ウルトラマンゼロ The Another Lyrical Story 第一章   作:フォレス・ノースウッド

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リリなの原作じゃ11話に値するなのフェイの一騎打ち回です。

できるだけマセ過ぎな発言は避けたいと、最初なのはが戦闘前に言った台詞は勇夜からの受け売りにしてましたが、やっぱ自分の想いから言った方が良いかと思い変えました。
マセ具合と歳相応の匙加減が難しいな、リリなのキャラって。

それと改めて注意事項として、本作のイージスはリミッターが掛かっておいそれとはウルティメイトにはなれません。
なので次元渡航の描写は原作と違って、ウルトラティンクルウェイが発展形となっております。

感想もお待ちしております。


EP24 - 最初で最後の……

 アースラから飛びだした一つの光、輝くそれは、球状から50メートルものの人型へと形作り、明度が落とされて物体の輪郭が鮮明になっていく。

 さっき諸星勇夜がアースラの会議室内にて変身したウルトラマンゼロ。

 

『ディメンションゲート、オープン』

 

 リンクの声と共に、ゼロは握り拳の両腕を天に向けて翳すと、光の筋が二つ、真下へと伸びていった。

 二つの筋が一つに合わさると、大きな光の輪=ワームホールが開く。

 この技の名は《ウルトラトゥインクルウェイ》、本来はウルトラマンが光の速さで何万年もかかる距離を一瞬で移動する技なのだが、リンクの補助を借りることでワームホールは次元の壁をも越えられるトンネル、《ディメンションゲート》となる。

 

「シュア!」

 

 今この瞬間、マルチバースから地球近辺の宇宙空間まで、時空を超えた次元間トンネルが繋がれ、ゼロはその光の輪の中へと突入して行った。

 

 

 

 

 

 海鳴市は、比較的山間に近いところに街が広がっている都市、だから市内の場所によっては多少星が見えるし、さらに山の奥へと行けば無数の光点が漆黒の夜空を照らす様を拝められる。

 まるで蛍のように、光は点滅を繰り返し、自分が一番光を放てるんだとばかり主張し、そして月も今夜は満月の球体を形作り、地球に一番近い衛星である自分の立場を最大限に生かしながら、太陽から授かった黄色い輝きを照らしていた。

 人それぞれ感想を持つだろうが、少なくともその光点たちを綺麗だと考えるだろう。

 が、フェイト・テスタロッサには、そんな感動を覚えるだけの余裕は無い。

 現在木の枝に腰かけて眠っているということもあるが、たとえ目を覚ましていても、同じことだと言えた。

 光の巨人と白き魔導師の少女が〝寂しい目〟と表した、彼女の紅の瞳は、目を閉じて入るが、滲み出ている寂しさという闇は、さらに深くなるばかりであった。

 

 

 

 

 

 夢を、見ていた。

 昔の……まだ色あせずにはっきりと覚えてるのに、もう遠い昔の…………ことのよう。

 その日は、わたしの誕生日だった。

 いつもは多忙なお仕事でわたしが寝てしまう頃に帰ってくることも多かった母さんもその日は休みをもらい。

 わたしたちは、二人でピクニックに行った。

 今だって、その時の嬉しさ、楽しさは昨日のことみたいに覚えてるのに…

 なのに……母さんが私を名前を呼ぶ時だけ……その時だけ、世界は〝無音〟になる。

 確かに呼んでいる筈なのに、呼んでいることは分かっているのに……聞こえない……耳に入らない……耳が聴覚の役目を果たさない。

 いくら〝音〟を思い出そうと思っても……その瞬間の母さんの声だけが消えてしまう

 お願い! 私を呼んで……名前を呼んでよ。

 私が聞こえるくらい。

 大きく、はっきり言ってよ!

 わがままなのは……分かってる。

 でも………でもでもでもでもでも、それでも!

 お願い! 名前を呼んでよ!

 

 〝■■■■〟

 

 え? 今……なんて?

 

 

 

 

 

