ぼくとバカと迷い猫   作:友狩

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突然ですが再投稿です。
理由はあとがきの方で。


第11話 再会

 手早く食事を済ませ、希のためのお弁当をナプキンで包み、手提げ袋に入れた。

 希が行きそうな場所の目星は大体ついている。人通りが少ない場所を重点的に探せばいい。通学に色々な所を使っていたのがこんなところで役に立つとは思わなかった。

 そこまで数もないから端から見ていけばいいけど、今の状態だと走るのは難しいから効率よく回らないと時間がかかってしまう。

この町の地図を思い浮かべながらぼくは家を出た。

 

 

 

そして三つ目のポイント、四丁目の裏通りに希はいた。

瓶ケースに座っている姿は泣いているように見えた。

「巧の隣にいていいのは文乃。わたしはいられない」

 声をかけようと近づいていたら希はそんなことを呟いていた。

「わたしがいていい居場所なんて…」

「ぼくの隣にならいていいんじゃないかな」

 思わずそんなこと口走っていた。このまま希に居場所なんてないなんて言わせたくなかった。

 突然横から声をかけられたからだろう、ビクッと肩を揺らし恐る恐るといった感じでぼくの方を向いた。

「見つけたよ、希」

 今にも泣きだしそうな顔にぼくは微笑んだ。

「か…な…で…?」

 ぼくの顔を見た希はそう呟いた。凄く小さな声だったけどぼくの耳には届いていた。

「そうだよ」

 希は一人で不安だっただろうと思い、出来るだけ優しく、そう心がけてぼくはそう答えた。

「…どうしてここに?」

「都築君から連絡があってね」

 ぼくは近くにあったもう一つの瓶ケースをひっくり返して希の横に座った。

「ぼくと希が知り合いだってことに気が付いたらしくてね、探すのを手伝ってくれって」

「…巧が?」

「そう、都築巧君が」

 ぼくは一度会話をそこでやめて、手提げ袋から包みを取り出した。

「そうだ、希。お腹空いてない? 話は後にしてこれ食べよう」

 ぼくがそういうのとほぼ同時に希のお腹が鳴った。

「……」

 お腹を押さえて下を向いてしまった。恥ずかしかったのかな?

「これ、希のために作ったんだ」

膝の上で包みを開けてお弁当を出した。そしてそれを開けた。

 その匂いに引かれたのか希が少し顔を上げた。

「食べるでしょ?」

 ぼくの言葉に希は微かに頷いた。

 ぼくはお弁当とお箸を希に渡して、携帯を取り出した。都築君に連絡するためだ。

 メールを打って送信する。すぐに返信が来た。

『場所を教えてくれ』

 ぼくは返信するのを少し躊躇った。教えたらすぐ来てしまうだろうと思ったのだ。

 希とはしばらく二人で話がしたい。だからメールには、『四丁目の裏通り。二人きりで話がしたいから30分くらい後で来てほしい』と打った。

 メールを送り携帯を閉じると希がぼくの手元を見ているのに気が付いた。

「どうかしたの?」

「…誰にメールしたの?」

 そう言う希の顔は何かを恐れているようだった。

「都築君だよ」

ぼくがそういうとほっとしたようにお弁当を食べるのを再開した。

おそらくぼくが施設、四摩子さんに連絡したのではないかと思ったのだろう。

でもぼくは連絡をするつもりは今の所ない。折角また一緒に居られるんだし自ら終わらせるなんて考えられない。

とは言っても一つだけ、聞いておかなければならないことがある。

「希、食べながら聞いてほしいんだけど」

ぼくはそう言って話を切り出した。

 

 

 

 

 

 

