ウルトラのキセキ ~One More Sunshine Story~ 作:がじゃまる
めっちゃグダグダしてますが許してください()
「追風春馬……ねぇ……」
粗暴な印象を抱かせる双眸が向けられ思わずたじろぐ。
これまで何度も恐ろしい怪獣や宇宙人と対峙してきたはずなのに、こんな少年一人に気圧されてしまうのは何故なのだろうか。
「……お前等、なんか隠してねーか?」
「なんだよ……確かに一回も言ったことないけど、別に俺に
「いやまあ初耳だったってのもあるけどよ……親戚って割にはよそよそしくないか。さっきまでまるで初対面みたいな感じだったし」
「お、俺も最後に会ったの随分前だったしな。顔見てもすぐには思い出せなかったんだよ。な? 春馬!」
「は、はい……」
それにこの特異な状況も加味され、懐疑の視線を振りほどくため咄嗟に打った˝親戚˝という芝居もぎこちなくなる。
その中で何度も見やった彼の顔は、やはりある人の面影を重ねてしまうものだった。
(未来さん……なんだよね? 俺達が知ってる)
『うーん………?』
表面上で受け答えこそしつつも、内心自分の置かれた不可解な光景の中で相棒と共に目を回していた。
世界を救った先輩とよく似た……それも同姓同名の少年に連れられるようにして並び歩いている。こんな日が来るだなんて想像した日があっただろうか。
(もしかして俺達、過去の世界に来ちゃってたりする……?)
『……』
色々な考えが波のように押しては返す中、最も合点のいく推察がそれだった。
˝日々ノ未来˝、五年前にウルトラマンとして戦い、エンペラ星人を退け世界を救った先輩。
丁度春馬と同年代くらいだと思われるこの少年は、高校生時代の日々ノ未来……と考えていいのだろうか。
(……ね、ねえこれ、歴史変わっちゃったりしない……?)
『落ち着け春馬……まだそうとも限らないぞ』
(どういうこと……?)
『彼が本当に俺達の知る日々ノ未来だとするなら……不可解だと思わないか?』
歴史改変やタイムパラドックス……創作物でよくある展開を想像し戦慄いていると、ようやく口を開いた相棒の声に諫められる。
自分よりも幾分か落ち着いたその声音は混乱する頭にも素直に浸透した。
『前にステラが五年前の戦いについて教えてくれたことがあっただろ? それを思い出せ』
そう言われ、想像するのは伊達メガネで知的に装った姉貴分の姿……ではなく彼女が行った特別授業。
多次元宇宙論や過去の戦い……その内容を思い起こす春馬の記憶をなぞるようにタイガは続けた。
『確かに未来はメビウスと一体化してエンペラ星人から地球を守った…………けど、お前達の地球に初めて降り立ったウルトラマンはメビウスじゃないだろ』
(あぁそういえば……ベリアルさん、だったっけ)
『ああ。ベリアルはメビウスが来るよりも前に地球に降り立っている。˝ウルトラマン˝という存在が地球人に認知されたのはその時のはずだ』
完結に纏められた問答の中でタイガの抱いていた違和感の正体を悟る。
『……だとしたら、彼がまるで
かつてベリアルが降り立った地もここ内浦だったはずだ。
人類にとって初めての光の巨人や怪獣との遭遇。いくら幼き日の出来事とは言え、それを内浦に住まう未来が知らないはずがない。
(じゃあここはベリアルさんが地球に来るより前の時代ってこと?)
『……その説も捨てきれはしない』
先輩方や仲間達からある程度の情報は得ているとはいえ、それでも知識不足は否めない春馬に反しタイガはある程度状況の整理ができているのか。
まだ少し迷いを含むものの、それでもある一つの結論には辿り着いているようだった。
『これは、あくまでも仮説だけどな―――』
「まあ親戚かどうかはこの際どうでもいいや……未来」
捻りだすように春馬の頭の中でだけ響いた声は、また彼によって遮られた。
仙道陸とか言っていたか。ステラの話の中には出てこなかったため知り得ていなかったが、この不良染みた彼は未来の幼馴染らしい。
「何度でも言うけど、別にお前がウルトラマンに憧れようが俺の口出すことじゃねーし、その気持ち自体は尊重してる。けど、現実と空想の区別くらいつけろよ」
「え……?」
そんな彼が口にした言葉は、自分達の抱いていた疑念に答えを出すようなものだった。
「追風も親戚だってんなら何か言ってやって―――」
「あの……ウルトラマンが空想ってどういう……?」
「え? なに? お前もそう言うクチ?」
未来に変なこと吹きこまれたかー……などと気遣わしげな顔で陸は手早く取り出したスマートフォンで何か操作を始める。
『……やっぱりな』
直後に差し出されたその画面に映されたものを見て固まる春馬と、腑に落ちたように零すタイガ。
『春馬、ここは過去の世界なんかじゃない』
今度に紡がれた声は先程のそれとは違い確信に満ちたものだった。
スマホに表示された
『……俺達のいた世界とは別の宇宙――――ウルトラマンが、物語の中にしか存在しない世界だ』
――――『あなたの力が必要なの』
普段通り……それでも少しずつ変化しつつあった日常に差したのは知らぬ声だった。
――――『今、とある世界に危機が訪れようとしている。もし今度の世界も˝奴等˝の手に落ちたら、あの子は……』
雪のように白く透き通り、触れれば溶けて消えてしまいそうなか弱い響き。
そんな声に引き寄せられるように身体はその主を探すが、目に入るのは自分達の部室とその仲間達だけだ。
(…タイガ、何か言った?)
