SW「ヒドラジンの魔女」   作:ムロ913

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しばらくぶりです。体調を崩していたり、忙しかったり、してました。

第3話は擬音回・・・といっても本家ほどのネタ回ではなく、日常を描いていきます。

あ、あと前回に頂いたと言ってた感想の返信部分から若干裏話をば。

まず、感想ありがとうございます。
やりたいストーリーを応援して頂けると、やる気も一段と上がります。


この2次創作、スト魔女RtBでコメートが登場するまでもう少し温める予定の企画でした。

秋水ユニットと犬宮豊ちゃんというキャラ、ストーリーなどはある程度練っていて、それを練る前にも「ヒドラジンの魔女(仮)」というタイトルでpixivで全く内容が違う短編を書いていたんですね(現在非公開)

RtBでコメートが登場したので、これは書かなきゃ時期を逸する・・・!と思って速攻で書き始めたのがこの作品です(ここまで返信内容)


んで、まぁ、本家でコメートが出てきて、あんなオチだったけど、それを普通のウィッチに、そして史実の試製秋水のお話と組み合わせたらどんな結末になるか・・・そこらへんを1日程度で練り直した以外は、ある程度朧げにストーリーを考えてたんです。

そっからある程度連載していく内に、色々練った部分を練り直しながら・・・とりあえず現状完結部分までの2部構成、すべて大まかな話は思いついているので、あとは時間ですね。

感想は、出来る範囲内でお返ししていきます(多分次のパートを投稿する際になります)が、その中で、時々かいつまんで、裏話をしていきたいと思います。

・・・あ、Twitterのスレッド見ちゃったら、今後の大まかな展開分かっちゃうので、予め。

前置き長くなりましたが、第3話「ヒリヒリするの」よろしくお願いします。


第三話「ヒリヒリするの」
part.1「居場所」


 

 邀撃研究母艦の元は、軽巡洋艦長良型のネームドシップ「長良」

 アタシが配属されたのは、吉沼司令が率いる邀撃研究を行うための航空隊。

 

「空からと実寸大じゃ全然違う・・・」

 

 旧式とはいえ、水雷戦隊を率いる軽巡洋艦は大きさがそれなりにある。

 対空電探ユニットの大型アンテナを艦橋後部構造物として備えるスペース。ウォーラス向けのカタパルトと運用甲板を備え、艦橋下部にもユニット発進カタパルトを艦首備えている。

 三本の煙突の横から並べられた対空機銃と単装高射砲群に、多連装対空ロケット砲。艦尾側も同様の対空区画。

 ネウロイが接近してきても単独で対空戦闘が行えるだけの装備を持っている。

 推進部を新しく改装して、水兵を対空区画に回した設計。

 

「人も多いし、曲がりなりにも巡洋艦なんだなぁ」

 

 何かと人の多い艦になるのは当たり前、軍令部も邀撃研究だけに大型艦を回す余裕もない。

 民間徴用の特設母艦だと母艦が危険すぎる。そんな経緯で、旧式で比較的手が空いた「長良」に白羽の矢が立った。

 そんな長良の中は慌ただしかった。

 山軍曹はアタシが濡れ鼠なことに気づいて、拭くものを取ってくると言った。

 宇野部少佐がウォーラスで飛び立った今、頼りにできるのは直属の上官「飛行長」の栗中尉に、護衛の山軍曹。

 ほかの人はほとんど面識がない。

 目の前を整備員たちが忙しく働く。艦橋下の格納庫は忙しなく怒声が飛び交っている。

 吉沼司令は試製秋水の飛行前に話して、着任挨拶と帰還した時に一言二言かわした程度。他の人とは会話をした記憶もない。テスト飛行や霞ヶ浦飛行場で整備に携わっていた整備兵の方が居るのかもしれないが、思いつく記憶からは見当たらなかった。

 

「真水持ってこい!潮一つ残すな!」

 

 海水面に着水したせいで、木製合板をベースにしたユニットは塗膜があっても潮を早く落とさなければならない。

 軍艦の真水事情というのは非常に切羽詰まったものだとも聞く。

 空母などの大型艦であっても同様。扶桑が誇る大和型辺りになってくれば、また事情は変わってくるのだろうか。

 どちらにせよ、海水の塩分を落とす作業はユニットの保全に関わってくる。

 水練着姿のまま保護魔法を使うために使い魔の一部を現出させているアタシのそばを通る若い水兵の顔色が、驚愕に変わる。

 水練着姿で濡れ鼠だからか。違う。ウィッチが珍しいのか。それも違う。

 格納庫には零戦ユニットの主力形式五二型がユニットゲージに収まり、おいてある。

 栗中尉が使うのだろう。栗中尉がいる限り、ウィッチという存在は珍しくないはず。

 言わなくてももう分かる。

 隠してもいないアタシの責任だとも分かっている。

 こんな風に焼けただれた痕を太ももに大きく残しているのは、世界のウィッチを探し回ってもアタシぐらいだろう。

 邪魔にならないようにと考えて、よった格納庫の一番奥。

 しまいこまれている零戦のゲージに腰を掛けて、喧噪をぼんやりと眺める。

 自分で分かってるけど明るい性格じゃない。この忙しなさにアタシが声を掛けても邪魔になるだけだ。

 

