ウルトラマンゼロ The Another Lyrical Story 第一章   作:フォレス・ノースウッド

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さて、原作じゃ無印二話冒頭に相当する回。
ちなみに本作でのデバイスの台詞は、魔法を除き、日本語表記となっております。

そんで、リリなの二次じゃ恭也は重度のブラコンとして描かれることが結構ありますが、本作は体育座りに定評のあるミラちゃんがそのポジです(汗


EP04 - この手に魔法を 後篇

 異世界からの来訪者たるフェレット姿の少年にとって、なのはに備わる魔法の素質は想像以上だったが、それ以上に予想外な事態が起きた。

 彼の持っていた魔法行使のアイテム、彼の世界ではデバイスと総称され、今は実質持ち主になったなのはが持っている魔法の杖、《レイジングハート》から光を纏いし人が現れて、異相体の巨体に踏み潰されそうになったなのはを、間一髪のところ助けたのだ。

 

「どうにか、間に合いましたね」

「「あなたは?」」

 

 なのはたちは思わず声を重ねて、銀色の騎士に何者かと問いかけていた。

 

「話は後です、そこのフェレット君」

「は、はい!」

「あの怪物をどうにか沈める方法は、あるのですね?」

「あ、はい」

「なら、私が奴の気を引き寄せ、時間を稼ぎます」

「あ! 待って!」

 

 騎士はその場から駆け出し、異相体と戦闘を開始。

 敵だと見定めた影は、不定形な肉体から触手のようなものが飛び出し、騎士を襲うが、騎士は手と足を巧みに使って振り払い。

 

「ミラーナイフ!」

 

 指先を立てた手から光の矢が放ち、影をけん制する。

 影はその矢を受けてたじろぐが、直ぐに狙いを定めて突進してきた。

 だが光の騎士はその攻撃も難なく躱し、空に飛び上がった。

 怪物も空に上がり、空中線が繰り広げられる。

 あの騎士が何者かはフェレット君も分からない……けど味方なのは確か、このチャンスを生かさないと。

 

 

 

 

 

「君! これからその杖の指示をしっかり聞いて」

「はっ、はい!」

『マスター、魔法についての知識はありますか?』

「全然です! まったくありません! ど、どうしたら!?」

『落ち着いて下さい、私が全て教えますので』

 

 初心者を通り越して、魔法に関しても、戦うという行為に対しても素人ななのは、精々知っていることと言えば武道の心得ぐらいだ。

 おまけにさっきまで未知の怪物への畏怖で委縮していた有様、今は助っ人のお陰で大分落ち着けるまでになっているが。

 

「はい!」

『まず、飛びます』

「えっ?」

『Flier Fin』

「にゃあぁぁぁ!」

 

 いきなり両足に、桜色の光でできた翼が現れたかと思うと、なのはの体は宙に舞った。

 幸い、レイジングハートが姿勢制御のサポートをしてくれることもあり、動きこそぎこちないが、なんとか空中に浮遊できていた。

 

「あの黒い生き物みたいなものは何?」

『生き物ではありません、ロストロギアの異相体です』

 

 説明を聞いたなのはだが、小学生には難しい単語の羅列であまり内容を把握できずじまだけど、何らかのエネルギーがあの怪物を生み出したぐらい……何となく掴めた。

 

「じゃあ、あなたから出てきた人は?」

 

 なのはは自分を助けてくれた騎士のことも質問する。

 

『私にも分かりません、何らかの方法で、瞬間移動してきたとしか』

 

 銀色の騎士が未知の存在であるのは、あのフェレット君とこの魔法の杖も同じのようだ。

 答えなど出ようがないのに、それでも考えてしまうなのは……どうして、あの人は自分を助けてくれたのだと。

 彼女の視線の先では、異相体と呼ばれた影と騎士の戦闘が続いている、どちらも譲らない、互角の勝負。

 やや騎士の方が防戦気味だが、積極的に攻撃しないだけで、攻勢に転じれば圧倒できる余力があった。

 

「あなたの魔力があれば、あれを止められます、 レイジングハートと一緒に封印を!!」

「よくわからないけど…何をすれば」

『異相体を封印するためには、接近して封印魔法を発動するか、遠距離からの砲撃魔法が必要です』

 

 つまり選択肢は二つ。

 近づいて攻撃し、直接封印するか、または遠くから封印するためのエネルギーを直接放つかのいずれかだ。

 

『あなたの思い描く、強力な一撃をイメージしてみて下さい』

「そんな……急に言われても……」

『両腕で私を持ち、胸の奥の熱い魂を両手に集めるつもりで、集中して下さい』

 

 た……魂?

