光の国に飛ばされた筈なんだけど目の前に輪っかがある   作:ウルトラネオン

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投稿です。

街がまあやばい事になってます


激突!マガタノゾーア!1

◇カケル

 

街に戻った俺とガイさんは二手に分かれ生存者がいないかどうか散策を開始する。

 

あの美しく綺麗な街並みはもうない。

古代文明という割には匠の技であろう家や建造物は闇の瘴気の影響で腐ったり崩壊している。

 

舗装されていた綺麗な道も断裂だらけでそこら中から闇の瘴気が溢れている。誰が見てもこの街は終わりだと…そう思わずにはいられなかった。

 

スレ民の皆もこの状況を見て反応が悲壮で溢れていた。

あの街の光景は何も俺やガイさん、ダーナちゃんにショーティー君そしてトーアだけが見ていた訳じゃない。

LIVE配信を通してスレ民の皆や配信を見てくれている沢山の人が見ていたのだ。

 

スレ民の皆にとっては数日、俺達にとっては1年。

例え流れた時間が違うとも抱く想いは同じだった。

 

闇の瘴気を避けて街を散策していると、やがてイシュタールの街で1番大きな通りに出る事ができた。

 

が……。

 

「皆…………」

 

その大通りにあったのは幾つもの倒れた人達。

うつ伏せや仰向け、中には倒れている人の上に重なるように倒れた人達が大勢いたのだ。

 

その人達はもう動かない。闇の瘴気にあてられたのか生気を感じる人は存在せず、皆や苦悶の顔を浮かべたものばかりだった。

 

流石にその光景を見せるのは不味いと思い、急いでLIVE配信を消したが…やはり見えた人はいるようだった。

スレ民の皆は多分全員見えたと思う。

この……最悪な光景が。

 

「……………………くそっ」

 

ウルトラマンになったからと言って全てを守れる訳じゃない。手を伸ばした所で届く距離にも限界はある。

それでも…この光景には流石に堪えた。

スレ民の皆はそんな俺を励ましてくれていたがやはり救えなかったという事実に影が残る。

 

ふと、微かに音が聞こえた。

何か物が落ちたとかそういうものじゃない、何か足音の様な―――。

 

「誰か…いるのか!?」

 

音がした方に走り出す。ただの勘違いとか偶々音がなったじゃない事を祈りつつ走った。音が鳴った場所はこの大通りから裏路地に入る脇道。俺はすぐにその道を覗いて見た。

 

そこには頭に血を流しながらも微かにだが呼吸している少女が壁により掛かっていた。少女の姿は見るからにボロボロになっているがまだ生きていた。

 

「うう……」

 

「生きてる!?大丈夫!?」

 

俺は急いで光の力を用いて少女の容態を安静にさせる。恐らく闇の瘴気に触れたせいでこうなっているのだろう。頭から血が流れているのは崩壊した建物の欠片にでも当たったのかもしれないが見る限りでは切り傷程度に収まっていた。

 

「う…あ……」

 

「よし、これで一応は大丈夫だな」

 

「あ…あの……」

 

「大丈夫、お兄ちゃんが安全な所に連れてってやるからな」

 

俺はこの少女を抱えると急いで光のバリアーを張り巡らし少女を闇の瘴気にさらされないようにする。

少女を抱えながらも街を散策し生存者がいないかどうか探すがやはりこの少女以外に生存者はいなかった。

 

すると、背後から誰かがこちらに走ってくる音が聞こえた。振り返るとそこにはガイさんが少年を抱えて俺の方に向かってきたのだった。

 

「ガイさん!」

 

「カケル!………生き残っていたのはこの娘だけか」

 

「…はい。でも」

 

「ああ、少なくともこの子達はまだ救える」

 

俺が伝えたかった事。それは口にせずともガイさんに伝わり肯定してくれた。

確かに救えた命は限りなく少ない。

でも…全部救えないよりかは遥かにマシだった。

 

「急いでダーナちゃん達の所に行きましょう。長居するとこの子達が危ない」

 

