光の国に飛ばされた筈なんだけど目の前に輪っかがある 作:ウルトラネオン
あまり良いタイトルが浮かび上がらねぇっす…。
時系列的にはカケル達が来る数年前の話です
私は生まれた時から自分が何者なのか分からなかった。
辺りに広がるのは広大な砂の地のみ。
何故ここにいるのか、私は何なのかが理解できていなかった。
広大な砂の地を私は歩く。
歩く大地は空に浮かぶ太陽のせいか灼熱のように熱い。
私自身はなんともないがこの足が歩む事を止めない。
何故かは分からなかったけども私には何故か誰かに呼ばれていているかのような…そんな気がして私は果てしない程に歩いた。
休む事なく寝ることもなく…別になんてことはなかった。何が私をそうさせるのかが分からなかったけど、きっと歩いた先には何かがあると思いながら歩いた。そして、どれほど歩いたか分からないくらい歩くと、前方にズラッと並んだ石の建物が見えてきた。
あれはなんだろう?ここずっと歩いてきたけれどもあんなものは始めて見た。だから少しだけ私はドキドキしたのだ。
あそこには何があるのか、どういったものなのか分からない事知らない事がいっぱい出てきた。
少しでも早くあそこに辿り着きたいと思って私は走った。
あそこはなんだろう?
あそこには何があるのだろう?
そうしたドキドキが強まるのを感じながら走った。
そして遂に辿り着くとそこには私が知らない物ばかりだった。
まずに1番目についたのは私と同じような物が何体も居た事だった。
普通に歩いてる物、大きな籠を頭に持って歩く物、建物の中に居座って大きな声を上げている物。
丸い何かを蹴って楽しそうにしてる物、私と同じくらいな物とそれより大きな物が2体の合計3体が楽しそうに歩いてる事。
地面は砂じゃなく石になっていて所々に木が立っていて皆楽しそうにしていた。
私と同じような物が何体もいるなんて思いもよらなかった。
私は少し興奮気味に歩くと、楽しそうにしていた物たちは突然私の方を見てきた。
どうしたのだろうと思った時、その物達は目を鋭くして私に向って大声を上げていた。
よく分からないけど…いみご?とかきえろ?とか言っていたけどこれはどういう意味だろう?
考えても分からないので私は声を出そうとしたが何故か声が出ない。
あれ?と思って何度か声を出そうとしてみるが出てこない。
そして私はふと、こう考えたのだ。
ああ、私は声が出せないんだ!
そう考えると不思議と納得したのだ。
この物達は私が声を出せないという事を分かっていて、声が出せるようにと手本を見せてくれているのだ。
そうならば私も頑張らないと。私は必死に声を出そうと試みるがやはり出ない。顔をムッとしたり大きく口を開けたがやはり出なかった。
周りの物達も手本を何度も見せてくれているが中々上手くいかない。私がうーん、と悩んでいると頭に衝撃が走った。
本当に突然だった。
後ろを向くと、棒を握り締めた物がそこに立っていた。そこでは私は初めて「痛い」という事を理解した。
そしてその「痛い」はこの物が私に与えてきたものだろうと。
すると、今度は腕に痛みが走った。
今度は左に居た物が、その腕で私の腕を叩いたんだ。
そして次から次へと私に痛みを与えてきた。
痛い、と感じた私はすぐさま走り出し、この物達から逃げるが当然あの物達は私の事を追いかけてきた。
ここから逃げないと―――それだけの思いで命からがらに逃げた。
走っているから息遣いも荒くなるがそんな事を気にしてる場合なんてなく、ただひたすらに走ったがあの物達はしつこく私を追いかけてきたのだった。
遠く、遠くまで走って建物が見えなくなるくらいにまで走った頃にはあの物達は既にいなくなっていた。
諦めがついたのか…それは私には分からないがともかく私は逃げる事が出来たのだ。
走り疲れたのか、段々と眠気が増していき誰もいない広大な砂の地で私は倒れるように眠りについたのだった。
眠りが覚めたのは再び空に照らす太陽の輝きのせいだった。
目が覚めた私は再び起き上がる。私は昨日、痛いと感じた部分を触ったり見たりするが特に問題は無かった。
寝てる間に治ったのだろうか……そう思った時、私はあの物達にされた事を思い出す。
痛かった。ただ痛かったのだ。
あんな思いはもうしたくない…そう思うと私は周りを急いで見渡す。
あの物達が来ていないか確認したが今の所はいない。しかしここにいた所であの物達が来ないという確証もなかった。
私は起き上がるとこの場から逃げるように歩く。
あんなに痛いのはもう嫌だった。
このまま歩いて何が変わるか分からないけど…それでも歩くしか私は道がなかった。
けれども―――変わる事はなかった。
歩いて歩いて……あの物達がいた場所とは違う集落に辿り着いたりしたが何処に行っても私に痛い事をする物達がいることには変わりは無かった。
ただの一度もだ。
ただの一度も私に「痛い」以外与えてくる物なんて誰もいなかった。
長い時間、色んな場所に行ったが楽しい事等何も無かった。
