ウルトラのキセキ ~One More Sunshine Story~   作:がじゃまる

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各作者様に土下座しながらコラボ作品を書き続ける者です
とりあえずアニガサキ2期楽しみですね(話題逸らし)


15話 陽が沈む

 

「スクールアイドルを消す……?」

 

紅蓮の中で揺れる黒。

己の眼前。常闇を纏う少女の眼光に対し、未来は見上げる形で視線を重ねた。

 

「…な、何言ってんだよ……。ほら、早く逃げないと……」

 

滲む脂汗は炎による熱気のせいでない。感情よりも先に理性が理解してしまっているんだ。

 

この世界に迫る脅威……その根源が彼女であることを。

 

「……逃げても無駄よ。もうこの世界は終わる……終わらせるから」

 

未だにそれを拒む心の反面、理性の出した結論を裏付けるように増大した邪気が猛る怪獣と同調する。

直後に発生した黒雷はウルトラマン達はおろか周辺の木々や家屋すらも薙ぎ払い、爆音の中に人々の悲鳴が掻き消えていくのが聞こえた。

 

「……なんでだよ…!」

 

壊れる音がする。何か大切なものが失われていく。

そんな光景を目の当たりにしてなお、未来の心は彼女を悪として、敵として認識できないでいる。

 

「なんでだよユリ……! お前笑ってたじゃん…楽しくなかったのかよ!」

 

「ッ……!」

 

脳裏に過る笑顔のままに身体を起き上げ叫ぶ。

だがその声にユリは一層の不快感を滲ませ、波のように生じた闇は再度未来を吹き飛ばした。

 

「もう話しかけないで……あなた達といると、揺らぎそうになる……!」

 

苦悶の表情の中に垣間見えた救いを求めるような色。

正反対であるはずなのに、その黒はどうしてかかつてに触れた白を思わせた。

 

「触れるんじゃなかった……! こんな想い、()()()()()()()()()()のに……!」

 

目尻から舞った輝きがどちらの彼女のものであるかはわからない。

ましてその雫の中に何が映るのかなどわかるはずもないけれど。

 

「焼き付いて、離れない……!」

 

でもそれは紛れもない、彼女の心が上げた叫びなんだ。

 

「…だから消えて、未来。千歌も、スクールアイドルも…………この世界と一緒に」

 

「ユリッッ……!」

 

この世界にいてはならない存在なのはわかっている。でも、それでも見過ごすことができなくて。

 

遠ざかる彼女に差し伸ばした未来の声が――――届くことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ぐッ……?』

 

「なんだよコイツ急に……!」

 

大地から昇る黒い稲光。

天変地異、世界の終わり。不穏な単語を想像させるその光景の中心にあるのは戦いの最中で突如藻掻きだしたデマーガだった。

 

 

『ッッッ――――――!!!!』

 

 

「梨子さん……!」

 

爆音に続いて上がる悲鳴に混ざるかのような少女の声がタイガの足を動かすが、デマーガを囲うように昇る黒雷によってそれも叶わない。

それどころか徐々に雷はその範囲を広げ、何もかもを蹂躙しながら全方位へと侵攻を続けてゆく。

 

「最後っ屁ってやつか……? よくわかんねぇけどこのまま一気に―――」

 

「待ってよ……そしたら梨子さんはどうなるの?」

 

「わかんねぇけど……それでも今コイツをほっとく訳にもいかねぇだろが」

 

静止の声を掛けるも、エックスは構わずデマーガへと猛進してゆく。

確かに彼の言うことにも一理ある。春馬がこうして立ち止まっている間にも奴により町は破壊されその数の悲劇が生み出されかねない。

 

 

《CYBER GOMORA ARMOR》

 

 

《ACTIVE》

 

 

怪獣の鎧、とでも称するべきか。

両腕から胸部にかけて蒼い装甲が形成され、備わった巨大な爪が黒雷ごとデマーガを切り裂かんと迫る。

 

『ッッッ――――――!!!』

 