 その時だ。

 騎士と戦っていた異相体が二つに分かれ、内一体がこちらに向かって来る。

 異相体の意図に気づいた騎士は、なのはのもとに向かおうとするが一方に邪魔される。

 

「きゃあ!」

 

 そして一方が突進してきた時、反射的になのはは利き手を伸ばした。

 すると、掲げた掌が桜色に光ったと思うと、同色の光の弾丸が放たれ、異相体に命中。

 光弾を受けた対象は、四方にバラバラに飛散した。

 だが、黒い破片たちはすぐに一つの影に集まって戻っていく。

 なのはは、一連の出来事に、あることを思い出す。昔に見たアニメで、体の中にある『気』ってエネルギーを両手に集めて、発射する場面があったことを。

 杖の言うようにイメージを形にするには、その記憶は格好の材料となった。

 

「今のよりも、もっと強い光を出せない?」

『了解、あなたがそれを望むなら』

 

 なのはは、自らの記憶を参考にデバイスの指示通りにやってみた。

 彼女の体は桜色に発光し、その光は両手に集中して行く。

 

『Mode change, Cannon mode.』

 

 同時にデバイスの赤い球体の周りにCの形を取った、金色の部品が、音叉のような形に変わり、持ち手の真ん中にトリガーが現れ、槍とキャノン砲の特徴を掛け合わせた形態となった。

 

『構えてくさい、『直射砲形態』で発射します』

 

 ここまでいけば、なのはでも何をするべきか理解できた。

 やることはシンプルだ。

 

「あの影を、魔法で撃って封印すればいいだね」

『そうです』

 

 変形した杖の先端という銃口を、異相体に向け狙いを定めた。

 

 

 

 

 

「あの子…砲撃型…」

 

 上空から遠距離からの魔法攻撃を行おうとするなのはに、フェレットはまたも驚かされる。

 デバイスのサポートがるにしても、素人であそこまでできるなんて………あの子はいったい?

 

 

 

 

 

『標的のロックオンは私が行います、合図とともにトリガーを引いて下さい』

「はい!」

 

 レイジングハートに、なのはの足に生えてきたものと同形の光の翼が出現し、その先端には桜色のエネルギーが集束、光の球体を形作る。

 だが異相体は果断なく宙を動き回り、中々対象をロックできそうにない。

 そんな時。

 

「ディフェンスミラー!!」

 

 騎士がそう叫ぶと、かざした両腕から半透明の十字架に酷似したクリスタルがいくつも出てきた。

 十字架の群れは異相体の周りに密集し、球体となって閉じ込めた。

 異相体は体当たりをして、光の牢獄を抜けようと試みるが、牢は頑強でびくともしない。

 

「ミラー!ウェイト!!」

 

 光の騎士は今度はそう叫ぶと、閉じ込められた異相体の周りに、同じ形状の十字架が4つ出現。

 同時にバリアを解除した。

 

「えっ!?」

 

 なのはとフェレットは、当初騎士の意図が分からなかったが、間もなく理解できた。

 百聞は一見にしかず。

異相体は、見えないロープに縛られたかのように動きを封じられている。あの光の十字架は、一種の捕縛効果があったのだ。

 

「今の内に封印を!」

「はい!」

 

『Target, lock on』

 

杖のターゲットマーカーが異相体を捕える。

 

『今です、 トリガーを!』

 

 杖の指示通り、引き金を引くなのは、レイジングハートからすさまじい桜色のエネルギーが発せられ。

 

「シルバーァァァァーーークロス!」

 

 同時に騎士は両腕を×字に構え、水平に広げると十字型の光の刃を発した。

 桜色の奔流と黄色い光刃は地上の異相体へと正確に命中し、閃光を散らすともに、邪悪な影は消滅していった。

 

 

 

 

 

 

『Nice, a shot』

 

 排熱筒らしきところから煙を排しながら、なのはを称えるレイングハート。

 

『降りられますか?』

「あっ……はい」

 

 浮遊状態からゆっくり降りて、地面と着地するなのはと騎士。

 

「あ、あの……助けてくれてありがとうございます」

「こちらこそ、私だけでは、ここまで穏便にことを済ませられませんでしたから」

 

 騎士は紳士のような佇まいで、片手を胸に置きつつ一礼する。

 さっきは心情的に余裕がなかったので気が付かなかったが、なのはは彼の発する声と言いまわしに、聞き覚えがあった。

 どこかで聞いたことがあるんだけど………ひょっとして。

 

「僕からも協力に感謝します、ですがあなたはいったい?」

 

 フェレット君も騎士の助太刀に感謝を表明しつつも、正体について尋ねた。

 すると、騎士の体が突如として光り輝いた。

 視界を一時奪うほどの光が収まると、そこにいたのはなのはにとって、馴染みあるどころではない人物だった。

 

