ぼくとバカと迷い猫   作:友狩

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第2話です。

では本編へ






第2話 秀吉が2人!?

 HRが終わるとすぐにぼくは教室を飛び出した。

 校門を出たところで足を緩めて携帯を取り出した。

 そのまますぐに今朝のメールの差出人である四摩子さんに電話をかける。

 呼び出し音が数回したところで反応があった。

「もしもし、四摩子さん。今朝のメールってどういうことですか、希がいなくなったって」

『そのままの意味よ。今朝、部屋を見に行ったらいなかったのよ。施設全体を探したけど見つからなかったわ』

 施設内にいれば誘拐は絶対ないはずだし、となると…

「家出、ですか」

『おそらくそうね。施設の外にいて彼女の知り合い、奏、あなたの所に行ったかもしれないと思ってメールしたのよ。でもその様子じゃ知らないみたいね』

「そういうことですか。メールが来たのが教室だったので、家の方はわかりません。でも、ぼくは彼女に施設を出ること以外に話していないので多分知らないはずですよ」

 施設の人が話していなければ、だけど。

『そう』

 そのあと詳しい状況を聞くと、昨晩は特に変わった様子はなかった。今朝いつまでたっても部屋から出てこないから部屋に様子を見に行ったらいなかった。

 この2つから考えると今日の未明辺りに希は施設を出たと考えられる。

 …というかぼくがこんなこと考えても仕方ない気がするけど。

 でも、どうして希は家出を?ぼくみたいに外に興味を持ったものがあったとか?

 でもそれならわざわざ家出なんてしなくてもいい、話せばいいのだから。

「それで、四摩子さん」

『何かしら?』

「いえ、なんでもありません…」

『それならいいわ。そろそろ切るわ、もし見つけたら連絡をちょうだい』

「わかりました」

 ぼくがそう言うと電話は切られた。

 確かこのくらいの時期だったと思うけど、今期の『村雨』に選ばれる人の発表日。そのことで何かあったのかもしれない。

 でも四摩子さんはまだ家出の理由を把握してないみたいだけど。

「明後日休みだし探すのはいいかもしれないね、楓」

 ぼくは1人呟いて自宅に向かった。

 

 

 

 

 

 翌朝、学校に向かっているとそこで重大なミスに気が付いた。

「なんか薬品臭いかもしれない…」

 ちゃんと消臭してくるべきだったよ。

 今朝寝坊したせいで朝食も簡単な物しかできなかったし臭いにも気を配る時間なかったし…

 しかも今日に限って鞄に入ってないとかいう負の連鎖。学校に予備置いてあったかな?置いてなかったときは仕方がないから今日一日は耐えよう。

「おはようじゃ、奏」

 そんなことを考えていると後ろから声をかけられた。

「おはよう、秀吉」

 そして何も考えずに後ろを振り返って、そしてぼくは固まった。

 今日寝不足だから幻覚でも見ているのかな?

