ウルトラのキセキ ~One More Sunshine Story~ 作:がじゃまる
書いてる最中絶対脳をおかしくする成分分泌されてると思いました。まる(小並感)
追記:各作品のネタバレを含むため未読の方はご注意ください
オウガ「前回の! ウルトラのキセキ特別編!」
陸「語呂悪すぎんだろ」
ノワール「突如謎の空間に飛ばされた未来君達各ラブトラマン作品主人公ズ………そこで行われるのは第三の壁をぶち破る座談会企画!」
オウガ「大盛り上がりの会場に成功を確信したその時、尺と文字数の関係で突然話が終わってしまった! この企画、一体どうなっちゃうの!?(高音)」
未来「盛り上がってた………か?」
ステラ「あとパロディするならもう少し似せる努力をしなさいよ」
ノワール「さあさ外野のボルテージもそのままに、早速前回拾い切れなかった質問行ってみよう!」
翔琉「あーそれ、ずっと聞こうと思ってたんだけどさ。質問てどんなのが来てんの?」
オウガ「んー…何と言うか、今回のも前回の質問からの引き続きというか……」
ノワール「質問箱から引用させてもらうとだね………
――モテるキャラ、頭がいいキャラ、曇ってるキャラをランキングで。
あとは他作品間で仲が良かったり気が合いそうなコンビ、もしくはその逆を教えて欲しいです。――
………っていうのが来てるね」
オウガ「幸いなことにこれだけで尺間に合いそうだよ。ありがとう質問者の人」
春馬「これ以外にはなかったんですか?」
オウガ「Twitterとかでも募集してたからあったにはあったんだけど、ちょっと拾いにくいものだったからこの場では省略させてもらうよ。申し訳ない」
陸「まあこの各作品の女子キャラのスリーサイズが~とか聞いてきてる奴のとか絶対拾えないもんな」ダイホンチラミー
未来「誰だよ質問者……」
ステラ「……下衆ね(ガチトーン)」
ノワール「これに関してはペナルティライン以前に答えられない作品もあるから仕方ないね」
オウガ「……そこに関しては一つ不満が」
遥「…そんなに知りたかったんですか?」
オウガ「いやまあそれも魅力的ではあるけども……ボクの不満はそれ以上のものだよ。スリーサイズに関してはステラちゃんのだけは作者側から発表されてるからそれで我慢できるけどこっちだけは我慢ならない」
ステラ「ちょっと待って今なんて」
オウガ「我慢ならないんだよ………どうしてウチの作品だけ―――――
―――――女の子のオリキャラがいないんだッッ!!!」
陸「はぁ?」
オウガ「考えてもみろよ。メビライブ時空にはステラちゃんに始まり続編ではカレンちゃんや闇兄弟の妹達。翔琉君や遥君の世界でも明里やXioの面々にシルビアちゃんといった魅力的な女の子達が登場している。そう、最早女性オリキャラの存在は作品を彩るために必須と言っても過言ではないほどの要素………………なのにウチのオリキャラは野郎二人っていうこのむさ苦しさ! 一体どういう了見なんだよ陸君ッ!」
陸「知らねーよ作者に言えよ!」
遥「すっごい早口で言い切りましたねこの人」
翔琉「オタク特有の早口ってやつ? まあでも、キセキの方ではちゃんと女子オリキャラ出してたからいいんじゃねーの? ほら、ユリにカエデだったっけ?」
オウガ「いやボク本編の方出てないし。ボクが直接その子達と拝めないなら関係ないね」
未来「横暴…!」
春馬「そう言えば……。赤い靴の少女に当たるキャラのカエデさんはともかくとして、ユリさんって8兄弟の方にモデルになったキャラクターいませんよね?」
ノワール「ああうん。彼女に関してはスクールアイドルって要素を組み込まなきゃってことで登場させたみたいだよ。ほら、一応この作品の原作、ラブライブだからさ」
オウガ「モデルになったのは˝イナズマイレブンGO VS ダンボール戦機W˝のフランちゃんらしいね。シナリオの方も少しその要素を組み込んでるみたい」
翔琉「また意外なところから………」
オウガ「まあウチの作者の青春イナダンで構成されてるからね。続編求む」
陸「ここで言うなや」
ノワール「ちょっと脱線したけど、本題戻ろっか。モテる云々に関しては前回触れたから、今回はこの曇ってるキャラってところからやっていこうか。これは先にランキングから出した方がよさそうかな?」
オウガ「という訳で、気になるランキングが………こちら!」
1位 春馬
2位 陸
3位 遥
4位 未来
5位 翔琉
