虹色の光のエネルギーで纏う。
空に掲げ、大きく円を描く様に動かし光のエネルギーを収束させる事で放つオーブ最大の必殺技―――
「オーブスプリームカリバァァァァ!!!」
極彩色の光線、オーブスプリームカリバーが怪獣達に向けて放たれる。
余りにも速い光線にシルバゴンやムルチは避けるどころか防ぐ事も叶わず、為す術もなくその肉体を爆散させたのだった。が……
「くっ!?まだ…制御が…!?」
当たれば即死のオーブ最大の必殺技は怪獣達を爆散させて尚、その光線の勢いは止まらなかった。放たれたオーブスプリームカリバーは止まる事なく放たれ続け、間違っても監獄塔や星間連盟に当たらない様に射線を反らしていた。
こうも光線が垂れ流しな状態だと当然エネルギーの消費も激しくなりオーブのカラータイマーは程なくして点滅を始めるとこれ以上エネルギーが消費され続ければ危険な為、ガイの意識とは関係なく半ば強制的な変身解除してしまったのだ。
幸いな事に変身解除された事でオーブスプリームカリバーも止まったが肝心のオーブから変身解除したガイは激しい消耗と疲れに襲われて膝をついていた。
「ハァ…!ハァ…!」
「アニキ!」
戦いが終わりガイに駆け寄ったショーティーはガイの体を支える。
荒い息遣いをするガイの背中をさすっているショーティーだったが
すぐに立ち上がったのだった。
「アニキ…また無茶して」
「…これくらいどうってことないさ」
「とか言いながら毎回酷い目にあってる気がするぜ?」
「ぐっ…」
今までガイと共に旅をしてきたショーティーだから言えた事だった。昔からどこか自分を顧みない所があった為、それを見てきたショーティーの物言いに対して言い返せなかったガイ。
自覚がある分、質が悪かったが性分なので仕方ない部分もありショーティーもそれ以上言うこともなかったので変わらずこの関係を続けていたのだ。
「まあそれがアニキのいいところなんだけどな!」
「褒めても何もでないからな?」
「チッ」
「お前な…」
最初こそ不本意だったもののなんだかんだでやってきたガイは今のこの関係を悪くないと感じていたのだ。
厄介事に振り回されたり……または振り回したりだったが。
とはいえショーティーはウルトラマンになれる自分とは違い少なくとも怪獣と戦えるような子ではないので自分が守っていれば大丈夫だと思ってこうして連れてきているのだからなるべく危険な事はさせたくないのは事実だった。
「よし…じゃあ行くか」
「アニキまだ回復してないでしょ?もう少し休んだら?」
「そうは言ってられないな。何せジャグラーが―――」
言いかけた時、不意に後ろから気配を感じた。
いや、
振り向いた瞬間首にとても強い衝撃が走り意識が飛んだ。万全の状態なら何でもないのだが今は消耗している状態だった。
ガイは自分の体が倒れていくのを感じ取り、こんな事をした人物を確かめる為最後の力を振り絞ってその人物に向かって目を凝らした。
その人物は…なんともまあ予想はしていたがまさか本当にそうだとは思わなかった人物だった。
「ジャ…グラー…」
ガイは眠りにつくように意識を手放した。
「アニキ!?アニキ!!」
ショーティーが倒れたガイを揺さぶる。ジャグラーが手刀で気絶させた為、起きる事はなかった。
起きない事を理解したショーティーはジャグラーを睨んだ。
「アニキに何するんだ!」
「そいつに今から俺がする事を邪魔されたらたまったもんじゃなくてな。で…それはお前もだぞ小僧」
そう告げるとジャグラーはショーティーの背後に素早く回り込み首筋に手刀を与えた。ショーティーは自分が何されたのかも自覚できずに気絶し、ジャグラーは倒れそうになったショーティーを片手で支えた。
ジャグラーは空を見上げる。星間連盟の宇宙船がとうとう痺れを切らしたのか全艦スラスターを最大出力で吹かして接近してきていたのだ。
懐から小型の端末を取り出して備え付けられたボタンを押すと、監獄塔の防衛システムが作動する。防衛の為に作られた幾つものビーム砲の砲塔が全て星間連盟の宇宙船に向けられビームの嵐が星間連盟を襲った。
星間連盟もただ黙って見てる訳ではなく急いでバリアを作動させるが流石は監獄塔と言ったところか、数々の熱線が絶え間なくバリアに直撃した。
元々、このビーム砲は対宇宙船用で設計された物だ。生半可なバリア等あっという間に破壊するほどの威力に加えて外から見ても異常な数の砲門なのでこの結果は余りにも普通の事だった。
やがてバリアに回していたエネルギーは切れて回避しようとするがその巨体故にビームの嵐を避けきる事など不可能であった。最早撃墜されるのも時間の問題―――思われたが実際は違った。
「砲撃が…止んだ…?」
突如としてビームが撃たれなくなった…?何かしら理由でもあるのだろうか。
そう思ったとき、艦内に通信が入ったのだ。通信先は…監獄塔からだ。
『よう、星間連盟。聞こえるか?』
「じ、ジャグラス・ジャグラー!?」
なんとこの自体を起こした張本人のジャグラーが通信を寄越してきたのだ。ダレイオスは少し驚くがすぐに落ち着き冷静に対応する。
「一体何の用だ…?」
『お前達には2つの道がある。このまま宇宙の塵になるか、あるいは俺のお願いを聞きお前達が生き残るかだ」
『…………その願いとは?』
ハン、とジャグラーが笑う。ジャグラーが望む物は1つだった。
『ウルトラマンフィフティをここに連れてこい。オーブが捕まっているのと俺が呼んでいると言えばミッション中だろうがなんだろうがアイツは来る。それが俺の出す願いだ』
補足
オーブスプリームカリバーを制御出来ていない、というのも本編ではオーブリングにかざしてから光線を放ってたのでオーブリングには制御機能も兼ねているんじゃないかとの独自解釈です
ですのでオーブリングを手に入れていないガイさんは撃てるものの制御は困難という風になりました