感情と論理が合致せず、ただのその成り行きを眺めていたその時。

渦巻いていた闇の瘴気が一気にデマーガへと集約してゆき、一際大きく轟いた咆哮と共に赤黒い光線と化して放出される。

 

「がッ……あぁぁぁッッ……!?」

 

「翔琉君……!」

 

両腕を交差し防御態勢に入るも、迸った熱線は鎧ごとエックスを飲み込み爆ぜる。

更にその余韻は一度の爆発に収まらず、残留した熱は大気すらも燃やしやがて生じた二度目の爆風はタイガの肉体をも吹き払った。

 

『ッ…! マズいぞ……!』

 

なおも黒雷と熱量の増幅は止まず、狂ったように両刃を振るうデマーガによる破壊が周囲の悉くを粉砕してゆく。

確かに一瞬外的なエネルギーの流れを感じ取りはしたが……まさかそれによる暴走とでもいうのだろうか。

 

「…春馬、お前アイツの動き止められる?」

 

「え…?」

 

「祓える保証はねぇけど、動きさえ止められれば浄化技が叩き込めるかもしれねぇ」

 

「ッ…! ほんと!?」

 

胸の輝きも点滅を始める中、不意に翔琉から持ち掛けられた提案。

以前脅威が膨れ上がっていることに変わりはないが、それでも差した希望に頻りに頷いた。

 

『もしかしてお前、そのためにその鎧を…?』

 

「攻撃は最大の防御っつーだろ。アイツをどうするにしろ、本気でやらねぇことにはどうしようもねぇだろうし……多少荒っぽいのは堪忍な!」

 

突撃を再開したエックスの鎧とデマーガの刃により硬質な衝突音が上がる。

春馬自身、梨子への影響を鑑みるとあまり荒々しい攻撃は好ましくはないが、ここは彼の言う通りか。

 

腹を括れ。心中でそう反芻した後、タイガとの同調を高める。

 

『動きを止めるって……タイタスもなしにどうするつもりだ春馬』

 

「さぁ……でも、やるしかない!」

 

身を屈めたエックスの背を転がる形で前へと出で、そのままデマーガの脳天に踵を落とす。

表皮の堅いデマーガの性質上、打撃攻撃で攻め続ける限りは同化している梨子にもダメージは届きにくいはずだ。

 

反動を考慮すると得策とは言えないが、今は地道に叩き込んでいくしかない。

 

『˝ハンドビーム˝ッ!!』

 

地面に散らした光線が粉塵を舞わせる。

視界を包む煙幕に互いの姿すらも覚束無くなるがただ一つ、中央に位置する熱源へ狙いを定めた。

 

「おん……どるぁッ!」

 

アーマーの巨大な爪により繰り出されたアッパー攻撃が地面もろともデマーガを掬い上げる。

その直後に装甲を解除したエックスの姿を確認しつつ、奴の尾に腕を回したタイガは力任せにその巨体を放り投げた。

 

「よし……˝ピリファイウェーブ˝!」

 

エックスの掌から照射される螺旋状の光。

浄化光線。彼の言葉の通り、包み込むような光を受けたデマーガはやがて両腕を下げ―――、

 

 

『ッッッ――――――!!!』

 

 

 

即座に放射した熱線で周囲を焼き払う。

効いていない訳でないのはすぐわかった。闇を払ったその瞬間から、また新たな闇が湧き出ているのだ。

 

「くっそ、ダメか……」

 

『邪気が強すぎる……!』

 

もっとその根底、奴を構成する闇の根源から祓わない限りこの悲劇に終わりはない。

だがそんな光をどうやって―――――いよいよ最悪の事態を覚悟したその時だった。

 

「ッ……!」

 

ふと灯った温もり。

その温かさに引き寄せられるように腰元へ伸ばした腕が掴んだものは、春馬に最後の望みを抱かせる。

 

「……一か八かだ!」

 

これが最後の可能性。

ならば、賭けるしかあるまい。

 

 

《アース!》

 

《シャイン!》

 

 

「輝きの力を……手に!」

 

 

次元を隔てたこの場所で手に入れた光。

受け取った想いや輝きはきっと時空だって超える……そう信じて。

 

