紅魔館の執事になりました   作:PCメガネ

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転生
第1話 転生するそうです


 

『神様転生』

 

様々な2次小説でよく見かける、実に非現実的で非科学的な現象だ。神様というものは救いを求めた人間が創り出した偶像だ。現実には存在しない。仮に存在したとしてもテンプレ通りに都合良く転生なんて普通はさせてくれる筈がないだろう。きっと膨大な量の手続きがあるに違いない。そもそもなぜ俺がこんな事を考えているのかというと、とある町の道路を歩いていると急にトラックが俺にぶつかって物理的に木っ端微塵になった筈なのに俺は、今和風な部屋の布団で寝ているのだ。

窓から見える景色からしてここは二階だろうか?ここは一体何処なんだ?死後の世界なのか?それとも本当に神様なるものがいて転生でもするのだろうか?・・・分からない。普通に考えて分かる筈がない。考えてみたら俺はもう死んだ筈なのにこんなところにいるということは否が応でも神様か他の何かがいると信じるしかないということだ出来れば優しい神様であることを願っておこう。もし本当に神様だったら2次小説ばりに世界の管理でもしているのか?無限にも等しい数の神様がいてその一人一人が世界を受け持っているなんて事が本当にあるのならば、ここもその無限にも等しい数の世界の一つなのだろうか。・・・考えれば考えるほど面白くなってくるけど、どんどん分からない事が増えていく。もういいや、せっかく布団に潜ってるんだしちょっと寝ようかな。

 

などと、人智を超えた世界についての思案を

していたこの作品の主人公、中園優は、思考を止めて、一寝入りをしようとした。しかし、意識を手放そうとしたその瞬間、まるでタイミングを見計らったかのように部屋の扉が開いたので優は寝ることが出来なかった。

 

「あら、既に目覚めていたんですね。」

 

そう言って部屋に入って来たのは、身長が160cmぐらいで黒髪セミロングの、俗に言う絶世の美女と言っても足りないぐらい美しい姿をした人だった。その美少女は部屋に入り間髪入れずに優に話しかけた。

 

「私は人間からは神様と呼ばれている存在で、名前は沙也加と言います。」

 

そう沙也加が自己紹介すると、しばらくの間優は呼吸をすることを忘れて 、岩石のごとく固まっていた。およそ1分後、落ち着いたのか、恐る恐る話しかけた。

 

「ほ、本物ですか?」

 

そう聞くと、神様と名乗る沙也加は、間髪入れずに即答した。

 

「はい、本物です。私はこの世界の管理をしている者です。」

 

「ほ、本物ならその証拠を見せてくれませんか?」

 

「はい、良いですよ。」

 

そう即答すると、沙也加は何かブツブツ独り言を言い始めた。すると、部屋に大型のモニターが現れた。

 

「ここに写っているのは全て現実ですよ。本物です。ですがこの動画が本当かどうかの証拠を見せろと言われても見せることは出来ないので信じてもらうしか無いですけどね。」

 

それだけでも優は多いに驚いたのだが、そのモニターには紛れもなく本物の優の家族と友人が写っていた。今は優の葬式をやっているらしい。殆どの人は悲しい顔をしていた。時には泣き出していた人もいた。これを見て作り話ではなく現実に起こっている事なのだと理解した優は、この人は本当に神であることと、友人や家族とはもう会えないと言う事を理解した。気づくと、自分でも分かるくらいにとても悲しい顔をしていた。

 

「本当に神・・・なんですね。」

 

「はい、そうですよ。それで貴方の死因ですが、私の調整ミスの修正の為に貴方を死なせてしまいました。私が生まれてこのかた1度もこんなミスはしたことなかったのですが、ついウトウトしてしまって・・・。」

 

あぁ・・・やっぱりそこはテンプレ通りなんですか。それでこのあと転生するんですかね。けど俺は2次小説に出てくるような冷たい主人公じゃないんだ。俺には家族がいて友達もいてペットもいたんだ。それに学校生活も中々面白かった。なのに神様に調整ミスの修正の為に殺された。普通の感性を持っている人なら怒鳴り散らしている筈だ。大切なものを全てを奪われたのに神様なる物はただ謝り転生してくれと言って来るだけだ。そんなの俺は耐えられない。だけどミスなんて誰にでもある。仕方のないことなんだ。だからこそ俺は怒ることはせず要求しなければならない。

 

長い思考の末何かを決心した優は、沙也加の目を見てはっきりと言った。

 

「修正の為に俺を殺したんですよね?ならそれ相応の対価があってもおかしくはないですよね?」

 

「・・・は、はいそうですね。それでその対価とは何ですか?」

 

「生前、俺と関わった人全てを生涯幸せに生きていける様にして下さい。それと、親に手紙を書かせてくれませんか?」

 

優が悲しくて泣きそうになっているのを必死に耐えている優を見た沙也加は、自分の行なったことに酷く罪悪感を覚え、これからは絶対にミスはしないと固く誓った。

 

