ウルトラマンゼロ The Another Lyrical Story 第一章 作:フォレス・ノースウッド
ゼロの恥ずかしい里帰り
宇宙に存在する星の中で、光を発する惑星と言われれば、誰もが恒星と答える。
だが中には、自ら光を放つ惑星も、この次元の宇宙には実在する。
諸星勇夜ことウルトラマンゼロ―――ゼロ=ユウヤ・ヴェアリィスターの故郷(ふるさと)の一つ。
M78星雲と呼ばれる星系、地球を含めた宇宙を、今もなお守護し続ける光の巨人たちの住む星。
惑星アルトラ、通称ウルトラの星、もしくは光の国。
その星の周辺に、光でなぞられた文字、《ウルトラサイン》が上げられた。
もう、11年にもなるんだよな………〝あの子〟たちのいる世界に飛ばされてから。
宇宙という海の中を、流星となって飛ぶゼロはそう独白していた。
今から11年前、彼はヤプールと呼ばれるウルトラ一族と因縁がある異次元人が生み出した、ゼロたちの世界ではどこの惑星、銀河でも生息している巨大生物、怪獣、その怪獣を超える怪獣――『超獣』、その中でも最強と呼んでも過言ではないUキラーザウルスとの戦闘で別の世界に飛ばされてしまったのである。
俺には相棒のリンクと言う次元を超える術は持っていたのだが、現在地と生きたい先の位置も距離も分からない迷子の状態から、故郷に帰還するのは至難の技で、おまけに幼児退行してウルトラマンへの変身ができなくなってしまったから、こうして帰ってくるまで11年の歳月を要したのである。
実を言うと、ウルトラ一族にとって11年はそんなに長い年月ではない。現生する生命体の中で長命な彼らは、何万年もの時間を生きる種族だからだ。
俺はまだまだ若いガキンチョではあるけど、それでもあちらの世界の地球の西暦より歳を重ねている身であった。
とはいえこの11年は、人間として、それも体感時間が長い子どもとして生きてきた。
下手をすると、磁気嵐が吹き荒れる辺境の星で修行していた頃より、一日を長く感じる日々だった。
でも、その世界で〝諸星勇夜〟として生きていく日々も、悪くないと思っている。
『マスター、間もなくM78星雲圏内に入ります』
「了解した」
あちらの世界に迷い込んだきっかけで、意志を持った相棒のリンク―ウルティメイトイージスの言葉で、思い出に浸っていたゼロは意識を現実に戻した。
眼前には黄緑色に点灯する惑星アルトラ――光の国。
この日、久方ぶりに俺ことウルトラマンゼロは、故郷(ふるさと)に帰ってきた。
それから数週間後。
「ほら早く立て! 弛んでるぞ!」
ここは光の国にある、宇宙警備隊員の卵となる訓練生たちが日夜訓練に励む訓練場――ウルトラコロセウム
「相手から目をそらすな! 外れた時は直ぐに合わせろ! 敵はボケぇーとしてる奴を見逃さなねえんだぞ!」
「は、はい!」
そこでは地球人換算で中学生に位置する訓練生ら相手に組み手と言う名の扱きで教導しているのは何を隠そう、ウルトラマンゼロだ。
光の国に帰ってからというもの、彼は時々臨時教員として後輩たちを扱き。し、宇宙パトロールをこなす日々を送っていた。
ちなみになぜゼロが、臨時で教官を務めているのは、本人直々の希望からであった。
理由は無論のこと、自分やベリアルのように〝力に溺れ、心が奈落に堕ちてほしくない〟、〝どんな力を持とうが、自分たちは神では無い、自分以上にはなれない存在〟であることを示したかったからであった。
その教習はやはり師匠譲りで手厳しい、少なくとも訓練中は一切の泣き言を許さない。
実は内心、彼は叔父であるコロセウムの教官に志願しながらも不安もあった。