「りぃ!光(りひと)兄っ!」

「ずいぶん探しましたよ、なのは」

 

 なのはの顔は驚愕で全身ごと凝固してしまう。

 何度見ても身間違いではない、紛れもなく鏡の騎士は、高町光その人だった。

 喋るフェレット、謎の黒い生命体、魔法と魔法の杖、そして助けてくれた光の騎士の正体が自分の義兄…様々な非常識な事態の前になのはは思わず。

 

 

「フェェェェェェェェェェェェェェーーーーーー!」

 

 

 驚愕の雄叫びをあげてしまった。

 人々が消えて奇妙な色合いな夜の海鳴の住宅街の中を、少女の絶叫は広範囲に響かせるのであった。

 

 

 

 

 数分後、なのはと光とフェレットは今、高町家の近所の公園にいた。

 あのあと、異相体の出現の元凶である、菱形の宝石二つをレイジングハートに収納すると、フェレット君は力尽きて気を失ってしまった。

 すると緑と紫ががり、戦闘であちこち道路やら電柱やらが壊れた夜道がみるみる元に戻っていく、光によると、今まで自分たちはフェレットの魔法で作られた、結界=バリアの中で戦っていたらしい。

 

「その……光兄って何者なの? あの姿って」

 

 フェレット君は現在眠っているので、なのはは先に、彼(あに)が変身した『鏡の騎士』のことを聞いた。

 

「私が高町家の養子だってことは、なのはも知っていますよね?」

「うん」

「私も、この宇宙とは違う、別の世界の宇宙から来ました」

「この子と同じ?」

「いえ、そのフェレット君とレイジングハートと呼ばれた魔法の杖のいた世界とも違うところからです、実はさっきの姿が、僕の本来の姿で……本当の名前はリヒト・シュピーゲル、騎士名はミラーナイトと言います、この姿の時はいつもの呼び方でいいですよ」

「どうして………地球に来たの?」

「かつて僕は、宇宙を守るとある防衛チームのメンバーとして活動していました、しかし11年前に……詳しく言うと長くなりますが、時空の歪みに巻き込まれ、仲間とも散り散りになり、偶然この地球の……なのはが生まれたばかりの頃の高町家の庭に迷い込み、その際義父さんたちに助けられ、そのまま一家の養子として暮らすことになったのです」

「にゃはは、そうなんだ…」

 

 なんともアニメに漫画やら、特撮番組やらで出てきそうで、地球では絵空事と笑われそうなではあるが、あの姿といい、空を飛んだことといい、手裏剣みたいな光線技といい、それらを直に見ている以上、本当のことだと信じられた。

 他にも色々聞きたいことがあったが、光兄の言う通り、長くなりそうなので、次の機会に聞くことにした。

 

「気がつかれたようですよ」

「えっ?」

 

 光兄の言う通り膝に目を向けると、眠っていたフェレット君が起きていた。

 

「怪我……痛くない?」

「平気です……もうほとんど治っているから」

 

 フェレット君は体を揺すると、獣医さんに巻かれた包帯が解かれ、地面に落ちた、確かにあちこちあった傷がほぼ無くなっている。

 

「ほんとだ」

「それも〝魔法〟で直したのですか?」

「はい」

「ねっ、自己紹介してもいい?私、高町なのは、なのはでいいよ、えーとこの人はわたしのお兄さんで」

「ミラーナイト…今は高町 光(リヒト)と言います、光と呼んでください」

「僕はユーノ・スクライア、ユーノが名前です」

「ユーノ君か……かわいい名前だね」

「本当にすみません……あなた方を巻き込んでしまって……」

「そうですね………………私はともかく、妹を巻き込んだ罪は重いですよ」

「ひ……光兄?」

 

 義兄の様子に、違和感を覚えた。

 あ…あれ? なんでだろ?

 いつもより兄の美声のトーンが低いような……ひょっとして、怒ってる?

 なんか、兄の体から黒いオーラを感じるのは、気のせいでしょうか?

