ハリポタ世界に転生したことを受け入れた僕は真っ先にやらなければならない事があるということに気づいた。
杖を手に入れたり。ハリーに手紙を出したり、ダンブルドアと会ったり、色々な魔法を学んだり、日本に行ったり、そのついでにどっかの国で銃を手に入れてみたり、前世の知識で金儲けしたり……などなど思いつくこの新しい人生の楽しみの前に絶対にしなければならない事だ。
そう、それは心を読まれる開心術に対する防御、閉心術の習得である。
スネイプ先生があのヴォルデモートに対してリリーへの愛を隠し続けたように僕もならなければならない。
そこまでできなくても開心術をされた時にはどうでもいい未来の記憶で満足させて開心術をやめさせる程度には習得しなければならない。
僕の頭には預言者真っ青の内容が詰まっているから、いやそれが本当にこの世界で役立つのかはわからないけど。
作者というこの世界の神といってもいい人に定められたハリーの勝利は揺らがないかもしれないけど悪影響を与えたくはないからね。
吹っ切れた今の僕は、別にバレてハリーが死んだり僕が死んだりしてもいいし、第二の人生好きに生きていいんじゃないかとは少し思ってて、割と楽観視してるけども。
それでも、閉心術は戦闘にも使えるから護身用に覚えないと、相手に自分の考えが筒抜けでどうやって戦えるのか……無理ゲーすぎるから習得は必須だろう。
というわけで、セバスに僕には前世の記憶(ハリポタの話はしない)があるから閉心術を学びたいことを伝えた。
さすが魔法の世界、前世の記憶があることは稀によくあるという感じで眉唾な話として有名ではあるらしい。
大抵頭おかしいと思われて精神病院行きらしいが、なにやらセバスはさすが東洋の神秘! とか言って感動してくれ協力してくれた。
いるかどうかわからないが家庭教師でもつけてくれるのかな〜と思ったらどうやら両親が僕のためにと魔法の学び方を残しておいてくれたらしい。
さっそく学ぼう。
もし閉心術を習得できなければ記憶を消すのも辞さない所存であったが。
「どうしてこうなった」
僕は今、畳に座禅している。
和風の屋敷には魔法が使われていてめちゃくちゃ広いことに驚いた事は置いておこう。
バチンッ!
肩に痛みが走る。
セバスが手に持ったミニけいさく?きょうさく?もどきで叩かれた。
「私語は厳禁ですよ! 集中してください、魔法力を感じるのですよ!」
魔法力ってなんだよ!!
僕の親が残した忍術についての巻物に従って、その修行をセバスにさせられていた。
ハリポタの世界に忍術なんてなかったよな!
魔法があるなら忍者はもっと忍べるだろうけど……きっと原作の日本にも忍者が忍んでいたんだろう。
イギリスの魔法界が知らなかっただけさ……と僕は思うことにした。
ちなみに父さんが忍者で母さんは陰陽師だ。
イギリスまで来た理由はしきたりから逃れた駆け落ちだからこの魔法界で書籍化したらきっと売れそうな内容だな……。
ヴォルデモートが死んだら本にでもしよう。
それにしても父さん、忍びのくせに秘伝的な忍術についての巻物を僕に残しているのはいいんだろうか。
母さんも陰陽についての巻物を残してくれているみたいだし。
あ、閉心術に関してはしばらく大丈夫だった。
どうやら生まれた時点の赤子には対策の呪文が施されるのが忍者の文化らしく今の僕には開心術は効かないらしい。
ハリーが今も守られているのと同じかもだなんて思った。
あれは最強の呪文だけどさ。
どうやら僕も似たようなもので心は守られているらしい。
成長につれて呪文は弱まるらしいので閉心術習得は急務だが時間的な余裕ができたわけだ。
流石ジャパニーズ魔法忍者……。
あれだね、巻物やら修行方法を残すなんて死を悟っていたともいえるわけで……涙が、いかんいかん、集中しないと。
さて、忍術を使う上での初歩の初歩、ファーストステップは己のうちに眠る魔法力を感じることだそうだ。
これが出来れば自分の体に侵入してくる異なる魔法力、つまりは開心術にも気づけるようにもなるらしいのだが本当かね。
まぁアフリカでは杖なしで魔法のスペルを習うらしいしこれが日本風なのかね。
しかもジャパニーズ魔法忍者は幼い頃からの厳しい修行によって遅くとも成人までには杖を使わない魔法を一つは大抵習得するらしい。
真っ先に杖を買いに行かなきゃと内心考えていた自分が恥ずかしいね。
バチンッ!
