ウルトラのキセキ ~One More Sunshine Story~   作:がじゃまる

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老人なので他のハメ作家さんにご教授頂きながら初めて多機能フォームを使いました
なおハメに投稿初めて3年経ってます。オーバー


……先週サボって申し訳ございませんでした←


10話 フェスティバる夜

「うおおぉぉぉぉッ!!」

 

「ちょっ……! なんなんですの貴方!?」

 

瞬く間に数日が過ぎ去り、気付けばその日は訪れていた。

漁港祭当日。ここいらで行われる催し事でも最大の規模を誇るこの祭りには全国から、とまでは行かずとも多くの人が来訪する一大イベントだ。

 

並ぶ屋台の灯りや行き交う人々の顔や声。どこか特別感のある光景を流れるように映しながら……未来は全力で疾走していた。

 

「お前学習しないな!? 別人だって言ってるだろ!」

 

「それでも興奮するものはするんです! あの! 握手だけでもお願いできますか!」

 

「もう既に手を握ってるように見えるのは気のせいでしょうか……?」

 

最近何かと沈みがちだった気分が紛れないかと少しふらついていたものの……生ける暴走特急追風春馬はそんな暇も与えてくれないらしい。

 

先程から彼の世界ではスクールアイドルであったらしい者を見つける度にこうして突撃を繰り返している。いちいちその後を追いかけて言い訳をするこっちの身にもなって欲しいものだった。

 

「すみませんダイヤさん! コイツちょっと頭のネジ飛んでるだけなんであんま気にしないであげてください!」

 

「酷い言いようですわね………この人が千歌さんの言ってた方ですか?」

 

「ええまあ……追風春馬って言うんですけど」

 

若干引き気味ながらも優しく微笑んでくれる一学年上の少女―――黒澤(くろさわ)ダイヤに春馬を引き剥がしながら頭を下げる。

 

和風美人をそのまま絵に描いたような彼女からはどことなく高貴な雰囲気が伺えるようであり、有象無象の野郎共は当然のこと、ある程度親睦のある未来ですら声を掛け辛い部分があるというのにこの男……色んな意味で底が知れない奴だと思うばかりだった。

 

「遂に千歌さん達が踊り子、時が経つのは案外早いものですわね。調子はどうですの?」

 

「春馬達が見てくれたのもあって結構形になってますよ。まあ少なからず失敗ってことはなさそうです」

 

「それは良かったですわ………果南さんの影響で去年のわたくし達のようになったらと思うと悪寒が止まらなかったので……」

 

「あはは……」

 

反応に困る言葉に苦笑いで返す。実際そうなる可能性もあったのが少々痛いが。

 

「…そう言えば、千歌さん達と一緒ではないのですね。貴方達ならてっきり一緒にいるものと思ってましたが」

 

「ああ、なんか着替えてから行くとかそんなこと言ってたんで陸の様子見に来がてら先にふらついてた感じです。…ダイヤさんこそルビィちゃんと一緒じゃないんですか?」

 

「勿論一緒に来てますわよ。さっきりんご飴を買ってくると言って屋台の方へ向かったので、そろそろ戻ってくるとは思いますが……」

 

そう言うダイヤが見やった先へ未来も視線を流せば、確かに赤毛の少女の後ろ姿が見えた。

 

注文に苦戦しているのか、しどろもどろになりながらも必死に屋台のおっちゃんと奮闘した末、ようやく掴み取った戦利品を片手に駆け戻ってくる彼女の笑顔は実年齢よりもずっと幼く思える。

 

 

些細なことだが確かに表れた妹の成長に安堵する姉………が、そんな雰囲気をぶち壊したのはまたしてもこの男だった。

 

「あ、あの!」

 

気が緩んだ一瞬をついて未来の拘束から脱し、引き寄せられるようにしてこちらへ駆けてくるルビィの元へと向かう春馬。

マズイ。一瞬遅れてそれを察知した時には既にルビィの手は春馬の手のひらの中にあった。

 

「多くは求めないので握手だけでも―――」

 

「ぴ―――」

 

決壊を示す声が漏れる。

この直後に起こることを理解した未来とダイヤが咄嗟に耳を塞いだ、次の瞬間―――、

 

 

 

「ぴぎゃああぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!?!?!?」

 

 

 

貫くような高音の悲鳴がルビィを中心に生じ、未だ彼女の手を取ったままの春馬へと襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらぁ~? どうしたのりくっち、あんまり客足振るわないみたいじゃな~い」

 

「ぐッ…! 原価の二十分の一で高級食材出すのはずりぃだろ……皆食いつくわ!」

 

「ノンノン♪ これがマリーのAbilityよ。食材のせいにするのは仮にも料理人としてはいただけないんじゃな~い?」

 

「があぁ……これだから金持ちはァ……!」

 

「盛り上がってんなぁ……」

 

黒澤姉妹に謝り倒した後、そろそろ千歌達も来る頃だろうと足を運んだ先では盛大に火花が散っていた。

並び立つそれぞれの屋台に構えているのは陸と豪奢な金髪を持った少女。

 

小原鞠莉(おはらまり)。ダイヤと同様未来達より一つ上の先輩にあたり、同時にホテルチェーンを営業する経営者を父に持つお嬢様。

 

「りくっちが屋台出すって聞いたから期待してたけど……どうやらマリーの圧勝みたいね♪」

 

「わざわざ嫌がらせしに来たのかよ、悪趣味過ぎんだろ金持ちの遊び!」

 

「……お前大変だな」

 

そんな所謂お金持ちである彼女だが、どうしてか他校であるはずの陸をいたく気に入っており時折ちょっかいを掛けて遊んでいる。

 

今回も陸が漁港組合の枠を一つ貰って屋台を出すことを許可されたと聞いて自身も出店してきたらしいが……相変わらずやること成すこと全てがぶっ飛んでいる少女だった。手伝いに駆り出されてる翔琉が憐れむのも無理はない。

 

「あら、未来に……さっきのDaring boyじゃない。二人もシャイ煮が食べたくなったの?」

 

「あぁ?」

 

鞠莉が口にした通り彼女の構える屋台には˝シャイ煮˝の文字があり、その下に羅列された原材料は未来達庶民には簡単に手の出せない高級食材ばかり。

それを一杯五百円という破格のお値段で提供しているのだ。そりゃ皆食いつくだろう。

 

ただまあ、鍋をかき混ぜる鞠莉の姿や料理の色自体は魔女鍋そのものなのでこれで人が集まってるのは謎と言えば謎だが。

 

「…まあまあ、気楽にいこうぜ陸。んな面してたら来る奴も来ねーぞ」

 

「イエース。翔琉の言う通りよ、営業のコツはSmileよ♪」

 

「誰もかれもアンタ等みたいにお気楽じゃないんだよ……」

 

「……あれ、そう言えばステラは? さっきまでここにいたよな」

 

少し前に離れた時から何ら変わらない空気感にまた苦笑いするが、遅れて先程までその中にあった顔が見当たらないことに気が付く。

 

「あー、あの一人バクバク食ってたちっこいのなら千歌に呼び出されたとかそんなでお前等がどっか行ったすぐ後に千歌達のとこ行ったぞ」

 

「まだ来てないと思ったらそう言うことか……」

 

「あ、おーい! お待たせ―!」

 

噂をすればなんとやら。人混みの奥から見知った顔が並んで現れる。

普段ならば特異に思えるその装いも、祭りという状況下においては馴染んで見えるものだった。

 

「oh! it's beautiful! 似合ってるわよ皆―!」

 

鞠莉も絶賛の声を上げた彼女達が着込むのは浴衣。

先日皆で旅館を手伝った際に着物姿は見ているが、それよりも彩りや装飾の鮮やかであることも相まってあの時とはまた違った印象を覚える。

 

「えへへー、せっかくなら着て行けって志満姉が」

 

「私は普通の格好でよかったのに……」

 

「まあまあ似合ってるからいいじゃん!」

 

元々容姿は整っている彼女達だ。淡い橙に桜、水色とそれぞれを表すような色彩の浴衣姿には自分達のみならず行き交う雑踏の中にも視線を注ぐ人々が数名。

 

だが未来が最も視線を奪われたのは、その三人の影で縮こまるように隠れていた、深雪のような蒼に身を包んだクラスメイトだった。

 

「ステラ……?」

 