俺達は今町外れの河原にいる。いや、ここに誘導された。道の真ん中で言い争っていた俺たちを上空を飛んでいるヘリが誘導したのだ。

そして俺たちの前にそのヘリが着陸した。

そのヘリから俺たちを誘導した人、梅ノ森千世が駆け下りてきた。

「一体、何がどーなってるのよっ!? 説明しなさい、都築巧っ!!」

 俺に近寄るや否や胸倉を掴みそう怒鳴ってきた。

「それはこっちが聞きたい。梅ノ森は何が起きたのか知ってるのか?」

「知ってるに決まってるでしょっ!! 希が失踪、行方不明。なんで連絡一つもよこさないのよっ!!」

「何度も連絡したけど繋がらなかったんだよ」

ヘリに乗って移動していたのなら繋がらないのも仕方がない。

希がいなくなった経緯を説明し、さっき文乃と話したことも話した。

「もしかしたら出ていくつもりだったから話したのかもしれないけど」

でもあの時そんなそぶりはしてなかった。奏のことを話す希は何と言うか寂しそうだったけど。

「…その話、あたしにも聞かせなさいよ」

「いや、でも……」

 俺は話すのを躊躇った。いくらなんでも俺が勝手に話していいような話じゃない。

 文乃の方をちらっと見るが、何かを考え込んでいるようで何も言ってくれそうになかった。

「…わかった。話すよ」

 心の中で希に謝りながら俺は話し始めた。

「彼女も、俺や文乃と同じ孤児だった。閉鎖施設で育ったらしい。一切の記録がないのはすべてその施設内にあったからだろう。そこを飛び出してからは、何とか一人で生きてきたらしい。そう長い間じゃないと思うけど」

 端的な説明。

 それを聞いた梅ノ森は驚いていた。

「生まれた時から一人ぼっちで今まで生きてきたの?」

 今の説明からではそうとらえてしまうのは当然だ。でも少し違う。

「ずっとではなかったらしい」

「……どういうことよ」

「施設には一人仲がいい人がいたんだ。でもその人は半年前に施設を出てしまったらしい」

 そこで俺の携帯が鳴った。

メールだ。相手は今ちょうど話している人、武井奏。

「誰から?」

「武井からのメールだ。希を見つけたらしい」

 武井に連絡してから5時間ほど経ってはいたが、俺たちより早く見つけられたらしい。彼に連絡したのは正解だったみたいだ。

 でもメールには見つけたとしか書いてなかった。他の情報が全く書いていなかったのだ。

場所を教えてくれと返信する。メールが戻ってくるまでの間に家康と大吾郎にここに来るようにメールを送った。

そして5分ほど経っただろうか、返信が来た。

『四丁目の裏通り。二人きりで話がしたいから30分くらい後で来てほしい』 

 これは、すぐに来るなということなのだろうか?

 それにしてもよくそんなところをピンポイントで見つけられるな。

「ちょっと待ちなさい」

 さっきからずっと黙っていた梅ノ森が突然そう言った。

「どうしてここで武井奏が出てくるのよ?」

 そういえば梅ノ森には『かなで』のことを話していなかったんだ。ちなみに昨晩希が言ったことは文乃にも話していなかったが、武井との電話で気が付いたらしい、無反応だ。

 すぐに来るなと言われているし、ここで話しておくのもいいかもしれない。

「さっき言っただろ、一人だけ仲が良かった人がいるって」

「そいつが武井奏とでも言うわけ?」

 梅ノ森の言葉に俺は頷いた。

「どうやって特定したっていうのよ。うちの情報部がいくら調査しても何もわからなかったと言うのに」

「最初は知り合いがいることしかわからなかった。名前は『かなで』。これだけじゃ探したって見つかりっこない。年齢性別、どこに住んでいるのかも不明だから」

「それだけじゃ確かに無理ね」

「だから昨日の夜、希にそれとなく聞いたら、『かなで』は同い年の女の子みたいな男の子だって答えてくれた。これでもまだ特定することはできない。でもその彼が興味を持った物っていうのが試験召喚システム。これは日本ではうちの学校にしかない。うちの学校全体でこの条件が当てはまるのはおそらく一人だけしかいないはず」

「武井奏しかいないわね」

「そう。それで連絡したんだ」

 出るかどうかは正直賭けだった。今まで何度もかけたが一度も繋がらなかったのだ。

 そして彼は電話に出た。まあいきなり怒鳴られてしまったけど。

 話していて彼は肯定した。間違っていないと。

「で、武井は肯定した」

「…だから武井奏には2月以前の記録がないのか。じゃああの人とは関係ないってことなの?」

 梅ノ森は俺が話し終えて口を閉じてから何かぶつぶつ言いながら考え込んでいる。

「どうしたんだ、梅ノ森?」

そろそろ家康たちも着くくらいの時間だし、希の所に向かいたいところなんだけど。

そう思って梅ノ森に声をかけた。

「…何でもない」

 どう見てもなんでもないという感じには見えないんだけど。

 深く聞いてみようかと思ったが家康と大吾郎が来たのでやめた。今は希の方が優先だから。

 




2か月ぶりの更新が再投稿になってしまってすみません。
理由の方ですが見直してみてなんというか違和感があり書き直したというのが理由です。わざわざ再投稿することかという理由ではありますが…
次話の方も鋭意執筆中です。もうしばらく待っていただけるとありがたいです。
それではまた次話で。
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