幸いな事に寝さえすれば痛い部分は無くなるので身体にはなんとも無かったが時々空腹には悩まされた。
これは我儘さえすればなんとかなったものの、それ以上に痛いのは嫌だったのであの物達から逃げる他無かった。
そして―――長い旅路の果てに辿り着いたのが
長い道のりの中、とある場所で見た本によれば彼らは人という生命体でありその人が集団で暮らす場所の事を「村」というらしい。その村がより大きな物になれば街と言うのも知っていた。
現在、すぐ近くにあるのがどうやら街だった。
だけど私は長い間、幾度なく人に痛みを与えられては逃げるの繰り返しだったせいか既に疲れ切っていて街には入らず街の近くにある森で私は休んでいた。
休めばまた元に戻る。この身体がもつ驚く程の回復力だけを頼りに私は木々に身体を預けた。
ふと―――声が聞こえた。
「!?」
すぐに気づいた私は急いで身体を起す。
まさかこんな所にも人がいるとは思わなかった。
逃げなければ。
逃げなければまた痛みを与えてくる。
そう思い、私はすぐに立ち去ろうとするが動いたせいか地面に生えていた草を踏む音で人に気づかれてしまう。
人は私に近づいてきて遂に顔を合わせてしまう。
早く逃げないと―――と思ったがその人は私に襲いかかる事はなかった。
「え…え〜と…こんにちは。ここで何してるの?」
一言で言えば変だった。何処か暖かいような…けれどそれより私に襲いからなかったのが不思議でならなかった。
今までの人達は私を見ればすぐに痛みを与えてきたが目の前の人は私にそんな事をする事はなく、ただ私に何かを聞いてくるのだった。
私が喋れない事を見抜いた事は流石に驚いたが途中で私のお腹が空く事を感じ、腹がなってしまったのだ。
「あ〜…、それじゃ付いてきなよ。丁度晩飯の時間だし」
私がお腹を空いていると判断したこの人は私を誘うように手を揺らす。
正直言うとこんなことをしてまた私に痛い事をしてくるのではないかと思っていたがそんな事は無かった。
私はこの人に誘われるがままに付いていくと、この人はどうやらこの街に入るつもりだったようだ。
……あまりあそこには行きたくない。
気づけば私はの内にこの人の後ろに回って服を掴んでいた。
それに気づいたこの人は私に今から街に入るけど大丈夫かと聞いてきた。
…私の事を気にしてくれているのだろうか?
けれど私は声を出す事も出来なかったので頷こうとするが自然と笑顔になった。
……?
なんで私は笑顔に出来たんだろう。
そして街に入ったがやはりここにも沢山の人がいた。今までの中でも1番人が多い。私はこの人に隠れて歩いたが、人は私に痛い事をしてくる気配はなかった。
それどころか優しく接してきてくれたり、食べ物をこの人に与えたりしていた。
そしてこの人は与えてもらった食べ物を私にくれたのだ。少し警戒したがお腹も空いていた為食べてみる事にする。
―――美味しい。
この食べ物はりんごというらしいが食べて見るとシャリッと硬いようで柔らかく、食べた所から甘い汁がじわじわと溢れ出てきて食べているだけでとても楽しい気分になった。
初めて食べた感覚。
初めて味わった感覚。
その楽しさについ夢中になっていた。気がつけばこの人が住んでいるであろう建物に着いていて中にも同じ人がいたが私に対して快く歓迎してくれていたのだ。
……りんごを食べていて夢中になっていたが連れてきてくれたこの人は何故か他の人達にいじられていたが。
少しすると、この人達は私に名前を付けると言ってきた。
名前…名前…か。
私は名前なんて無かったから分からなかったが人というものは名前があることで誰かを分別しやすいようにしてるようだった。
そしてそうこうしている内に連れてきてくれたこの人が私に「トーア」という名前はどうかと聞いてきていた。
その名前を聞いたとき、何故か心の内にドクンと波打つような感覚があって不思議と親近感もあったのだ。
私はその「トーア」という名前がいいと全力で肯定し皆もそれに同意していたのだ。
ガイさん。
ショーティー。
ダーナお姉ちゃん。
ビランキお姉ちゃん。
そして―――私をここに連れてきてくれたカケル。
名前を付けて貰えた事、そして私が久々に感じた楽しいという事を思い出させてくれた。
作ってくれたご飯も美味しかったけれども、皆と食べた方が一層美味しいのだと理解した。
この後、カケルとビランキお姉ちゃんは外に出たけど私は休んでていいとガイさんにとある場所へ連れて行ってもらった。
そこは部屋と言う場所で、そこまで広くはないのだが私が目を惹かれたのはこの四角い箱のような物だった。
乗って見るとふわふわフカフカで気持ちよかった。
ベッドという名前らしい。
私は暫くベッドに乗っていると途端に眠たくなってきた。
すっかり安心した私は落ちるように眠ったのだった。
…………余談だが、寝ぼけて途中で起きてしまい1人でいるのが少し怖くなってきたのでカケルのような気配を寝ぼけながら辿っていってそのままそこで寝てしまったのだがそれがカケルではなくガイさんだったというのは起きてから認識したのだった。