光の国に飛ばされた筈なんだけど目の前に輪っかがある 作:ウルトラネオン
クリスマスいかがお過ごしだったでしょうか?
私?私は仕事まみれでした…。
今回はカケルが死んでからそれなりに時間が経った時系列です。
これと後2つ程番外スレをしようと思っています
太陽が輝く空の下、俺は道なき道を歩いていた。
俺とカケルが闇の魔王獣を倒してから数十年、現在に至るまで俺は旅をしていた。世界中のあちこちを周り文明が少しずつ発達していく様子を見ながら、この星を侵略する宇宙人達と戦っていった。
そして今はと言うと―――
「最後に来てから40年か。この村も随分様変わりしたようだ」
とても大きな焚き火を中心に、円状に建物が建てられている村を見て俺は感慨深くなっていた。
この村は初めて訪れた時はとても小さな規模の村だった。いや、正確には村と言っていいものかどうかすら分からなかったが取り敢えず人が住んでいたので村だ。
今でこそ建てられている家や施設は木材や所々に石が使われているが昔は藁というこの星特有の植物で作られていた。その藁で作られた家も立派なものだったが何度か訪れる度に発展していきより大きく立派な建物が作られていったのは驚いたものだ。
惑星ギレルモでもマシュー爺さん達を筆頭に開拓は進められていたがそれはあくまで確立された技術が使われていた為、0から1を生み出し発展していくこの星の住人達はとても凄かった。
そのうちイシュタールくらいには発展するんじゃないかという想いを抱きつつ俺は村を見回っていった。
「…ここだけはいつも変わらないな」
村のシンボルとも言うべき中央広場に堂々と存在するこの大きな焚き火。今は太陽が昇っている為火は付いてないが俺の身長よりもふたまわり大きいこの焚き火は夜になるとそれはもうボウボウと燃え盛る。
暗い夜の中で勢いよく燃える焚き火はそれはもう綺麗な物だ。
と、少し懐かしさを感じながら俺は歩を進める。今日、この場所に来たのは他でもないある人に会いに来ていたのだ。
「ここ…だよな?」
その人の家は中央広場からそこまで離れていない為、少しすれば着くのだが家は見上げても視界に収まらないくらいとても大きかった。以前はここまで大きくなく木材と少しの石を使った簡素な家だったのにいつの間にかこんなに大きく立派になっていた。
土台は石を基準にして以前よりも大きくなっており、使われている木なんかはとても丁寧に加工されていて寸分違いなく接合されている。
装飾なんかも他の一般のと比べてかなり豪華な物だった。
扉をコンコンと叩いてみると少し待つと扉が開き、中から人が出てきた。
「こんにちは」
「あら…えーとどちら様でしょうか?」
「この村にいるダーナという人に会いに来たのですが…」
「まあ!ダーナ村長の知り合いですか?」
「まあ…そんな所です」
ダーナはどうやら村長になっていたようだった。ならこの立派な家に住んでいるのも頷けるというものだ。目の前にいる彼女もお付きの人だろうか大いに元気がある人だった。
「でもごめんなさい、あの人年のせいかもう布団に寝たっきりで…申し訳ないのですけど直接会ってくだされば…」
「もとよりそのつもりです。彼女はどこに?」
そう言うと彼女はダーナは2階にある寝室にいると言い、案内までしてもらった。
外見によらず中身も美しいものだったが、何処か懐かしくも感じられた。もしかするとかつてイシュタールで住んでいた家を参考にして建てられたのかもしれない。
そして俺はダーナのいる寝室に辿り着き、お付きの人には「ごゆっくり」とだけ伝えるとこの場から離れていった。
俺はゆっくりと扉を開き部屋に入るとそこには―――
「久しぶりだな、ダーナ」
年を重ねてヨボヨボのお婆さんになったダーナがベッドに寝ていたのだった。
怪獣や宇宙人が頻繁に現れ、それの対処に追われていたせいか定期的にここに来ていたのも疎かになってしまっていた。40年という歳月はこうも人を変えていったのだ。
ダーナの隣に座ってみると寝ているのか目を開けていなかった。息はしている為特に問題はなさそうだが…あの活発で元気なダーナはもう見る影もなかった。
「遅くなって…すまなかったな。言い訳はしない。けれど俺の心の中にはいつも君がいた」
ヨボヨボになったダーナの手を握る。その手はとても細く、力を入れただけでポキリと折れてしまいそうなくらい軽かった。それでも俺は優しく丁寧に握りしめて己の心の内を告白するように呟いた。
「俺と違って地球人の命のサイクルは短い。もしかすると次来たときにはもうダーナはいなくなっているのかもしれない。それでも俺はいつまでも君を忘れない」
そう呟くとダーナの唇が微かに動いた。
「ガイ…さん…」
「ダーナ?」
「今…何をしているの?」
優しく微笑むガイ。