「はい、まじめにやります」
「はい、頑張ってください!」
頑張ってはいるのだが、内なる魔法力を感じるなんてことはよくわからない。
しばし考え、前世で聞いた瞑想の方法を試してみることにした。
アレだ、マインドフルネスとかいうやつだ。
心を平穏にたもって仕事の生産性を上げられるなんて意識高いことを友人が話していたので覚えていた。
リラックスした体勢でゆっくり鼻で空気を吸い数秒とめて口からゆっくりとしっかり出す。
イメージは緑豊かな山のような力強さと包容力……空は青く広がり静かで、ああ、どこからか川のせせらぎがするような。
「すぅー、はぁーー」
10分後
「すぅー、はぁーー、すぅーすぅー、Zzz」
「すぅー、はぁー、Zzzz」
バチンッ!
「はっ! なんだかすごく気持ちのいい感じ、おお身体が軽いよ!」
気づかぬままに寝てしまった、特に何も感じなかったが、瞑想のおかげかかなりスッキリした。
まるで数時間の昼寝をしたかのような、頭のもやが晴れたような感じだ。
「ジエイ様……」
しもべ妖精の飛び出そうな目玉がジト目のようだ。
昼寝をしてしまったな。
「いやーごめんごめん」
「先に第二段階をクリアしてしまうとはさすがでございます!」
そう、セバスに言われた。
ジト目じゃなくて感動していたのか、しもべ妖精の表情は3年みてもわからないね。
「え? あ、ありがとう」
瞑想中の僕の魔法力はめちゃくちゃ安定していたらしい。
寝てる時でも乱れるものらしいのに安定していたそうだ。
魔法力を感じたらそれを保たせるのが第二段階でそれを僕は達成したようだ。
肝心の魔法力がわからないままだが、嬉しいものだ。
セバスが褒めちぎってくれるおかげである。
その後も魔法力を感じるためにいろいろ試してみた。
「かーめーはーめー」
バチンッ!
「ピキーン、このプレッシャーは!?」
バチンッ!
「右眼が疼く……」
バチンッ!
「封印された我が右手が!」
バチンッ!
「あぁ、神よ、そのお力でこの無知なる下僕めに魔法力を知らしめたまえ!」
バチンッ!バチンッ!
「神関係はふざけてはダメですよ!」
教会に喧嘩を売ってはならないとかただでさえ嫌われてる魔法使いがそのようなことをーとか云々のお説教をされてしまった。
ハリポタで宗教話はなかったと思うんだが……忍術があったわけだし、神術とかあるのだろうか、とワクワクポジティブに考える事にした。
セバスが魔女狩り云々言っていた事には気づかないふりよ。
あれだな、昔の話だろうきっと。
その後もいろいろ試すがなかなか魔法力を感じることはできなかった。
セバスが見兼ねて説明をしてくれた。
「いいですか、ジエイ様、日本の考えでは魔法力は万物に宿っているのです。偉大な魔法使いは当然としてマグルであれ、その辺の石ころであれ、大小ありますが宿っているのです。でなければマグルが杖を持った時に杖が反応して暴発することもないのですから、ごく僅かにであれ宿っているそうなのですよ。これは日本の八百万の考えから来ているのでしょうが、いえ、話が逸れました、つまりはこの世のありとあらゆるものに魔法力が備わっているのです。それを感じるのです。と残された巻物には書いてありますから!頑張りましょう!」
「う、うん、頑張ろう」
そういえば……。
何回も叩かれたからか、朧げだった転生前の最後の記憶が蘇ってきた。
そう、あれは友人に誘われて映画館で映画を見ていたのだ。
1.2.3しか見ていない自分ではついていけるか不安だが、とかいいながら見に行った映画。
恒星間通信もびっくりなあまりのパワーインフレには驚いたが、泣いた。
見終わったあとには戦闘シーンに感動している記憶。
そしてエンディングロール中に大きな揺れが起きて、天井が落ちてくる記憶……
「ゔっっぁぁ!」
「ど、どうかされましたか!」
これがフラッシュバックか。
死ぬときの記憶なんて思い出すものではない。
「い、いや、突然前世の死ぬときの記憶が蘇ったんだ。もう大丈夫」
記憶を思い出したおかげで僕は理解できた。
万物に宿る魔法の力それはつまりフォースだということを!!
「そうでしたか……えらく熱中しすぎてしまいましたね、少し休みましょうか。」
セバスはそう言うが、僕は集中した。
座禅をし、息を整え、リラックスする。
イメージは大いなる力、中庸の存在、ただそこにある力。
ついに僕は自分の中に眠るフォース(魔法力)を感じた。
「これかっ!」
「おおっ!ぼっちゃま!!」
僕の名前はダイスケ・ジエイ。
ジエイダイスケ……ジエイダイ……ジエダイ……。
「これから僕の事はジェダイと呼んでくれ、セバス」