ある分野でのエキスパートが、その分野を教えることまで優秀とは限らないという話を前に聞いたことがあったからだ。
今でもまだ若いゆえに訓練校時代では、荒くれ反抗児ながらも、努力家で成績がトップクラスであったので、逆に生徒をやさぐれさせてしまう懸念もあった。
これが地球人なら、大学卒業したての教育実習生(せんせいのたまご)が、中学生相手に授業するようなものである……と言いたかったが、ゼロの場合はもっと若い。
人間としての体感時間の11年で、精神面はそれなりに齢を重ねたが、それでも5900歳は地球人としては高校生の年代。
ただ、以前アルフを鍛えていた時の経験が生きたのか、評判は上々だった、こともあり、一回限りから定期講習へと昇華。
生徒たちも飲み込みが早く、ゼロの鬼訓練に必死に食らいついている。
宇宙警備隊隊員を目指すだけあり、確かな意志と覚悟と向上心が彼ら、隊員のたまごたちにはあった。
「よし、午前の教習はこれで終わりだ、解散!」
「「「はい!!」」」
ゼロの号令で整列していた訓練生は、各々バラバラに解散していった。
「今日も精が入った教導であったな、ゼロ」
そこにゼロを呼び掛ける巨人が一人。
声の主は、サイズこそウルトラマンと同クラスだが、胸部は白銀の装甲、四肢は赤いカラーリングで、メカニカルで洗練されながらも、メカ特有のごつく、屈強な容姿をし、西洋甲冑を想わせる頭部と、ウルトラ一族より小さめで、カメラレンズが見える黄色い瞳が埋め込まれた顔つき。
だいだいの人は、一目で彼が実はロボットであることに気づくだろう。
「ジャンボット、まあ……前科者は俺とベリアルだけで充分さ」
ジャンボット。
ウルティメイトフォースゼロのメンバーで、ウルトラマンが存在する多次元(マルチ)宇宙(バース)の一つに存在する、こことは違う次元世界、通称アナザースペースの惑星エスメラルダ、王制の国であるそのエスメラルダの王家に代々仕え、宇宙船(スターコルベット)に変形でき、『鋼鉄の武人』と異名をつけられた自立AI搭載型巨大ロボだ。
ちなみに宇宙船の形態をとっている時は、ジャンバードと呼ばれる。
名前の通り、鳥とよく似た主翼と機首が特徴的で、とあるムードメイカーで三枚目なチームメイトからは〝焼き鳥〟と名付けられてしまった。
学生なら学級委員長か風紀委員な立ち位置に分類できるほど、真面目一徹で堅物なジャンは彼にそう言われる度、過剰に反応して突っ込み、地球の文化の一つである漫才的な口論になることが、散り散りになるまでのチーム内での風物詩であった。
実はジャンボット、かの次元振の時、幸いなことにM78星雲の宙域に飛ばされていたのである。
とは言え、ゼロとミラーナイトが変身不能と幼児退行するほどに消耗したように、彼も機体に多大なダメージを受け、光の国で修理を受けることになった。
その際、動力機関を中心に、ジャンたちの世界にしか無いエメラナ鉱石以外のエネルギーで活動できるよう改修を受けている。
「父上殿も誇りに思ってるはずだ…」
「うっ……あんま…父さんのことは話題にしないでくれ……若干…トラウマなんだ……アレ以来……そりゃ……嬉しかったんだけどさ」
ゼロは明後日の方向へ目線と飛ばしながら、若干歯切れ悪い口調で両手の人差し指同士を突き合っていた。
「あ…それはすまなかったな……あれは機械であるわたしから見ても微笑ましくもあり、かなり気恥ずかしくもある光景だったからな」
ゼロの実の父で、伝説のウルトラ兄弟の三兄である戦士――ウルトラセブン。
彼は長いこと、ゼロに父自分がであることを隠し、陰から見ていることしかできなかった。
