ウルトラのキセキ ~One More Sunshine Story~   作:がじゃまる

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「RAINBOW X STORY」の大地と海の巨人コラボが始まりましたね
これでこの作品に登場するラブトラ主人公ズとは春馬を除く全員と邂逅した翔琉君ですが今作における彼の時間軸はメビライブコラボよりも前ですと一応解説しておきます

さて、そんな彼等が彫像化してる一方で変身した陸と遥
立ち上がった彼等の姿を前に、最後の一人が思うものは…


19話 日々の

「ありがとうステラ。助かった」

 

「…いいわよ別に。偶然あの子を探してるお母さん見かけてただけだし」

 

手を振る少女と、頻りに頭を下げるその母親が人波の中に消えてゆくのを学友と共に見送る。

ステラと会えたのは運がよかった。反射的に助けてしまったが、未来一人ではきっとどうしようもなかっただろう。

 

「…それにしてもあなた、こんな時でもブレないわね」

 

「え?」

 

「おせっかい。私と初めて会った時とか、一昨日不良みたいなのと揉めた時とか……ほんと困ってる人のこと放っておけないのね」

 

数日の行動が思い起こされる。考えてみれば今回も同じ。

考えなしに首を突っ込んで結局最後に解決するのは巻き込んだ誰か。定式と化した流れに不甲斐ないの一言だ。

 

「…ごめん」

 

「……なんで謝るのよ。誰も責めてなんかいないでしょ」

 

反射的に出た言葉にステラの怪訝な顔が向けられる。

 

「まあ危なっかしいって思わない訳じゃないけどね、それでも誰にだってできることじゃないでしょ。少しは自信持ってもいいと思うわよ」

 

違和を感じ取ったのか、励ますように彼女は語を紡ぐ。

噓偽りのない言葉だった。微かに混じる憧憬がそれを教えてくれる。

 

「…………それにあなたのそういうとこ、私は好きよ」

 

最後に零された声にも成り切らないようなそれが未来に届くことはなかった。

代わりに耳を劈いたのは轟音と、それに伴うどよめき。

 

「え……」

 

咄嗟に見上げた先で立ち昇る光に言葉を失う。

現れたのはもう存在しないはずのウルトラマン達……だが注視すべきはそこでなかった。

 

その片割れ、目付きの悪い赤と青のウルトラマンは―――――親友の姿と重なった。

 

「……陸…………?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『シェエァッ!』

 

奇跡に他ならない変身の余韻を噛み締めることもなく陸―――ウルトラマンゼロはエイリアン然とした形状にメタリックブルーの装甲を持つ双頭の怪獣―――キングディノゾールへ突撃。

 

嵐のような荒々しい連撃に乗り殺到する拳や蹴りは幾度となく奴を捉える。

 

「小さい頃はよく未来に付き合わされてウルトラマンごっことかやったもんだったな…………まあ大体怪獣役だったけど」

 

慕情、渇望、思い出……攻撃に籠る想いは数知れない。

その一つ一つを糧とするように、繰り出される連技は挙動の度に洗練されてゆく。

 

さながら別世界の自分……そしてその相棒と重なる感覚を全身に走らせながら、振り抜いた蹴りはディノゾールに更なる打撃を加える。

 

「ようやく回ってきたヒーロー役だ…………まあせいぜい引き立ててくれや怪獣さんよ」

 

反撃に転じたディノゾールの双頭は肉を噛み千切らんと同時に開いた咢を迫らせるが、ゼロはそれを予見した形で回避。即座に側頭部を殴りつけその暇すらも封じる。

 

『ッッ――――!!』

 

「……っと」

 

超高速で射出された刃のような舌が迫るが、強化された五感はそれすらも察知し身体を回避行動に切り替える。

飛翔。ウルトラマンに成ったからこそ行使できる力をフルに発揮し移した次なる舞台は―――空。

 

「……いやいやマジかよ…」

 

それでもなおも射程範囲から逃れてはいないのか、その勢いは衰えぬままにディノゾールの舌刃は空気を切り裂きながら上空のゼロに迫る。

距離を空けたのが裏目に出たか。加速を続けたそれは既に視認が困難な域へと到達しており、もはや回避は不可能と悟った。

 

なら―――、

 

『シュアァッ!』

 

虚空を走らせた両腕の軌跡に沿って投擲されたのは頭部に備わるゼロスラッガー。

銀色の瞬きを夜空に描いた二本の刃は瞬時にディノゾールの舌を両断。

 

「まだまだァッ!」

 

ゼロスラッガーの軌道は陸の意思に準ずる。

よって舌を切断した程度では止まらぬ双刃は立て続けにディノゾールへと襲い掛かり、幾度となく奴の装甲を切り裂いていく。

 

『ッッッ―――……!』

 

激しく抵抗するディノゾールの腕がようやくゼロスラッガーを捉えるが、弾いた先はゼロの腕の中。

ブーメランの要領で戻ってきた刃を両腕に握り間髪なく急降下。落下運動の勢いをも相乗し、交差した斬撃は奴の胸元を盛大に掻っ捌く。

 

『デェェェェイヤッ!』

 

仰け反りがら空きの懐目掛け再度振り抜かんと力を込めた右足に滾る熱。

駆動と共にそれは爆炎へと昇華し、猛烈な衝撃を伴って炸裂した回し蹴りはディノゾールの肉体を薙ぎ払った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんであの人はもうあんなに様になってるんだよ……」

 

鬼神が如し勢いで一方的な蹂躙を始めたゼロを横目に流しつつ、遥―――ウルトラマンガイアは皇コッヴと対峙する。

主な武器は鎌状の両腕に頭部の発光器官、そして体内エネルギーの増幅媒介と思われる胸元の水晶体と考えるべきか。

 