 気がつくと、フェイトの目に写る景色は、昼間の草原から真夜中の森へと変わっていた。

 しばしの間を置き、眠気で鈍っていた思考が研ぎ澄まされて行く。

 寒い、砂漠や氷山といった過酷な環境下でも暑さ、寒さを防いでくれるバリアジャケットを着込んでいるのに、言いようの無い悪寒が体の芯にまで吹き抜ける。

 大丈夫、自分の体からは魔力がどこかにいるアルフに流れているから、無事。

 なのに……近くにいないというだけで、本当にここには自分しかいないといだけで、震えは秒刻みに増していく。

 自分のせいなのに、アルフが不満を爆発させて母と戦って逃げたのも、自分がいけないからなのに、一人の夜が怖いと感じる自分が憎らしい。

 アルフがいなくなったと告げてきた母さんは、まだ〝足りない〟って、ジュエルシード残り12個を持って来てと頼んできた。

 残りのジュエルシードは全て、どこかに停泊している管理局の次元航行艦の中、完全に手詰まりだ。

 手に入れるには、本格的に管理局と一戦交えることになる。

 そうなったら、勇夜とだって……戦わなきゃならないと気づいた時、全身にさらなる寒気が押し寄せ、震える体が丸くなる。

 い、いやだ………あの人戦うことになるだけは、嫌だ。

 あの人は強い。自分の知る限りでは、あの人と肩を並べられる戦士はそういないし、たとえ誰であろうと、刃を向けられたのなら、迎え撃つ覚悟を直ぐに決められる人、でも……あの人の強さとか心構えとかそれ以前に、彼と〝戦わなきゃいけない〟ことそのものが嫌なんだと心が訴えてくる。

 ずっと約束を守って、何度もピンチの時に助けに来てくれた人に、切っ先を突きつけるなんてできない………そんなことになればアルフにも、また辛い思いさせちゃう。

 だけど、ここで止まってたら、母を悲しませたまま、あの頃の優しい母は戻ってこないまま………どうすればいいの?

 感情の揺らぎに苛むフェイトは、ふと…空を見上げると、彼女の視線はある一点に集中した。

 理由は、突然空に文字が浮かんだからである。

 光でなぞられた、謎の文字、それは日本語でも英語でも、ましてやミットチルダ語でもない。

 

「バルディッシュ、翻訳できる?」

『………識別中………翻訳不能です』

 

 愛機でも、あの文字の意味の解読はできなかった。

 なら、あれは…何?

 

〝フェイトへ〟

 

 突然、光の文字から、自分を呼ぶ声がした。

 少しエコーが掛かっていたけど、その独特の綺麗な声は、間違いなく。

 

「勇夜?………ゼロ?」

 

〝ウルトラマンゼロ〟のもの。

 なぜか何となく、地球人としての名前でなく、〝ウルトラ戦士〟としての名前で呼んだ方がいいと思った。

 ユウヤという名はゼロのミドルネームなのでどちらも本名で間違いはないけど、それでも〝ゼロ〟と呼ぶべき気がした。

 

〝白き魔法使い、高町なのはが、互いのジュエルシードを賭けた果たし合いを所望している、二日後の日本時間午前6時に、漆黒の烏たちとの戦いがあった地に参上されたし――――ウルトラマンゼロ〟

 

 やっぱり…ゼロだ。

 じゃあ彼の言った〝白き魔法使い〟って、やっぱり〝あの子〟のことだよね?

 本来魔導師に成る筈の無かった地球人で、初めて面と向かって会った同い年の女の子。

 名前、何て名だっただろうか?

 確か、なのは……だったような……ああそうだ、その名前だった。

 あの二度目の戦いの時、あの子はちゃんと自分のことを〝なのは〟だって名乗っていたじゃないか。

 わたしはとり合おうとせず、聞こうともせず。

 あの子から投げられた言葉の返事の代わりに刃を向けて、何度も傷つけたのに。それでもあの子は自分に語りかけることをやめなかった。

〝友達になりたい〟と、そう……言ってくれた。

 未だに、どうしてそこまで自分に入れ込むのか、その言葉にどう自分は答えたらいいか、全く分からずにいる。

 

 

 

 

 

だが、ゼロからの伝聞は、フェイトに舞い降りた……最後のチャンスでもあった。

 

 

 

 

 

 

 アースラの会議室で今後の方針が決定した後。

 なのはたちは談話室も兼ねた食堂で談話をしていた。

 アルフの希望でどうしても、なのはたちと話をしたいとのことだった。

 今は保護という形で、かつ協力的な姿勢を見せていたおかげで手錠等の処置はされていない。

 本人も、そんな処遇にしてくれた勇夜からの気遣いもあり、脱走する気はさらさら無かった。

 色んなことを話した。

 アルフは、フェイトたちと住んでいたアルトセイムのことや、そこでの思い出話。

 なのはの方は、家族や友達、海鳴の街のこと。

 

「じゃあホントに光って、絵本に出てくるような王国の騎士だったの?」

「絵本とは少し違うかもしれませんが、そう、なりますね…

 

 光は、地球に来る前、来た後のこと。

 主に鏡の星やエスメラルダなどなどだ。

 

「それで、リニスさんてどんな人だったんですか?」

「あ……そうだね…」

 

 内容はプレシアの使い魔であった、リニスの話になった。

 

「本当に…あたしにとってみれば、フェイトは…お姉さんで…リニスは、お母さんだった…リニスもあたしたちを…本当の子みたいに育ててくれて…」

「アルフさん?」

 