その反動ゆえか、普段は絵に描いた好漢で、かつ戦闘時は勇ましく戦う戦士だが、ゼロの前ではかなり心配性で親馬鹿になってしまう性質になっていた。
遡ること、俺が里帰りをした当日。事前にウルトラサインで、自分の安否と帰還の旨を伝えたため、光の国では、かつてゼロが初めて異世界に旅立つ日と同じく、ウルトラ兄弟、ウルトラの父、母、警備隊隊員ら、多くの国民が、遥か昔に消え去った恒星の代わりに光の国を照らす塔、プラズマスパークタワー前で待ちわびていた。
驚ろかされたよな。いきなり帰ってはびっくりさせるので一応予め連絡はしていたけど、行方知れずだった自分を出迎えるのに、こんなに大掛かりなイベントになるなんて、どうも気恥ずかしくなる。
羞恥の気持ちを隠して、タワーの前に降り立った。
そして、最初に目に入ったのは、ゆっくりとゼロのもとへと歩み寄る、愛する彼の父であるウルトラセブン。
ウルトラ兄弟の中でも、セブンを含めた6人が着ることを許されたブラザーズマントを羽織ったその姿は、勇士としての貫禄に溢れていた。
親子の距離が、手が届く範囲まで縮まる。
「おかえり…ゼロ」
やばい……先にただいまって言っておきたかったのに、先を越されちまった。
くそ……やっぱ実際口にするのは恥ずかしい。喉に詰め物が、詰まったみたいに声にならない。
「その…………ただいま……」
でも……あの子たちに想いはちゃんと伝えろと偉そうな口を叩いた身だ。自分もちゃんと伝えなきゃならない。
11年……ウルトラ一族にとってはそれほど長くなくとも……〝人〟にとっては永過ぎる時間。
ずっと〝地球人〟に憧れていた父にとって、この11年は気の遠くなる時間だった筈なのだ。
そして俺は……眼前の父に対し、初めて、今まで使ってきた呼び方……『親父』ではなく。
「とう……さん……」
と呼んだ。
ちきしょう、恥ずかしくて、ほっぺたが熱くなってきやがった。
あ……顔はおろか体全体まで熱が回ってきやがる……こそばゆいって、こんな感じなんだな。
そのせいで、父の異変に気付けなかった。
「うあっ!!」
こうして父にいきなり抱きつかれるまでは。
「ゼロ………」
しかもかなり強めで抱き締められる。
「よかった……よくぞ無事に戻ってきてくれた……ゼロ…」
「父さん……気持ちは分かんだけどさ……」
「さすが……俺の子だな……」
「みんな見て……がぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁl!!」
〝父さん〟と呼ばれたことはよほど嬉しくて感極まった為か、公衆の面前での父の強い力の籠もったハグは暫く続き、ゼロは思わず奇声な悲鳴を星中に轟かせてしまった。
この日は俺にとって、こっ恥ずかしい思い出の一ページに認定されてしまうのであった。
「それでだがゼロ、朗報があってきた」
「まさか…アリシアのことか?」
「ああ、ウルトラクリニック78本局からの連絡によれば、彼女の魂の完全定着が完了し、バイタルも安定期に入ったそうだ」
アリシア・テスタロッサ。
20年前、ウルトラマンが存在する世界とは違う次元世界群の一つの世界にある惑星、ミットチルダ。
魔力が主なエネルギー源としている世界で、ある駆動炉の起動実験の暴走事故で帰らぬ人となった女の子。
正確に言うと少し違うのだが、向うの世界の地球で出会った彼女の妹と言える少女との約束で、帰省の際、蘇生させるために彼女を同伴させたのである。
死んだ人間は生き返らない。人に限らず、生物界での大前提とも言える常識。
だがウルトラ一族は、完全ではないにしろ、それを覆した技術を手に入れた。