「今、君の手を握ってる」
ダーナの家から離れ、俺は次にショーティーに会うべくこの村の人に聞いてみるも村の人達は厳しい顔をしていた。
「ショーティーさん…ですか」
「どうかしたのですか?」
「ショーティーさんはその…去年に亡くなりました」
衝撃だった。ダーナとは違い年も若かった為、まだまだ大丈夫とは思っていたがまさかダーナより先に亡くなるとは思ってもいなかった。
「随分前から病に侵されて…必死に頑張ってましたが私達にはどうしようもなく…」
「そう…ですか」
「…惜しい人をなくしました。思えばあの人達が来てからというものこの村は少しずつですが発展していきました。ダーナさんとショーティーさんには感謝してもしきれません」
「アイツが…そうですか」
俺がいなくともちゃんとやっていけていたんだなショーティー。村の人達にもそこまで思われている辺りとても頑張ったのだろう、ショーティーの兄貴分としては鼻が高かった。
「もしよろしければショーティーさんのお墓に行ってはくれませんか?お知り合いなのでしたらきっと彼も喜ぶ筈です」
「勿論そうさせてもらいます。それで彼の墓は何処に?」
「村の外れにある共同墓地です。そこでライアとミリムが墓地の管理をしています、2人に声をかければすぐ通してくれるでしょう」
「そうですか。わざわざご丁寧にありがとうございます」
礼を言って俺は村の外れにあるという共同墓地に赴いた。
この村はそれなりの規模の為、少し歩かなければならなかったが俺にとってはなんて事はなく少しすれば沢山の墓が建てられている場所に辿り着いた。
そのすぐ側にはポツンと1つの家があったので恐らくそこがさっきの人が言った墓地を管理している人ライアとミリムという人物の家だろう。
玄関の前に立ち扉を軽く叩くと中から「はーい」と女性の声が聞こえて来ると同時に扉が開いた。
そこには少し年を重ねた女性が出迎えてきてくれた。年を重ねていると言っても多分ショーティーよりも若いとは思う。
「どちら様で―――」
「すみません、実は墓地に入りたいのですが村の人に管理人に聞いてくれと言われたので来たのですが……どうかしましたか?」
「あ、貴方は…」
何やら驚いた顔で俺の顔をまじまじと見てきた。少しすると女性は「少し待ってください」とだけ伝えて家の中に戻っていった。
何か俺に問題でもあったのだろうか?
と、再び扉が開き今度は男性が出てきた。
その男性はさっきの女性と同じく年を重ねてはいるが何故か驚いた顔をしていたのだ。
「あ、貴方は…あの時のお兄さん…!」
その言葉に俺は驚いた。まさかこの女性と男性はあの時イシュタールで助けた……
「まさか…君達…なのか?」
「はい…はい……!あの時助けて頂いた少年と少女は私達なのです…!」
間違いなかった。
カケルと共に助け出した少年と少女は今こうして再び再会したのだった。
「君達はこの村にずっといたのか?俺は時々この村に来ていたんだが会わなかったような…」
「ええ、何分私達を迎え入れてくれた村の為に勤しんでいまして。恐らく会わずにすれ違っていたのでしょう」
そう言われると確かにそうだった。この村には足を運んではいたが滞在した期間はとても短かった。その上もう40年という年月が経ったのだここまで驚かれても不思議ではない。
「そうだったのか…」
「はい。あの時貴方ともう1人の御方のお陰で今の私達があります。本当に感謝してもしきれないくらいです。ですがもう1人のお方は…」
「君達が気にする必要はない。…所で、君達は今は幸せかい?」
「はい…!とても幸せです。今は妻と共にこの墓地の管理をやっていますが子供も授かり毎日が幸せの日々です」
「なら、良かった。その幸せがいつまでも続く事を願っているよ。アイツもきっとそう思ってる」
「はい…!」
かつて少年だったライアは今の人生をかけがえのない物だと感じていた。それというのもあの時救ってくれたガイとカケルのお陰だと今日まで想い続けそうして再び遅くなりながらもガイと再会したのだ。
「そうだ。1つお願いが合ってきたんだが…」
「墓地に入りたい…ですね?貴方ならば喜んで」
そう言って俺はライアに案内されて墓地へと入っていく。
俺が何も言わずともライアはすいすいと奥へ行き、「ここです」と言ってきた。
目の前に鎮座された墓には「ショーティー 光と共にここに眠る」と文字が掘られていた。
「ショーティー…」
俺はしゃがみ込んで墓を撫でる。
こうしているとショーティーと共に旅をしていた日々を思い出す。様々な場所で旅をしてトラブルに巻き込まれたりなんかがあったがそれも今となっては掛け替えのない思い出だった。
「あの…」
ふと、ライアの妻であるミリムが俺に話しかけてきた。振り向くとミリムの手には何やら握りしめている物がありそれを俺に見せてきたのだ。
