【ロドス】
ドクターが1人でペンギン急便に行った後日。
執務室にはドクターと、1人のオペレーターが向かい合っていた。
「ドクターの論文を色々調べていたんですけど、やっぱりスゴイですね・・・。」
そう言った少女の名はエイヤフィヤトラ。
ドクターとは違う分野の学者だが、各方面の知識を意欲的に修得しようとする天才の卵である。
「ん?あぁ、まぁ、時間さえあればいくらでもできるさ。」
この男、記憶を失ったくせに博士としての能力は失っていなかったのである。
「もしよかったらなんですけど、わたしにご教授お願いしてもよろしいでしょうか?」
「あぁ。断る理由もない。ぜひ協力させてくれ。」
そう言って快諾したドクターの口元はニヤリと歪んでいた。
「・・・そうだ。エイヤにだけ秘密の研究を見せてあげよう。」
「えぇ!?いいのですか?」
驚いているエイヤフィヤトラを放置し、ドクターは引き出しからディスクを取り出す。
【メランサ族について】
こんにちは、ドクターです。
本日は皆様に集まっていただき、本当にありがとうございます。
今回は、このロドスに生息しているメランサ族について、解説をしていきたいと思います。
「・・・ドクター?なにをしてるんですか?・・・」
彼女はメランサ、今となっては非常に珍しいメランサ族の原種です。
特にこれといって象徴すべき特徴はありませんが、特徴が無いからこそどんな所にも対応できるオールラウンド性を発揮してくれます。
「あの、そんなにカメラを向けられると、恥ずかしいです・・・。」
メランサ亜種には見られない、原種特有の習性もあります。
それは、戦闘の面では非常に強力な力を発揮してくれますが、日常の面では自己主張が控えめというポイントです。
くれぐれも、自分に懐いていないと勘違いしないように気を付けてください。
それでは、メランサと触れ合ってみましょう。
「・・・ドクター?どうしたんですか?」
「うぅっ・・・。急に撫でないでください・・・。」
口では抵抗していても、耳が垂れ込んでいる場合は悪く思っていない証拠なので、続行して頭を撫でましょう。
毛を逆立て、睨みつける仕草を取った場合は、まだ懐き度が足りていないので、撫でることを中止し、餌付けから始めてみましょう。
「これ・・・。わたしにくれるんですか?・・・ありがとうございます。」
「おいしいですね。このクッキー・・・。」
「えっ・・・。オリジムシクッキー・・・?」
メランサ原種の多くは食べ盛り、育ち盛りなので、ジャンクフードの大量摂取は控えるようお願いします。
でないと、健康な食品に手を付けず、ジャンクフードばかり食べるようになり、ヤンキーメランサに成長してしまうかも知れないからです。
「今度A4のみなさんと出かけるんですけど、ドクターも・・・どうですか?」
さらなる戦闘特化メランサを育てたいのなら、行動予備隊A4と一緒に育成するといいでしょう。
基本的な事は何でもできる素質を持っていますが、かなり執着する性格を持つ個体が多いので、気に入ったものは奪わないように気を付けましょう。
また、メランサを可愛がり過ぎると、自分は特別な存在だと思い込み、他のメランサ族を敵視するようになるので、そこの線引きも重要になります。
次に紹介するのは、オオカミメランサ。通称ラップランドです。
彼女はメランサとよく比較対象にされます。大きな違いはやはり攻撃範囲と特性でしょう。
ラップランドは、オオカミとしての能力を備えているため、戦闘において、敵の能力を無力化することができます。
敵を殲滅する姿は恐怖そのものですが、彼女も女性ですので、仕事を終えた後はたくさん褒めてあげましょう。
それでは、ラップランドと触れ合ってみます。
「やあ、ドクター。また会ったね。12分と34秒ぶりかな?」
「珍しいね、ドクターがカメラを持ってるなんて。ちょっと貸してよ!」
ラップランドは破天荒な部分があるので行動に振り回されないように気を付けましょう。
「・・・ちょっと、いきなり撫でるのは紳士じゃないよ。髪が崩れるじゃないか。」
「ちょっと、ちょ、ちょ、・・・・・・うっ、上手だね。ドクターは。」
「そうやってテキサスも虜にしてるのかい?」
「ドクター?聞いてるのかい?ドク、ちょ、待っ・・・んぁ・・・。」
「・・・・・・ドクター、人がいないとこ。行こっか・・・。」
やりすぎると発情するので引き際を弁えましょう。
また、ラップランドは他の個体と協調的な関係を築くことが判明しており、誰とでも友好な関係を構築することができます。
しかし、テキサスと同じ空間に2人きりにすることはオススメできません。
なぜならラップランドはテキサスの事が大好きだからです。
また、損害賠償請求が恐ろしいのなら、ラップランドとレッドを近づけないようにしましょう。
ここに、ラップランドとテキサスの仲睦まじい様子を捉えた記録があります。
試しに見てみましょう。
『ラップランド。ドクターに何をした。』
『何ってもちろん。ナニに決まってるじゃん!アハハハハ!?』
『斬る!!』
『アハハ!!冗談だよ冗談!・・・今のところはね!!』
ガギイイイイン・・!!! ガアン!!
