光の国に飛ばされた筈なんだけど目の前に輪っかがある 作:ウルトラネオン
時系列は
最初の冒頭→刑務所惑星の生配信
上司との会議中→命木編辺り
となっています。
ややこしいですが質問も受け付けておりますのでよろしくお願いしますm(_ _)m
それとプロダクションの設定といい登場人物は全て投稿主が考えたキャラです。現実にいても彼らとは何ら関係もないのであしらかず
皆は一度こう思った事はないだろうか?
ヒーローは本当に居ていつも皆の事を守ってくれる、と。
だがその
いつまでも同じ思いのままというわけにはいかない。
皆、人と触れ合い、何を見て何を感じるのは人それぞれだがあの頃思った心のままではない。何かを付け足したり外したり…そうして人は良くも悪くも成長していく。
だが……もし子供の頃抱いたあの気持ちが、今現実となったらどう思うだろう?答えは簡単だった。
「加減しろ馬鹿ァァァァァ!!!!」
ここは某プロダクションのオフィス。
人が引っ切り無しに往来するこのオフィスでこの男、円丸英治は怒りにも呆れにも似た大声を1人上げていた。
周りにいた同僚や上司も彼の奇行に驚いたが「あぁ…可哀そうに…」と哀れみの目を向けて再び自分の仕事に戻っていった。
この男、円丸英治は現在とある仕事を引き受けていた。
引き受けていたというよりは強引にやらされている気もするが英治に関してはそう思うはなかった。
円丸英治は子供の頃からウルトラマンに憧れていた。
彼等が勇敢に怪獣に立ち向かっていく姿は勿論の事、どんな時でも最後まで諦めないその姿に幼い頃からずっと憧れていた。
そうして大人になるにつれ、ウルトラマンはテレビの中の幻想だと思い知らされるが同時にこうも思ったのだ。
幼い頃に抱いたこの心は決して間違いじゃないと。
そうだと自分で納得した時からこのプロダクションに入って今度は俺がこの思いを後世の者たちに伝えていくんだと決意し、遂に念願の仕事につく事が出来たのだ。
最初こそは雑用やらなんやらと何ら関わりのない仕事をさせられていたがそれに対し文句も言わず進んでやっていた結果、現在はウルトラマンの制作に関わるまでに地位を上り詰めていったのだ。
そして現在、ウルトラマンの人気もかつての全盛期以上に上がっていて当然この英治も忙しい人間の1人だが実はとある噂を聞きつけていた。
本物のウルトラマンがいる、と
勿論最初は何かの冗談か或いはファンの行き過ぎた妄想か何かだと思っていた。が…そんな噂程度の物は息子が持ってきた画像や情報によって疑いの目をかけていた。
この画像に映っているのはウルトラマンだった。
だが知らない。こんなウルトラマン見たことも聞いた事もない。
全体的に青く…いや明るい青色といった方が良いのだろうか?胸以外に無駄な装飾はなくカラータイマーもウルトラマンロッソやブルに似たカラータイマーだった。
そして何より目だ。全体的に釣り上がっているようで丸みが掛かっている…アグルやトレギアの目を上手く混ぜ合わせたかのようで顔つきはウルトラマンブルをベースにトレギアの頭のパーツを上手く落とし込んでいる。
ここまでならばまだいい。ファンが作ったオリジナルウルトラマンかと思えるが問題はここからだ。
渡された画像にはオーブやジャグラーもいる。が…何故か演者までも映っているのだ。しかもその中心には私達の知らない左腕にオーブのカラータイマーを模したブレスレットを装着している青年が映っているからだ。
明らかにおかしい。コラかと言えば全くそうではない。
それに息子から譲り受けたスクショの画像のシーンは見たことがない。
オリジンサーガは多少であるが制作に関わっていた為、それなりにはカットシーンや編集前のシーンを拝見させてもらったが少なくとも惑星ザインの段階でこのようなシーンを撮っていた覚えはない。
それに出処もネット掲示板だというのだから尚更疑いの目をしていた。
知らぬ内に演者や監督が撮っていたのか?