 暫くして、アルフが今までと声色が変わったことになのはたちは気になった。

 今彼女は顔は屈ませていて、表情が見えない。

 だが……その体には震えが………特にそれが強く、握り拳にした両手の甲に、ぽたりぽたりと雫たちが落ちている。

 顔を上げたアルフの双眸からは、その雫らが溢れ出していた。

 

「知らなかった………リニスが最後に言ってた言葉に……そんな意味があったなんて……」

 

 リニスが残した日記には、フェイトとアルフの成長の記録だけでなく、フェイトとプレシアを仲介しようと奮闘する日々……と『真実』を突きつけられた後の苦悩と葛藤の記録も残されていた。

 

「『しっかり支えてあげて……フェイトがきっと、幸せになれるように』、って託されたのに…あたしはまだ…あの子に何もして上げられてない…リニスから約束も果たしてあげられてない…」

 

 アルフが口にしたのは、リニスがフェイトたちの元から去った日に、彼女に残した〝遺言〟であった。

 あの日記を読んだことで、アルフはその遺言に込められた重みを噛みしめたのだ。

 役目を終えれば〝死〟、それが分かっていながらも、リニスを愛情一杯に育てて、どうにかして母親との絆を紡ごうと頑張ってきた。

 でもそれは報われず、悩みに悩み続け、それでも役目を最後まで真っ当し、せめてもと………フェイトを幸せにしてほしいと、自分に託してくれたと言うのに………ここ何年間の自分が許せない。

 自分は現状に不平不満を零すばかりで、リニスみたいにそれをどうにかして変えようと努力さえもしなかった。

 

「あ…あの…」

「ごめん……でもこうしてさ…誰かと一緒に話すのが、こんなに嬉しいものなんだなって思うと、フェイトにそんなこともさせて上げられてない自分が、悔しくて……」

 

 勇夜が作った料理を一緒に食べたあの時とか、今みたいに楽しく団欒する、そんな何気なくも温かな日々を、どうにかフェイトにプレゼントできないかとか………考えもしなかった。

 それどころか、そのチャンスさえ、自分は無下にして切り捨ててしまった

 

「あたしから言えた義理じゃないってのは分かってる………みんなには、散々なことしたからね」

 

 結果的にとは言え、自分はフェイトを助けたいと思い、奮闘してきた人たちの邪魔もしてしまった。

 なのはたちと二度目の戦いがあったあの夜もそう。

 あの時………なのはが精一杯投げた言葉が、頑ななフェイトの心を溶かしかけていた。

 もし自分が横やりを入れなかったら、もっと早くフェイトを、心の牢獄から救い出せたかもしれないのに………ロストロギアを不当に集めてて、そう簡単に他人を信用できる状況じゃなかった事情を踏まえても、自分の浅はかさが嫌になる。

 

「でもお願い…あの子を助けて…フェイトは今…本当に一人ぼっちなんだよ」

「うん…まかせて」

 

 アルフの懇願に、なのははきりっとした貌で答え、光たちも頷いて応えた。

 

 

 

 

 

 

 光から、アルフは自分がなんとかするから、もう寝なさいと言われて、二人はアースラから支給された部屋へと戻った。

 

「アルフさんも、辛かったんだね」

「うん、今までずっと傍にいたから、その分……無力感も大きかったんだ」

 

 だがやはり、アルフの流した涙は鮮烈過ぎて、直ぐには眠れそうにも無い。

 

「フェイトちゃんのお母さんも、認めて上げられるかな……フェイトちゃんが自分の子で、ずっと……寂しがってたこと」

「そうなってほしいけど、時間は……かかるだろうね」

 

 アリシアを亡くして以来、プレシアの時間は止まったままで、ひたすら時計の針を『あの頃』に戻そうと躍起になっている。

 そしてフェイトも多分、『あの頃』の実はアリシアのものである記憶だけを頼りにあの時間を取りもどそうして…そう考えれば、確かにあの二人は親子だ。

 過ぎ去ってしまった思い出に今でも縋り付いてしまい、お互い正面からお互いと『現在』に向き合えずにいる。

 

「なのはは大丈夫? 色々と……辛い話を聞いて」

 

 13歳の自分でさえ、心を痛める現実を聞いたのだ。

 今年でやっと11歳になるなのはには、より重くのしかかっている筈だ。

 

「大丈夫………とはまだ言えないかな……だけど、フェイトちゃんはずっと、今だってわたしなんかよりずっと辛い思いしてるんだよ、ここでへこたれたら、フェイトちゃんを友達として、迎えてあげられない」

 

 それでも彼女は諦めていない。

 ジュエルシードにも、フェイトにもだ。

 

