光の国に飛ばされた筈なんだけど目の前に輪っかがある   作:ウルトラネオン

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カケルの過去:ウルトラマンになるまでの道のり4

入学式が終わり学校での説明を終えた後、俺は学校内を歩き回っていた。

外見は何処にでもありそうな見た目の校舎の割には中はとても綺麗なものだった。教室、廊下、教員室に食堂や中でも1番目を惹かれたのは中庭だった。

 

それは中心に噴水が接地されていて、いかにも手入れされているであろう木々やベンチが接地されていて生徒達の憩いの間になっていそうな場所だった。

 

この学校は国が誇る名門校……とかではなくそれでもそれなりの格式を持っている学校だ。

 

流石に俺の地頭では時間的にも学力的にも難しかったので偶々近くにあったこの学校を選んで入学したのだ。

一時期はどうなるかと冷や冷やしたけどまあなんとかなって良かったと思う反面、これからまだまだ頑張らないといけないという気持ちが湧き上がってくる。

 

ここに入ったのも元より母さんの病気を治す為でもあるがそれとは別に人の助けになるような事をしたかったのも事実だ。

正直な話、金銭面とかどうしたものかと考えていたがそこは大丈夫だったようで……というか父さんがかなり稼いでたらしく俺に何不自由なく出来るように予め準備していたのだと母さんから聞かされた時は流石に驚いたが…。

 

こういう所で父さんに感謝するとは思わなかったよ…。

 

「ん?」

 

すると、俺が歩き回っている内に数人の生徒が人気の居ない所に向かう所を目撃した。

あそこは俺も先程見回ったが掃除道具入れのロッカーがあるくらいだったがそんな所に数人で向かうのも変な話である。

 

何かあるのかなと思うと興味を持ち出した俺はその場所に足を赴くと何やらそこから声が聞こえてきた。声から察するに男女合わせて4人か?

こっそり覗いて見るとそこには男2人と女2人が誰かを囲うように話しかけていた。

 

明らかにやばい雰囲気がするが、それで一度痛い目を小学生の時に会っているので取り敢えず聞き耳立てる事にした。

 

「あらーオタクちゃんじゃない。アンタもここに入ってきたの〜?ん〜?」

 

「まあ中学の時から頭だけは良かったからね〜。それ以外はからっきしだし、何よりアンタのそのオタク地味た雰囲気で皆に避けられてたしね〜」

 

「大体、ウルトラマンなんて俺達男が見るようなもんだぜ?それをこの年まで見てるとかねえわ〜」

 

「ていうか俺達がそのウルトラマンを卒業させる為にわざわざお前のストラップ捨ててやったのになんで持ってるの?あぁ…自分で拾ってきたの?だから少し服が汚れてるんだぁ。晴れ舞台だってのに汚いなぁー」

 

うん、1番鬱陶しい奴らだったわ。

ていうかこんな学校でもこんなあからさまな虐めみたいなのまだあるの?もう中学生越えて高校生だよ?もう少しで大人の仲間入りだっていうのにまだこんな事やってる奴がいるとは…。

 

「違…これは通りすがりの人が取ってくれたの…」

 

「へぇ〜?アンタみたいな地味な奴助ける奴いるんだ〜」

 

「後でお礼言っときなよ?まあ言った所でその人は次助けてくれるのは知らないけれどねぇ…?」

 

「まあお前みたいな奴助けた奴も大概なアホだな。今頃正義の味方気取りでいい気になってるんだろうよ」

 

いやそこは人助けしたんだし正義の味方気取っていいだろ。俺もさっき人助けしたし何も悪いことしてないしな。

 

「……しないで」

 

「うん?何よく聞こえな―――」

 

「私を助けてくれた人を馬鹿にしないで!!」

 

お、おおう…。結構強い所あるのねあの囲われている人。

どうしよう…初日から暴力沙汰なんて不味いにも程があるし…かと言って放っておく訳にもいかないしな…。

…………せや!人呼んだろ!!