いやありえない、少なくともこんなことをすれば色んな問題が浮かび上がってくる。一応オリジンサーガの制作に関わった人にそれとなく聞いたが、そんな話は聞いたことがないしやってもいないとの事。
「本物かどうか…か。取り敢えずは一応上の人に報告かな」
自分でも判断仕切れないと思った英治は貰った画像を持って報告しに行く事にした。
「うーん…本物ねぇ…」
英治の上司にあたる上島和人は英治が持ってきた画像を見て険しい顔をしていた。
報告があると聞いてみるともしかしたら本当にウルトラマンがいるかもしれないという普通に考えても馬鹿げてる話をしてきたものだから当然最初はファンが勝手にやったことだろうと思っていた。
しかし今職員の中でもかなり信用がある英治が気がかりだというのだから半信半疑で聞くがそれはそれで不可解な事が起きてるのも確かだった。
「しかしね英治君、私は君を信用してるし信頼してるが幾らなんでもこれは突拍子すぎやしないかい?」
「はい、それは自分でもそう思っています。しかし今回は少し気になるところが多くある気がします」
「確かに見る限り不可解な事だらけだ。画像を見る限り確かに関係者や本人が演じているように見えるが当の本人達は一切の関係がない。この上にこれを見れるのはごく僅か、加えて初出の掲示板は現在消失しているときた」
「自分も半信半疑なのは拭えません。しかし一応は見張っておいた方がいいとは思います」
「まあそうだな…。もしこんな事が次もあればすぐに対応しなければならないから……英治君、君いける?」
「え?自分ですか?」
確かにこのような事があればそれ相応の対応はしないといけない。しかしそれを俺にやらせるとは……忙しいし回れるか?
「そうそう、何せ最初に見つけてきたのは君だ。つまるところそういう事だ」
「…………まさか面倒くさいから自分に」
「いやそうじゃないそうじゃない」
食い気味に和人は英字の言葉を否定した。
「それは元々君の息子さんが見つけてきてくれたのだろう?ということはだ、息子さんはその掲示板に興味をかなり抱いているということだからそういうのは見逃さないだろう。それに加えて君自身もまぁ…忙しくない範囲で見てくれれば問題ないさ」
「そうでしょうか?」
「まあ何にせよ今から判断するのは情報や判断材料が少ない。暫く放っておけばいいさ」
「はぁ…」
なんともまあ気が抜けた言葉を返す英治。ともかく流石に四六時中監視、というわけにもいかないので仕事の合間がてら軽く見ておきながらしばらくは泳がせようと考えていた。
が……英治の思惑とは裏腹に事態はより混乱を招く事になるだとはこの時の英治も和人も知る由はなく、もっと早く対応しておけばよかったと後悔する羽目になることはまだ誰も知らない。
それから次の日の事。
いつもどおり英治は仕事に励んでいた。事務の仕事を初めとして撮影スケジュールの確認や撮影に使う小道具の運搬や搬入等いつもどおりにこなしていた。
今日も特に問題なくできそうだな、なんて考えててると何やら奥からドタドタと誰かが走るような音がしてきたのだ。
なんだなんだと英治は座っていたデスクトップから顔を覗かせると見知った顔が慌ててここに来ていたのだ。その見知った顔というのも英治の後輩でもある宮島貴也という男性で自分のスマホを片手にある画面を映し出していた。
「大変です!!僕らが知らない所で知らないウルトラマンが暴れ散らかしてます!!」
その言葉を聞いた英治は顔をキョトンとする他なかった。
昨日の今日だというのに貴也が言ったスレの特徴は全て息子から教えられた物と同じだった。だがしかし今回ばかりはそれに加わる事がもう1つ。
内容は自らをウルトラマンと名乗る物がスレを立ててること、それはある特定の人物しか見れない事。
そして今回もう一つ加わったのがLIVE配信の一部切り抜きだった。
聞いてみるとあのスレを閲覧できる人が動画を切り抜いて掲示板にのせていたのを貴也が気づいてここまで持ってきたと言うのだ。それがとんでもなくやばめの物だとは思いもよらなかったのだった。
「緊急事態だ、英治君。ウルトラマンホントにいるっぽい」
英治を会議室に呼びつけた和人は砕けた口調でそう言った。
顔を非常に困惑しており口調すら普段とは違う物だから余程焦っていると英治は察していた。
が、英治とてそれは同じである。和人に呼ばれる前に一部の切り抜きを見たがあれはやばい。
それはとあるシーンだった。巷ではベゼルブタワーとかいう全くもって知らないベゼルブとの戦闘だった。
他のウルトラマンもいるという自体だけでも大変な事なのにあのウルトラマン―――フィフティと名付けられたウルトラマンの戦い方がまあやばい。
あんなの一般放送出来ないよ…。
「どどどどどどどどどどうしようどうしよよよ」
「和人さん!?ここで壊れないでください!!俺だって胃が痛いんです!!!」
和人さんの気持ちも分かる。
分かるけど今は壊れないで欲しい。目を剥いて口をパクパクしているが意識を取り戻すために肩を必死に揺すると和人はようやく意識を取り戻した。
「はっ!?……すまない情けない姿をみせた」
「いえ仕方ないかと」
「……………………君が来る前に上から連絡があった。緊急会議を開くと」
「はい……」
「付いてきて……くれるよな?」
「………はい」
どうなるのこれ?