「それに…みんながいるからね、光兄も勇夜さんもアルフさんもクロノ君たちも、お父さんもお母さんもお兄ちゃんもお姉ちゃんもアリサちゃんもすずかちゃんも、それにレイジングハートもユーノ君だって」

「なのは…」

「だからがんばれるんだよ…背中がいつも、あったかいから…」

「ありがとう…頑張ってねなのは、後悔の無いように」

「うん」

 

 フェイトは一人ぼっち。

 確かにそうだった。

 だが、一人だと思うことと、本当に一人であることは違う。

 フェイトの場合は紛れもなく前者、だから、そうでないこと彼女に伝えたい。

 どこまでできるかは分からないし、たとえその為の通過儀礼が、戦うことだったとしても―――真っ直ぐに、行くんだ。

 それが、なのはの決意でもあった。

 

 

 

 

 

「これでも飲みますか?」

「あ、ありがと…大分落ち着いたよ」

 

 涙で目が赤くなったアルフに光は、飲料水の入ったコップを差し出す。

 今食堂は消灯されているが、その分窓から見えるマルチバースがはっきりと二人の目に映っている。

 ウルトラマンゼロが直に何度も見てきたであろうその光景、二人とも思わず、見惚れてしまっていた。

 

「そういや…あんたとこうして話をするのも、初めてだったね」

「僕のことは、だいだい彼から聞いているでしょ?」

 

 頷くアルフ。

 

「仲間で、恩人で、友達だと勇夜は言ってたんだって、リンクから聞いたんだけど」

 

 それを聴いた光は、フッと微笑んだ。

 

「それは……むしろこちらの方ですよ…」

「あのべリアルとかいう、悪党になったウルトラマンに洗脳されたことかい?」

「それもありますが、彼のお陰で世界はこんなに広いことを知ったし、地球に来られましたからね」

「どういう意味だい?」

「私のご先祖様の一人は、地球人のハーフだったんです、ゼロと同じく」

 

 ゼロが別世界の地球の人間と、M78星雲人のウルトラセブンの間に生まれたことはリンクから聞いた。

 そんな出生を知らずに育ったために、荒んだ時期もあったことも、それを超えて、父との絆が強固になったことも。

 

「僕にはこの二次元の能力を使って、惑星間ネットワークを作るのが夢でした、今思えば、それを叶えたかったのは、地球に行ってみたかったから……かもしれません、先祖が育った地に…」

「光…」

「不可抗力ですが、それが叶って、血はつながらなくても家族ができて、地球人として生きることもできましたからね…」

 

 光=リヒトのミスメラルダ人の母は彼を生んだ時に無理がたたって、昇天し男で一つ育ててくれた父も、カイザーべリアルの侵攻で命を落とした。

 エメラナ姫やジャンバード、自分を騎士に任じてくれたエスメラルダの王族や、同僚の兵士たち……そして……ゼロ、グレンファイヤー、ジャンボット。

 朋友(なかま)たちもいて、寂しくは無かった。

 でも、ゼロと同じく家族に恵まれなかった境遇から、家族に恋焦がれていたのも事実だ。

 一時期、どうして母に無理強いさせて自分を生んだのか?と父に詰め掛かったことがある。

 穏やかな彼にも、反抗期はあった。

 その父も、今はもういない。

 それだけに、地球で、自分にちゃんと家族ができたことが、地球人として生きることができたことが、とても喜ばしかった。

 

「血が繋がってるだけじゃ…家族って言わない…」

「え?」

「勇夜が前に言ったんだ…それだけが家族を形作るものじゃないって」

「彼らしいですね…」

 

 血が繋がっていながらも、分かりあえるまで紆余曲折あった。

 彼の言葉は、それを経験したからこそ言える言葉。

 

「なれるかな…これかも…フェイトの家族に…」

「なれますよ…今でもそうじゃないですか…ゼロもなのはも、必死に想いを伝えてきたんです、たとえフェイトに届かなくても〝それでも〟と……あなたがここで負けてどうするんですか?」

 

 

 

 

 

 光の叱咤に、アルフは苦笑いで返す、

 

「ごめん……その自分の想いが、何度届けても…届かなかったからさ、弱気になってた…」

 

 そうだ、ここで負けちゃいけない。

 もう一度、フェイトと姉妹のような家族でいられるように…支えてあげられるように。

 そうだよ。

 今度こそ、約束を果たすんだ。

 リニスと交わした……あの遺言であり、〝約束〟を、勇夜たちみんなと一緒に。

 

 

 

 

 

 そして2日後……運命の日。

 日本時間午前6時。

 海鳴臨海公園にて、二重に貼られた広域結界の中。

 結界の中ということもあるが、朝はやはり静謐で、それでいでのどかだ。

 だがこれから、この場所は戦場になる。

 二人の魔導師の少女によって…そのとあるビルの屋上庭園。

 