「ち、ちが……、これは千歌が勝手に……!」

 

「せっかくだからステラちゃんもお揃いで行こうと思って志満姉にもう一着だしてもらったんだ~」

 

赤い顔をしたステラを背後に何故だか千歌が誇らしげに胸を張る。

こういうのは柄じゃないだろうに、哀れステラ。千歌に目を付けられたのが運の尽きか。

 

「……本当に姐さんじゃないんですよね」

 

「またアンタ…? 私に弟はいないって何度も言ってるでしょ」

 

「いやすみません……俺の知ってる姐さんとあんまり変わらないから……」

 

「なんかよくわからないけど腹立つわねその言い方……」

 

頬に差した朱は恥ずかしさからか、はたまた初対面のその瞬間に詰め寄ってきては一人で騒いでいた不審者(春馬)と再び出会ってしまったからか。

 

詳しくは聞かなかったがステラも春馬達の世界では彼と関係のある……しかも慕われるような人間だったらしい。本当に向こうはどうなっているのか。

 

「……なに、ジロジロ見て」

 

「…いや、なんと言うか……」

 

前にも言ったがステラは美形だ。大抵の服は着れば様になるだろう。

 

だが今回は何と言うか、単純に余ったものを着せられたのか小柄な彼女に合うサイズがなかったのかは知らないが……千歌が中学生の頃まで使っていた花柄の浴衣を着る様はこう……。

 

「……ここまで花柄が似合わねぇ女もいたもんだなって」

 

直後、ステラの拳が未来の鳩尾を打ち抜いたのは言うまでもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昔から人付き合いは苦手だが、人混みの中に身を置くのは嫌いじゃなかった。

行き交う人々の中で誰も自分を気に留める者がいない……そんな妙な孤独感が心地よい。

 

こちらに越してきてから殆どそんな機会はなかったが、この漁港祭は久々にこの感覚を味わうに丁度いい。

 

「こんなところで会うなんて奇遇だね。遥君もお祭り見に来たの?」

 

「……まあ、そんな感じかな」

 

だから、ここで彼女と鉢合わせしてしまったのは少々計算外だったか。

けれど不思議と居心地の悪い気はいない。そんな不可解な感覚にヤキモキとしながら、遥は同級生である国木田花丸(くにきだはなまる)と並び歩いた。

 

「そういえばさっきお姉さん達見かけたけど、今日は一緒じゃないんだ?」

 

「うん……先輩ばかりでなんか居心地悪くて……」

 

「あはは、ちょっとわかるかも」

 

楽し気に浮かぶ笑み。

屈託のないその花は、小さな嘘をついた自分には眩しく思えた。

 

「…国木田さんこそ、今日は黒澤さんと一緒じゃないの?」

 

「さっきまで一緒に周ってたよ。けどダイヤさん、こっちにいられるの今年で最後だから、姉妹でお祭り楽しむのにまるはお邪魔かなって」

 

「…そっか」

 

自己本位で逃げた自分に他人を想って身を引いた彼女。形や本質こそ真反対だが、はみ出し者という点では同じらしい。

そんな歪な共通点が、感じてはいけないシンパシーをより強く抱かせてしまう。

 

「……だから、もし遥君がいいなら、まると一緒に周ってくれない…?」

 

数多の人に触れ、鉄のように冷えた心の芯から広がっていくこの熱。

そんな温もりが、また一歩、奥底へと歩み寄ってくる。

 

「……」

 

この温度を初めて実感したのはいつのことだったか。

出会ってからそう時間は経ってない。転校して間もない頃、周囲に馴染めず図書室に籠っていた中で彼女に触れ、気が付けば話を交わすような関係になっていた。

 

そして抱いたこれがただの心を許した証明でないのも、薄々感じ取っている。

 

「……ごめん」

 

だからこそ、その温もりに触れるのを拒んだ。

 

この関係を心地よく思っているのは確かだ。さらに進んだ関係を想像している自分も少なからず存在する。

 

けど、それ以上にこの先にあるこれまでと同じ未来に辿り着くのが……怖かった。

 

「…実は明後日姉さん達の舞台で使う機材とかの調整しなくちゃいけなくて……」

 