未・翔「「ん……?」」
ノワール「おや、不服かいお二人さん」
翔琉「不服っつーか、いやまあ、未完結勢の俺が最下位なのは何となくわかるんだけど………」
未来「俺で4位なんだな。自分で言うのもアレだけど、俺も結構作者とシナリオに曇らされてきた気が……」
ノワール「一応解説しておくと、未来君は幼少期に襲撃した怪獣によって両親を失ってるよ」
翔琉「その時点でまあ、結構重い気がするんだけどなぁ……」
遥「……自分で手に掛けるよりはマシですよ」
未来「……え?」
遥「いえ…すみません。親を喪う悲しみに上も下もないですよね……」
翔琉「え、なに? 怖いんだけど………」
オウガ「彼は自分の父親を蹴り殺してるよ」
未・翔「「はぁっ!?」」
遥「躊躇なく言いましたね」
オウガ「簡潔に説明するとギマイラっていう他の生物を怪獣化させる能力を持ってる奴がいるんだけど、そいつによって怪獣化させられた彼のお父さんを遥君は自らの手で―――」
未来「もういいもういい! 聞いた俺達が悪かったからもうやめろ!」
ステラ「これで3位とか嘘でしょ……」
陸・春「「はは………(遠い目)」」
ステラ「そもそもランキング付けしていいものなのこれ……?」
翔琉「てか、俺としては陸が2位なのも腑に落ちねぇな。前に話聞いたけど相当エグかったぞ」
ノワール「ん、じゃあまあその陸君から開示してこうか」
未来「えー……、俺もう聞きたくないんだが………」
ノワール「これに関しては春馬君にも言えるけど彼等は人間じゃないよ」
未来「この時点で嫌だ」
ステラ「人間じゃないって………私みたいに他の星出身の宇宙人ってこと?」
陸「……だったらまだマシだったよな」
春馬「ええ……本当に」
遥「なんなんですかもう……」
翔琉「え…っと、なんかもう触れる流れっぽいし俺から言っちゃうと、確か陸はベリアル?ってウルトラマンの遺伝子を持ってるんだよな」
ノワール「そう。光の国が生んだ歴史上唯一の犯罪者にして最恐最悪の闇の戦士……それがウルトラマンベリアル」
未来「え、ベリアルって闇のウルトラマンなのか? エンペラ星人に操られてたんじゃ………」
ノワール「それはあくまでもボク達の時空だけさ。ゼロライブ時空だけじゃなくて、本来の時間軸でもベリアルは悪のウルトラマンだよ」
未来「知りたくなかった……」
遥「てことは陸さんはウルトラの一族……ってことですか?」
ノワール「うーん……ちょっと違くて、彼に関してはウルトラマンジードが近い例えなのかなぁ。ハイこれ資料」
翔琉「えっとなになに……? ウルトラマンジード。2017年放送のニュージェネレーションシリーズ5作目のタイトル及びヒーローの名称……」
未来「放送前からベリアルの息子という肩書きが話題を呼んでいたが、その正体はベリアルの復活を目的として生み出された人造ウルトラマン……?」
遥「クローン……ないしはデザインベイビーってことですか……?」
ノワール「そ。ゼロライブはジードの続編……みたいなつもりで書かれた作品らしいから、その辺の要素も拾ってきたみたい」
未来「それで陸の出自ってのは……?」
ノワール「ああうん。そこにはオウガ君の方もちょっと関係してくるんだけど、先に言っちゃうと彼等二人は˝ディザスト・スマッシュ˝っていう人造、もしくは改造生物に当たる訳」
ステラ「ディザスト・スマッシュ……?」
ノワール「簡潔に言うとベリアルの遺伝子を持ったウルトラ戦士以外の生命体。まあ人造って言葉の通り、ベリアルの配下によって後天的に埋め込まれたものなんだけど」
未来「じゃあつまり陸は……」
ステラ「ベリアルの遺伝子を植え付けられた人間……?」
ノワール「まあ陸君の場合は少し特殊で、生まれる前からベリアルの遺伝子を組み込まれてたんだけど」
遥「ん…? そうなると親とかは……」
ノワール「生まれる前、陸君になる卵細胞を取り出した時点で殺されてるね。しかもその後十七年間傀儡として動かされて、最終的には陸君の目の前で爆散させられる鬼畜っぷり。勘付かせないようにあまり陸君とも会わせてなかったみたいだし」
未来「おーーーーう………」
陸「漁師って仕事の関係上、家にいねぇのも仕方ねぇと思ってたんだよ……………思ってたんだけどな……」
オウガ「ああうんなんか……トレギアも絡んで来て余計面倒なことになってたよね」
翔琉「急に元気無くなってんなコイツ」