『ん? 別に何も言ってないぜ?』
(じゃあタイタスかフーマ?)
『いいや、私も違うな』
『俺でもないぜ……けど、何か聞こえたのは確かだな』
体内に宿る相棒達に問い、今の声が聞き間違いでなかったことを改めて認識する。
だが同じ部屋の中で談笑する少女達は誰一人として反応を見せていない。決して大きな声ではなかったが、それでも聞き取るには十分だったのにも関わらず、だ。
まるで春馬達だけに直接語り掛けてきているような……そんな感覚がする。
――――『お願い、勇者達を目覚めさせて…………それができるのは、あなたしかいないの……!』
「っ……!」
最後に顔を出した誰かが閉め忘れたのか、開かれたまま放置されている部室の扉。
その奥から春馬達を見つめるのは、今間近にいる少女達がステージに立つ姿を連想させるような衣装を纏う……一人の、少女だった。
『なんだアイツ……』
『少なからずこの学校の生徒ではないのは確かだな。かすみ達にも認識されていないようだ』
『どちらにせ怪しいってことに変わりはねぇな。どうする春馬』
タイガ達は揃ってその少女を警戒しているようだったが、春馬にはどうも、少なからず彼女が敵意を向けるべき相手ではないように感じられた。
縋るような、何かを願っているような……そんな表情は、あの日の˝妹˝と重なった。
「っ……、待って!」
「ハル君……!?」
「ちょ…、先輩!? どこいっちゃうんですかぁ!?」
まず何をするにも一先ず対話だ……そう思い一歩を踏み出した途端、逃げるように遠ざかってゆく少女。
見失っちゃいけない。天啓のようなそれに突き動かされるように廊下へと飛び出した春馬は、幼馴染や後輩の声も余所に彼女を追った。
「全然追い付けない……」
教員の持つ書類を吹き飛ばし女生徒のスカートを巻き上げ、至る所に二次被害を生みながら突風のような速度で校内を駆けるが、眼前にいる少女との距離は全く縮まらない。
遠ざからず近づきもせず、一定の距離を保ったまま繰り広げられる追いかけっこは不気味の一言だった。
『こうなったら挟み撃ちに……ステラ達はどこだ?』
「姐さんなら何か考え事があるからパフェ食べに行くって……」
『肝心な時に限っていねぇなあの姉貴分は!』
「まあ、未来さん達と再開してからなんか様子変だったし……」
『言ってる場合じゃねーぞ春馬……アイツの足元見てみろ』
フーマの呼びかけに応じ彼とシンクロさせた視線の先には少女の赤い靴。
これほどの速度で移動しているのにも関わらず、その靴を履く足は全く動いてはない。
「浮いてる……?」
『なんだ……ユーレイってやつか?』
『敵意があるようには思えんが無視もできんな。このまま追おう』
仮面の悪魔や袂を分かった兄妹達とはまた違った得体の知れなさがある。
けれどその中で微かに瞬く光の気配。感じ取ったそれに引き寄せられるまま、春馬は四肢を動かした。
「え…霧……?」
『妙だな……先程まで快晴だったはずだが』
追いかけるまま校舎を飛び出し、その刹那に感じ取った別な違和感にようやく足を止める。
視界を白が満たしている。自分達の学び舎を覆うように発生していたのは周囲に立ち並んでいるはずのビルの群れすらも目視できないほどの濃霧だった。
『これもあの少女の仕業なのか……?』
「そうだ……あの子は!?」
一拍遅れてここまで来た理由を思い出すが、その時には既に追っていた彼女の背中は見る影もなかった。
代わりに視線が射止めたのは、その少女よりも遥かに巨大な、白霧の向こうで揺らめく巨影だけで―――、
『ッッッ――――――!!』
爆音の如き咆哮に痺れるような感覚が肌に走る。
直後に揺れる大地。間違いない、あの存在が出現する時のものだ。
『今度は怪獣かよ…次から次へと……!』
『あの少女の事も気になるが迎撃が優先だ……行くぞ春馬』
「うん……タイガ!」
『ああ!』
「『バディィィ……ゴ――――――ッ!」』
***
「……この後、気付いたらタイタス達ともはぐれてて、こっちの世界に来てました」