「ここなら、良いよね?」

 

 そこにある噴水の前で佇む高町なのはは、念話で伝える、

 これから、全力で戦うことになる相手に向けて。

 

「(出てきて…フェイトちゃん)」

 

 念話で自身の思念を伝え、目をつぶりながら待っていると、魔力とともに後ろから、人の気配を感じた。

 目を開けると、噴水の水面に彼女が映っていた。

 直ぐ後ろにあるこの庭園に繋がる、円形のエレベーターの上に立つ、金髪赤眼の漆黒の魔導師。

 フェイト・テスタロッサ。

 なのはは振り向き、彼女を見据える。

 初めて会った時と同じ、寂しそうな目をした女の子。

 たぶん…たぶん今、フェイトに真実を語っても…それでも彼女は立ち止まられない…立ち止まれない。

 その証拠にフェイトは、いつでも受けて立つとばかり。

 

『Scythe Form』

 

 魔力刃を展開した。

 全ての始まりは、理不尽に引き裂かれてしまったある親子たち。

 でも…自分たちのきっかけは――

 

「たぶん……きっかけは……このジュエルシード」

『『リリース、ジュエルシード』』

 

 二人の周囲に自分たちが今持ってるジュエルシードが浮遊し、それを見せ合う。

 

「だから賭けよう、わたしたちが持ってるジュエルシードを…それからだよ、全部―――」

 

 不思議としか言いようがなかった。

 自分でもびっくりするくらい、頭の中で自然とこんな言葉の数々が浮かんで、真っ直ぐに口から発せられていく。

 

「多分……〝わたしたち〟の全ては、まだ終わってもいないし、始まってもいない」

 

 そうだ、今まではまだスタートすらしていなかったんだ。

 あの海の戦いで答えを見つけて、今日でやっと、出発地点のラインに立っている。

 

「今日がその為の………スタートなんだって!」

 

 フェイトはなのはから発せられる気迫に一瞬驚いた素振りを見せるが、直ぐにバリディッシュを正眼に構える。

 そしてなのはも、応じる形でレイジングハートを構えた。

 

「いくよ! フェイトちゃん」

 

 なのはとフェイト。

二人の少女による、全力を上げての真剣勝負の幕は上げられた。

 

 

 

 

 

 

「始まったね…」

「そうだな」

 

 なのはたちがいたところとは違うビルの屋上では、諸星勇夜、高町光、ユーノ・スクライア、そしてアルフが、この戦闘を見届ける為にこの場にいる。

 アルフは、数日振りにフェイトをこの目で見た時、思わず『もう止めよう』と言いそうになった。

 でも同時に、フェイトはこう答える―――〝それでも…わたしはあの人の娘だから〟―――と思った。

 絶望の沼に浸り続けたプレシアからの呪縛は、簡単には消えてくれない。

 なのはもそれを分かっているから、一騎打ちを願い立てたんた。

 今は……あの子を信じよう。

 フェイトの〝血を吐きながら続ける悲しいマラソン〟に、終止符を打ってくれると。

 

 

 

 

 

 

 

 アースラのオペレーター室においては。

 

「戦闘開始…かな」

「ああ…」

 

 クロノとエイミィが、モニター越しに二人の戦闘を見届けていた。

 既にモニターには、いくつもの光点が輝いては消えていく。

 

「戦闘空間の固定は大丈夫か?」

「うん、上空まで伸ばした2重結界に戦闘訓練用のレイアー建造物―――」

 

 簡単に言うと、魔法でほぼ実体を持つ建造物を足している。

 管理局では訓練でよく使われる技術だ。

 

「地球の人には絶対見つからないし、どんだけ壊しても、結界外への被害は0と、でも珍しいよね」

「何がだい?」

「クロノ君がこういう大博打を許すなんて」

「なのはが勝つに越したことはないさ、けれど…」

 

 確かにリスクは大きい。

 だがその時の対処も想定している。

 

「勝敗はどう転んでも関係ないしね」

「なのはちゃんが戦闘で時間を稼いでくれるうちに、時の庭園補足の準備と」

「頼りにしてるんだ、逃がさないでくれよ」

「了解!」

 

 いつもの陽気かつフランクな響きで、エイミィは応じた。

 

 

 

 

 

 

 空中で何度も交差する桜色と金色の光跡。

 桜色の光の方のなのはが、フェイトの一撃で海面スレスレまで落下。

 一瞬海水につかるが、直ぐに態勢を取り直し、加速。

 

『Photon Lancer』

 

 追跡するフェイトはすかさず魔力光を4つ発射。

 なのははなんとか4発全て回避し、そのまま上昇する。

 

