光の国に飛ばされた筈なんだけど目の前に輪っかがある   作:ウルトラネオン

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投稿です。
ここから11話近くまでイッチことカケルの過去に触れていきます。

カケルがジャグラーに言った大切な人を失った話です。


カケルの過去:ウルトラマンになるまでの道のり3

俺の視界には真っ黒な空間が映っていた。

いや、真っ黒ではあるが厳密には完全な黒という訳ではなくところかしこに白い光の様な物が浮かび上がっていた。

 

何処をどう見ても同じ様なものしか無く、見回している俺は何も出来なかったが少しすると背後から光が出てきていた。

自分の背から放たれている光はその極光で周りを照らしているかの様で例え見ていなくてもその存在の大きさは背中越しでも認識出来る物だった。

 

振り返ると、その光の正体は丸い球体だった。

 

その球体は宝石のように銀色に輝き、とても美しくそして巨大だった。自分の身体がちっぽけにも思えてしまうくらいに大きな球体だがその中心には2つの影があった。

影は高速で飛び回ってはぶつかり合い、互いに相手を攻撃しているように思えたそれから声が聞こえたんだ。

 

「………な…よ!わた………ん!平和………は!」

 

「お…え………えは……を壊す!そし…………の世界も!」

 

何を話しているのか、どうして戦っているのは分からなかった。だけどたった1つ分かった事がある。

 

 

片方の影は何処か懐かしくも思えたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んぁっ…?夢……?」

 

窓から日射しが入り、その日光によって目覚めた俺は不機嫌なままベッドから起き上がる。

今しがた変な夢を見ていた気がするがその夢よりも今のこの現状が何より憂鬱だった。

時計を見ればまだ朝の5時。

起床して支度を済ませて学校に行くにはとても早い時間帯だったのだがまあ起きたのは仕方がない。

 

ベッドから離れて朝食の準備でもするかと思い部屋を出て2階から1階のリビングに降りようとすると、そのリビングから物音が聞こえたのだ。

 

「ん…?まさか…!?」

 

その物音に気づいた俺は寝ぼけていた目をすぐに覚まし急いで階段を駆け下りてリビングに入るとそこには朝食の準備をしているであろう母さんが立っていたのだ。

 

「あら、カケルおはよ―――」

 

「何してるんだよ母さん!?アンタ病人だろ!?」

 

キッチンであれよこれよと朝食の準備をしている母さんに俺は急いで駆け寄った。

あ、母さんご飯と味噌汁作るつもりなのか…じゃなくて!

 

「大丈夫よ、母さんに心配はいらないわよ」

 

「その母さんが半年前に体調壊して倒れたの覚えてる?それからというものどこかしら身体にガタがきてるんだから安静にしておいてくれよ」

 

「けれどカケル、貴方今日なんの日か覚えているわよね?それなのに母さんは寝っぱなしなんてありえないわ」

 

母さんが言うなんの日か―――それは晴れて今日から中学生から高校生に上がる入学式の日だった。

 

 

母さんが倒れるよりもっと前、突然父さんが家から出ていった。

何が理由なのか何で出ていったのかは全くもって分からない。母さんに父さんの事を問い詰めても「父さんは暫く帰ってこない」との一点張りだった。

初めは浮気とか色んな事を考えていたが、母さんは父さんが作ってあげたペンダントをとても大事そうにしていたからそれはないなと俺も思っていた。

 

なら何故何も言わずに出ていったのか。

理由さえ言えばこんな風に考える事もなかったのにと思った事なんて幾らでもある。

 

そして今度は母さんが倒れたのだ。

 

本当に突然だったと思う。俺が学校に行っている時、先生から突然電話があると聞いて見れば母さんが倒れて病院に搬送されたと聞いたんだ。

 

それを知って俺はすぐに病院に駆けつけて見るとそこには母さんが病院のベッドで点滴を打たれながら眠っているという状態だった。

 

医師によると何度検査しても原因は不明。一瞬だけ母さんの身体から銀色の粒なような物がとても小さなサイズで見つかったがそれもすぐに消えて観測すらできないらしい。今の所は命に別状もないが母さんのような症状は調べてもないらいしく暫くは様子見だったが数日経つと母さんは目覚め容態も収まっていった。

そこから1ヶ月近く経って退院し、現在に至るまで家に居る状況だ。

 

今の所は兆候は見られないがいつ起きてもおかしくはないのでなるべく無理をしてほしくなく家事を俺自身で行っていたのだ。………まあ俺に料理する才能はなかったがそれでもなんとかやっていってるのだ。

 

「母さんの気持ちはありがたく受け取っておくからさっさと寝てて。俺は大丈夫だから」

 

「……そうねぇ。母さんが倒れてカケル、「俺が医者になって母さんを助ける」なんて言った時は私は嬉しかったよ」

 

「……こんな時、父さんがいれば」

 

「カケル、それは母さんも言ったでしょ。父さんは暫く帰って来れないって…」

 

「…母さんが倒れても帰って来なかったのにそんな父さんをどうして信じられるんだよ」

 

「当然、貴方の父さんであり私の夫なんだから」

 

昔から仲良かったのは知ってるけど流石にここまでとは…。

 

「けどその割にはペンダント壊したじゃん。そこの所どうなのよ?」

 

「………………そうね」

 

途端に暗くなる母さんの顔を見て慌てて冗談だと弁解する。

母さんが付けているペンダントは確か…母さんが倒れるほんの数日前の事だったかな?