ノワール「まあ彼も多少なり関わってるから………とりあえず陸君に関してはボクが説明させてもらったよ」
未来「じゃあまあ、次は流れ的に春馬なんだろうが………」
ステラ「これ関しては私も気が進まないわね………」
遥「そんなにですか……」
春馬「…いいんですよ。俺だけ触れないってのは不公平なので………」
翔琉「む、無理すんな……?」
オウガ「じゃまあ本人の了承も得たし春馬君の方も振り返っちゃおう」
陸「血が通ってねぇのかお前は」
翔琉「さっきまで凹んでた奴はどこ行ったんだろうな」
オウガ「さっきのノワール君から説明が合った通り、春馬君も人間ではないよ。陸君は地球人の遺伝子も持ってたけど、彼に関しては完全に別の生命体みたい」
ノワール「未来君、エンペラ星人は覚えてるかい?」
未来「忘れてる訳ないだろ」
翔琉「あー……そういやそんなのもいたっけなぁ……」
オウガ「春馬君は彼の息子」
未・翔「「はぁっ!?」」
オウガ「相変わらずいい反応するね~」
未来「いやいやいやこうもなるわ! エンペラの!? 息子!?」
翔琉「アイツ嫁いたんだな……」
未来「そこじゃねぇだろ!」
ノワール「厳密には怪獣墓場に流れ着いたエンペラの魂や他の怪獣、宇宙人達の怨念の集合体である˝ウルトラダークキラー˝って奴がウルトラ戦士を葬るために生み出した5兄弟の長男……って感じだけど」
オウガ「そんな彼がどうして今の追風春馬君になったのか。それを簡易的に纏めてみたから見てみよう」
1 父の命を受けたダークキラーファースト(後の彼)は地球に飛来し本来の追風春馬に出会う
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2 交流の中、彼等は互いに友情とも取れる何かを結んでゆく。ある日春馬君の生き方に違和を覚えたファーストは彼からその真意を聞きだすと同時に使命に疑問を抱く自らの意思も吐露する。ここまでいい雰囲気だったんだよ。ここまではね。
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3 ところがどっこい、そんな折に変態ボンテージ仮面ことウルトラマントレギアが襲来。
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4 心に従って生きたい。そう強く思ったファーストは春馬君と共に逃走を図るが逃げられるはずもなく、トレギアの凶刃がファーストに迫る。その時だった。
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5 ファーストを庇った春馬君が夥しい量の血を流しながら倒れていた。徐々に生気の薄れていく彼はファーストに対しこう言う。「君が˝追風春馬˝なってくれ」……ってね。
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6 死にゆく春馬君の声を受け、ファーストは自らの肉体に春馬君の魂を移し繋ぎ止める。容姿などをコピーし、記憶や能力といった備わった全ての情報を捨て、彼が目覚めるその時までファーストは˝追風春馬˝を演じ続けることを決めたってことだね。
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7 でもまあ、数年後とある騒動をきっかけにファーストにその記憶が戻る訳だけど、既に結局春馬君の人格の消失は止まらなくて、ファーストはその後も追風春馬を背負ったまま生き続けることになるんだけどね。アハハ。
遥「語りのテンションと説明の内容が合致してない!」
ステラ「これを知った時は流石に困惑したわね」
オウガ「あと他にも自分が長男としての使命を投げ打ったせいで次男にその責務を背負わせた結果死に至らしめたり、彼等に感化された妹がラスボス(トレギア)に自爆特攻したりとかもあったよね」
翔琉「なんでそんな意気揚々と語れんの!? ついさっきまで沈んでたお前はどこ行ったの!?」
オウガ「いやぁ、だってボク関わってないし」
翔琉「シンプルにクズい!」
ノワール「気付いたら過去の重さを競い始めてたけど………曇ってる云々の方もこれでいいかな?」
未来「いい! いいから次行くぞ次!」
オウガ「お~、ノリノリになってきたね皆」
遥「ただの命乞いです」
未来「これ以上は耐えられん」