迎え入れられた未来の部屋の中で、ここに至るまでの顚末を語る。
ここが別世界である以上正体を隠す意味は薄い。ウルトラマンであることを悟られているも同然の彼には手っ取り早く素性を明かしてこの世界の情報を得た方がいいだろう……というタイガの判断だった。
「…って、聞いてました?」
だが当の未来は上の空と言うべきか、興奮冷めやらぬ様子で春馬に視線を注いでいる。
「あぁいや、本当にいたんだって思うとなんか感慨深くってさ……」
『本当も何も……さっき実際に俺達が戦ってるところを見たばかりだろ』
「うおおおッ!」
『うわっ!? な、なんだよ急に……』
零体となって春馬の肩に現れたタイガに対しまたも一リアクション。何というか忙しい人だ。
「ああ悪い悪いまた……まあとにかく、春馬達は別の世界から来た、ってことでいいのか?」
「俺達もまだよくわかってませんけど……多分そういうことかと」
「……あと敬語じゃないくていいぞ。同い年なんだろ?」
「いやいやそう言う訳には……! まあ俺の気の持ち用なので気にしないでください」
「いや気になるんだけど……まあいいや。それより聞きたいことがあったんだ」
「聞きたいこと……?」
「うん……春馬達はさ、˝メビウス˝ってウルトラマン、知ってるか?」
「『っ……!?」』
一転して切り替わった未来の雰囲気に何かと思えば、いきなり飛び出したその単語にタイガと揃って驚愕する。
『なんで、この世界のアンタがその名前を……』
「っ…、やっぱり知ってるんだな!」
抱く疑問はタイガと同じだった。
この世界においてウルトラマンはテレビの中のヒーローに過ぎない……それもこちらの世界でもウルトラ兄弟の一人として数えられている˝ウルトラマン˝ただ一人。
そんな彼が˝メビウス˝のことを、まして自分が別世界ではウルトラマンであったことなど知る筈もないのに。
「今春馬達の話に出てきたその女の子、少し前に俺の前にも現れたんだ。それからなんか、変な夢見るようになってさ、俺がメビウスっていうウルトラマンに変身する」
『ッ……!』
「タイガ…これって……」
その後も続けて未来が語った内容は、暗雲に閉ざされた世界に、暗黒の巨人……そして未来と九人の少女の光が合わさって変身した黄金の巨人。
その悉くが、春馬が姉貴分やタイガ達から聞いた五年前の戦いと一致する。
『俺達の世界とこの世界の未来の記憶が繋がり始めてるのか……?』
「そう言えばあの子、˝勇者達を目覚めさせて˝……とか言ってたよね? この世界に危機が迫ってるとかも!」
『ああどうやら……俺達がこの世界に飛ばされたのは偶然じゃなさそうだな』
改めてあの少女の言葉を反芻する。
まだ何もかもが不明瞭な現状だけれども、少なくともこの世界において自分がやるべきことは……見えたのかもしれない。
「俺にしかできない、か。……タイガ」
『……もう止めやしないさ』
一旦は伏せておこうと決めたこの事実も明かした方がいいと揃って判断する。
どんな影響が出るかわからない懸念もあるが、少女の言葉に従うのならば伝えるべきことなのだろう。
「…˝ウルトラマンメビウス˝さんはタイガの兄弟子で、俺達の世界でいう五年前、とある人と一緒に戦って世界を救った英雄です」
『そのメビウスと一緒に戦ったのが日々ノ未来……俺達の世界の、お前だ』
「え……」
世界や時空の垣根すら超えて、点と点が線で結ばれる。
歯車は今まさに……動き出そうとしていた。
特別語ることはありませんが、春馬達がこの世界に来た経緯と現状においての状況説明の話となりました
このところかなりメビライブと虹タイガ要素の濃い回が続いてますので意欲のある方はこの2作品を読み返すとわかりやすいかもしれません
最近久々に8兄弟見返したら記憶にあった構想とだいぶ違ってちょっと焦りましたが、元々モデルにするのは基盤だけのつもりだったので特別影響はないと思います()
それでは次回で