「はい、分かりました。私が責任を持って幸せにしてみせます。」

 

「そうですか、有難うございます・・・。」

 

「それと手紙ですね。分かりました。」

 

そう言うと、沙也加はまたブツブツと独り言言い始めた。すると、小さなテーブルと手紙とペンが現れた。

 

「それでは私は食事の支度をして来るので手紙を書いておいて下さい。」

 

「はい、有難う御座います。」

 

食事の支度をしに沙也加は、一階に降りて行った。部屋で一人になった優はどの様なことを書こうか思案していた。

 

さてと、どうやって今までの感謝を伝えようかな〜。

 

優はしばらくの間考え、その後スラスラと文を書いていった。

 

母さん、父さん。今まで俺を育ててくれて事、絶対に忘れないよ。

俺は2人のことをいつまでも誇りに思っています。

今まで本当に有難う御座いました。

 

書き終わって封筒に入れると、気付かない内に涙が出そうになっていた。優はその涙をこらえる為に窓から見える景色を眺め、別の事を考えることにした。

 

「ここって一体何処なんだろうか・・・。」

 

そこには見渡す限りの草原が広がっていた。少なくとも日本ではないだろう。そう景色を見ながら色々考えていると沙也加が部屋に食事を持って入ってきた。

 

「すいません。妹を寝かしつけるのに手間がかかって少し遅れてしまいました。」

 

そう申し訳なさそうに言うと優は優しくそれを許した。

 

「いえいえ、気にしなくて良いですよ。」

 

「すいません。では、食べましょうか。」

 

「は、はい。」

 

「「頂きます。」」

 

 

 

優と沙也加は、食事を取りながら雑談をした後、沙也加は本題に入る為に真剣な顔になった。

 

「優さん。転生をしませんか?」

 

「転生・・・ですか。実は私は生前よく二次小説で転生ものを読んでいました。なのである程度この展開になることは予想していました。」

 

前世の知識が役に立った。なんて言ったら悲しくなってくるからやめておこう。

 

「あら、そうだったんですか。では話は早いです。これから転生する場所は貴方が生きていた日本国内で、世界から隔離された幻想郷と言うところです。」

 

「幻想郷?何ですか一体?」

 

そう聞くと沙也加は少々楽しそう喋り始めた。

 

「それは転生してからのお楽しみですよ。」

 

え、えぇ・・・。

 

「そ、そうですか。分かりました。」

 

「では優さん。貴方に能力を付与します。」

 

そう言うと沙也加はブツブツと独り言を言い始め数秒後に箱が現れた。

 

「この中から一つランダムに取って下さいね。」

 

ま、まさか戦うの?それはそれでは良いけど、痛いのは嫌だな。

 

「は、はい分かりました。」

 

優は箱の中からランダムで1つボールを取った。

 

「ええと、魔法を創造し行使する程度の能力って書いてます。あ、それにもう一回と書いてます。」

 

「あら、運が良いわね。もう一回箱の中からボールを取って良いわよ。」

 

「わ、分かりました。」

 

運が良いのか悪いのか分からなかった優は、恐る恐る箱からまたボールを取った。

 

「ええと、時間を操る程度の能力ですね。もう一回は書いてありません。」

 

時間を操るってすげえなおい・・・

 

「・・・これで転生するための用意は全て整いました。いつでも転生できます。」

 

 

「分かりました。ではここら辺でお別れですね。」

 

なんか時間があっという間に過ぎて行ったような気がする。あぁ、みんな幸せに生きてほしいな。俺には願うことしか出来ないけど神様が幸せにしてくれるよ。ごめんね父さん母さん、こんな形でしか親孝行出来なかった。本当にごめん・・・。って今から転生するんだから悲しい顔になったらダメだ。笑わないとな。

 

そう考えた優は、たとえ悲しくても涙を絶対に流すまいと涙を堪えながら優しく沙也加に笑いかけた。

 

「今日は・・・本当に色々と有難う御座いました。」

 

何かを察したのか、沙也加も優しい笑顔を返した。

 

「第二の人生、頑張ってくださいね。」

 

沙也加に激励してもらい、ついに耐えきれなくなった優は、ついに涙を流してしまった。それを見た沙也加は、優の頭を撫でた。

 

「優さん、泣いたらダメですよ。もうお別れの時間なんですから笑ってください。」

 

そう言うと、優は泣きながらも笑ってみせた。

 

「こう、ですか?」

 

「はい、良い笑顔ですね。」

 

「また・・・会えますか?」

 

「はい、またきっと会えますよ。」

 

「有難う御座います。」

 

「・・・では、転生を行いますね。」

 

「はい、分かりました。本当に有難う御座いました。」

 

最後にそう言って優は目を閉じた。沙也加は優の頭に手を乗せて念じる様に独り言を言い始めた。すると優は、虹色の光に包まれて消えて行った。

 

 

 

 

 








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