オウガ「んじゃまあ次はこの頭がいいキャラ……ってのになる訳だけど」
未・陸「「……」」
ノワール「凄い勢いで目を逸らした二人は置いておくとして………皆は勉強の方はどうなんだい?」
オウガ「ってもまあ、アルケミースターズの遥君は言うまでもないし、翔琉君が勉強できるのは前回ボクがポロっちゃったからね。春馬君くらいしか聞く子いないけど」
春馬「特別得意って訳でもないですけど………まあ、それなりには」
ノワール「じゃあまあ………こんな感じかな?」
1位 遥
2位 翔琉
3位 春馬
4位 未来
5位 陸
ノワール「メビライブのエピローグからして未来君は一応大学行ってるみたいだし、陸君よりは上ってことで」
オウガ「なんかこう………凄いあっさり終わったね」
陸「…さっきまでが濃すぎたんだよ」
ノワール「じゃあ最後にこの仲の良いコンビとその逆っての答えよっか」
ステラ「やっと終われるのね」
オウガ「正直ここまでで狂気出し過ぎてこれ以上盛り上がれる気がしないよ」
遥「この上ない吉報」
ノワール「これに関しては作者間で少し話したんだけど、ステラちゃんはガイア組と相性よさそうだよねって話になったらしいよ」
ステラ「そう…?」
遥「まあ、この中なら比較的……」
オウガ「ステラちゃんは基本的に一歩引いてるもんね。その辺は遥君にとってやりやすいんじゃない?」
翔琉「ようするに陰キャに優しいと……」
遥「伝染してきた……」
ノワール「逆に陸君とは相性悪いんじゃないかって話だったよね」
未来「まあなんか、キセキでも見事にイザコザしてたもんな」
遥「斜に構えてるのがどうにも………イキってるとかこういうことを言うのかなって」
陸「お前俺に対して当たり厳しいよな」
ノワール「遥君で言えば明里ちゃんとも相性いいって話にもなったよね。ほら、翔琉君とこの」
翔琉「明里? あぁ~…まあ、確かに可愛がりそうな気はする」
オウガ「え、なになにおねショタの時間? だったらボクはやっぱ―――」
陸「ややこしくなるから黙ってろ」
オウガ「君も存外当たり厳しいよね。だから友達いないんだよ」
陸「ほっとけ」
オウガ「いやいや今後またコラボとかの話上がった時にそれじゃマズいでしょ。ていうか、これはボクの持論なんだけど…………陸君多分、大抵の子達と相性悪いよ?」
陸「…あ?」
ステラ「……それは何となく私も思ったわ」
オウガ「捻くれてるというかなんと言うか、ほら陸君ってさ、自分の大切なものを守れれば他はどうでもいい、みたいな考え方じゃん? その辺が普段の言動にも滲み出てるから、純粋で正義感強い子が多いラブトラの子達とは衝突しそうだなぁ……って」
ノワール「まあ確かに、お世辞にもヒーローって感じのキャラではないよね。出自も関係してる以上外野があれこれ言うことでもないんだろうけど」
陸「いやいやでもキセキじゃ未来とは全然仲良かったじゃねぇかよ」
ステラ「……そこ普通に相性悪いと思うわよ」
オウガ「仲良しだったのはあの世界じゃ幼馴染って設定があったからだろ? その繋がりがない本時空の君達に共有できるものはないし、状況にもよるけど考え方の違いで衝突しそうだよね」
ステラ「まあ端的に言うとアンタだけ素直に共闘するビジョンが見えないのよ」
陸「アレこれ皆さん俺のこと嫌いですか?」
ステラ「普通に嫌いなタイプ」
遥「好きか嫌いかで言えば嫌いです」
未来「まあ……確かにあんま得意なタイプではないかも」
春馬「右に同じく」
陸「これが四面楚歌か」
翔琉「俺は友達だからな? な?」
陸「優しさが辛い」
オウガ「ん、なんかオチも出来たしこれで終わろっか」
陸「締め方もひでぇ……」
軽快に流れていたBGMがその音を止め、照明の色が切り替わる。
寸刻前に彼等が宣言した通り、この悪夢の時間も終わりを告げる……と言うことなのだろう。
「皆お疲れー。ボクの渇きも満たされるいい座談会だったよー」
「……最終的に俺が虐められただけじゃなかったかこれ」
「まあまあいいじゃないの。楽しかったんだし」
摩耗した顔で元凶を睨みつける。かつては自分の一部だのなんだの言った記憶があるが、もうこの場に至っては殺意しかなかった。理性が許せば直ぐにでも殺すのに。
「……最期の我儘だと思って許してくれよ」
だが自分が手を下すまでもなく、目の前のそれは失われるようで。
ふわりと舞う光。それが眼前の黒から発されるものだと認識するや否や、同時に摩訶不思議な空間もその崩壊を告げた。
