仮面ライダーウェイク   作:脱臼 させ太郎

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第2話「病院送りのミュージック」

「ここが事務室。」

「はい。」

「ここがトイレ。」

「ほう。」

「向こうが会議室、隣がトイレ。」

「へぇ。」

「アレが本部長室。向かいにトイレだ。」

「トイレ多くないすか?」

 

 

正式にビートアップ・デーモンのライダーとなった除夢は、覇動に施設内を案内されていた。

 

 

「あれぇ?穿くんじゃないかぁ〜っ☆こんなとこで何してるんだぁい?」

 

丸眼鏡の男が話しかけてくる。

 

 

「美花か。コイツを案内してるとこだ。」

 

「あっ!キミがウワサの新人く〜ん?!エンゼルから越してきたっていう。」

 

「あぁ、はい。一確除夢です。よろ「ボクは美花(みはな) 愛志(いとし)!よろしくねっ☆」

 

「え、あ、はい。」

「ねぇねぇ!突然だけど、ボクの顔の肌見て!どう?!」

 

「え?あー……なんかめっちゃキレイっすね。男性なのに。」

「そうでしょ〜うっ!!毎日のスキンケアを欠かさないようにしてるんだよねぇ!ボクってばホント、ビューティフォー☆」

 

そう言って突然手鏡を取り出し、キメ顔をしだす愛志に、除夢は困惑する。

 

「…何すか、コイツ?」

 

「…美花愛志。俺達と担当する区画は違うが、コイツも立派な仮面ライダーだ。」

 

「えー……。」

 

 

「あぁもうホント美しすぎて無理!

 自撮りしとこ自撮り!」

カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ

 

 

「……いざ腹パン。」

「やめとけ。」

 

拳を構えた除夢を覇動が制止する。

 

 

「おっと、そろそろ昼食の時間だね!ボクは近くにある焼きそば専門店に行ってくるよ!それじゃ!」

 

愛志はスキップで行ってしまった。

 

 

「…俺達もメシ食いましょうか。」

「そうだな…。あぁ、そういや早速仕事がある。昼食とったら俺に付き添え。」

「はい。どこ行くんすか?」

 

 

「病院だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ストリートバンド『SHARK』のボーカル、小田陽二郎さん。」

「…はい、そうです。」

 

除夢と覇動が入った病室には、左手と右足を包帯で巻かれた男性がいた。

 

「骨折ですか?」

「はい。夜道を歩いてたら突然怪人に、デビルに襲われて…。」

「それが3日前、で…別の病室にいるギターの橋本さんも先日襲われたと。」

「…犯人は『SHARK』自体に恨みがあるんすかね?」

「確かに、僕達の活動を良く思っていない人もいたかもしれないです…。」

「なるほど…分かりました。引き続き調査にあたります。」

「よ、よろしくお願いします。」

 

 

 

 

 

まだ襲われていないメンバーの内、2人はドラムを担当する佐藤に張り付き、ベースの大田には他のライダーが張り付いた。

2人は佐藤を尾行しながら、民家の壁に隠れていた。

 

 

「いやーそれにしても、俺もドラム叩いてみたいなぁ。ダダダーンっつって。ダダダーンっつって。」

 

「…お前さっきからそればっかだな。いい加減引っ叩くぞ。ダダダーンっつって。」

 

「何すかダダダーンって。」

 

「テメェが言ったんだろが。」

 

 

 

 

 

 

 

「うわあぁぁぁぁぁっ?!!」

 

 

「「!!」」

 

 

 

 

2人が悲鳴の方に振り向くとそこには、ジリジリと佐藤に迫る、王冠を被り剣を携えたデビルがいた。

 

 

「一確。」

 

「あいよ。」

 

 

除夢はデビルの方へ走り出し、懐からドライバーを取り出す。

 

 

『デーモンドライバー!』

 

『欲望!』

 

『Let's go,to the mad.』

 

 

 

 

「変身!」

 

 

 

 

『降臨!』

 

 