現在はウルトラ兄弟の一人であるブルー族の科学者。
ウルトラマンヒカリによって開発された――『命を固形化する蘇生技術』、何とも突拍子のない上にぶっ飛んだテクノロジーなので、少し説明が必要だろう。
生物に宿る日本の言葉で〝魂〟と呼ばれるものは、実は二種類ある。
一つは肉体を活動させる生命エネルギー、ライフ。
もう一つは、意思を宿したエネルギー体、ソウル。
致命的なダメージを受けると肉体はライフを体内に保有することができなくなり、また何らかの影響でライフが大量に体外に出て行くと、肉体は生命維持ができなくなる……つまり〝死〟だ。
しかし意思を有したソウルは、たとえ死に瀕したとしても暫くは体内に残留している。
命の固形化とは、生命力たるライフを固体状に長期保管し、まだソウルの残りつつも亡骸になった肉体移すことでその者を生き返らせる蘇生術であり、これにより宇宙警備隊員の殉職率は格段に下がった。
かのウルトラ兄弟たちもこの技術のお陰で、何度も死の淵から生還を果たしている。無論、100%蘇生が可能という訳ではない、移植されたライフが体に適応できず蘇生の失敗する可能性も小さくはなかった。
幸い、アリシアの場合は好条件に恵まれていた。魔導炉の暴走による酸欠の呼吸困難によるショック死で、肉体のダメージはほとんどなく、また母のプレシア・テスタロッサが身も心も削ってまで彼女の体を保存し続けたお陰で、20年も経過していたのに今でもソウルが体の中に残っていたので、かの蘇生術が可能だったのだ。
ウルトラ一族以外の種族、生命体にこの技術を使うのはアリシアが二人目であった。
因みに、かの蘇生術を受けた最初の一人は、ウルトラ兄弟次兄の戦士と一体化していた科学特捜隊隊員の青年だ。
さて、俺の里帰りの恥ずかしい思い出は、実はもう1ページ刻まれていた。
ウルトラクリニック78では、ウルトラ一族以外の生命体にも治療が行えるように異星人用の外来病棟がある。地球人サイズの人種にも対応した施設だ。
騒動は、ハグの一件から数時間のクリニック内で起きた。
「ゼロ…その姿は…一体?」
父セブンの人間体、諸星弾は、絶句していた。
外来病棟では、施設周辺を遮光バリアが張られている。建物のサイズとプラズマスパークタワー光量の関係上、人間体での活動の方が適しているので、彼は弾の姿となっている。
「これは仕方なかったんだ父さん、この子の体保(も)たすには、こうしないといけなかったもんで」
そんな弾が放心に近い心境としているのは――口調はゼロそのものなのに、声はフェイトよりやや低め、体格も6歳の女の子で、髪型も金髪。
そう、俺がアリシアと一体化していたということだ。
無論、れっきとした訳柄あってのこと。
いくらアリシアの体が綺麗に残っていてもそれは一時しのぎ、時間が経てば遺体は腐敗を始めるし、いずれソウルが体から出て行って蘇生不可になってしまう。
その〝一時しのぎ〟を延長させる方法として、定期的にアリシアと一体化させる必要があったのだ。
アリシアの姿な俺(ゼロ)――勇夜は、そのことを父に説明しようとしたのだが。
「そうか……そんなにもお前は―――〝女の子〟への憧れがあったのか?」
「へ?」
間の抜けた声を上げてしまう、父の発言を理解するのに数秒掛かった。
「いや、確かに前々から、人間体のお前は美人だと思ってはいた、顔ならアンヌにも勝る美貌であったし、しかし…まさかお前がそんな嗜好――」
「い、いやちょっと待ってくれ!」
いけない! 何やら父にとんでもない誤解を与えてしまっている。
早急に解かないとマジでやばい!