「……消えんのか?」
「ボクは死せる者……本来この場にはいてはいけない存在だ。単なる、おまけ企画だけどさ……そんなボクでもこの作品を彩る一因になれてよかったよ」
「……そっか」
目を瞑り、拳を握る。
瞼の裏に蘇るのは、振り返れば懐かしい、黒が映り込む景色ばかりで―――、
「―――じゃあ遠慮なく殺せるな」
「……え」
直後、そんなものは関係ないと言わんばかりに床を蹴り飛ばし、弾丸が如し勢いで打ち出した拳を憎たらしい顔面に沈める。
全身全霊の力を込めた一撃に対象はもんどりかえって吹き飛ぶ。その間にも肉体は消失を続けているが、逃がさないという硬い意志は即座に己が身を追尾に動かす。
「ちょ、ちょ! 陸君ストップ! もう終わるんだよ!? 最後くらい平和にいこう!?」
「なーにちょっといい雰囲気出して退場しようとしてんだテメェ! それで許すか? 許すと思ってんのか? んな訳ねぇだろこの野郎ォ!」
「待て待てボク等には言葉があるだろ話せばわかる! それにほら、ボクもう死んでるから! 故人の尊厳に泥を塗る文字通りの死体蹴りなんて主人公サマがする訳―――」
「どうせもう死んでんなら関係ねぇ……あと二万回くらい死ねッ!!」
「さらばァ!」
内に眠る獣の牙すらも開放し、明確な殺意を込めて振り下ろした漆黒の戦斧は空を切り床を崩壊させる。
命中の寸前で消滅を加速させたのか。瓦解するスタジオの中にウザったい姿は見る影もなかった。
「あのー!? 足場無くなっちゃったんですけどぉ!?」
「ああもうこれだから脳筋は!!」
空間の波に飲まれ散り散りになってゆく戦士達からの怒号を受けながら、自らもまた虚空に開いた穴の中へと落ちてゆく。
束の間の出会いや記憶さえもが時空の渦に屠られてゆく中、最後の最後、最大限の感情を込めて叫んだ。
「覚えとけよテメェェェェェェェッッッ!!!!」
「うぼあッッ!!!????」
「うわっ!? びっくりしたぁ!」
現実世界へと帰還した意識は飛び跳ねる形で身体を起き上がらせる。
カーテン越しに差す陽光と尻もちをついた幼馴染を確認し安堵に近い感覚が生まれる。ここは自分のよく知る世界だ。
「お、おはよ………変な夢でも見た?」
「……夢なんかよりずっとタチ悪いモンかもしれん」
朝一番から肩を上下させ、流れる脂汗の不快さに顔を顰める。
またよからぬことが起ころうとしているのかと、今はもう何もない左腕に触れるが、そんな懸念も目に入った時計が示す時刻を前にやんわりと消えてゆく。
「…なんだかよくわかんないけど……とりあえず急ごう? 朝練遅刻しちゃうよ」
「…あ、ああ…うん」
未だ感覚は狂気と現実の狭間にあるが時間は待ってはくれない。幼馴染に諭されるまま、近頃は馴染んできた制服を手に準備を進める。
「………帰りに墓荒らしてくか」
垂れ幕を除けた窓枠から望む高台の低木。
その根元に眠る者と、最悪の目覚めを齎した変態共に怨嗟の念を馳せながら―――今日も今日とて、友と掴み取った日常の中へと駆けた。
「危ない危ない………いやぁ、見苦しいところをお見せしちゃったね」
闇に還る声が一つ。
周囲のそれよりも深い闇に塗れた魂はその内に光を抱え、再度黒の中へと溶けてゆく。
「……さて、こうしてちょっとお遊びも挟みつつ紡いできた物語も次回で遂に幕引きだ。5つの道が交わったここだけの英雄譚、楽しんでくれたのならボクも嬉しいよ」
溶けゆく響きは穏やかだった。
追い求めても、手を伸ばしても、渇きが消えることの無かったソレは、満たされた笑みと共に、今度こそその存在を底へと沈めてゆく。
「輝かしい時間っていうのは気付けば過ぎ去ってしまうものだ。この物語を彩った彼等の中には、終幕と共にまたしばらくのお別れになってしまう子達もいると思う。けど忘れないでくれ。彼等にとってのヒーローがそうであったように、彼等もまた、ボク達の心に残り続けていく……そうしていたらまたひょっこり、何かの機会でまた会えるかもしれないね」
消えゆく刹那の独白が、誰に届くものなのかは彼自身わからない。
けど届かぬともそれでいい。己を彩った全ての者への万感を湛え、誰がいるでもない、深淵の黒と同化する。
「ボクはそう思ってる。だからまたどこかで彼等と、君達と逢える日を願ってるよ」
これは輝きを求める旅路の中で綴られた………もう一つの調。
「それじゃあ……バイバイ」