「ふぅ」

 

 ため息を大きくこぼしてしまう。

 居場所はどこにあるんだろうかと。そんな風にふと弱気になる。

 予科練でも、固有魔法のせいで距離を置かれた。

 秋水のテストウィッチになるのが決まってから、予科練を途中で抜けて訓練や予行、座学に追われて周囲の優しさを受け取ることが出来なかった。

 貰ったマフラーも濡らしてしまったと山軍曹が洗濯に持っていったから、握ることもできない。

 首元をすかした手の空を切る感覚が妙に虚しくなって、より一層気落ちした。

 

「ナニしけた面してんだ」

 

 眠そうな声がすぐ横の上から聞こえ、俯いていた鉄板の床から視線を持ち上げる。

 

「栗中尉・・・なんでもないです」

「んなわけないだろう。山はどこ行った」

 

 眠そうな様子から少しイラつきが染みた声が横に響く。声は、格納庫の中でアタシにしか聞こえない音量だった。

 

「山軍曹は拭くものを取ってくると、濡れた服を乾かしに」

「・・・入れ替わり、か」

 

 ぽつりと呟くような声の栗中尉は、潮を落とす作業が行われている秋水を眺め、その視線を追うように自分の視線を愛機に移す。

 

「拭くもん、持ってきた」

 

 ばさりとアタシの頭にかけられたのは、タオルケットだ。

 

「うぇ⁈あ、ありがとうございます栗中尉!」

 

 礼をしようとすると、座る位置と立ち位置で身長差が強調される高さから頭をポンポンとたたかれる。

 出たのは咄嗟の言葉だけ。

 

「それ、拭いたら風呂だ。その怪我、多分染みるぞ」

「染みる・・・?」

 

 怪我、というのはアタシの太ももにある痕に違いない。この時ばかりは染みるという意味が分からなかった。

 後で痛いほど分かる羽目に会う。このときのアタシはそんなことを知らなかった。

 軍艦の浴槽の中身が、海水を温めたものだなんて。

 考えてみれば、当たり前。

 人っ子一人の身長もない、腰ほどの長さと太さしかないユニットを真水洗いするだけで大騒ぎ。

 何人も入る軍艦の浴槽を満たすことなんて、いくら浴槽に体を漬かせることができる数が限られているとはいえ。

 支給される桶に決まった分だけ入れられる水の量で手早く甲板上で体を洗う水兵さんよりも、ずっと恵まれているというのに。

 濡れていた髪も拭き、肩から太ももの辺りまでタオルで覆うと、息を切らした山軍曹がやってきた。

 

「栗中尉・・・!先に行ってタオルを持っていくんなら、それぐらいおっしゃってください!」

「別にいいだろ・・・寝ようと思って、居室ン中見たらあったから持ってきただけだ」

「えっと、山軍曹、とりあえず体は拭けましたから。アタシ、ここにいても何も出来ませんし」

 

 場所を移しませんか、という言葉を聞くなり山軍曹は自由気ままな栗中尉を問い詰める言葉を止めて、アタシに振り返った。

 

「そうでした!入浴に関してはご用意をしておきました!」

 

 用意されていたのは竹桶とタオル。替えの水練着に上衣のワンピース。

 

「お着替えは・・・その、お食事などもありますし、この後士官食堂で歓迎会もありますので、通常の制服をご用意しました」

「ありがとうございます」

 

 すごい。何から何まで、着替えから入浴の準備、予定までこのウィッチは管理してくれるらしい。まるで、お姫様やお貴族様・・・それこそ、上等な華族のご令嬢にでもなった気分。

 

「うし、行くか。風呂だ、風呂」

「栗中尉、着替えとか、石鹸とかは」

 

 山軍曹が、分かりきった様子で栗中尉の方を睨む。白い詰襟の制服と水練着の士官ウィッチの組み合わせの中尉は、特に何か持っているわけではなさそう。

 

「着替えはこのまんまでいいだろ。石鹸は犬宮のを借りる」

「ご自分のものを取りに行ってください!」

 

 軍曹は、もう「呆れた」と中尉の肩を両手で掴んで背中を押した。

 士官用区画の居室に戻った栗中尉が居なくなると、軍曹はアタシに視線を合わせた。

 ・・・そうだ、アタシ、ずっとユニットゲージに座り込んでた。

 

「一飛、足の方は染みると思いますが、浴室にご案内します」

 

 本当に、この時。アタシは知らなかったのだ。あんなに、ヒリヒリするなんて。




長良は、もう、史実にない完全な魔改造ですね・・・しいて言うならば防空巡的になった機銃を乗せた五十鈴みたいな。高射砲と言っても、そんなに載ってないですし、砲類になるとサイズ的には艦尾側の砲塔部分になるかと思います。あとは全部、対空機銃と墳進砲。

実のところ、母艦はかなり迷った部分です。

次回更新、少し時間がかかるかもしれません。・・・お風呂回、書いたことがあんまりないので、とても分からない。

そういえば、行水描写では光人社NF文庫の彩雲の本の記憶を参考にしました。

そんなわけで、そこら辺の描写が甘いのは・・・勉強不足です。

あんま詳しくないので、湯船を使えるのはごく一部・・・だけど、ちゃんと湯船はつける改装したよって感じです。
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