俺が家に帰宅した時には既に壊れていてとっても大事そうにしていた物だったからショックを受けてるのかと思いきやケロっとしていたので特に言わなかったが…。

 

…流石にまずかったかな。

 

「あー…うん、ごめん母さん」

 

「いいのよ…。それよりも今日は偶には母さんの朝食を食べていきなさい。いい加減何もしないでいると体が訛っちゃうし」

 

「けど…」

 

「カケルがお母さんの心配してくれるのは嬉しいけども、せめて今日くらいはお母さんに任せておきなさい。今日は…貴方が何より頑張った証なんだから」

 

「うん…」

 

そう、俺は今日高校には行くが普通のではなく高等医学の専門学校に通う。

母さんが倒れた時、俺は決意したんだ。

それから必死に勉強し、高等学校の入試に合格した時には母さんが思いっきり喜んでくれた。

……そこに父さんがいなかったのは少し複雑だったがもし居てくれたら父さんも喜んでくれたのだろうか?

 

そんな気持ちを少し考えたがすぐに他所に置き、母さんが作ってくれた朝食をありがたく頂くことにした。

残念ながら料理の腕は未来永劫、母さんに勝てることはないと食べた瞬間分かったのがなんか悔しかった。

 

 

 

 

 

「それじゃ、行って来るよ」

 

「行ってらっしゃい。ごめんね、母さんも入学式行ければよかったのだけれど…」

 

「無茶するなって。それで倒れられたらこっちが困るよ」

 

「カケル…」

 

「大丈夫、心配しないでよ母さん。行ってきます」

 

玄関から外に出て俺は今日入学する高校へと赴く。

この時期の日本は春だから少し歩けばとても綺麗に咲いている桜が俺を迎えてくれて、時々風が吹けば咲いた桜の花びらが散って舞い降りてくる。

 

学校へ行くには家から少し離れた駅に向かい、そこから二駅乗り越すという割と近い場所にあるのだがだからといって遅めに出ていい訳ではなく乗り遅れてしまうと次の電車は来るのが少し遅い上に快速電車が通り過ぎるまで一時停止するとかいう凶悪コンボによって遅刻は確定する。

 

交差点を超えて繁華街を通り過ぎると、噴水がポツンと1つだけ建った広場に出てくるのでそこに最寄りの駅があるのだ

事前に買っていた定期券を鞄から取り出し改札に向かったのだが、何やら駅の前で自販機の前でしゃがんでいる女の子が視線に入った。

小銭でも落としたのだろうか、その子は必死に自販機の下の隙間に手を伸ばしていたが中々取れないでいるようだった。

 

駅にある時計を見ると今は午前7時45分。

電車が来るにはもう少し余裕がある事を確認し、俺はその子の所に行く事にした。

 

「あの〜、大丈夫ですか?」

 

「あ…いえ、大丈夫です」

 

見た目は長い髪を後ろに纏めてポニーテールにして、顔のサイズにあった眼鏡を掛けているが服装は恐らくだが俺と同じ学校の学生服の見た目だったので同級生かはたまた先輩かのどちらかだった。

だがその制服姿もしゃがんでいるせいか少し汚れているがそんな事はお構いなしに女の子は手を伸ばしていた。

 

「小銭でも落としましたか?」

 

「いや、そういうのでは…」

 

「手伝いますよ」

 

その言葉を聞いた女の子は少し驚いた顔をした。

まあ普通に考えて通りすがりの人間が手伝うと言うなんて思わないわな。

けれどまあ…時間に少し余裕あるしこういうの見るとほっとけない性分だ。なので少し強引にも思えたが女の子を少し避けてからしゃがんで自販機の下に手を突っ込んだ。

 

少し腕を動かしてみると何やら手の先に何かが当たる感覚があった。どうやら小銭とかそういうのではなく凹凸のついた物体みたいだが、これを手で掴んで引っ張つてその物体を取った。

 

手の中を確認するとそれはストラップだった。

なんだこれ……何か怪獣のような物そうだけど…?

 

「そ、それです!私が探してたやつ!」

 

とうやら当たりだったようだ。

手に持ったストラップを女の子に渡すと女の子は嬉しそうに受け取り少し可愛いかな、と思えるくらいには笑顔だった。

そんなに大切な物だったか…。ま、解決して良かった。

 

「あの…!ありがとうございます!」

 

「あ〜…いや気にしなくていいですよ。こういうのほっとけない性格なんで。……ん?あ、やべ」

 

ふと時計を見るとそろそろ電車がやってくる時間だった。

距離は離れていないが少し急がないとな。

 

「それじゃ行くんで。早く電車乗らないと学校間に合わなくなるんで」

 

「あ、ちょちょっと…!」

 

何やら引き止めたそうにしていたが気にせず行く事にした。

お礼とかならば貰いたい気持ちも無くはないがそれで遅刻したらどうしようもない。

 

俺は素早く駅の改札に通る事にしたのだった。

 

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