SW「ヒドラジンの魔女」   作:ムロ913

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あんなこと(前話)があったけど、豊ちゃんは元気です。

犬宮豊って名前は、モデルの方から結構弄ったような弄ってないような感じ。スト魔女の他の子よりはちょっと弄った気がする。

前回の顛末でも、モデルの方は最終的に亡くなっていますが、この世界では海に着水とか色々史実とは違う点を出してます。

あと、豊ちゃんの階級とか生い立ちは完全にモデルを無視しちゃってますね・・・モデルの方は、結構なベテランですし・・・そこらへんは、二次創作クォリティということで。

なので、この作品はスト魔女の基本より、少し史実を弄った具合が大きいですね。

章タイトルは、アニメに沿おうかと思ったんですが、擬音回を早く持ってくる都合上・・・ムリダナ


第二話「アタシにできるコト」
part.1「新被服」


 

「ふふーん」

 

 鼻歌混じりに短く薄い布を履き、太ももに残る痕を隠す。

 服の名称に疎い自分は、この服の名称が分からない。

 これは陸軍ウィッチから譲り受けたもの。

 試製秋水の初飛行。

 結末は燃料供給不具合からの墜落とユニット全損。

 太もも部分を毒性の高い燃料に溶かされた怪我、妙年のウィッチの治癒魔法によってある程度回復した。

 治ったのは中身だけ。

 焼けただれた表面は、一か月ほど経った今なお、人に見せられない。

 霞ヶ浦飛行場に移った秋水の訓練に復帰したアタシを待っていたのは、墜落の報を受け心配を貯め込んだ仲間たちの歓迎。

 陸戦ウィッチ上がりの陸軍の子がもう使わないからと、陸戦ウィッチ用の履物を渡してくれた。

 丈は丁度、太ももの傷を隠し、ユニットの装着に問題のない位置。水練着の上に履くのは、かなり違和感があるけど・・・傷痕を見せるわけにもいかない。

 新しく誂えられた衣装もある。

 秋水ウィッチは、重要な場所の局所防空を担う。

 そのため、扶桑海側に一気に上昇して迎撃、扶桑海側の飛行場に着陸。或いは、都市部近隣の飛行場から発進、滑空して帰還。

 迎撃方法はおよそその二パターンに絞られる。

 高高度まで上昇して滑空するのは、所詮グライダーの真似事。

 翼が小さいからグライダーのように上昇気流を掴むといった技を使えない。

 前者の運用、扶桑海側に向かって迎撃に向かうウィッチは帰還出来なくなる可能性が出た。

 飛行艇や漁船に哨戒艇などが行う救助を検討されている。

 当然、滑走路に着陸することが第一の前提。不可能な場合は、ユニットを投棄するなどして安全性を保って、海岸線に落下傘で降りることが次善の案。

 電探と魔法無線を使えばどの位置で、落下傘を開いたかなどは分かるから救援もしやすい。

 海面に着水することを前提に置いた場合・・・今までの被服、特にアタシが試し履きした下士官用ベルトとセーラーの組み合わせは、水分を吸い過ぎる余りに向かなかった。

 朝日差す窓に向かってバっと、新しい服を取り出して睨む。

 

「これが新しいアタシの服かぁ」

 

 海軍は扶桑海側に配置される秋水ウィッチ向け被服を試作しなおした。

 再び新しい被服の実験台。

 秋水ユニットは設計を改善した二号機での試験飛行が上手く行き、現在は段階的な慣熟飛行を終えた一部の部隊が、大阪、名古屋、皇都の三か所を重点的に防空するために配備されたばかり。

 扶桑海側で最初に迎撃する部隊は、数が必要な上に訓練も必要。本土上空を守ればいい現在、配備されている先行部隊は改良設計が行われ量産された「秋水」ユニットを使っている。

 肝心の新しい迎撃方法。電探ユニットと秋水ユニットの組み合わせによるものは、新しい環境で実験・検証を行わなければならなかった。

 舞台は、扶桑海。

 いずれ、多くの秋水ウィッチ達が配備される場所。同じく、電探ユニットも大陸と扶桑海側各所に優先して配備される予定。

 