ドガアアアアン・・・!!! アハハハハハ!!!
ね?仲良しでしょ?
続いて紹介するのは、デンノコメランサ。正式名称はスペクターです。
黒の修道服に身を包んだ彼女を戦場に配置したら、まず敵の返り血が服に付くことの心配をすることが大切です。
そして、彼女の個体はかなりの確率で宇宙の電波を受信しているので、彼女の話す秘密を聞いてしまうと発狂してしまう可能性があります。
存分に気を付けましょう。
デンノコメランサの最大の特徴は、やはりその武器でしょう。
戦場にて、彼女の前に立った者は何人で来ようとまとめて3枚におろされてしまいます。
あまりにも惨いものを見たくないのなら、エリートメランサ(ブレイズ)や、脳筋メランサ(スカジ)を代わりに編成に組み込むことをオススメします。
また、デンノコメランサをデートに誘う際は、海や地底、空に関係する場所は提案しないようにしましょう。
なぜなら、宇宙は空にあるからです。たしかに秘密は甘いものですが、墓暴きは感心されないことがほとんどだからです。
それでも宇宙を彼女と共に見たいというのなら、獣の病を克服する必要があるので、メランサ亜種初心者の方には難しい個体でしょう。
次に紹介するのは、最も人気がある真銀斬メランサ。またの名をシルバーアッシュ。
彼はオオカミメランサ、ラップランドと比較されることがありますが、最も評価されるべき点はやはり真銀斬を発射することができる点です。
困ったら彼に頼るといいでしょう。目視できる範囲の敵を瞬く間に真っ二つにしてくれます。
しかし、そんなメランサの上位個体にも弱点があります。
それは、幼き頃に仲互いした妹の存在です。
なので、彼と行動を共にする際は、彼の妹と出会わないように気を付ける必要があります。
ここで、彼とその妹が通路ですれ違った際の様子を見てみましょう。
「やはり、今回の作戦は術師オペレーターの人数を増やすべきだ。狙撃オペレーターの負担が大きすぎる。」
「しかしだな、シルバーアッシュ。それでは危機契約の編成条件に引っかかってしまうぞ。」
「だが、ドクター。作戦失敗では元も子も・・・・・・。」
「どうした?シルバーアッシュ。・・・あっ・・・。」
『・・・ごきげんよう。ドクターに、祝福を。』
「あぁ・・・。ごきげんよう・・・。」
「・・・・・・。」
『・・・・・・フン。』
このようになります。
最後に紹介するのは、ツチノコメランサ。インドラです。
当ロドスで最後に確認されたのは、11カ月前。その生態は謎に包まれており、ヴァルカンと共に希少種と呼ばれています。
インドラの所在を調査するべく、我々はアマゾンの奥地に足を踏み入れました。
しかし、手に入れたものは、シージと仲が良いということだけでした。
当ロドスではインドラ、ヴァルカンの情報に懸賞金をかけることに決定しました。
なお、懸賞金はミッドナイトの財布から出されます。
今回紹介したのはほんの一握りのメランサですが、世界には151匹のメランサが生息していると言われています。
みなさんも、自分だけの相棒を連れてメランサ図鑑を完成させる旅に出てみてはいかがでしょうか。
【執務室】
メランサの生態について調査したビデオをエイヤが必死になって見ている。
深夜テンションで制作したジョークビデオなのに、メモまで記入しながら見られると、ネタ晴らしの時が怖くなってくる。
「・・・どうだ。エイヤ。これが私の秘密の研究だ。」
「スゴイですドクター!!メランサさんにこんな秘密があるなんて知りませんでした!」
何とか騙せたようだ・・・。もしこのビデオがメランサにでもバレたら疑似真銀斬をかまされてしまう。
エイヤが真面目ちゃん。もといアホの子で助かった・・・。
「なんて思う訳ないじゃないですか!バカなんですか!?」
ダメだったか・・・。
「メランサさんに失礼だと思わなかったんですか!?シルバーアッシュさんの部分は何も文句ありませんけど!!」
メランサにチクられて、アーミヤの耳に入ったらまた怒られてしまう!
ようやく落ち着いた日々が送れると思ったのに!
「・・・メランサさんにチクられたくないですか?」
「・・・え?アッハイ。」
「じゃあ、わたしの言うこと・・・なんでも聞いてくださいね??」
エイヤフィヤトラも、アーミヤと同じタイプだったか・・・。
もう2回ぐらいふざけます。ご容赦ください。