『The greedy breaker!フォースオブデザイア!』

 

『"デビルイズ ミー"』

 

 

 

 

「オゥラっ!!」

 

「ッ!!」

 

 

不意を突かれ殴り飛ばされたデビルは、直ぐに立ち直る。

 

距離を詰めたウェイクが放つ回し蹴りを両手でガードした。

 

そして腰に携えた剣を抜刀し、振り下ろす。

後ろに下がり避けるウェイク。反撃のため再度距離を詰めようとするが、デビルは間髪入れずに薙ぎ払いを繰り出した。

 

「おっと!クソっ、やっぱ武器持ちとはやりづれぇな。」

 

 

「…あの姿は、ベレト・デビルか?」

 

「穿さぁん、突っ立ってないで加勢してくださいよ!」

 

 

「……あぁ。」

 

 

覇動も懐から、ドライバーを取り出した。

 

 

 

『デーモンドライバー!』

 

 

憤怒(ふんど)!』

 

 

ライターをドライバーに挿入する。

 

 

『Let's go,to the mad.』

 

 

 

 

「変身」

 

 

 

 

そして、ボタンを押した。

 

 

 

『降臨!』

 

 

 

『Like a fire and thunder!フォースオブアンガー!』

 

 

『"ドントフォーギブ ユー"』

 

 

 

 

変身した覇動が、デビルの方に向く。

 

 

「おい、お前。」

 

「…?」

 

 

「その立派な王冠、気に入らねぇぜ…。」

 

 

 

「ぶっ潰す。」

 

 

 

 

『アンガー レイジチョッパー!』

 

 

覇動の右手に、短剣が現れる。

 

 

そして覇動はデビル目掛け一直線に突進する。

真正面から突っ込む覇動に、デビルは剣を振り下ろす。

 

それを短剣でガード。刀身同士がぶつかり金属音が鳴り響く。

相手の剣を弾き覇動は突きを繰り出し、今度はこれをデビルが剣で受ける。

すかさず再度斬りかかる。これもガード。

覇動の素早い剣撃に押され、デビルは攻撃に出れない。

 

練撃の最中、覇動は短剣の側面にあるボタンを押す。

 

 

『レイジ!』

 

 

すると、短剣から炎と電気が発生し刀身を纏う。

 

 

「オラぁ!」

 

 

「…ッ!」

 

 

威力を増した剣撃が、デビルの剣を弾き飛ばした。

 

その一瞬の隙に覇動は、デビルの胸部へ一撃を喰らわせた。

ダメージを受けたデビルはよろめく。

 

 

覇動は短剣のグリップエンドにあるスロットに、ドライバーから引き抜いたスペルライターをセットする。

 

 

『アンロック』

 

 

さらに側面のボタンを3回押す。

 

 

『スリーレイジ!』

 

 

そしてグリップのトリガーを引いた。

 

 

『スリーレイジスペル!』

 

『ヒートスラッシュ!』

『"Shit!"』

 

 

覇動が短剣で薙ぎ払いをすると、炎の斬撃がデビル目掛け飛ぶ。

 

 

「ぐはぁっ!!」

 

 

斬撃を喰らったデビルは大きく吹き飛ばされた。

 

 

 

「おー、すっげ……。これが仮面ライダー…えっと、」

 

 

 

「ヘイト。…仮面ライダーヘイトだ。」

 

 

 

よろめきながら立ち上がるデビルに、とどめの一撃を入れるためヘイトは剣を構える。

 

 

 

その時、どこからかギターを弾く音が聞こえたかと思うと、旋律の様な波状のエネルギー弾が2人目掛け飛んで来る。

 

 

「うおぉ!?」

 

「っ…」

 

 

2人が旋律を躱すと、先程戦っていたデビルの前に、ユニコーンの様な頭部とギターを持った別のデビルが現れた。

そしてよろめくデビルを抱え、その場から逃げ出した。

 

 

 

「あ!おい!……って、逃したか…。」

 

「……。」

 

 

 

空間に、静寂が流れる。


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