「結構、おしゃれじゃない?」

 

 今回は所謂「ワンピース」タイプの服だ。

 生地のベースカラーは、海上での視認性をよくする白。

 上衣部分はセーラーを模して、紺色の差しが入ったカラーがある。胸元のリボンも含めて、この辺りは制式のセーラーをオマージュしている。

 脇部分は大きく裁断され、腰の下部分からベルトの形状。

 出血時の際に簡易的な止血布にするための布の面積と、水を吸う面積を秤にかけて考えだした形だそうだ。

 開いている脇腹部分にはリボン止めするように紐がつき、前後を首と腰元で止める上衣部分のバタつきを抑える。

 裾は腰ひもにゴムが採用され、簡単な脱ぎ着が可能。ベルトの布地には階級を示すための差し色が入る。アタシの場合は1等飛行兵曹・・・下士官を表す青の線が一本。これが飛曹長に昇進すると、線の上にもう一本太い青線が入る。

 腕部分は、脇が裁断されていることもあって、ノースリーブ。

 秋水ユニットの魔力増幅装置を使って増幅した魔法力は、高高度での活動のためにほとんど保護魔法に変換する。

 高度を登ってしまえば正直、布の一枚の分厚さ程度は話にならない。

 

「多少の寒さは、我慢」

 

 言い聞かせる。試製ユニットの試験飛行中、何度か高度1万メートルまで上昇した。

 その時は、多少の寒さに効くだろうと夏場なのに下士官ウィッチの冬服を持ちだしたが、普通に寒かった。

 あれから、秋水を実戦に使用するために、通常の搭乗員が使う服が検討されたり、呂式魔導エンジンの発動用モーターの電力を使った電熱服などを構想していたが。

 結局、保護魔法を使ってしまえば身軽な方が楽、という結論に至った。

 なんせ、電熱服を含めた通常の搭乗員服は、分厚いし、ごわごわするし、下半身もツナギになっている。

 ユニットが魔法力を増幅するというストライカーユニットの技術を使えば、より強い強度の保護魔法を纏うことができる。

 秋水ユニットは、ホバリングなどの高等飛行のテクニックが不可能な代物で、増幅する部分を保護魔法に大きく割り振った設定とすることで、成層圏までの上昇を可能にした。

 その代わりの代償がシールドを強く張れないこと。

 多少の寒さはやはり我慢だ。

 

「ふふーん」

 

 背の丈よりも高い鏡に向かって、ターンを一度決める。短い藍色のボブカットは揺れないが、一繋ぎの服の裾部分がふわりと揺れた。

 丈の短いワンピース、白が基調でセーラー風のカラーがついた衣装は悪くない。

 今まで支給されていた被服は、任務のための風合いだったが、新被服は中々に洒落ている。

 かわいい衣装を着て気持ちの上がらぬ乙女など居ない。

 

「あ、あとはマフラー」

 

 落ち着いた色合いになる程度に使い込んだ橙色のマフラー。マフラーは薄手のきつく巻くタイプでカラーの中に余りを押し込める。

 上機嫌で着替えたアタシはノックに応えた。

 

「ご機嫌だな」

 

 あてがわれた部屋の扉に背を預けた宇野部少佐がぼんやりと呟く。士官用の白の詰襟の下に水練着。

 

「えへへ・・・新しい被服が中々に洒落てまして」

「・・・そうだな。似合ってる」

 

 言葉少なにアタシを褒めてくれた少佐は、ガシリと頭を撫でると準備は出来たかどうか、そう聞いてくる。

 準備。

 アタシの新しい任地に赴く準備だ。




まさかの衣装だけで1パート潰すという暴挙。

次回は、飛行機で空の旅&新部隊に関するお話です。宇野部少佐は新部隊までの引率。マジでフットワーク軽いな。

あと、更新してなかった間にいきなしお気に入りあってびっくりしてます。

ゆっくり更新してく予定なので、お付き合い、よろしくお願いします。
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