『Deveine shooter』

 

 なのはも魔力光を5発形成。

 

「シュート!」

 

 フェイトに向けて飛ばす。

 フェイトは、魔力の鎌を生成し、接近するスフィアを全て切り落すと、なのはに向かって急加速。

 迫る第二破のディバインシューターを回避し、斬りかかった。

 

『Protection』

 

 によって受け止めるなのは、鎌と盾の鍔迫り合い。

 だがなのはも防御に専念する一方、フェイトが回避した魔力スフィアを彼女に飛ばす。

 が、なのはの意図に気づいたフェイトは。

 

『Thunder bullet』

 

 左手に魔力を集め、至近距離からかました。

 シールド越しとは言え、衝撃を受けたなのはは、ビルを貫き、海上に衝突、衝撃で海水と水蒸気が舞う。

 魔力スフィアもコントロールを失い、不発に終わった。

 大穴が開いたビルの先を見つめるフェイト。

 まだ……終わって無い。フェイトの直感がそう告げる。

 彼女の勘は当たりだった。

 水蒸気のスモークから、光が瞬いたかと思うと、魔力の光線が突き進む。

 あらかじめ予測していたフェイトは急上昇して回避。

 水蒸気の霧が晴れると…息を荒げながら、キャノンモードのレイジングハートを構えるなのはがいた。

 

 

 

 

 

『やはり、総合的な実力では彼女の方が上手です』

 

 レイジングハートが忠告する。

 この短期間で、なのはは魔導師としての実力を着実にアップさせてきた。

 実戦を何度も経験し、時間の許す限り、訓練に訓練を重ね、寝ている間さえマルチタスクを使い、夢の中で、シュミレーションを続けていた。

 だが相手だって、数年の月日をかけて修練を積み、経験も積んでいる。

 簡単には勝たせてくれない。

 

「この日の為に特訓はしてきたし、切り札だって用意してる」

 

 『彼』が見せた数少ない魔法の一つを元にして作り上げた。

 とっておきのジョーカーカード…だがまだそのタイミングではない。

 あれを使うには、もっとなのはと彼女の魔力をこの空間にばら撒かなければならないから。

 

「だから後は、負けないって気持ちと、みんなからもらった想いで向かっていくだけ…でしょ?」

『All right, My Master』

 

 使い手も愛機も名前の通り『不屈の心』は健在であった。

 

 

 

 

 

 

「(やはり彼女は強いですね…なのはもかなり腕を上げていますが…)」

「(フェイトも伊達に魔導師をやってねえし、あのリニスも相当教え上手な先生だったみてえだな)」

 

 その名教師を生み出す辺り、さすがは大魔導師ってわけか…プレシア・テスタロッサ。

 勇夜も光もまた、なのはが勝ってくれればと願ってはいるが、あらゆる非常時に対応できるよう、冷静さを保ちながら見聞をしている。

 その辺りは二人とも流石、若年ながらも幾多の修羅場を潜り抜けてきた戦士たちである。

 

「(ですが、なのはにはあるみたいですよ、とっておきの『奥の手』が)」

「(え? なんだそれ?)」

「(なんでも、あなたの魔法を参考にしたらしいです)」

「(俺の……魔法を?)」

 

 勇夜は、なのはたちに比べれば魔法の使用したケースは極端に少ない。

 海鳴での戦闘も、半分はゼロに変身して戦っていたし、実際になのはらが目にした使用例は数えるほどしかない。

 その中で一番印象に残りそうなものは…………そうか、思わず口元に笑みを浮かびあがる勇夜。

 なるほど、確かに逆転の切り札には、丁度いいカードだと思った。

 

「(ただ…フェイトにもその〝奥の手〟はあるはず、この勝負、そいつの使い時をミスった奴が……負ける)」

 

 なんせ切り札を出した瞬間が、一番勝率は高く、同時に敗北する可能性も高くなるのである。

 それは単なる直感では無く。

 勇夜―――ゼロが戦士としての今までの経験から導いた分析結果だった。

 

 

 

 

 

 

 そこからの戦闘は、互角かつ熾烈であった。

 二人は魔力弾を打ち合いながら、雲が漂う高さまで上昇。

 自分の得物で時に、10個近くの魔力弾を一気打ち合い。

 交差し合い。

 正面から、ぶつかり合い。

 バリアジャケットも時間が進むごとにボロボロになっていく。

 今戦っているのが、まだあどけない少女たちであることを忘れさせてしまうくらい……それは、鮮烈で激しい空中戦だった。

 

『Scythe Slash』

 

 魔力の密度を上げた刃でフェイトはなのはの背後を取り、切りかかる。

 

『Round Shield』

 

