「・・・え?」
優は化石のごとく固まっていた。
(え?今執事って言った?いや、気のせいかな?)
「えっと・・・すいません。今なんと言いましたか?」
「今日から私の執事になりなさい。」
「え・・・はい?」
「次はないわよ。今日から私の執事になりなさい。」
「・・・え、えええ!?」
唐突にレミリアにとんでもない事を言われた優は、困惑していた。
「あ、あの・・・レミリアさん・・・な、なんで俺なんですか?」
「ふふ、あなたが面白そうだったからよ。」
「面白い?俺なんて全然面白くないですよ!それに、なんで俺なんかにこんな大きな仕事を持ちかけてくるんですか?俺より良い人なんてたくさんいると思うのに・・・。」
「いいえ。わたしは優が一番適していると思うわ。だから咲夜に連れてこさせたの。この役職は優にしかできないことよ。わたしはそう確信しているわ。」
「そ、そうなんですか・・・。けど・・・ほんとに俺なんかでいいんですか?結構迷惑をかけるかもしれないですけどいいんですか?」
「ええ、大丈夫よ。私が保証するわ。」
「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えさせていただきます。」
「決まりね・・・。今日からあなたは私だけの執事よ。よろしくね、優。」
「よ、よろしくお願いします。」
「咲夜、紅魔館を案内してあげて。」
「かしこまりました、お嬢様。優、ついてきて。」
「は、はい。」
部屋を案内する為に部屋から出ていった咲夜についていく優の足取りは実にたどたどしかった。
部屋から咲夜と優がいなくなった後、レミリアは考え事をしていた。
(はぁ・・・良かった。断られたらどうしようかと思ったわ・・・。それに意外と可愛かったし、これからが楽しみね。あ、そういえばどうやって幻想郷に来たのか聞いていなかったわね。後で聞いてみようかしら。)
その後レミリアは、とても上機嫌で客室から出ていった。
咲夜に各部屋の案内を受けている優は、先ほどのやりとりのせいで頭がこんがらがっていた。
(はぁ・・・さっきは勢いで執事の仕事を引き受けたけど、俺なんかにできるのかなぁ、執事に求められてるものの殆どができないに・・・。)
廊下を歩きながら考え事をしながらぼーっとしていると、咲夜がそれに気づいたのか歩くことをやめた。
「はい・・・仕事をくれたことについては感謝しているんですが、俺は執事に求められることの殆どができないのでどうしたらいいのかわからないんですよ。」
「そこまで真剣に考えてくれていたのね。安心して、そうゆうことはこれから私が教えるわ。」
「え、いいんですか?」
「ええ、いいわよ。休憩時間の間しかしかちゃんと教えることは出来ないけれど。」
「うぅ、本当にすいません。わざわざ休憩時間を削ってまで教えてくださるなんて・・・。」
「良いのよ、気にしないで。」
「本当にすいません・・・俺、頑張って早く一人前の執事になれるように頑張ります!」
「ふふ、その意気よ、優。とりあえず今から図書館に向かうわ。そこで一旦休憩しましょう。」
「はい!」
一人前の執事なると決心した優と咲夜は、図書館へ行くために再び歩き出した。
およそ五分後、二人は到着した。咲夜は図書館の扉を四回ノックして優を連れて中に入っていった。
優は図書館の大きさに驚いた。なぜなら、日本にあったどこぞの国立図書館よりも広いからだ。そう感嘆しながら咲夜の後ろについて歩いていると咲夜は、歩く事をやめて机で一冊の本と格闘している髪が紫色で変な格好をした少女に話しかけた。
「パチュリー様。」
紫色の髪の少女は、本と格闘することをやめて昨夜の方を向いた。
「なに?昨夜。今は本を読んでいて忙しいのだけれど。」
「それは申し訳ありませんでした。」
「それで、用があるから来たんでしょ?」
「はい、今日からレミリアお嬢様の執事になるお方を連れてまいりました。」
「・・・そこにいる子ね。あなた名前は?」
「な、中園優です。」
パチュリーは何かを探るような目した後、優しい目つきで自己紹介を始めた。
「・・・私はパチュリーノーレッジよ。いつもここの図書館で本を読んでいるわ、よろしく。」
「は、はい。よろしくお願いします。」
「能力はもっているのかしら。」
「はい、魔法を操る程度の能力と時を操る程度の能力です。」
「・・・レミリアから聞いたけどあなたはさっき幻想郷に来たばっかりなのよね?」
「まぁ、はい。」
「なんでレミリアがこっちに来て間もない人間を雇ったのかは知らないけどまあいいわ。優、明日から毎日何時でもいいからここに来なさい。せっかく魔法を使える能力を持っているのだから私が教えてあげるわ。」