また嘘をついた。

偽ることには慣れたはずなのに、この瞬間ばかりは胸が痛む。

 

「……そっか。なら、また今度誘うね」

 

「うん……ごめん」

 

込み上げてくる蟠りごと置き去りにするように彼女から離れ、その姿が見えなくなると同時に駆け出す。

 

過去からも、未来からも、誰からも逃げ続けている。

 

そんな自分の行き着く先には一体、何があるのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「繋がらない? 遥君」

 

「うん……さっきから何度か掛けてはいるんだけど……」

 

「こっちには来てるんだったら探しに行く?」

 

「もう高校生なんだしそんなに心配することもないと思うけど……」

 

完全に機嫌を損ねたステラに色々奢らされ財布も軽くなった頃。

話題は未だに姿を見せぬ最年少に移り、心配とまでは行かずとも気に掛けるような空気が徐々に漂い始める。

 

「まあ、一応探しに行ってくるね。もしかしたら近くにいるかもしれないし……」

 

「あー、だったら誰か野郎一人連れてっとけ。さっきからちょいちょいめんどそうな輩見かけるし」

 

「めんどそうな輩?」

 

「ほら、あっこにいる連中みたいなの。毎年現れるよなああいうの」

 

聞き返した春馬に答える形で陸が指さしたのは彼等が構える屋台群から少し離れた場所。

茂った木々によって暗がりになったそこで確認できるのは、一人の少女が複数の男に囲まれている様だった。

 

「お? なんだ令和にもなって古典的なナンパしてんな」

 

「は? 令和って何」

 

「え、お前元号知らんの?」

 

「え? 今平成だろ?」

 

陸と翔琉のやり取りの間を縫うようにして微かに聞こえる言い合うような声。

それを前に誰も助けに入らないのは元々人気が少ない場所というのもあるが、関わりたくないと見て見ぬふりをする者が殆どだからということもあるだろう。

 

自分は関係ない。行き交う殆どの人に漂うそんな空気感が……どうにも気に食わなかった。

 

「……ちょっと行ってくる」

 

「は? いやお前わざわざ首突っ込むようなことじゃ……」

 

「見たからには見過ごせないだろ!」

 

陸の制止を振り払い、迷わず直進する。

ダークブルーの髪を一部シニヨンに纏めたその少女も丁度高校生くらいだろうか。自分よりも背丈の高い男達に囲まれ、気丈に振舞いながらもどこかで助けを求めているように見えた。

 

そんな姿を見て見ず知らずのふりをするなど、未来には到底できなかった。

 

「おいアンタ等!」

 

「あぁ?」

 

少女を庇うような形で割って入ると、男達の刺すような視線が向けられた。

遠目ではよくわからなかったが、こうして対峙してみると年上だと理解する。

 

遅れて一人で飛び出してきたのを失策だったと悟るが。それでも構わず吠えた。

 

「無理矢理何やってんだ、この子嫌がってるだろ!」

 

「ははっ……なんだよコイツ。見りゃわかんだろデートだよデート」

 

「何度も言ってるけどこのヨハネがアンタ等なんかと戯れる訳ないでしょ! わかったらどっか行きなさいよ!」

 

「……って言ってるけど?」

 

「チッ……うるせぇな。お前には関係ないだろ」

 

未来が加わりより騒がしさを増した口論に無視を決め込んでいた周囲の人々も足を止めてこちらを見やっている。

その中に含まれる好奇の色。周りにはせいぜい見世物へ変わったに過ぎないらしい。

 

「関係あるとかないとかそんなの関係ない。見過ごせる訳ないだろこんなの」

 

「何訳わかんねぇこと言ってんだコイツ……」

 

連中が徐々に苛立ちを募らせていくのがわかった。

これ以上は何が起こるかわかったものではないが、ここまで来て引き下がれるか」

 

「ああもうしつこいわね! 警察呼ぶわよ!?」

 

「だってさ。問題になるのはそっちも不都合だろ?」

 

「ああもうウゼェな……引っ込んでろよ!」

 

少女の一言を機と取って攻めに転じるも逆効果だったか。

苛立ちに耐え兼ねた男の内の一人が振り上げた足が脇腹へと刺さり、未来の身体が後方へと舞った。

 

「未来君ッ!」

 