 なのははそれを振り向くと同時に受け止めた。

 再び、魔力の鎌と魔力障壁がぶつかり合う。

 フェイトは内心戸惑った。

 確実に自分の攻撃を当てられる死角からの一閃だったからである。

 それをなのはは、〝後ろにも目があるかのような〟所作で防御した。

 さらに驚くべきことは、なのはは障壁で魔力刃を挟み込んだのである。

 真剣白羽取りを、バリアで行ったと表現すれば、分かりやすいだろう。

 なのははその状態を維持したまま。

 

『Barrier Burst』

 

 わざと障壁を前面に暴発させた。

 その衝撃にたまらず目をつむりながら後退するフェイト。

 目を見開くと、視界内になのははいない。

 焦りを抑えながら、周囲を注視していたが。

 

『Flash Move』

 

 真上から、一時的に飛行スピードを上げたなのはが突進。

 

『Flash Impact』

「てぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーい!!!」

 

 袈裟がけに魔力を纏わせたレイジングハートを振り下ろす。

 かわせないと判断したフェイトはバルディッシュで受け止めた。

 

 光が迸り、周りの光景がホワイトアウトで真っ白に埋め尽くされる。

 今度はなのはがフェイトの行方を見失った。

 フェイトはチャンスとばかり、死角から急接近し切りつけた。

 だが、その一撃もなのはは回避した。

 視界に張っていなかったにも拘わらずだ。

 ただシビアなタイミングであったのか、胸部のリボンが切られてしまってはいる。

 一旦出方を窺いながら後退し、距離をとる二人。

 静寂の間に入った途端、たまっていた疲労で息が荒くなっていることをようやく自覚した。

 それだけ、予断を許さない戦闘だったのである。

 

 

 

 

 

 

 なのはの愛機や、勇夜たちから総合的な実力は対戦相手より上と評されたフェイト。

 だが彼女は、なのはに決定打を与えられていなことに焦りを感じていた。

 初めて戦った時は、魔力が大きいだけの素人だったのに、今は違う。完全に自分だけの戦闘スタイルを確立してしまっている。

 機動力とスピードはそれほどでも無いが、火力と防御力なら、自分を遥かに上回っていた。

 有効射程も長いし、コントロールも巧み。

 まるで……スピードに長ける自分に対抗するみたいに………違う、〝みたいに〟じゃない………実際そうなんだ。

 結果的に自分の叩き上げで、彼女はここまで強くなった。

 でも、こっちも負けられない。自分がここで負けたら………母を助けて上げられない。

 脳裏に浮かぶのは、失って久しい、母の笑顔。

 

 あの頃に――――――戻れなくなる!

 

 母から笑顔が消えたきっかけは…母が寝る間も惜しんではげんだ。

 ある魔導炉の開発計画。

 その多忙さで、わたしが寝てしまう頃に疲れた顔で帰ってくることも度々だったし。

 いつ終わるのと、わがままを言ったりもした。

 それでもこれが終われば一緒にいられる時間ができる。

 その言葉を信じて待ち続けた。

 そして……その魔導炉の起動実験だった日。

 その日、実験は失敗し、事故が起きた。

 ベランダから、帰りを待ちわびていたわたしが見たのは。

 母さんのいた場所から光を放つ柱だった。

 それからどうなったのかは、まったく覚えていない。

 次に目を覚ました時に最初に見たのは―――――

 泣きながら自分を抱きしめる母と…あの事故で怪我をしてずっと眠っていたという事実だった。

 その後、小さな自分には、持て余してしまうくらい大きく新しい部屋に連れられて、母さんは自分が少し休んだら、これからは何時でも一緒にいられると言ってくれた。

 お仕事は?と聞いたが、その必要は無いって…私は思わず『右手』で母さんの頬に触れた。

 その瞬間、母さんはひどく驚いた顔をして…でも、直ぐに笑って…

 私の名前を、呼んだ。

 

『アリシア』

 

 え? 何言ってるの?

 アリシアって……誰のこと?

 わたしはフェイトだよ、アリシアって名前じゃない。

 

 フェイトはグレイヴフォームにしたバルディッシュで突貫。

 それをなのはは、障壁で受け止める。

 バリアを貫こうと力をこめる一方で、フェイトは必死に記憶を辿る。

 

 

 母さんが笑ってる記憶を…でも…それでも呼んでくれない。

 どの場面でも母さんは自分を…『アリシア』って呼んで…フェイトって呼んでくれない。

 

 違う、違うよ…違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う

 

 

 私は―――――――――いや、どっちだっていい!

 帰るんだ! あの―――――温かい日々(きおく)に!