「え、いいんですか?」
「ええ、いいわよ。」
「ありがとうございます!」
「それと咲夜、あなたも優と同じ能力を持っているのだから後でちゃんと使い方を教えてあげなさい。」
「かしこまりましたパチュリー様。では私たちはこれで。優、行くわよ。」
「は、はい!」
一通り会話が終わると2人は図書館から出て行った。
大体の部屋の案内が終わり、残すは優の部屋だけとなっていて、既に二人は優の部屋の目の前に立っていた。
「優、あなたの部屋はここよ。私の部屋の隣だから何かあったらいつでも来ていいわよ。」
「何から何まで本当にすいません。」
「いいえ、気にしなくていいわ。そうだ、後で美鈴と一緒にお茶をするのだけれど優もどうかしら。」
「美鈴?・・・あ、ここに来た時にいたあの門番ですか?」
「ええそうよ。」
「そういえばまだ挨拶してなかったっけな。分かりました。ありがたくご一緒させていただきます」
「決まりね。私は今からお菓子を作ってくるから、優は美鈴と庭園にあるテーブルで待っていてくれないかしら。」
「美鈴さんを呼んできて庭園にあるテーブルに座って待っていればいいんですね。分かりました。ですが、一度自分の部屋を確認してからでもいいですか?」
「ええいいわよ。じゃあ、また後でね。」
「はい、ではまた後で。」
会話を終え、咲夜はお菓子を作りに行った。一方優は、自室がどんな内装になっているのかを確認しに、部屋の中に入っていった。自分の部屋の中に入った優は、部屋の広さに驚いた。
「前に住んでいた家の自分の部屋の5倍はありそうだな。・・・それにベッドの高級感がすごいな・・・。飛び込みたいな。」
部屋には、普通の家具一式が揃っていたのだが、ベッドだけが途轍もない高級感で溢れていた。
「いや、今はそれどころじゃない。早く美鈴さん呼んでこないと。」
美鈴を呼んでくるために優は部屋を後にした。
優と別れ、お菓子を作るために時を止めて厨房へと歩いていた咲夜は、少し上機嫌だった。
(ふふ、新しい家族が増えたことだし今日はちょっと気合をいれて作ろうかしら。ふふふ)
厨房に向かう咲夜の足取りは、とても軽快だった。
咲夜と別れ美鈴のところへ向かっている優は、これからの生活について思案していた。
(今日からここで生活することになるのかぁ。こっちに来てからすぐに就職出来るなんて運が良いなぁ。それに魔法なんて本当にあるんだな、まだ見たことはないけど。あ、そういえば咲夜さんがメイド長ってことは他にもメイドがいるのか。美鈴さんへの挨拶が終わったらメイドにも挨拶しとかないとな。)
優はワクワクしながら今後の予定を組み立てながら歩いていた。
いつも通り門の前で門番をしていた美鈴は考え事をしていた。
(そう言えばレミリアお嬢様「咲夜が帰ってきたら一緒に説明するわ。」とかおっしゃっていたのにいつになっても呼ばれない・・・レミリアお嬢様絶対私のこと忘れていますね。それはそれとして、今日は咲夜さんの顔色がいつもと違うような・・・今日は良いことでもあったのでしょうか・・・。あ、あの時のお客様が関係あるかも。お茶の時に咲夜さんに聞いてみましょうか。)
色々な事を考えていると、不意に門の後ろから声をかけられた。
「あ、あのすいません。」
「はい?あれ、さっきのお客さんではないですか。どうしたんですか?」
「今日からここでレミリアさんの執事になった中園優です。これからよろしくお願いします。」
「ええと、
「まぁ、はい。そういうことになりますね。」
「ええと、なんでここで働くことになったんですか?」
「ええとそれはですね・・・」
そう言って優は、美鈴のもたれかかっている壁に自分ももたれかかり、転生してから今に至るまでの経緯を事細やかに話した。
「そ、そんな事がったんですね・・・。神様のミスなんて、こういってはアレですけど運が悪かったですね。」
「ですよねー。けどまぁ、だからこそここ幻想郷で第2の人生を楽しむんですよ!」
「ふふふ、2回目の人生頑張ってくださいね!」
「もちろんです!あ、そういえば咲夜さんにお茶をするから庭園に美鈴さんを呼んで来てと言われていた事を忘れていました。」
「あ、そうでしたか。では早く庭園に行きましょうか。」
「はい!」
こうして門番の美鈴と仲良くなった優は、美鈴を連れて庭園へと歩いて行くのであった。
レミリアお嬢様は、優が自分の事をレミリアお嬢様ではなくさん付けで呼ぶことと、多少の無礼は許しています。ここのレミリアお嬢様は結構優しいです。
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