「ショーティーさんからです。もし、村以外の人でここに来た人がいるのならその人にこれを渡してくれと」
「…そうか」
「それと遺言です。『例えもう会えなくなったとしても俺と兄貴はずっと一緒だ。だからほんの少しでもいいから時々思い出してくれよな』…とのことです」
その言葉を聞き、俺はショーティーが大事に着けていたネックレスを受け取りそれを俺の首にかける。
ああ、お前との思い出はいつまでも忘れない。
「と、最後はここだよな」
村を後にした俺は今は森深くの場所にいた。
ここはまだ人の手が及んでおらずあちこちに雑草なんかが生えていたがこんな場所に来た理由はただ一つ。
「ガイさん…」
「よお、久ぶりだなトーア」
森を歩いていると木々の中からひょこっと顔を出したトーアがこちらを出迎えてくれた。
かつてマガタノゾーアを倒した時、その闇を一身に引き受けた事で第2のマガタノゾーアとなり得たかもしれなかったトーアに現在その兆候は見られず、その身に秘めた闇の力を今や完全に制御していたのだった。
それも俺を一度も頼らずに、だ、
トーアの闇の力に関しては俺が何処にいようと分かるのだが暴走する気配は一切感じなかった。だからこそこの40年は侵略宇宙人の対処に回れたのだが、当初は俺もここまで成長するとは思ってもいなかった。
それにあの頃とは違い、幼い姿ではなく今はちゃんとした女性となっていた。
髪は足の膝くらいまで伸ばし、容姿共に整っていて少しオシャレすれば人気間違いなしなくらいにはなっている。
カケルが見たらさぞ褒めちぎりそうな程だ。
「カケルの墓参り…?」
「そんなとこだ。最近光の魔王獣の復活の兆候が見られてな。また当分来られなくなるだろうから」
「…分かった」
そう言うとトーアは少し手を何もないところに翳すと、闇の靄が広がりさっきまで大自然だった光景がその真ん中にポツンと似合わない石像が建てられていた。
「お前これ…」
「力作」
その石像はなんとカケル…のウルトラマンの姿を模した石像だった。かつて墓を立てた時は少し大きな石を印に建てていた筈なのだが、いつの間にかこんな立派な石像が建てられていて俺は若干困惑していた。
トーアは腰に手を当てているが心なしか少しドヤ顔しているように見えた。
「これカケルが見たら恥ずかしがるんじゃないか?」
「寧ろこれくらいで済ませてる。本当ならもっと大きいの建てたかった」
これよりもっと大きなのって…。
ともかく、俺はこのフィフティ石像の前に立った。
「来たぞ、カケル」
かつての後輩、カケルの名前を呼びその姿を懐かしむ。
俺に初めて出来た後輩で、共にマガタノゾーアを倒した俺の戦友。けれども、それはジャグラーの手によって…。
「そういえば、ここにジャグラーさんも来てたよ」
「そうなのか?」
「でもカケルの墓の前までは来なかった。…あの人にも想う所があるんだと思う」
「そっか…。なあ、トーア。お前はジャグラーの事は―――」
「私のせいだよ」
その言葉は何よりも重かった。
「あの時、私にマガタノゾーアの力を制御出来る力があれば違った未来になったかもしれない。あの人に…カケルを殺させてしまった」
「それは―――」
「ありがとうガイさん、庇ってくれて。でも、私は…今でもこう思う。カケルがあの人を慕っていたというのは知っている。だけどそれと同じくらいジャグラーさんもカケルの事を気にかけていた。もしあの時、今の私みたいに制御出来ていたらあんな事は起こらなかった」
「だからこそ、あの事は私の罪でもある。カケルを死なせてしまって…ジャグラーさんに殺させてしまった私の」
「…そうか。本当に成長したな、トーア」
トーアはこうも自分の考えを持っていた。
それに対し俺は…まだ答えを出せていたなかった。
俺はあいつを…ジャグラーを許せるのかどうかすら決められなかった。
カケルの想い、トーアの想い。そしてジャグラーの想いが俺の中で入り混じり答えのない暗闇のようにも感じられたそれはまだまだ晴らしようがなかった。
「…俺はどうしたらいいんだろうな、トーア」
「…分からない。それはガイさんにしか出せない答え」
「…だな」
まだまだ答えは出ない。けれどもここで歩みを止める訳にはいかなかった。何より…そんな姿をカケルが見ればどう言うか。そんなのはとうに思いついていた。
情けない姿…見せられないもんな。
「そろそろ行くよ。また来る」
「うん、いつでも歓迎するよガイさん。頑張ってね」
新たに気を引き締め俺はここから再び旅にでる。
まだ魔王獣は倒れていない。だからこそこの地球は…ある意味カケルの故郷でもあるこの地球はなんとしても守らなければ。
俺は懐からオーブニカを取り出し、故郷に伝わる歌を奏でながら足を動かしていった。