 

「はぁ〜?ちょっとアンタあんまり調子乗ってんじゃ」

 

「あー!!!虐めだー!!!!数人で囲って1人を虐めてる奴らがいるー!!!!」

 

「っ!?」

 

驚いた顔で声の発生元である俺の方に全員が目を向ける。

暴力は駄目、しかし見過ごせないなら人を集めればいいだけだ。

まあ時偶に見てみぬ振りしてる奴らもいるが流石に入学式初日にそんな事する奴はほぼいないだろう。

 

そして俺の声に反応して野次馬がワラワラと集まってくる。当然その騒動に駆けつけてくる先生もいるのであいつら4人は悪い意味で注目間違いなしだろう。

これが暴力に頼らず物事を解決する方法の1つである。

まあ無理なら暴力も無しではないけどな。

 

するとようやく先生達もここに駆けつけて来て生徒達に事情を聞いていったのだが…。

 

「いや、俺達は何もしてないっすよ。ただ空島に話かけていただけですよ」

 

「アタシ達仲良いもんね〜?」

 

「………うん」

 

「ほら空島もこう言ってるし先生も気にしすぎだって。ねぇ?」

 

どういう訳かあの空島って言う子はこの4人を告発するのではなく庇ったのだった。

明らかに虐めレベルな事されていたんだが当の御本人は何も問題はないと先生達に言ってしまい先生達もそれに頷くしかなかったのだ。

………あんだけ大声張れるのになんで今になって引っ込むのか。俺が人呼んだのもあまり効果は出さずに終わったのだ。ここから俺が声を上げた所でただの野次馬みたいな事になるので余計な事は言わずにただ見ておくだけにした。 

 

「……まあ初日だし色々あるだろう。ともかく今後は問題を起こさないように」

 

「はぁ〜い。空島もそれでいいよね?」

 

「…うん」

 

まだあの4人や先生が影になっているせいでその空島っていう子が見えないでいるがどんな子なのやら…。と、取り敢えず事は一旦収まったので人だかりもあの4人も何処かに行き、その空島という子がポツンと1人残ったくらいだった。

 

ていうか俺声上げたのにあの4人も特に反応せずにそのまま行ったからまさか気づいてないのか?

…まあいいや。ともかく空島さん?に俺は近づいたのだが………あれ?この子まさか朝出会った子?

 

「あ、あの〜」

 

「あ…あなたは…」

 

「ど、どうも〜」

 

なんか変な挨拶しか出来なかった。

そりゃ朝で会ってここでもまた会ったら少しばかりギクシャクしてしまう。何より先程まで虐められていたのだと知ったら尚更だった。

 

「あの…もかして朝助けてくれた…」

 

「あ、そ、そうそう!その人だよ!」

 

「えと…あの…見苦しい所を…」

 

「え!?いやその…なんか変な雰囲気だったし…人呼ぶの不味かった?」

 

「え?」

 

空島さんがキョトンとした顔をする。そして俺の言っている事を理解したのか見る見る涙目になっていき少しばかり涙を流していた。

 

「すびばせん…朝だけじゃなくさっきもだすげていだだいて…」

 

「あー…いやほらうん、ほっとけなかったし。ていうか泣かないで?」

 

「あ…すびばせん…」

 

取り敢えずハンカチ出して空島さんに手渡し、涙を拭いてくれと言うと空島さんは恐る恐るハンカチを取って涙を拭いた。

 

「すみません…何から何までありがとうございます…」

 

ペコっと俺にお辞儀をする空島さん。礼儀正しい子なのは確かだが俺は少し疑問に思った事を聞いてみた。

 

「空島さん…でいいよね?さっきなんであいつらを庇うような事言ったの?」

 

「そ、それはその…私、臆病なので…」

 

「その割には一度大声上げていたけどあんな事出来るなら臆病なんて言われてもねぇ…?」

 

「あ、あの、私…私自身の事を悪く言われても構わないんです。けれども、私じゃない他の誰か…ましてや私を助けてくれた人を悪く言うのは我慢ならないんです」

 

うーむ…自分は言われても構わないけど他人の悪口は許さないタイプか…。でも人の為に怒れるなら自分の事に対しても怒ってほしい物だがそういう事を出来ない人もいる。そこはしょうがないところだろう。

 

「そっ…か。空島さん、優しい人なんだね」

 

「優しい…ですか?」

 

「うん、要は誰かの為に怒れるって事だろ?それってとっても優しい人じゃないと出来ないって」

 

「そ、そうでしょうか…」

 

「うん、言える。だから胸張って誇っていいよ」

 

「…………不思議です。会ってそこまで経ってないって言うのにそんなにも言ってくれるなんて」

 

「あー…まあ性分なんで。気にしないで貰えるとありがたい」

 

空島さんは俺の仕草にすこしクスって笑うと改めて俺の方に向き直る。あの4人達は地味とか言っていたがすこし見てみてもやはり可愛さがある。これが地味とかあいつらの感性終わってんな。

 

「えーっと…改めてまして、空島佐奈って言います。お名前聞いてもいいですか?」

 

「俺の名前は日空翔。これからよろしくね空島さん」

 

これが、俺達2人の最初の出会いだった。

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