 

 

 

 

 

「アリ…シア?」

 

 攻撃を必死に受け止めている最中、フェイトは確かにそう呼んだ。

 咄嗟に体を逸らして、受け流すなのは。

 その勢いのまま、二人は距離が離れる。

 明らかに彼女の様子がおかしい。

 今までは果断無く飛びまわりながら攻撃を仕掛けてきたのに、急に動きにぎこちなさが現れていた。

 確か、フェイトには姉の記憶が植え付けられ、それを自分のものと思い込んでいた筈………ってことは―――

 

 

 

 

 

 

 勇夜も、フェイトの異変を感じ取っていた。

 まさか、アリシアの記憶が〝アリシアのもの〟だと認識し始めたのか?

 恐らくは……でないと最後の賭けで臨んだ筈の戦闘の場で、あんなうろたえた顔を見せやしない。

 まあ……誰だって自分のものと信じている記憶に〝異物〟が紛れ込んでいたら、パニックにはなるものだ。

 一度は戦闘どころじゃない状態だったフェイトは、直ぐ調子を戻すと、今までで一番巨大な魔法陣が足元に出現、そして30はゆうに越える稲妻の魔力スフィアがフェイトの周辺に現れる。

 ビルから見ている勇夜たちからも、その姿がはっきりと見て取れた。

 

「フェイトは本気だ…」

「アルフ、まさかあれが?」

「そうだよ……あれはリニスから教えてもらった………とっておきの〝切り札〟」

 

 高圧縮された、一撃一撃が強力な魔力弾を大量に生成し、合計1000発、一気に乱れ撃つ技。

 

「《フォトンランサー・ファランクスシフト》……」

 

 なのはが、防御する準備を取りかかろうとした時。

 突然四肢に金色で半透明の立方体が現れ、動きを封じられた。

 

「設置型のバインド、いつの間に?」

「どうやら、大量のスフィアは彼女が、バインドはデバイスと役割を分担したようですね」

 

 AIを積んだデバイス、特にインテリジェントタイプは、デバイス自身の意思で魔法を発動できる。用途次第で使い手と愛機が、それぞれ異なる効果を持つ魔法を同時に行使することも可能だ。

 

「なら、せめてなのはにサポートを」

「やめておけユーノ」

「勇夜さん?」

 

 思わず横やりを出しそうになったユーノを、横に伸ばした勇夜の腕が制止。

 

「一対一のタイマン勝負に、手出しは無用だぜ」

「でも勇夜、本当にやばいんだよ、あれを受けたら、どんな手練れだって…」

「いいから黙って見てろ」

 

 焦燥を隠せないユーノとアルフに対して、勇夜は冷静に戦況を見る様努めていた。

 お陰で、瞳は〝彼女〟の足元に張られた〝網〟を捉えた。

 当人はそのトラップそのものに気がついていない。

 冷徹で情を挟まない見方をすれば、この瞬間によって、勝敗は決まったも同然であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「フォトンランサー………ファランクスシフト」

 

 フェイトは愛機を持った手を振りかぶり。

 

「打ち―――砕ぁぁけぇぇぇぇぇーーー!」

 

 振り下ろすとともに一斉に魔力弾を放った。

 バインドで動けないなのはは、それを真っ向から受けるしかない、

 流星雨の如く、飛んでくるフォトンランサーの雨は、爆煙で見えなくなるくらい彼女に降り注いだ。

 質も量もけた違いな攻撃に、フェイトの体力も魔力もどんどん削られていくが、それでも砲撃を止めない。

 さらに駄目押しの一撃で、左手を空に翳し魔力を集める。

 それは、金色の魔力でできた槍となり。

 最終的にはフェイトの身の丈をはるかに超える大きさとなる。

 フォトンランサーを巨大化させて投げつける技。

 

『Spark End』

 

「スパァァァァ―――ク!」

 

 それを爆煙の中へと投げつけた。

 

「エンーーーーード!」

 

 眩い閃光と同時に大爆発が起こる。

 拡散された稲妻と爆風で周辺のビルも損壊した。

 巨大な傷を走らせ、ゆっくりと自壊していく現代の巨塔たち。

 なのはが滞空していた地点は、粉塵のベールに包まれ、フェイトは肩で息をしながら凝視する。

 フェイトは、確かな手ごたえを感じていた。

 バインドで動きを封じていたから、今の一連の攻撃はほぼ全てあの子に当たっている。

 仮に防いだとしても、防御に費やすあまり、魔力を使いすぎて自滅すると踏んでいた。

 もう浮遊する余力さえ残ってはいない。

 疲労で息を荒げながら、そう思考していた。

 だれだってこの一部始終を見ればそう考えるだろう。

 そしてこの勝負はフェイトの勝ちだと…思われた。

 しかし、実状は予想を超える。

 煙が晴れ、その先にいたのは―――満身創痍ながらも……悠然と、毅然空に佇む、なのはがそこにいた。

 

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