「ああ、闇の瘴気はどんどん溢れ出ている。いつこの瘴気が収まるのかどうか―――」

 

 

 

瞬間、とても大きな揺れが生じた。

 

 

その揺れに伴って闇の瘴気の勢いが更に増し、俺達の背後から地面が割れてとても巨大な亀裂が走り出す。

俺とガイさんはバランスを取るためなんとか足で踏ん張っていると地面が噴火の如く舞い上がり辺り一帯に振り注ぐ。

 

そして―――その中から巨大な闇が姿を表した。

 

 

「オァァァァァァァァァァァン」

 

その闇は巨体だった。

オウム貝を思わせる様な甲殻を持つ体から伸びる数え切れない無数の触手。その中でも一際大きく、ウルトラマンの体を掴めそうなくらい大きな鋏が4つ。

足は百足のような形で計8本で走行しているが百足とは違い刺々しく、そして歩くだけでも一帯を潰しそうなガッシリとしていた。

 

そして何より目を引かれるのはその顔。

 

俺がこれまで出会った怪獣や宇宙人とは比にならない程の異質さ。スレ民の皆はあくまで目が顎についているだけだとは言っているが普通に見ても顔を逆しまにしたような…超獣でもここまでの異質さは無いだろう。

 

そしてその顎から伸びる赤い突起物。

これが魔王獣たる証であり要でもある物……アイツこそが全ての元凶であり、この事態を起こした張本人―――

 

「マガタノゾーア…!」

 

「カケル!急いでこの子達をダーナ達の所に移動させるんだ!」

 

「でもガイさん!それって…」

 

「いいか、よく聞くんだ」

 

無茶だ。あんな巨大な闇を相手するには1人より2人の方がずっと良い。

けれども、その考えとは反対にガイさんは俺を落ち着かせるように優しく肩に手を置いた。

 

「いいかカケル、お前は俺とは違ってスピードがある。それを活かして急いでダーナ達の元へ行くんだ。今の俺達じゃこの子達を守りつつアイツを相手にするなんてとても出来ない」

 

「そう…ですね…。すみません、焦ってました…」

 

「焦る気持ちも分かる。だが優先するべき事はしっかりとな。任せたぞカケル」

 

「はい…。―――ガイさん、俺が来るまで絶対にやられないで下さいね」

 

「当たり前だ。ここは先輩に任せとけ」

 

俺はガイさんの言葉に頷いてブレスレットを掲げてウルトラマンに変身し、ダーナちゃん達のいるあの丘へ急いで飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オァァァァァァァァァァァン!!」

 

 

飛んでいったカケルを背に俺はマガタノゾーアと相対する。

これ程の巨大な闇はかつて経験したことがない。

ジャグラーの闇とは違いここまで深く、そして絶望を引き出させるような闇はやがて辺り一帯を荒廃させるだろう。

 

街の人達も死んでしまった。恐らくもうイシュタールという文明は滅びたも同然だった。

それでも……それでも俺は戦う。

 

俺達にはまだ守るべき物がある。

ダーナやショーティー、トーアだけじゃない。

この星には幾つもの生命が満ち溢れている。だがそんな儚い命もこの闇が存在するだけで全てが無に帰す。

それだけは絶対に許さない。

 

俺はオーブリングを手に持ち、ホルダーから1枚のカードを取り出してオーブリングにリードする。

 

『覚醒せよ!オーブオリジン!』

 

虹色の螺旋の光と共にオーブリングから出現する変身アイテム―――オーブカリバーを取って4つのエレメントが収められているリングを大きく回す。

 

 

 

4つのエレメントが魂が宿るように光出すと、オーブカリバーを天高く掲げた。

 

 

「オォォォォォォォォォォブ!!!」

 

体の中から光が溢れ、光の戦士としての姿に変える。

変身アイテムだったオーブカリバーは巨大な剣となって俺の手に出現し、構える。

 

あの巨大な闇に立ち向かうため俺はオーブカリバーを握りしめた。

 

「銀河の光が、我を呼ぶっ!!」

 

今、光と闇が激突する。

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