「……まあ、ともかく僕は僕のやるべきこと…………できることを精一杯やるだけ!」

 

先手必勝。そう言うばかりに大地を蹴ったガイアのタックルがコッヴの侵攻を阻む。

 

恒常的に二足歩行を行う巨大生物……地球上で例を挙げるならば恐竜だろうが、絶滅した生物の戦闘データなど流石の遥といえど持ち合わせてはいない。

 

論理的でないのは百も承知だが、情報が乏しい今はただ真正面からぶつかる他ない。

 

『ッッッ――――――!』

 

「うえッ……!?」

 

反撃に振り下ろされた両腕の鎌。予測済みだったそこまでは難なくいなすが、その奥から薙がれたコッヴの尾に打ち付けられ地を転がる。

 

「そっか……尻尾も警戒しなきゃなのか………」

 

思えば特撮作品等で怪獣が行う攻撃手段の常套手段だろう。目に見える武器を警戒するあまり失念していた。

 

陸と違い遥にはウルトラマンや怪獣の知識なんて毛ほどもないし、おまけに喧嘩だってしたこともない。

 

基本的に彼と同じことはできないと考えていいだろう。

 

「だったら……!」

 

重心を低く構え、再び迫った鎌による攻撃を転がり込んで躱してはその˝内側˝へ潜り込む。

完全に懐の内だ。反撃はおろか防御だって困難なはず。

 

『ジュアァッ!』

 

一点目掛けて突き出した握り拳がコッヴへと刺さる。

遥の戦闘能力では何度このようなチャンスが訪れるかわからない。だから数少ない機会の中で出来るだけ多く―――叩き込むんだ。

 

「う……おおぉぉぉぉッッ………!」

 

右、左、右、左、右。

素早く、無駄なく、そして力強く。振り絞った全力のストレートラッシュを間髪なく打ち出す。

 

『ッッッ――――――!』

 

『デュアァッ!』

 

強引に振り払いに来た剛腕をバックステップで回避したガイアに殺到する光弾。

頭部から放出されるそれらは断続して襲い掛かるが、その悉くを弾くガイアは徐々に距離を詰めてゆく。

 

「力技はあんまり得意じゃないけど……!」

 

やがて射程に入ったガイアを吹き払いにかかった一撃を受け止める形で捉えたコッヴの尾。

重い。その衝撃は完全に入った訳でもないのにも関わらず全身に響くようだ。

 

けど同時にこれは二度目のチャンスでもある。

 

『ドゥウゥアァッ!!』

 

俊敏性や機動力では陸の変身するゼロには敵わないが、恐らく純粋なパワー方面で見るならばガイアの方が上だ。

その仮説を裏付けるように捩った肉体はコッヴの身体を浮かび上がらせ、ジャイアントスイングに倣う形でぶん回した奴を高々と放り投げて見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一件怪獣を押しているように見える二体のウルトラマンの奮戦に逃げ惑っていた人々も足を止め感嘆の声を漏らす。

だが、タイガやエックスの時と比べ含まれる期待は薄い。

 

最終的にはまたやられてしまうのではないか。そんな不安は少なからず未来の中にも存在した。

 

「ははっ………」

 

既に対岸の火事視へと切り替わっている己の思考に乾いた笑いが漏れた。

何を他人の面で不安になんてなっているんだ。本来なら自分が、真っ先にあの場へと立つべきだったのに。

 

「……やっぱり変ね、最近のあなた」

 

握った拳の力を緩めたのはステラの声だった。

拭えぬ恐怖が充満する人混みの中、彼女だけは幾分か落ち着いた様子でその目を向けている。

 

「正義感と善意だけで突っ走って、いちいち関わらなくてもいいことにまで首を突っ込んでくる……私の知ってる未来はそんなどうしようもないお人好しの馬鹿よ。でも今のアンタはなんか、弱っちく見える」

 

「…元から俺は強くなんてないよ」

 

「知ってるわよ。私より喧嘩弱いんだから」

 

含みのある物言いをしたと思えば、直後に現実で突き刺される。

未来の心境を知ってか知らずか、醸す雰囲気は鋭く、それでいて温和だ。

 

「今してるのはそういう話じゃないの。アンタ、今までその行動を後悔したことがあった?」

 

「え……?」

 

束の間の痛みを伴った後、後者は急速に広がってゆく。

膨れた風船に針を通すように、張りつめていた心から余計な力みが抜けてゆくのがわかった。

 

「考えたことないって顔ね、やっぱあなた馬鹿よ…………でも未来はそれでいいんじゃない?」

 

また呆れたように息をついた後、ステラの視線は未来の真後ろへ向く。

 

「私の話は終わりね。……先客がいたみたいだし」

 

「千歌……?」

 

導かれた先で揺れるのは淡い太陽の髪色。

共に笑い、寄り添い、時には劣情にもなった笑顔が、そこにあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……全く、世話のかかる奴…」

 

直前まであった彼の姿を空目しながら独り言ちる。

何もおかしなことはない。元からあの輪に自分の席はなかった。ただ本来の形に戻っただけだ。

 

それでも胸に蟠ったこの違和は、否定し難いものだった。

 

「ホント、馬鹿ね……」

 

一人に対するものでないぼやきは夜闇の中に消えてゆく。

非日常が交錯する世界の片隅で、七星ステラはそこにある日常(あたりまえ)を噛み締めた。

 

 




ガイアの戦闘スタイル、ゼロ以降のスピーディーな戦闘に慣れてると中々苦戦するものがありましたね…

一件押しているように見えますが、忘れてはいけないのがまだ戦闘に参加していない˝奴˝の存在
そして未だ踏み出せないままの彼。それらが交わり向かう結末は…………


それでは次回で
今回は予め言っておきますがどちゃくそ忙しいので多分遅れます()
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