 今まで、怒りのいの字も見たことが無かったのに……兄の豹変に言葉がみつからない。

 

「さて、どう償ってもらいましょうか……」

 

 髪に隠れて表情は見えないが、なのはの懸念は当っていた。

 光はユーノを、なのはから一瞬の早業で取り上げると、彼の体を鷲掴みにした。 

 ユーノは必死でもがいているが、光の手は相当力がかかっている様で、ほどかしてくれない。

 

「フェレットって……どう調理すればおいしく食べられるでしょうか?」

 

 夜の闇より濃い影が顔に差した彼の口から、さりげに物騒なことを呟いた。

 なまじ美声なのと口元が笑顔なのが、恐ろしさを倍増させる。

 

「まっ!待って下さい!キュウ!キュウ!」

「光兄! 落ちついて!」

「止めないでくださいなのは! こいつはなのはを誑かそうとする悪徳セールスマンです! 陰湿な外道です! 淫乱な獣です! 災厄を起こし、なのはに絶望を与える死神です! いえイン○ュベーターです! 今のうちに始末していかなければ!」

 

 どういう理屈だよ、とツッコミたくなるが、当人にとってもはや理屈どころでは無かった。

 愛する義妹(いもうと)が、怪物と戦うことを強いられ、危うく命まで落としかけるところだった。

 突然全容が分からない謎の声に一人で出てってしまったなのはにも負うべき責は少なからずあるが、それ以上に彼女を〝巻き込ませた〟少年(フェレット)の行為の方が、光にとって許しがたい業であったのである。

 彼の台詞に、某アニメに出てくる悪徳ド外道営業マンなマスコットキャラの名も出てきた気がするが、気にしないでもらいたい。

 

「く……苦しい……」

「私のことはいいから、ユーノ君を許してあげて!」

 

 ミラーナイトから〝シスコンナイト〟に化して暴走する光の凶行を、なんとか阻止したなのは。

 とりあえず、ユーノからの事情は、家に帰ってから聞くことにした。

 

 

 

 

 

 

 こんな遅くに外出したから皆心配しているだろうな………と考えながら光と歩くなのは、彼女の予想通り、案の定家に帰ってみると。

 

「おかえり」

 

 長兄の恭也が、玄関前で腕を組みつつ待っていた。

 流石にその表情は険しい。

 

「二人とも、こんな時間にどこへお出かけだ?」

「あ……その、えーと」

 

 返答を窮せられる。

 頭の中に声が響いてきて、なんとなく声が主がいるかもと思って病院に行ったら、色々起きて……なんていくら異世界から来た光を家族として向かい入れた自身も家族でも信じてもらえるか怪しい。

かといって、上手い誤魔化し方も浮かばない……どう説明したら。

 

「今日なのはがフェレットを助けたって話したでしょう? なのは、この子のことが心配で様子を見に出かけたんですよね? で、僕はそのなのはが心配だったので後をつけて、こうして二人で帰ってきたんです」

 

 言い分が思いつかずにいたところを、光兄が助け舟を出してくれた。

 

「気持ちは分からんでもないが、だからと言って内緒に行くのはいただけない」

「その……内緒で出かけて、心配掛けて……ごめんなさい」

「僕からも謝ります、無断で出かけたことは一緒ですから」

「まあいいさ、二人とも上がりなさい」

「「はい」」

 

 こうして第一関門はクリアした。

 問題は第二関門である、特にユーノにとっては災難な試練だ。

 それは何故かと言うと―――

 

「か~わいい ♪ほんとにかわいいわね♪」

「お母さん!ほどほどに!」

 

 母の桃子が、難関そのものだからだ。

 母のかわいいもの嗜好症は想像以上で、その愛でっぷりも予想以上だった。

 今何歳だと思っているのだろう? だが歳を想像するだけであの世行きが決定しそうなので詮索はやめておこう。 

ペットは禁止と言われるよりはまだ……いいですよね?

 

「ずいぶん賢そうな『イタチ』だな」

 

 父士郎の本日二度目のボケが来た。

 

「フェレットだよ…お父さん」

 

 訂正する美由希、実際フェレットはイタチの仲間なのでイタチと呼んでも間違ってはいないが。

 

「何か芸とかしないのか? ほれ、お手」

 

 士郎は自分の掌を、お手の要領でユーノに差し出すと。

 当然中の人 (?)は人間なので、士郎の意図を理解したユーノはお手をした。

 

「ほんと、この子賢いわね♪」

 

 結局その夜は色々どたばたして、事情を聴くことができずに終わり、話は明日に持ち越しになってしまった。

 

 

 

 

 

 そして光ことミラーナイトは……と言うと。

 

「あんな醜い姿を………なのはに見せてしまうなんて……なんて……愚かしいことを……私は………」

 

 自分の部屋で灯りも点けず、ベッドの上で体育座りで腰かけていた。

 体からはどんよりとした黒い波動が溢れている。

 なのはには平静を装って見せまいとしていたが、内心妹に〝シスコン〟という名の醜態を見せてしまったことをひどく後悔し。

 彼かつて故郷の星の湖の中で披露した、あのおなじみ……かは別として、かの〝引きこもりモード〟となって、落ち込んでいるのであった。

 

 

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