SW「ヒドラジンの魔女」   作:ムロ913

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お気に入りとか諸々ありがとうございます。

UAも5千達成(まであと5なので、実質達成)

そう言えばウマのハーフアニバーサリーイベ始まりますね(事前に投稿が間に合わないことを予告)

まぁ、ボチボチやっていきます。残り7パート・・・纏まるのか?


part.2「船団全滅」

 

 ネウロイが船団を襲う、想像のつかない話に頭が追い付かない。

 扶桑海を通航する船団は本土所属の直掩がつく。簡単には襲われないはず。

 面した大陸側の電探で探知した場合は、半島や本土の迎撃隊を発進させる手筈もついている。

 たった12海里先、本土から15海里も離れていない距離で、迎撃機を襲えるネウロイが居た。

 戦略攻撃型ネウロイに長距離直掩のネウロイが現れたと、想像するのは容易い。

 

「大尉、零戦を貸してください」

「おう、サエは俺についてこい。電探を使う」

 

 栗大尉は詰襟の首元をきつくして艦橋に走り出す。

 アタシも手早く準備を進め格納庫へと飛び込んだ。

 

「長良2番、零戦ユニットで現場の状況確認、並び護衛任務を行うため発艦します」

「長良1番了解。航海艦橋、風合わせして発艦させたら進路を戻してください」

「艦橋了解。風上に進路を合わせ、取り舵20、黒5」

 

 FG42の弾薬を入れた直方体を、腰の弾帯ベルトに入れて巻く。

 銃と照準器を手早く確認して、三台のユニットゲージから奥の零式艦上戦闘脚52型が引き出された。

 ゲージのスターターでクランク発動、魔法力と燃料を送り発進用意。

 呪符のプロペラが回りだして風が格納庫に吹きすさぶ。

 カタパルトに接続。

 

「長良2番、発進用意よろし」

「お願いします!」

 

 シャトルが海面に落ちた瞬間に機首上げ、魔法陣を横にする。

 

「長良2番、発進完了」

 

 いつにもまして慌ただしく飛び出した。ユニットは整備済みで、すぐ発進できたから良かった。

 

「長良1番だ、2番感度知らせ」

 

 耳に入れた魔法無線のスイッチを入れ、返答。

 

「2番、感度良好です。現場上空は」

 

 12海里、戦闘脚ならあっという間。

 

「敵影はなし、護衛の海防艦より続電、船団は全滅。本艦も被弾のため総員退避以後通信なし、だけ」

「ぜ」

 

 全滅?

 

「ご、護衛のウィッチ隊は!」

「損耗激しく、小松に帰投中。ネウロイに関しては」

 

 大尉の言葉が止まる。

 嫌な予感がした。

 ここまで攻撃方法を取るネウロイに思い当たる節がある。

 自らの能力を進化で補う、鈍い色の葉巻型。

 あいつが現れてから、ネウロイの襲撃周期が不定期になった。ネウロイの侵攻方法が変化した。あいつがネウロイの親玉に、司令塔になったかのように変化した。

 こちらが対応すれば、応じた戦術をする。

 単なることかもしれない。

 

「明らかに急変した」大尉が以前語った「進化」

 

 現場空域が見えれば、凄まじかった煙が、上空へ登っている。空に溢した船たちは海の渦に吸い込まれた。

 手遅れだ。カッターや浮き輪に取りついている人が居る程度。波もある。人一人簡単に水中に引き込んでしまう。

 助けても間に合わない。

 

「ごめんなさい」

 

 高度を下げず、グルグルと旋回し始めた機影が見えたか。脱いだ衣類を旗代わりに回して救助を求めている人たちが居た。

 

「ごめんなさいっ、アタシ一人じゃ・・・救えない」

 

 嫌だ。嫌だ。ホントは皆助けたい。なんて言われようと、人が苦しむことを見るのは嫌。

 だけど。

 

「アタシには、助けられないの!」

 

 アタシに助けられる力があればなんて言わない。アタシたちはこういうことが起きないようにするために迎撃網の開発をしている。

 輸送していた電探ユニットを使えば助けられる命があることをまざまざと叩きつけられる。

 そこまで考えて、魔法無線の声が頭に響いた。

 

「豊!てめぇがやることは!」

 

 今アタシがやるべきことは、悔やんでいることでも、泣いていることでもない。

 一人でも多くの命を救うために情報収集をすること。

 左バンクを振って旋回、海域を見つめる。

 救いを求める人たち、オイルを垂れ流して深い青色に包まれていく船の残骸。潮流はある。オイルによる二次災害は当然把握しているが、それよりも重要なこと。

 

「申し訳ないけれど!」

 

 こんな状況で救助じゃないなんて、どんなことを言われても仕方ない。

 第一に必要なのは情報だ。長良も同じような被害を受ける可能性が高い。

 あのネウロイにとって長良は、最も視界に入った艦船。ネウロイが思考できるとするなら、目の上のたんこぶのような存在のはず。

 高度を下げ、ホバリングに移る。

 脱出艇、カッターに分乗する民間徴用船の乗組員からの視線が痛い。分かっている。

 貴方たちの仲間が海に、沈む船によって巻き起こされた渦に吸い込まれたことも、波に流され今も苦しむ人が居ることも、分かる。

 舞鶴を緊急出港した艦船が到達するまで少なくとも五時間。

 アタシ一人では救いきれない、二式大艇を何機出したって、海中をさまよう水兵たちを救助できるわけではない。

 内火艇を探しても見当たらない。カッターを抑えるロープを切って海に飛び降りるしかなかったか。

 水兵服を着る人間が乗ったカッターを見つけ、飛ぶ。

 海防艦「朝日」の最高階級を見つけることは容易かった。水兵服の人間が乗ったカッターの集団に一人詰襟を着用していた、目立たない方が無理だ。

 

「長良所属、犬宮飛曹長です」

 

 カッターの隣でホバリングする。敬礼姿をみせた相手は大尉の階級章を襟につけていた。

 

「朝日・・・副長だ」

「簡潔に状況を」

 

 朝日の航海長兼副長である大尉に聞いた事柄を栗大尉に伝える。

 状況はあまりにも絶望的だった。

 6隻の民間徴用輸送船舶と朝日を筆頭とする2隻の旧型駆逐艦。

 この護衛船団は、愛知県沖で電探ユニットを受領後、扶桑海に出て南下した。

 浦塩に向かう最中、護衛ウィッチ隊が小型の双胴ネウロイに襲われ、戦闘状態に。

 それが第一波だったものの、救助を求める長波通信も短波通信も効かない。

 上空には何かを搭載した銀色のネウロイが居て、ネウロイと距離を動かすと、電波の通り方が変わった。電波を阻害していた。

 双胴ネウロイの第二波がきて、ウィッチ隊が半壊。続いて戦略攻撃型ネウロイが、民間船舶をたちまち破壊。

 1時間掛からず壊滅し、残るは朝日単艦。小松からやってきた護衛の零式脚ウィッチが敢闘し、戦略攻撃型のコアを破壊した。

 

「そこまででした」

 

 最後の攻撃を朝日が受けてしまい、ウィッチ隊も戦闘不能になる。銀のネウロイと共に双胴型ネウロイの群れが逃げ去るのを横目に、救助の無電を送るしかなかった。

 助けを求めに飛んだ直掩の戦闘機も、速度が速い双胴ネウロイにたちまち撃墜されてしまったらしい。

 

「電波を阻害する、したのは、あの銀のネウロイ、まさか2体いる?」

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