緊急会議が開かれて重役が数々揃ったこの会議室で俺はかなり緊張していた。何せこんな事は前代未聞だし何よりこの場所は本来俺が来るような場所ではなく今後の方針や運営状況等を話し合う場である。幾ら信用されているとはいえまだまだ下っ端の俺がくるような場所ではないが今回はそうもいかない。
何せ今回の騒動を最初に聞きつけたのは俺だ。あくまで重役に報告したのは和人さんだが話を持ってきたのは俺だ。当然俺もこの会議に出なければならないのだが…………。
あぁ胃が痛い…。
「で、どうする?これは明らかにファンのする域を超えている。我々に出来る事と言えば即刻掲示板の管理者に報告し削除申請する他ないのだが」
「もう遅いでしょう。そこにいる円丸英治君が話を持ってきた段階でスレが立ってからかなり経過している。今更やった所で視聴者からの追求は免れないでしょう」
「ならばあれは全く我々と関係ないと公表するしかないでしょう。しかしそれで本当にいいのかどうか…」
「今の所は掲示板止まりだが今はインターネットが主流のこの社会だ。拡散されるのも時間の問題なので早急の対応を」
「しかしこれがもし現実に起こっているのだとすれば安易に行動すべきではないかと」
「だからと言ってこのままにしていいものではない」
「でも本当にウルトラマンがいて我々が制作したウルトラマン達も存在するとなればいやはや興奮が」
「こらそこ、今は抑えなさい。気持ちは分かるけど」
「これ下手をすれば次回作を作るのにもっと慎重にならなければいけないのでは…?」
議題は続いていった。
大体の方針は無実表明をするという事で決まってはいるがだが安易に動いていいものなのか決めあぐねていた。
そうこう議論していく内に誰かが1つ爆弾を落としていったのだ。
「もうノリに乗ればいいのでは?」
ふと場の空気が張り詰めた。
「今なんと?」
「確かに……こちらは関係ないと言いつつその掲示板スレの存在を認めるかつ情報を集める事ができれば…」
「いやしかし……」
「もういっその事演者も巻き込む…?」
「しかし健全ではないのでは…」
「今更じゃないか?」
おかしい。何かがおかしい…流れが一気に変わった気がする。何故か悪い予感がする。
英治が感じた予感は当たる事になる。
「うむ、そうだな。乗ろう」
「ならば再びあのエイプリルフール企画を再始動させよう。その方がおもしろ……視聴者も共感してくれるだろう」
「よし、そうしよう!その方針で決まりだ!」
「という訳で和人君、君の部下である円丸英治君と共にあの懐かしいエイプリルフール企画をやって貰いたい。ああ、あの時とは違いなるべくキャラを崩壊させないようにね?我々の方でも人材を出すから手が足りるようにはするからさ」
…………………マジか。
そして現在、なんとあの掲示板のスレが見れるという人物達が生配信をしておりどのようになっているか英治は恐る恐る確認したがまあ駄目だった。
「加減しろバカァァァァァ!!!!」
眼の前で繰り広げられているレッドファイトを見て英治は大きく叫ぶ他なかったのだった。