「ちょっ……アンタ大丈夫!?」

 

地面を転がった自分を心配するように遅れて飛び出してきていた千歌とシニヨンの少女が顔を覗き込んでくるが、男に腕を掴みあげられてしまう。

 

「おい……千歌は関係ないだろ……!」

 

「引っ込んでろってんだよ!」

 

起き上がってそれを止めようとするも、そうするよりも早く二撃目が迫ってくるのが見えた。

避ける術はなく、先程よりも力の籠ったそれはまたも未来の腹を捉え―――、

 

 

「へぶらッ……!?」

 

 

―――るよりも先に、男の方から情けない声が上がった。

 

 

「ああもうお前はいつもいつも!」

 

「まあまあいいじゃんかよ……俺もコイツ等ぶっ飛ばしたい気分だし」

 

見上げた先でその理由を悟る。

先程未来がしたことをそのままなぞるように男達と対峙していたのは陸と翔琉だった。

 

「こうなっちゃ流石に見過ごせねぇわな……。おい未来、これで客来なくなったら責任取れ……よッ!!」

 

激昂して突っ込んでくるが、陸はそれを軽々と回避すると瞬時に鳩尾へと拳を叩き込む。

それにより動きの止まった一瞬の間に胸倉へ手を忍ばせると、そのまま掴み上げては繰り出した一本背負いで瞬く間に抑え込んで見せた。

 

「おんどらぁッ!!」

 

そうする間に翔琉が前へと飛び出し、残った取り巻きへと突っ込む。

咄嗟に反撃してくるものの、既に予見していたかのように身体を翻した彼はそれらが当たるよりも早くラリアットを炸裂させ瞬く間に制圧してしまった。

 

「クソッ……離せよ!」

 

「…待て、コイツ……」

 

ただ抑え込むことができたというだけで悪い状況なのは何も変わっていない。拘束から抜ければまたすぐに反撃してくるだろう。

春馬に起き上げられながらそれを不安視していた折、不意に男達の内一人が声を上げた。

 

「コイツもしかして鯱の舎弟じゃ……!」

 

「あー……広まってんのかよそれ……」

 

陸に対して向けられた言葉を皮切りに男達へ広がっていく波紋。

それに対し陸が微妙な顔で頭を掻いた時……終焉は訪れた。

 

 

 

「こらぁ―――! 陸ッ―――!」

 

 

 

「げぇッ……!?」

 

騒ぎの渦中へドドドという擬音が相応しい勢いで突っ込んでくる影が一つ。

それが青い髪をポニーテールに束ねた少女だと認識した途端に陸の顔は引き攣り、野郎共の表情に恐怖が伝播していった。

 

「あ、淡島の鯱(あわしまのしゃち)だッ!?」

 

「クソッ……よりによってそこに手ぇだしちまってたのかよ……!」

 

「い、いいから逃げるぞ!」

 

必死の形相で拘束から抜け出し散り散りになってゆく男達。

だが突撃してきた少女はそれらに目もくれず、遅れて逃走を図った陸をとっ捕まえては目の笑っていない笑みで問うた。

 

「陸ー…? これはどういうことかなぁ?」

 

「いやあのその待って果南(かなん)姉ちゃんこれには事情がありまして……!」

 

「喧嘩しないって約束したよね? 陸が喧嘩するとまた私の変な噂広まるからやめてってお願いしたよね? てか何さ淡島の鯱って。私のことなんだと思ってる訳さ」

 

「いやそれどっかのどいつが勝手に呼び始めただけで俺関わってないしそもそもこの喧嘩だって俺が始めた訳じゃ―――」

 

「問答無用だよ」

 

一転して陸が情けない顔で弁明を図るが、果南と呼ばれた彼女は聞く耳を持たず、

 

 

破愚(はぐ)……しよ?」

 

 

直後、何かが折れる音と共に今日一の悲鳴が夜空に響いた。

 

 




特別解説することはありませんが、せっかくサンシャインでやったんだし2年組以外のキャラも出しつつ布石を巻いておこうって回です
若干後半のノリが壊れてる気がしますがそこは愛嬌ってことで(オイ)


多分次回で日常回?的なのは最後になると思います
それではまたー

松浦推しの方ゴメンナサイ()
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