「〝お前のことをいつでも思っている〟などど言っておきながら、お前の心の内に秘めた願望に気づいてやれなかった、すまない」
「お…おやっ…じゃなくて父さん、違うから、そんなんじゃないから、んな願望なんて持ってねえから! まず話を聞いてくれ!」
「いいのだ息子よ、この程度で愛情は薄れたりはしない、私はどんな姿をしていても、お前を愛しているからな」
恥じらいも臆面もなく、父はそれはそれは眩しい笑顔で言い切った。
対して俺の頭はパニックで霧散になる寸前だ。切迫した状況もあって、父の大き過ぎる愛は、この時の自分には余りに重すぎた。
「だ~か~ら―――違うんだよ!! この親馬鹿親父ぃぃぃぃーーー!!!」
決死の想いで、この親馬鹿過ぎる父に訴え掛ける。
でも俺は、ウルトラセブンの我が子への〝愛〟をまだ見くびっていた。
「これはもしや、反抗期までぶり返したか? いいぞ、存分にぶつかって来い」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!」
もはや言葉にすらならない悲鳴を、完全にパニックに陥った俺は病院中に響かせてしまった。
あの後誤解はどうにか解けたものの……その日俺は連続で恥ずかしい思い出を作り上げてしまうのであった。
「ウルトラマンゼロ……一生の不覚だ……」
と、内心こんなことを口にさえするくらいに、当然この出来事は消したい記憶の第一候補となった。
そして後に俺は、ネオフロンティアスペースの地球人と一心同体になった際、かの台詞をまたしても零すことになるのだが、まだこの時は知る由もない。
「ただ……意識が覚醒するまではもう少しかかるそうだ、目覚めてからのリハビリも含めば……ご家族の再会までさらに時間が必要だろうな」
「そうとんとん拍子には行かねえよ……〝生き返らせる方法〟があるだけでも、〝奇跡〟なんだからさ……」
実は以前のゼロにとって、〝奇跡〟とは呪いにも等しい意味合いな言葉だった。
当時孤児院で生活していたゼロは、物心付いた頃、父も母も警備隊員で殉職した、と聞かされ、 この時のゼロは幼いながらも、自分たち家族は『奇跡』を受けるに値しない無価値な存在だと思い込んでしまった。
誰もそんなこと、彼に言ったわけではなかったのに……せめて、自分たちが出来損ないな存在じゃない、両親の汚名を返上させたい……その為に……もっと力が欲しい……誰にも文句を言わせない力が欲しい。
それが、力と強さへの渇望となって、ゼロは光の国の中でも、稀代の反抗児へと歪んでいってしまった。
その後彼が何をし、どうやって更生し、現在に至ったのかは、ご存じだろう。
今振り返って見ると、よく更生できたよなと反芻してしまうほど、自分でもあの頃の自分はひどいもんだったと言える。
けど、過去に戻ってわざわざ訂正するなんて気は無い。あの頃の先に現在と直線で繋がっているのも確か。色々バカやってきたけど、バカな自分の果てが今の自分なんだから、否定しようがない。
そんな今の自分が………向こうの世界で出会ったあの子……フェイト。
正反対なようで過去の自分と似たもの同士であった少女。
誰とも本当の意味で心を開けず……閉ざしてばかりで、危うく闇の底に落ちそうな危うさを持った『寂しい目をした女の子』
初めて会った時から、彼女にシンパシーを感じると同時に、この子の力になりたい。
この子の笑顔が見たいって気持ちになった。
今でもあの子のこと思うと……自分の言葉では表現できない何かが、自分の中でざわめいて、湧きあがってくる。
〝私も……ゼロの光になりたい………〟
別れ際に、泣きべそかいた彼女に抱きつかれて、あんなこと言われて以来、特に……謙虚だ。
言っておくが、嫌な気はしない……むしろ安心して……暖かみがあって……心地良い。
本当に嬉しかった。ああ言ってくれるだけでも、あの世界でウルトラマンとして戦ってきた甲斐がある。
クローンであった自分を受け入れて、フェイトはちゃんと自分の足で歩こうとしている………そのことだってとても喜ばしい。
だけど、この胸からくる熱さは、それだけではない気がする。
それはひょっとしてあれではと知識では知っている……ある感情を思い浮かべるが、生憎……今までグレるまで力を求めているか、戦ってばかりの人生だったので、異性同士の付き合いの経験なんか皆無な自分では、残念ながら断定なんてできなかった。
でもきっと……もっと〝諸星勇夜〟という人間として生きていたい……その原動力の源になっているのがこれなんだと断言できるのも、確かな真実だった。