 

 

 

《ウルトラマンタイガ! フォトンアース!!》

 

 

 

 

黄金の鎧を纏い顕現する。

大切な人から受け取った、様々な想いの籠った力。

 

「翔琉君!」

 

「わかってらぁッ!」

 

力強く大地を踏みしめたエックスに再度形成されるゴモラアーマー。

間髪なく集約されてゆく光の粒子を鎧を介し増幅させてゆき、やがてその一撃が黒い巨獣へと向けられる。

 

「˝ゴモラ超振動波˝ァッ!!!」

 

再び熱線を放射せんとするデマーガに一歩先んじてゴモラアーマーのクロ―が着弾。同時に衝撃波が辺りを疾走した。

 

「『オオォォォォ……!!」』

 

翔琉が最後の力を振り絞って作った、正真正銘のラストチャンス。

絶対に無駄にはしない。その誓いすらも光へと変換し―――解き放つ。

 

 

 

「『˝オーラム……ストリゥゥゥゥウウウム˝ッッッッ!!!!」』

 

 

 

オーロラを纏った黄金の奔流が疾走。デマーガを飲み込むと同時に奴の黒い肉体が光を帯びてゆく。

 

 

『ッッッ――――――…………』

 

 

春馬の祈りが通じたか、また()()()()に救われたのか、それはわからないけれど。

 

やがて全身を包んだ光が変化した海のような水色は弾け、霧散したその跡には横たわる少女の姿があった。

 

「やっ……た……!」

 

爆発的な歓声が上がる中、疲弊し切った視線を翔琉と重ねる。

纏っていた鎧は既に霧散した後だった。激しく点滅するカラータイマーも示す通り本当にジリ貧だったらしい。

 

『…しかし、途中デマーガの放った邪気は一体……』

 

「一旦それ後にしない? この世界、なんか変身してるだけでも疲れるし」

 

「…それもそうだね。ありがとう、翔琉君」

 

「なーに言ってんの。最終的に決めたの春馬だろ……まあでも、次は任せとけよ」

 

「……うん!」

 

突き合わせた拳を重ねる。

脅威はまだ不明瞭だけれど、˝彼等˝となら退けられる。そんな根拠もない確信を抱いたその時、

 

 

 

 

 

 

「……悪いけれど」

 

 

「「『ッッ……!?」」』

 

未だ止まぬ歓声の中でも確かに触れた声。

直接頭の中へと流れ込んでくるようなその響きに警戒体制へ移ろうとするが、それすらも早く、強烈な脱力感が全身を駆け巡った。

 

「なっ…ん……!?」

 

『何だ……これ……!』

 

力が、光が、抜け落ちてゆく感覚がする。

重くなる身体に抗い必死に動かした視線で見回した景色の中に一つ、宵闇に浮かぶ影を認識した。

 

「…女の、子…!?」

 

「お前はッ……!」

 

翻る黒を身に纏う少女。

偶像の衣を塗り潰したかのような装束を揺らす様は、かけ離れたものでありながら近しい輝きを思わせる。

 

「あなた達に次はない…………消えて」

 

「う……あぁッ…………!」

 

少女を中心に闇が渦巻いた途端に加速した虚脱の覚えに思考すらも乖離してゆく。

朧げな視界が最後に映すのは、色を失ってゆく相棒の肉体だった。

 

「…ぁ…………」

 

灯火が消える。

実像を保ったまま˝空˝となった肉体は無機質な硬質物へと変換され、やがて意識もろとも暗闇の底へと沈んだ。

 

 




8兄弟のメビウスポジションということは……まあつまりそういうことなんですわ()
ちなみにどこかの誰かさんはこの瞬間を心待ちにしてたそうです。誰とは言いませんが

デマーガを退け梨子を助ける?ことには成功しましたが、ユリによりタイガとエックスが封じられる結果に

迫る脅威を前にウルトラマンを失った世界に希望は残されているのか
そして他所様のキャラを好き勝手やってる僕に明日はあるのか


それでは次回でー
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