 だって目の前に秀吉が2人いるから。

『落ち着いて、奏』

 頭の中に声が響きぼくは我に返った。

 そして改めて2人を見る。

「どうしたのじゃ?」

 さっきは頭がフリーズしていたから見落としていたけど、よく見るとヘアピンの位置が違っていた。それに女子の制服を着ている。

 そういえば秀吉には瓜二つのお姉さんがいたんだっけ。

 ホントに似ているというか似過ぎだよ…

「何でもないよ、ちょっと処理落ちしていただけ」

「それならいいのじゃが。こっちに向いたとたんに固まったからびっくりしたのじゃ」

 ほっと胸をなでおろす秀吉。いくらなんでもいきなり同じ顔の人が現れたら誰でも固まると思うけど。

「ふーん、あなたがいつも秀吉が話してる…確かにどこから見ても女の子にしか見えないわね」

 横で秀吉のお姉さん?がぼくを見てつぶやいた。

 やっぱりそう見えるんだ、ぼく…

「紹介が遅れたわね、アタシは木下優子よ」

「ぼくは武井奏…って秀吉から聞いてるよね。それで秀吉はぼくのことをどんな風に話してるの?」

 その問いに答えたのは秀吉ではなくお姉さんの方だった。

「ワシと同じ悩みを持っている人だって言ってたわね」

 まああながち間違ってないけど、秀吉よりはぼくの方がましだと思う。

 確かにぼくも秀吉も女子扱いされていろいろあるけど…でも、

「ぼくは秀吉と違って男子に告白されたことないよ?」

 詳細に言うとぼくのクラスで3番目に男子から告白されてたりするし。上2人の片割れは言うまでもなく芹沢さん。もう1人は梅ノ森千世。梅ノ森理事長の孫娘。

「あんたまだ男子から告白されてるの?」

 お姉さんが呆れたように言った。まだ、ということは昔かららしい。

「あ、あれは違うのじゃ。姉上と間違えられているだけなのじゃ!」

「それはアタシに対するあてつけかしら?」

 秀吉の言葉に怒ったらしく、頬を引っ張り出した。

「ちょっと、こんなところで姉弟喧嘩しないで。遅刻するし」

 2人を引きはがしながら言った。

 薬品のにおいについては二人とも何も言ってこないってことは大丈夫なのかな?

 ぼくの鼻が変なのかもしれない。

「それもそうね」

「痛かったのじゃ…」

 あっさりとお姉さん…木下さんは手を離した。その代わり秀吉の頬には本人の手が添えられた。

 

 

 

 

 歩き出してしばらくして、いまだに頬さすっている秀吉が何か思い出したかのようにぼくの方を向いた。

「奏よ、明日空いておるか?」

「明日?」

 明日、ね。一応予定はある、希を探すというね。と言っても1日中探すつもりがあるわけでもないし…

 というかぼくが探して意味があるかどうかも怪しいんだよね。

 あの時点では予定が全くなかったから探そうと思ったんだけど…よし。

「空いてるよ。でもどうして?」

「来週から期末試験じゃろ? 勉強教えてもらおうかと思ったのじゃ」

 そういえば期末試験、来週だったんだ。すっかり忘れてたよ。でもなんでぼくなんだろう、隣にもっと上の人がいるのに。

「でもなんでぼくなの? 木下さんの方が成績上なのに」

「そうよ、なんでアタシじゃなくてわざわざ武井君に頼むのよ?」

 ちゃんと君付けで呼んでくれた。

「それと優子でいいわよ、これと紛らわしいし」

 確かに紛らわしいかもしれない。でもさりげなく秀吉をこれ呼ばわりってどうなんだろう。

「それならぼくも奏でいいよ、優子さん」

 …話がそれたね。ここで前回の中間テストのことを言っておくと、ぼくが52位で優子さんが9位。秀吉は確か補習ギリギリだったっけ。

「姉上は…」

 そう言いながら目を逸らした。何か言いにくい理由でもあるのかな?

「ぼくでいいのならいいよ。どこでやる?」

 少しほっとしたように見える。ああ、本人の目の前だから言えなかったのか。

「お主の家じゃだめかの?」

「ぼくの家? 別に大丈夫だけど1人暮らしだし」

「一人暮らしじゃったのか」

 1人暮らしというより両親がいないだけなんだけど。

「それでぼくの家の位置ってわかる?」

「わからないのじゃ」

 だと思ったよ。だって誰にも教えてないし。

 うーん…何か目印とかあったかな。

「近くに目印とかないから、今日一緒に帰る?」

 これが1番楽な気がする。

「そうじゃの」

 と言ったところでちょうど校門に着いた。

 そこで時計を見たら、始業5分前。遅刻寸前だった。

 2人に時計を見せ走り出した。

 

 

 

 

 昇降口で優子さんと別れ、走って教室に着いた。

 全力ダッシュで乱れた呼吸を整えながら扉を開けた。

「「あんたは黙ってて!!」」

 開けた直後に怒声。ビックリして足が止まってしまった。

 とりあえず、声の方を見ると睨み合っている2人がいた。

 今日は梅ノ森さんと芹沢さんですか…

 

 




今回はここまでです。

今回は優子の登場です。というよりサブタイトルで丸わかりですね。
今後もちょくちょく出てきます。

質問などあったら送ってください。
感想もお待ちしています。

それでは次回。
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